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第一章
14. 協力 ★
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覆い被さる早川の背には、天井にある照明がいつもより眩しく輝いていた。
背中に冷たいフローリングの感触を感じて身震いすれば、温かい指が宥めるように頬に触れる。
「……協力?」
「そう。間宮くんが健気だから、この漫画に描いてあること試したくなっちゃった」
そう言って俺の隣に投げ出されたのは、今日購入したばかりのBL漫画だった。
「本当にこんなことして気持ちよくなるのか知りたいんだ。ほら、リアルな感覚を掴めないと、僕表現できないから……」
「で、でも……」
「軽く試してみるだけだから、ね?仲直りの印に。間宮くんしか、頼れないんだ」
熱い吐息が耳に触れれば、懇願するような声が響いた。
「だから……、お願い」
潤むようなヘーゼルの瞳に絡め取られれば、もう頷くことしかできなかった。
「この34ページではネクタイで縛ってるんだけど、とりあえずこの縄でいいよね?」
そんな台詞と共に、気づけば手首は頭上で拘束されていた。
俺は今、邪魔だから……とたくし上げられたスウェットの裾を噛まされたまま、床に転がされている。
「これだと胸を触ってるんだけど、男の子でも気持ちよくなれるのかな?」
そう呟きながら、大きな手は曝け出した俺の腹へと指を這わせた。
途端に昼間の出来事を思い出した。
脇腹をなぞられ、全身に悪寒が走ったあの瞬間がフラッシュバックする。
「……………っ!」
ヒュッと喉が鳴り、息が詰まる。
すると、耳元で優しい声が囁いた。
「大丈夫だよ。ゆっくり息を吸って」
滑らかに触れる指先は、温かい。
はっと息を吐き出し大きく吸えば、早川は微笑みながら俺の髪に柔らかく触れた。
その手に、安堵の溜息を漏らす。
(不快な筈なのに、不快じゃない?)
……もう頭の中は、ぐちゃぐちゃだった。
大きな手は、優しく肌をなぞってゆく。
天井の照明は、相変わらず眩しい。
不意にその指先が、引っ掻くように胸の突起を掠めた。
「……っ、ん……ぁっ」
体に、甘い衝撃が走る。
(なに、すんだ……!?)
訳の分からない状態に、文句の一つでも言ってやりたい。
けれど、口に咥えさせられたスウェットのせいで、鼻を抜けるようなくぐもった声しか出せなかった。
優しく胸全体を包んでいた手は、次第にその突起ばかりを執拗に弄り始める。
指先で遊ぶように挟まれたり、時折軽く摘まれる度に、痺れるような感覚に全身が支配されていった。
「ん、ゃ……っ」
やめてと言おうとした時、早川が言った。
「ふぅん。……ちょっと、ごめんね?」
何の謝罪かと思えば、パクリと大きな口に突起が咥え込まれた。
「……んっ、ぁあん!」
声なんて、抑えられなかった。
突然の刺激に体を弓なりにしならせれば、熱い舌がぬるりと中心を舐め上げる。
優しく舌先になぞられると、甘い疼きが全身を震えさせた。
(なんか……、変な、感じ…………)
意識は、ふわふわする一方だ。
けれど強く吸われた瞬間、強すぎる刺激に現実へと意識が戻る。
「やっ、……やだっ!」
耐えきれずに口からスウェットを吐き出して叫んだ時、何かが唇へと触れた。
「ねぇ、舐めてよ」
それは、早川の人差し指だった。
そのまま、差し出された長い指は、躊躇いもなく挿入される。指の腹が舌の表面から舌の裏筋までゆっくり撫で上げた。
「ふ、んぁっ、ぁ……」
湿った音を立てながら、まるで舌をあやすような愛撫が続く。飲み下せない唾液は、口の端から滴り落ちて顎を汚していった。
「フェラしてるみたいだね。間宮くんの口って、虐めたくなる」
指が、また一本増やされる。
上顎を擽るように撫で上げられれば、どうしようもなく背筋が震えた。
息が苦しくて縦横無尽な指先に抵抗したい。そう思っている筈なのに、熱に浮かされた俺の体は思うように動けなかった。
きつく瞼を閉じて耐えていると、不意に視線を感じた。
そっと開けてみれば、熱を孕んで緑を濃くした瞳と視線が交じり合う。
すると、ようやく長い指が引き抜かれた。
唇と指先の間を、唾液の糸が繋ぐ。
その糸がぷつんと切れれば、目の前で赤い舌が濡れた指をペロリと舐め上げた。
艶やかな唇が弧を描き、静かに告げる。
「かわいいね。
……ねぇ、勃ってるよ?」
その言葉を理解した瞬間ー……、
俺は、手首の縄を引き千切った。
「え、」
戸惑う早川を思い切り突き飛ばし、腹の底から叫ぶ。
「ふっ、風呂ぉおおおおっ!!!」
そして、ダッシュでバスルームへと向かい、その場から逃走した。
