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不思議な態度(2)

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 ジュリアスはクリスティーナの答えに目を細めた。

「へー。どんなところが?」
「や、優しいところ、です……」
「僕も優しいよ? 僕の兄さんも優しかったでしょ?」
「それは、そうですね」

 矢継ぎ早に質問を繰り返すジュリアスに面食らいながらも、なんとか答えを返す。

(どうしたんだろう、今日の殿下はやたら深堀りしてくる)

 ジュリアスは普段、踏み込んだ質問をあまりしない。誰とでも一線を引いている。それなのに、今日はどんどん踏み込んでくるのだ。

「じゃあ、結婚するのは僕とでも良い? 僕はヘンリーよりも優しくしてあげるよ?」
「なっ……! 駄目ですよ。殿下は王子でしょう!?」
「僕が、王子じゃなかったら?」

 挑発的な瞳で問われて少しだけ胸がドキッとしたが、クリスティーナは反射的に答えを口にしていた。

「だ、駄目です」
「どうして?」

 どうして、と問われて思い浮かんだのはヘンリーの顔だった。だけど上手い理由は浮かんでこなかった。

「殿下は、私のこと、好きじゃない……からです」

 なんとか絞り出した答えを言いながら、「なんて愚かなことを口走っているのだろう」と頭を抱えたくなった。
 第二王子に向かって何てことを言っているのだろう。答えてから恥ずかしさで顔が赤くなった。

 ジュリアスはクリスティーナの答えを聞いて、きょとんとした顔をした。そしてすぐに吹き出した。

「ふふっ、あはははは! そうだね。さすがクリスティーナ」
「なんで笑うんですか!?」
「ダメでしょ。そこは、『私にはヘンリーがいますから……』って言わないとー」
「あっ……」

 そうだ。それが最適解だった。

(私が偽の婚約者だってバレた!? いえ、まさかね。殿下は笑ってるだけだし……答えが少し可笑しかっただけよ) 

 後悔しても口から出てしまったものは仕方がない。
 クリスティーナは、ぎりぎりボロを出さなかったことと、質問攻撃が止まったことに安堵した。

「あーあ、なんだかヘンリーが可哀想になってきたなー。クリスティーナもさ、本当はヘンリーの気持ち分かってるんじゃないの?」

 笑いながらため息を付いたジュリアスは、頭の後ろで手を組んだ。
 
「どういうことですか?」
「何でもない。でも一つだけアドバイスをあげる。自分の気持をちゃんとヘンリーに伝えてあげてほしいな。そしたらきっと喜ぶし、あいつの変な態度も元に戻るよ」
「自分の気持ち……? 日頃の感謝が足りなかったのでしょうか。だからヘンリーはあんな奇行を……?」
「ははは! お願いだからもう笑わせないで……苦しいからっ」

 ジュリアスはたっぷり一分間は笑っていた。
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