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第一章
11. トラブル
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黒いカーディガンの女性は、せっかく綺麗に化粧した目を、これでもかというくらい吊り上げていた。
そして、長い髪を靡かせながらこちらに向かって歩き出す。
(あわわわ……、確実に俺ロックオンされてるっ!)
今にも逃げ出したい気持ちに駆られるが、早川がまだ戻らないので動けない。
絡まれるのを覚悟し、アイスコーヒーを一気飲みした時だった。
「お姉さん、一人?可愛いじゃん!」
どこからか、陽気な声が響き渡った。
見れば、彼女はイケイケなヤンキー2名に絡まれて足止めをされていた。
(かっ、神様ぁぁぁあっ!!!)
どこぞの知らんヤンキーくんに感謝をしながら、やはり早川を探しにこっそり抜けようと、荷物を抱えて立ち上がる。
しかし、その僅かな間に雲行きは怪しくなっていた。
「や、やめて下さいっ」
悲鳴のような声に再度そちらへと顔を向ければ、なんとヤンキーくん達は女性の細い腕を掴んでいたのだ。
「いいじゃん!俺達とあーそーぼー」
「決まり決まり。はい、レッツゴー」
嫌がる声を無視しながら、彼らは女性を連れて外へと出て行ってしまった。
「ねぇ……、やばくない?」
近くの席の客達の呟きが聞こえる。
俺は、そのまま走って外へと飛び出した。
「おいっ!待てよ!!」
叫んだ声は、路地裏へと響き渡る。
ヤンキーくん達は、今にも泣きそうな女性を掴んだまま振り返り怒鳴った。
「邪魔すんじゃねぇよっ!……え、可愛」
「ちっ、んーだよっ!……え。可愛」
「……カワ。皮?」
謎の単語と共に彼らはフリーズしてしまう。
一瞬こちらまでフリーズしかけるが、負けじと怒鳴り返してやった。
「彼女嫌がってんじゃねぇかよっ!離しやがれ馬鹿野郎共がっ!!」
そう言って、女性の腕を掴み無理矢理こちらへと引き寄せる。彼女を自分の背に庇い、俺はもう一度向き合った。
「お前ら高校生か?お姉さんがいくら可愛くたって無理矢理連れてくのはダメだろうが」
分かるか?と問えば、ようやくヤンキーくん達も動き出す。
「ねぇ、君どこ高?」
「お前が俺らと遊んでくれんの?」
訳のわかんないことを言いながら俺に肩を組んできたが、その腕は問答無用で振り払った。
「高校生じゃねぇし、遊ばねぇよ!とりあえず、お姉さん返してもらうから」
行こ!と手を引いて路地裏から出ようとすれば、強引に腕を引かれた。
「おい、何勝手にいこうとしてんだよ」
「……ぃ、……っ!」
壁に背中を叩きつけるようにして押さえつけられ、息が詰まる。
顎を掴まれ上を向かされたかと思えば、もう片方の手はパーカーの中へとスルリと入った。脇腹を冷たい指先になぞられて、全身がゾワリと悪寒が走る。
「何すんだよ!離せ!!」
力一杯怒鳴りつければ、こちらを見下ろすヤンキーくんが呟いた。
「なぁ?お前さ、おと……」
こ、と聞こえた瞬間、目の前のヤンキーくんは横へと吹き飛んだ。
急に押さえつけていたものが無くなったせいで、体はぐらりと傾く。
「…………っ、え?」
しかし、何かに首の後ろを猫のように摘まれたおかげで、地面に転ぶことはなかった。
「どういう状況?」
それは、地を這うような低い声だった。
見上げれば、蹴りを入れた長い足を、ゆっくりと優雅に下ろす王子様がいる。
口元は微笑んでいるのに、その目は全く笑っていないのは気のせいだろうか。
「説明、してくれるよね?」
その言葉に、頷くことしか出来なかった。
そして、長い髪を靡かせながらこちらに向かって歩き出す。
(あわわわ……、確実に俺ロックオンされてるっ!)
今にも逃げ出したい気持ちに駆られるが、早川がまだ戻らないので動けない。
絡まれるのを覚悟し、アイスコーヒーを一気飲みした時だった。
「お姉さん、一人?可愛いじゃん!」
どこからか、陽気な声が響き渡った。
見れば、彼女はイケイケなヤンキー2名に絡まれて足止めをされていた。
(かっ、神様ぁぁぁあっ!!!)
どこぞの知らんヤンキーくんに感謝をしながら、やはり早川を探しにこっそり抜けようと、荷物を抱えて立ち上がる。
しかし、その僅かな間に雲行きは怪しくなっていた。
「や、やめて下さいっ」
悲鳴のような声に再度そちらへと顔を向ければ、なんとヤンキーくん達は女性の細い腕を掴んでいたのだ。
「いいじゃん!俺達とあーそーぼー」
「決まり決まり。はい、レッツゴー」
嫌がる声を無視しながら、彼らは女性を連れて外へと出て行ってしまった。
「ねぇ……、やばくない?」
近くの席の客達の呟きが聞こえる。
俺は、そのまま走って外へと飛び出した。
「おいっ!待てよ!!」
叫んだ声は、路地裏へと響き渡る。
ヤンキーくん達は、今にも泣きそうな女性を掴んだまま振り返り怒鳴った。
「邪魔すんじゃねぇよっ!……え、可愛」
「ちっ、んーだよっ!……え。可愛」
「……カワ。皮?」
謎の単語と共に彼らはフリーズしてしまう。
一瞬こちらまでフリーズしかけるが、負けじと怒鳴り返してやった。
「彼女嫌がってんじゃねぇかよっ!離しやがれ馬鹿野郎共がっ!!」
そう言って、女性の腕を掴み無理矢理こちらへと引き寄せる。彼女を自分の背に庇い、俺はもう一度向き合った。
「お前ら高校生か?お姉さんがいくら可愛くたって無理矢理連れてくのはダメだろうが」
分かるか?と問えば、ようやくヤンキーくん達も動き出す。
「ねぇ、君どこ高?」
「お前が俺らと遊んでくれんの?」
訳のわかんないことを言いながら俺に肩を組んできたが、その腕は問答無用で振り払った。
「高校生じゃねぇし、遊ばねぇよ!とりあえず、お姉さん返してもらうから」
行こ!と手を引いて路地裏から出ようとすれば、強引に腕を引かれた。
「おい、何勝手にいこうとしてんだよ」
「……ぃ、……っ!」
壁に背中を叩きつけるようにして押さえつけられ、息が詰まる。
顎を掴まれ上を向かされたかと思えば、もう片方の手はパーカーの中へとスルリと入った。脇腹を冷たい指先になぞられて、全身がゾワリと悪寒が走る。
「何すんだよ!離せ!!」
力一杯怒鳴りつければ、こちらを見下ろすヤンキーくんが呟いた。
「なぁ?お前さ、おと……」
こ、と聞こえた瞬間、目の前のヤンキーくんは横へと吹き飛んだ。
急に押さえつけていたものが無くなったせいで、体はぐらりと傾く。
「…………っ、え?」
しかし、何かに首の後ろを猫のように摘まれたおかげで、地面に転ぶことはなかった。
「どういう状況?」
それは、地を這うような低い声だった。
見上げれば、蹴りを入れた長い足を、ゆっくりと優雅に下ろす王子様がいる。
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その言葉に、頷くことしか出来なかった。
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