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誕生日準備(2)
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ヘンリーの誕生日プレゼントが決まらないまま、数日が経った。
煮詰まったクリスティーナは、強力な助っ人を呼ぶことにした。
「まあまあまあ! ヘンリー様へのプレゼントでお悩みなのですね! ご相談いただけるなんて、感激です!」
領主の屋敷にソフィアを招待したのだ。相談があると伝えたら、すぐに飛んで来てくれた。
「えぇ、ソフィアはカーミラ様とプレゼントを贈り合ったりしているでしょう? ちょっと参考にさせてほしくて……」
「是非参考にしてくださいまし! 私は基本小物を贈ることが多いですわ」
「それは、手紙とセットだから?」
二人が頻繁に手紙のやり取りをしているのは聞いていた。毎回セットで送るのなら、大きい物は送らないかもしれない。
「それもありますが、あまり邪魔になってほしくないのです。カーミラ様のお部屋は研究資料で溢れていますから、大きい物はお邪魔かと思いまして。ですから身に着けられる小物が多いです」
「なるほど……」
ソフィアがカーミラのことを心から想って、プレゼントを選んでいるというのがよく分かった。
(そうよね。相手のことを思ってプレゼントを考えるって、こういうことよね)
自分だったらどうするだろう。クリスティーナは考えてみた。
(ヘンリーは家にいる時間が少ないし、いつも殿下や私のそばで忙しく働いているわ。置物とかだと、あまり喜ばれないかも……やっぱり身に着けられる物がいいかしら?)
あれこれと悩んでいると、ソフィアの笑い声が聞こえてきた。
「うふふっ、クリスティーナ様は本当にヘンリー様のことが好きなのですね」
「なっ……え?」
「あら、照れているクリスティーナ様も可愛いっ! 真剣にずーっと考えてらっしゃるから、見ていて幸せな気分になりましたわ。お二人は本当に理想のカップルです」
「そうかしら……」
「そうですとも。見ていたら分かります! お二人は相思相愛ですもの!」
ソフィアは、頬に手を当ててうっとりと目を細めていた。
(ソフィアの目には、そんな風に見えてるのね……一方通行なんだけど)
だんだんと告白しようという決意が揺らぎそうになる。クリスティーナは、弱気な心を必死に振り払った。
(片思いでもいいわ。思いを伝えるって決めたんだもの!)
気持ちを立て直して、ソフィアに向かって明るく言った。
「それじゃあアクセサリーでも見に行こうかしら。ソフィアがよく行くお店を紹介してくれる?」
「勿論です! 店主にも話を通しておきますわ」
二人でどんなアクセサリーが良いか話していると、部屋の扉が開いた。
「おや? ソフィアさんもいらしてたのですね。ご無沙汰しております」
「お久しぶりです、ヘンリー様。今日はクリスティーナ様にお話があって参りましたの」
「そうでしたか。もしかして、お邪魔をしてしまいましたか?」
「いいえ、もう終わりましたから。そうだ! お二人に言伝を預かっておりますの」
ソフィアが思い出したように両手をパンと叩いた。
「言伝? カーミラ様から?」
「そうです。今度研究所にいらしてくださいと。ハーブの件でお見せしたい物があるとのことです」
少し前に報告書を出したばかりだ。なにか発見があったのかもしれない。
「ありがとう。来週行くとお伝えしてくれる?」
「はい! では私はこれで。失礼しますね」
帰り際、ソフィアが「プレゼント探し、頑張ってくださいまし!」と小声で応援してくれた。
煮詰まったクリスティーナは、強力な助っ人を呼ぶことにした。
「まあまあまあ! ヘンリー様へのプレゼントでお悩みなのですね! ご相談いただけるなんて、感激です!」
領主の屋敷にソフィアを招待したのだ。相談があると伝えたら、すぐに飛んで来てくれた。
「えぇ、ソフィアはカーミラ様とプレゼントを贈り合ったりしているでしょう? ちょっと参考にさせてほしくて……」
「是非参考にしてくださいまし! 私は基本小物を贈ることが多いですわ」
「それは、手紙とセットだから?」
二人が頻繁に手紙のやり取りをしているのは聞いていた。毎回セットで送るのなら、大きい物は送らないかもしれない。
「それもありますが、あまり邪魔になってほしくないのです。カーミラ様のお部屋は研究資料で溢れていますから、大きい物はお邪魔かと思いまして。ですから身に着けられる小物が多いです」
「なるほど……」
ソフィアがカーミラのことを心から想って、プレゼントを選んでいるというのがよく分かった。
(そうよね。相手のことを思ってプレゼントを考えるって、こういうことよね)
自分だったらどうするだろう。クリスティーナは考えてみた。
(ヘンリーは家にいる時間が少ないし、いつも殿下や私のそばで忙しく働いているわ。置物とかだと、あまり喜ばれないかも……やっぱり身に着けられる物がいいかしら?)
あれこれと悩んでいると、ソフィアの笑い声が聞こえてきた。
「うふふっ、クリスティーナ様は本当にヘンリー様のことが好きなのですね」
「なっ……え?」
「あら、照れているクリスティーナ様も可愛いっ! 真剣にずーっと考えてらっしゃるから、見ていて幸せな気分になりましたわ。お二人は本当に理想のカップルです」
「そうかしら……」
「そうですとも。見ていたら分かります! お二人は相思相愛ですもの!」
ソフィアは、頬に手を当ててうっとりと目を細めていた。
(ソフィアの目には、そんな風に見えてるのね……一方通行なんだけど)
だんだんと告白しようという決意が揺らぎそうになる。クリスティーナは、弱気な心を必死に振り払った。
(片思いでもいいわ。思いを伝えるって決めたんだもの!)
気持ちを立て直して、ソフィアに向かって明るく言った。
「それじゃあアクセサリーでも見に行こうかしら。ソフィアがよく行くお店を紹介してくれる?」
「勿論です! 店主にも話を通しておきますわ」
二人でどんなアクセサリーが良いか話していると、部屋の扉が開いた。
「おや? ソフィアさんもいらしてたのですね。ご無沙汰しております」
「お久しぶりです、ヘンリー様。今日はクリスティーナ様にお話があって参りましたの」
「そうでしたか。もしかして、お邪魔をしてしまいましたか?」
「いいえ、もう終わりましたから。そうだ! お二人に言伝を預かっておりますの」
ソフィアが思い出したように両手をパンと叩いた。
「言伝? カーミラ様から?」
「そうです。今度研究所にいらしてくださいと。ハーブの件でお見せしたい物があるとのことです」
少し前に報告書を出したばかりだ。なにか発見があったのかもしれない。
「ありがとう。来週行くとお伝えしてくれる?」
「はい! では私はこれで。失礼しますね」
帰り際、ソフィアが「プレゼント探し、頑張ってくださいまし!」と小声で応援してくれた。
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