58 / 91
第二章
11. ミッション③
しおりを挟む
「その三! 家庭的な部分をみせよう!」
ん? 家庭的とは……?
学食で味噌汁を飲みながら首を捻っていると、暁人と祥吾が口を揃えて言った。
「家事スキル的なアレじゃない~?」
「俺は蒼大に毎日味噌汁をつくってほしい」
俺の頭の中では、どこからともなく一休さんがポクポクと木魚を叩く音が鳴り始める。
家事スキル的なアレ……?
毎日味噌汁…………?
「…………はっ! なるほど!」
突如、チーンと景気の良い音が鳴り響いた。味噌汁を飲み干して立ち上がる。
「つまり、料理!!!」
と、いうことで俺はさっそく学校の帰りにスーパーへと寄り道し、旬の魚を二尾買ってきた。機嫌良く鼻歌を歌いながら台所に立つ俺の背後で、早川は興味深そうに手元を覗いている。
「まるまる一尾で買ってきてどうするの?」
「三枚におろすんだぜ!」
購入したのは鯵だった。
包丁でウロコをとり、尻尾側についている硬いゼイゴを削り切りする。
「へぇ、手際いいね」
「へへっ。釣りが趣味だったじいちゃんに仕込まれたからな」
関心したような声が嬉しくて、少し得意になって胸を張る。
夢中で俺の手の動きを追う横顔は、こんなに大きな彼をどこか子供っぽく見せていて、なんだか可愛く思えた。
背中に感じる彼の体温は、照れくさいし料理だってやり難いけれど、悪くない。
すると、そこで異変は起きた。
エラ部分から包丁を入れて頭を一刀両断したところで、早川がさっと顔色を変えたのだ。
「わ、わぁ……。僕、魚を捌くところなんて初めて見たや…………」
「え?」
(なっ! は、早川さんの初めて……!?)
彼の初めてをゲットできたという驚愕の事実に、俺は感動した。
(この作戦、もらった!)
中々の好調な作戦の滑り出しに、俺の包丁を捌きもノリノリになる。
だがしかし、続いて腹の部分に包丁を入れ切り開いていたところで、なぜか早川は台所から退場してしまった。
カウンターから顔を覗かせれば、ソファーの上でグッタリと横たわる長身が見える。
そんな様子に、首を傾げながら声をかけた。
「おーい、どうしたの?」
「…………寝不足かな。夕飯楽しみ。ははっ」
俺は、ハッとした。
(腹が減っているのか……っ!!)
それでは元気が出ないのも頷ける!
その日の夕飯は、真ん中の骨部分でとったあら汁と、鯵の身をカラッと揚げて彼好みの甘ダレに漬け込んだ南蛮漬けにした。
野菜もたっぷりで食べ応えは抜群だ!
仕事のせいか顔色が悪いままの早川だったが、南蛮漬けは完食してくれた。
「…………美味しいね」
「だろ? また捌いてやるかんな!」
「…………ぅっぷ」
そして、その晩はーー……。
「は、早川さん! お、俺のことっ、と、とととトムヤムクンも食べてみる?」
「……それは、魚入ってない?」
ミッション3はいい調子だ!
よし、次行ってみよう!!
ん? 家庭的とは……?
学食で味噌汁を飲みながら首を捻っていると、暁人と祥吾が口を揃えて言った。
「家事スキル的なアレじゃない~?」
「俺は蒼大に毎日味噌汁をつくってほしい」
俺の頭の中では、どこからともなく一休さんがポクポクと木魚を叩く音が鳴り始める。
家事スキル的なアレ……?
毎日味噌汁…………?
「…………はっ! なるほど!」
突如、チーンと景気の良い音が鳴り響いた。味噌汁を飲み干して立ち上がる。
「つまり、料理!!!」
と、いうことで俺はさっそく学校の帰りにスーパーへと寄り道し、旬の魚を二尾買ってきた。機嫌良く鼻歌を歌いながら台所に立つ俺の背後で、早川は興味深そうに手元を覗いている。
「まるまる一尾で買ってきてどうするの?」
「三枚におろすんだぜ!」
購入したのは鯵だった。
包丁でウロコをとり、尻尾側についている硬いゼイゴを削り切りする。
「へぇ、手際いいね」
「へへっ。釣りが趣味だったじいちゃんに仕込まれたからな」
関心したような声が嬉しくて、少し得意になって胸を張る。
夢中で俺の手の動きを追う横顔は、こんなに大きな彼をどこか子供っぽく見せていて、なんだか可愛く思えた。
背中に感じる彼の体温は、照れくさいし料理だってやり難いけれど、悪くない。
すると、そこで異変は起きた。
エラ部分から包丁を入れて頭を一刀両断したところで、早川がさっと顔色を変えたのだ。
「わ、わぁ……。僕、魚を捌くところなんて初めて見たや…………」
「え?」
(なっ! は、早川さんの初めて……!?)
彼の初めてをゲットできたという驚愕の事実に、俺は感動した。
(この作戦、もらった!)
中々の好調な作戦の滑り出しに、俺の包丁を捌きもノリノリになる。
だがしかし、続いて腹の部分に包丁を入れ切り開いていたところで、なぜか早川は台所から退場してしまった。
カウンターから顔を覗かせれば、ソファーの上でグッタリと横たわる長身が見える。
そんな様子に、首を傾げながら声をかけた。
「おーい、どうしたの?」
「…………寝不足かな。夕飯楽しみ。ははっ」
俺は、ハッとした。
(腹が減っているのか……っ!!)
それでは元気が出ないのも頷ける!