この後、もう一生顔を合わせられねぇ!と夜通し悶絶しまくることになる。
だが、しかし……
結局、翌日になれば朝食で顔を合わせるという重大な事実を、この時の俺はすっかりと忘れていたのだった。
背中に冷たいフローリングの感触を感じて身震いすれば、温かい指が宥めるように頬に触れる。
「……協力?」
「そう。間宮くんが健気だから、この漫画に描いてあること試したくなっちゃった」
そう言って俺の隣に投げ出されたのは、今日購入したばかりのBL漫画だった。
「本当にこんなことして気持ちよくなるのか知りたいんだ。ほら、リアルな感覚を掴めないと、僕表現できないから……」
「で、でも……」
「軽く試してみるだけだから、ね?仲直りの印に。間宮くんしか、頼れないんだ」
熱い吐息が耳に触れれば、懇願するような声が響いた。
「だから……、お願い」
潤むようなヘーゼルの瞳に絡め取られれば、もう頷くことしかできなかった。
「この34ページではネクタイで縛ってるんだけど、とりあえずこの縄でいいよね?」
そんな台詞と共に、気づけば手首は頭上で拘束されていた。
俺は今、邪魔だから……とたくし上げられたスウェットの裾を噛まされたまま、床に転がされている。
「これだと胸を触ってるんだけど、男の子でも気持ちよくなれるのかな?」
そう呟きながら、大きな手は曝け出した俺の腹へと指を這わせた。
途端に昼間の出来事を思い出した。
脇腹をなぞられ、全身に悪寒が走ったあの瞬間がフラッシュバックする。
「……………っ!」
ヒュッと喉が鳴り、息が詰まる。
すると、耳元で優しい声が囁いた。
「大丈夫だよ。ゆっくり息を吸って」
滑らかに触れる指先は、温かい。
はっと息を吐き出し大きく吸えば、早川は微笑みながら俺の髪に柔らかく触れた。
その手に、安堵の溜息を漏らす。
(不快な筈なのに、不快じゃない?)
……もう頭の中は、ぐちゃぐちゃだった。
大きな手は、優しく肌をなぞってゆく。
天井の照明は、相変わらず眩しい。
不意にその指先が、引っ掻くように胸の突起を掠めた。
「……っ、ん……ぁっ」
体に、甘い衝撃が走る。
(なに、すんだ……!?)
訳の分からない状態に、文句の一つでも言ってやりたい。
けれど、口に咥えさせられたスウェットのせいで、鼻を抜けるようなくぐもった声しか出せなかった。
優しく胸全体を包んでいた手は、次第にその突起ばかりを執拗に弄り始める。
指先で遊ぶように挟まれたり、時折軽く摘まれる度に、痺れるような感覚に全身が支配されていった。
「ん、ゃ……っ」
やめてと言おうとした時、早川が言った。
「ふぅん。……ちょっと、ごめんね?」
何の謝罪かと思えば、パクリと大きな口に突起が咥え込まれた。
「……んっ、ぁあん!」
声なんて、抑えられなかった。
突然の刺激に体を弓なりにしならせれば、熱い舌がぬるりと中心を舐め上げる。
優しく舌先になぞられると、甘い疼きが全身を震えさせた。
(なんか……、変な、感じ…………)
意識は、ふわふわする一方だ。
けれど強く吸われた瞬間、強すぎる刺激に現実へと意識が戻る。
「やっ、……やだっ!」
耐えきれずに口からスウェットを吐き出して叫んだ時、何かが唇へと触れた。
「ねぇ、舐めてよ」
それは、早川の人差し指だった。
そのまま、差し出された長い指は、躊躇いもなく挿入される。指の腹が舌の表面から舌の裏筋までゆっくり撫で上げた。
「ふ、んぁっ、ぁ……」
湿った音を立てながら、まるで舌をあやすような愛撫が続く。飲み下せない唾液は、口の端から滴り落ちて顎を汚していった。
「フェラしてるみたいだね。間宮くんの口って、虐めたくなる」
指が、また一本増やされる。
上顎を擽るように撫で上げられれば、どうしようもなく背筋が震えた。
息が苦しくて縦横無尽な指先に抵抗したい。そう思っている筈なのに、熱に浮かされた俺の体は思うように動けなかった。
きつく瞼を閉じて耐えていると、不意に視線を感じた。
そっと開けてみれば、熱を孕んで緑を濃くした瞳と視線が交じり合う。
すると、ようやく長い指が引き抜かれた。
唇と指先の間を、唾液の糸が繋ぐ。
その糸がぷつんと切れれば、目の前で赤い舌が濡れた指をペロリと舐め上げた。
艶やかな唇が弧を描き、静かに告げる。
「かわいいね。
……ねぇ、勃ってるよ?」
その言葉を理解した瞬間ー……、
俺は、手首の縄を引き千切った。
「え、」
戸惑う早川を思い切り突き飛ばし、腹の底から叫ぶ。
「ふっ、風呂ぉおおおおっ!!!」
そして、ダッシュでバスルームへと向かい、その場から逃走した。
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