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王都のQT
女対女
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お喋りをしながらも楽しい時間を過ごし、日が傾き始めた頃にDの邸宅に向かった。
夕食はダリとアンナさんを客として招いて食べたいとチッチェにお願いしてある。ただ、ヨハンナさんとDには誰を連れてくるかは言っていない。王都で出来た友人としか言っていない。
少し心配だが驚かしたいといういたずら心もある。
Dには世話になりっぱなしだが、甘えて良いのだとココロのどこかが言っている。父親と言うにはDとは離れていないがとても安心感がある。
Dの屋敷を見たダリとアンナさんはとても驚いている。
まるで貴族の屋敷だという。だが、Dは貴族ではない。A級冒険者の稼ぎは相当なものなのだと漠然と考えていた。
「何言ってるのよ、キュウちゃん。この広さの屋敷を中古といえ買うには金貨1万枚でも足りないわよ?!」
「はぁ」
気の抜けたあたしの返事にダリは返って憤慨する。アンナさんも呆れ返っている。そうは言われても最初は驚いたがもう慣れた。
色々と驚いている二人を自分の家に招き入れるようにして入るとチッチェが出迎えてくれた。
「おかえりなさい、QTさん」
チッチェを見たダリが叫び、アンナさんが口を大きく開く。
「家妖精シルキー?!」
「はいはい、そうで御座いますよ。」
チッチェは平然と答える。
ダリがあたふたしている横で驚きから戻ったアンナさんがあたしの肩を掴んで言った。
「家妖精シルキーが住み着く家は100年越えしていると言われているわ。しかも逃げずにこうやって人の目の前に平然と現れるなんて・・・相当信頼されてないと無理なのよ?」
何故か疑問形だが相当驚いているようだ。
「はぁ~流石のDと言ったところね」
どうやら相手がDという事で色々と諦めたようだ。
「さあさあ、皆さんそんなところでお話してないで中へどうぞ!」
家妖精のチッチェが招き入れた事で食堂に集まった。思い思いに座った客を見てチッチェが喜ぶ。
「本当!久しぶりでございますわ、こんなに賑やかになるなんて、先々代以来ですわぁ~」
「先々代?」
あたしがチッチェさんの言葉に疑問を抱いて聞いた。
「そうですの、先代の方はワタクシがお見えにならなくて、随分と騒がれましたわ。」
「なるほど、幽霊とか思われたんでしょうね」
アンナさんが納得の言葉を掛ける。
「こんなに素敵な家妖精なのに?」
ダリがチッチェを褒めると満更でもないようでチッチェが頬に手を当てて照れた。
「嫌ですわ、こんなお婆ちゃんなのにぃ~」
和やかな話をしていると玄関の方でただいまと言う声が聞こえた。きっとヨハンナさんだろう。さっきまで一緒にいたチッチェが迎えに出たらしく、一緒に食堂に入ってきた。
「え?」「え?」「え?」
ヨハンナさんがアンナさんとダリを見てびっくりする。
アンナさんがヨハンナさんを見てびっくりする。
ダリがヨハンナさんを見てびっくりする。
ピキピキとした緊張感漂う空気にヨハンナさんからの言葉が出る前にあたしからヨハンナさんに紹介する。そう言えばチッチェにも紹介していなかった。
「ヨハンナさん、こちらの人が南地区冒険者ギルドの受付嬢アンナさんで、こっちが暁燿旅団のダリアです。」
「この人はあたしがDに連れられて王都に来てからずっとお世話になっている東地区冒険者ギルドの副ギルドマスターのヨハンナさんです。」
ダリとアンナさんにもヨハンナさんを紹介する。
あたしの早口に3人とも口を挟まず取り敢えず聞いてくれた。
おもむろにアンナさんが口をきく。
「アンナ18才です。王都住まいならハサイエル家の放蕩娘といえば分かりやすいかしら」
アンナさんがダリを見る。
「ダリア•マルチネス17才だ。今は『暁燿旅団』のヴォルンタリ団長の槍兵長をやってる。」
何故かぶっきらぼうな口調になっている。
「ヨハンナ•セリーヌ23才よ。キュウの言うとおりギルド務めだから二人のことは噂では聞いていたわ。」
何で年齢を言い合っているのかわからないけどこの3人は会わせてはいけなかったのでは?と凄く後悔した。
「どんな噂かしら」
「傭兵の話は碌なもんじゃないでしょ!」
アンナさんもダリも何だか先程と違ってツンケンし始めた。
「あら、そんなことは無いわよ。ダリア•マルチネス、王立騎士学園の元首席騎士さん。学園では無敗を誇って次期神槍って言われてたでしょ」
「・・・昔のことよ」
はああ、ダリってやっぱり凄いんだ!あたしが嬉しそうにダリを見ると少し恥ずかしかったのか頬が赤くなった。
「あの事件が無かったら侯爵家の貴族令嬢としてこんなところには居なかったでしょ?アンナさん」
「・・・どうかしら。私としては素敵な出会いがあったから後悔は無いわ」
目に見えない火花が散っているような気がするのは間違っているだろうか?
「さあさあ、皆さんそれではお食事にしましょうか?」
チッチェが緊張感を知ってか知らずか食事にしようと言う。
「あ、あたし手伝う!」
ダリも緊張したのか
「あ、あたしも手伝っちゃおかなぁ~」
「そうして、そうして二人なら早いから!」
ダリの手を引いてキッチンにチッチェの手伝いに行く。
振り返るとヨハンナさんとアンナさんは腕を組み、胸を突き出して何故か睨み合っていた。
夕食はダリとアンナさんを客として招いて食べたいとチッチェにお願いしてある。ただ、ヨハンナさんとDには誰を連れてくるかは言っていない。王都で出来た友人としか言っていない。
少し心配だが驚かしたいといういたずら心もある。
Dには世話になりっぱなしだが、甘えて良いのだとココロのどこかが言っている。父親と言うにはDとは離れていないがとても安心感がある。
Dの屋敷を見たダリとアンナさんはとても驚いている。
まるで貴族の屋敷だという。だが、Dは貴族ではない。A級冒険者の稼ぎは相当なものなのだと漠然と考えていた。
「何言ってるのよ、キュウちゃん。この広さの屋敷を中古といえ買うには金貨1万枚でも足りないわよ?!」
「はぁ」
気の抜けたあたしの返事にダリは返って憤慨する。アンナさんも呆れ返っている。そうは言われても最初は驚いたがもう慣れた。
色々と驚いている二人を自分の家に招き入れるようにして入るとチッチェが出迎えてくれた。
「おかえりなさい、QTさん」
チッチェを見たダリが叫び、アンナさんが口を大きく開く。
「家妖精シルキー?!」
「はいはい、そうで御座いますよ。」
チッチェは平然と答える。
ダリがあたふたしている横で驚きから戻ったアンナさんがあたしの肩を掴んで言った。
「家妖精シルキーが住み着く家は100年越えしていると言われているわ。しかも逃げずにこうやって人の目の前に平然と現れるなんて・・・相当信頼されてないと無理なのよ?」
何故か疑問形だが相当驚いているようだ。
「はぁ~流石のDと言ったところね」
どうやら相手がDという事で色々と諦めたようだ。
「さあさあ、皆さんそんなところでお話してないで中へどうぞ!」
家妖精のチッチェが招き入れた事で食堂に集まった。思い思いに座った客を見てチッチェが喜ぶ。
「本当!久しぶりでございますわ、こんなに賑やかになるなんて、先々代以来ですわぁ~」
「先々代?」
あたしがチッチェさんの言葉に疑問を抱いて聞いた。
「そうですの、先代の方はワタクシがお見えにならなくて、随分と騒がれましたわ。」
「なるほど、幽霊とか思われたんでしょうね」
アンナさんが納得の言葉を掛ける。
「こんなに素敵な家妖精なのに?」
ダリがチッチェを褒めると満更でもないようでチッチェが頬に手を当てて照れた。
「嫌ですわ、こんなお婆ちゃんなのにぃ~」
和やかな話をしていると玄関の方でただいまと言う声が聞こえた。きっとヨハンナさんだろう。さっきまで一緒にいたチッチェが迎えに出たらしく、一緒に食堂に入ってきた。
「え?」「え?」「え?」
ヨハンナさんがアンナさんとダリを見てびっくりする。
アンナさんがヨハンナさんを見てびっくりする。
ダリがヨハンナさんを見てびっくりする。
ピキピキとした緊張感漂う空気にヨハンナさんからの言葉が出る前にあたしからヨハンナさんに紹介する。そう言えばチッチェにも紹介していなかった。
「ヨハンナさん、こちらの人が南地区冒険者ギルドの受付嬢アンナさんで、こっちが暁燿旅団のダリアです。」
「この人はあたしがDに連れられて王都に来てからずっとお世話になっている東地区冒険者ギルドの副ギルドマスターのヨハンナさんです。」
ダリとアンナさんにもヨハンナさんを紹介する。
あたしの早口に3人とも口を挟まず取り敢えず聞いてくれた。
おもむろにアンナさんが口をきく。
「アンナ18才です。王都住まいならハサイエル家の放蕩娘といえば分かりやすいかしら」
アンナさんがダリを見る。
「ダリア•マルチネス17才だ。今は『暁燿旅団』のヴォルンタリ団長の槍兵長をやってる。」
何故かぶっきらぼうな口調になっている。
「ヨハンナ•セリーヌ23才よ。キュウの言うとおりギルド務めだから二人のことは噂では聞いていたわ。」
何で年齢を言い合っているのかわからないけどこの3人は会わせてはいけなかったのでは?と凄く後悔した。
「どんな噂かしら」
「傭兵の話は碌なもんじゃないでしょ!」
アンナさんもダリも何だか先程と違ってツンケンし始めた。
「あら、そんなことは無いわよ。ダリア•マルチネス、王立騎士学園の元首席騎士さん。学園では無敗を誇って次期神槍って言われてたでしょ」
「・・・昔のことよ」
はああ、ダリってやっぱり凄いんだ!あたしが嬉しそうにダリを見ると少し恥ずかしかったのか頬が赤くなった。
「あの事件が無かったら侯爵家の貴族令嬢としてこんなところには居なかったでしょ?アンナさん」
「・・・どうかしら。私としては素敵な出会いがあったから後悔は無いわ」
目に見えない火花が散っているような気がするのは間違っているだろうか?
「さあさあ、皆さんそれではお食事にしましょうか?」
チッチェが緊張感を知ってか知らずか食事にしようと言う。
「あ、あたし手伝う!」
ダリも緊張したのか
「あ、あたしも手伝っちゃおかなぁ~」
「そうして、そうして二人なら早いから!」
ダリの手を引いてキッチンにチッチェの手伝いに行く。
振り返るとヨハンナさんとアンナさんは腕を組み、胸を突き出して何故か睨み合っていた。
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