その日の夕飯は、真ん中の骨部分でとったあら汁と、鯵の身をカラッと揚げて彼好みの甘ダレに漬け込んだ南蛮漬けにした。
野菜もたっぷりで食べ応えは抜群だ!
仕事のせいか顔色が悪いままの早川だったが、南蛮漬けは完食してくれた。
「…………美味しいね」
「だろ? また捌いてやるかんな!」
「…………ぅっぷ」
そして、その晩はーー……。
「は、早川さん! お、俺のことっ、と、とととトムヤムクンも食べてみる?」
「……それは、魚入ってない?」
ミッション3はいい調子だ!
よし、次行ってみよう!!
0
あなたにおすすめの小説
【第一部・完結】毒を飲んだマリス~冷徹なふりして溺愛したい皇帝陛下と毒親育ちの転生人質王子が恋をした~
蛮野晩
BL
マリスは前世で毒親育ちなうえに不遇の最期を迎えた。
転生したらヘデルマリア王国の第一王子だったが、祖国は帝国に侵略されてしまう。
戦火のなかで帝国の皇帝陛下ヴェルハルトに出会う。
マリスは人質として帝国に赴いたが、そこで皇帝の弟(エヴァン・八歳)の世話役をすることになった。
皇帝ヴェルハルトは噂どおりの冷徹な男でマリスは人質として不遇な扱いを受けたが、――――じつは皇帝ヴェルハルトは戦火で出会ったマリスにすでにひと目惚れしていた!
しかもマリスが帝国に来てくれて内心大喜びだった!
ほんとうは溺愛したいが、溺愛しすぎはかっこよくない……。苦悩する皇帝ヴェルハルト。
皇帝陛下のラブコメと人質王子のシリアスがぶつかりあう。ラブコメvsシリアスのハッピーエンドです。
今日もBL営業カフェで働いています!?
卵丸
BL
ブラック企業の会社に嫌気がさして、退職した沢良宜 篤は給料が高い、男だけのカフェに面接を受けるが「腐男子ですか?」と聞かれて「腐男子ではない」と答えてしまい。改めて、説明文の「BLカフェ」と見てなかったので不採用と思っていたが次の日に採用通知が届き疑心暗鬼で初日バイトに向かうと、店長とBL営業をして腐女子のお客様を喜ばせて!?ノンケBL初心者のバイトと同性愛者の店長のノンケから始まるBLコメディ
※ 不定期更新です。
【完結・BL】俺をフッた初恋相手が、転勤して上司になったんだが?【先輩×後輩】
彩華
BL
『俺、そんな目でお前のこと見れない』
高校一年の冬。俺の初恋は、見事に玉砕した。
その後、俺は見事にDTのまま。あっという間に25になり。何の変化もないまま、ごくごくありふれたサラリーマンになった俺。
そんな俺の前に、運命の悪戯か。再び初恋相手は現れて────!?
【完結】男の後輩に告白されたオレと、様子のおかしくなった幼なじみの話
須宮りんこ
BL
【あらすじ】
高校三年生の椿叶太には女子からモテまくりの幼なじみ・五十嵐青がいる。
二人は顔を合わせば絡む仲ではあるものの、叶太にとって青は生意気な幼なじみでしかない。
そんなある日、叶太は北村という一つ下の後輩・北村から告白される。
青いわく友達目線で見ても北村はいい奴らしい。しかも青とは違い、素直で礼儀正しい北村に叶太は好感を持つ。北村の希望もあって、まずは普通の先輩後輩として付き合いをはじめることに。
けれど叶太が北村に告白されたことを知った青の様子が、その日からおかしくなって――?
※本編完結済み。後日談連載中。
前世が教師だった少年は辺境で愛される
結衣可
BL
雪深い帝国北端の地で、傷つき行き倒れていた少年ミカを拾ったのは、寡黙な辺境伯ダリウスだった。妻を亡くし、幼い息子リアムと静かに暮らしていた彼は、ミカの知識と優しさに驚きつつも、次第にその穏やかな笑顔に心を癒されていく。
ミカは実は異世界からの転生者。前世の記憶を抱え、この世界でどう生きるべきか迷っていたが、リアムの教育係として過ごすうちに、“誰かに必要とされる”温もりを思い出していく。
雪の館で共に過ごす日々は、やがてお互いにとってかけがえのない時間となり、新しい日々へと続いていく――。
(無自覚)妖精に転生した僕は、騎士の溺愛に気づかない。
キノア9g
BL
※主人公が傷つけられるシーンがありますので、苦手な方はご注意ください。
気がつくと、僕は見知らぬ不思議な森にいた。
木や草花どれもやけに大きく見えるし、自分の体も妙に華奢だった。
色々疑問に思いながらも、1人は寂しくて人間に会うために森をさまよい歩く。
ようやく出会えた初めての人間に思わず話しかけたものの、言葉は通じず、なぜか捕らえられてしまい、無残な目に遭うことに。
捨てられ、意識が薄れる中、僕を助けてくれたのは、優しい騎士だった。
彼の献身的な看病に心が癒される僕だけれど、彼がどんな思いで僕を守っているのかは、まだ気づかないまま。
少しずつ深まっていくこの絆が、僕にどんな運命をもたらすのか──?
騎士×妖精
僕、天使に転生したようです!
神代天音
BL
トラックに轢かれそうだった猫……ではなく鳥を助けたら、転生をしていたアンジュ。新しい家族は最低で、世話は最低限。そんなある日、自分が売られることを知って……。
天使のような羽を持って生まれてしまったアンジュが、周りのみんなに愛されるお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる