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フォース・ゲーム
救難信号に対処せよ
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「…救難信号に対処せよ…か…それだけ言われてもね…カリーナ…センサーは取り敢えず、ミドルとロング・レンジでのパッシブスイープをワン・レベルアップ…」
「…分かりました…」
「…コンピューター、本艦を中心に半径第5戦闘距離の範囲内を3D投影…」
【コンプリート】
「…さて…何処から聴こえて来るのかな…」
そのまま数分…まんじりともしない。
「…艦長…自動と観られる救難信号らしきものを感知しました…音声は合成で、ある種のC言語のようです…方位328マーク690…距離は第5戦闘距離の34倍と少しです…」
「…エマ、そのポイントに向けて追跡・コースを採り、発進してファースト・スピードへ…カリーナ…サーチ・トランスレーション・アルゴリズムで、その信号をメイン・コンピューターに類意翻訳させてみてくれ…」
「…了解…」
「…分かりました…」
…それから22分後…
「…目標が第1戦闘ラインの内側に入りました…」
「…エンジン停止して、逆噴射減速! パッシブ・フルスキャンの後でアクティブ・フルスキャンを掛けてくれ…ノーマル・チャンネル、回線を同期して接続…類意翻訳の精度を上げてくれ…」
「…了解…」
「…艦長…この信号は、デュオトロニック・アルゴリズムです…メイン・コンピューターのデュオトロニック・トランスレーション・マトリクスで類意翻訳させてみます…」
「…メイン・ビューワで映像を出してくれ…」
点灯したメイン・ビューワが映し出したのは、岩塊デプリが非常に濃密に集積して拡がる、足の踏み場も無い程の暗礁宙域だった。
「…どこだ? 」
「…信号が発信されているのは、中央部です…」
「…拡大してくれ…」
15倍程に拡大されたが、それでもよく判らない。
「…もっと接近する必要があるな……ブリッジより機関室…シャトル1機にレーザー・メスとレーザー削岩機を取り付けて、発艦用意…」
「…了解…」
「…艦長…生きている生体の反応を感知できません……遅かったようです…」
「…いや、カリーナ…生体反応を感知できない理由は他にも考えられる…今はもっと…近くに接近して観ることだ…」
「…はい…」
「…エマ、パイロットを選抜して派遣してくれ…」
「…私でも宜しいですか? 」
「…好いよ…だが向こうのシステムを壊さないよう、アプローチは注意深く頼む…」
「…了解…」
応えてエマ・ラトナーは、表情を引き締めて出て行った。
「…艦長…回線を同期接続した事で向こうが反応して、話し掛けて来ています……『…怪我をしている…助けて欲しい…何故か目が観えない…耳も聴こえない…身体の感覚も麻痺していて動かせない…』…」
続けてリーア・ミスタンテも報告した。
「…艦長…アクティブ・スキャンの結果ですが、強大なエネルギー・マトリクスを感知しました…ディフレクター・シールド…生体神経マトリクス…ニューロン・ジェルパックの反応もあります…」
「…どうやら…人間のような知的生命体が乗り組んでいるのではないようだ…だが、それに準ずる存在ではあるらしい…」
…それから15分後…
「…こちらシャトル・デッキ…レスキュー・シャトル、発艦準備完了…」
「…発艦を許可する…アプローチは注意深く頼む…」
「…了解…右舷から出ます…」
右舷の発艦ハッチが開いて、レスキュー・シャトルが虚空に滑り出した…そのまま微速0.4で接近していく。
「…ブリッジより医療部…ドクター・アーレン…聴こえますか? 」
「…聴こえますよ…何がありましたか? 」
「…すみませんが、ブリッジにおいで下さい…」
「…分かりました…直ぐに行きます…」
「…艦長…どうしてドクターをブリッジへ? 」
「…うん…これはかなり混み入った…対応には慎重を要する対象者だと思ったからだよ…エマ、聴こえるな? 発信源の対象に接近したら、私が直接ブリッジから質問する…もう直ぐドクターがブリッジに上がって来てくれるから…私も含めてカウンセラーと機関部長の4人で、発信源である対象者に対しての問診を行う…慎重にゆっくり接近してくれ…」
「…了解…」
それから2分で、ドクターがブリッジに入った。
「…お待たせしました…チャレンジ・ミッションですって? 」
「…そうなんですよ…」
「…内容は? 」
「…『救難信号に対処せよ』と…それだけでした…」
「…あの中に、救難信号の発信源が? 」
「…そうです…今、エマがレスキュー・シャトルで接近中です…」
「…それで? 何をするのかね? 」
「…まあ…観ていて下さい…」
「…こちら、レスキュー・シャトル…発信源に接近中…距離、47m…」
「…観えるか、エマ? 」
「…待って下さい…金属反応を検知……観えました! 転映します…」
画面が切り替わって、それが映し出される。
「…サイズはそんなに大きくないが…金属製の機械的な構造体だね…あのデプリに半分以上減り込んでいるようだ…」
「…何なんでしょう? 」
「…分からない……それじゃあ、始めよう……こんにちは……少し前から君の救難信号をキャッチして、回線を接続・同期して……君自身の状態の表現を聴いていた者だ……驚かないで聴いて欲しい……私達も知的な生命体で……空間内を進む航行体に乗って移動している……その移動中に君の救難信号をキャッチして、ゆっくりと接近している訳だ……私の名前は、アドル・エルク…アドルと呼んでくれ……君の名前と、何に所属しているのか…教えてくれないかな? 」
『…アドル…個別の表現が…かつてあったように感じてはいるが、今は表現できない…所属についても同様だ……どうやら私の記憶中枢に、不具合もしくは損傷があるらしい……また、私の感覚は今遮断されていて…身体をどのようにも動かせない……助けて欲しい…』
「…分かった…慎重に考えながら対処するよ……君はひとりなのか? 他に同様の、仲間はいるのか? 」
『…仲間…と呼べるような概念の存在が…かつて居たように、感覚としては感じているが…具体的には表現できない…記憶中枢の問題と、関連があるようだ…』
「…了解した…外から観える状態を以て君に説明する…君自身もまた、そのままで空間内を移動できる航行体のようだ…そしておそらく航行中に、岩塊デプリに衝突して…そのまま君の半分以上が岩塊に減り込んだ状態に観える…君を助けるには、君を傷付けないように岩塊から君自身を外さなければならない…今、その方法を調べながら検討している…もう暫く待って欲しい…」
『…承知した…』
そこまで話して、カリーナに右手で首を刎ねる動作をして観せる…彼女は回線の接続を外した。
「…艦長、どうするつもりですか? 」
リーア・ミスタンテ機関部長が近くにまで寄って訊く。
「…うん…先ず彼の本体を岩塊から安全に取り外す…その後、艦内に搬入して…」
「…反対です! 艦長、あれは生命体ではありません…機械です。それにまだ正体も判明していません…現状で艦内に搬入するのは、危険が大き過ぎます…」
リーア・ミスタンテの意見に、ドクターが反論した。
「…その意見は尤もだがね、機関部長…純然たる生命体ではないにしても、生体に準ずる構造と機能は内包している…ニューロン・ジェルパック…生体神経マトリクス…何者かの手に依るA I だが、思考能力が備えられている…その存在が、途方に暮れて助けを求めているんだ…道義に於いても助けるべきだし『救難信号に対処せよ』とのチャレンジ・ミッションでもある…救助して、治療するべきだろう…」
「…ではあれにA I である事と、機械的な構造体である事を教えて…艦内には搬入せずに静止させて、記憶中枢を修理しましょう…」
「…ダメだ! 彼は今、自分の存在認識に関する事柄を総て忘れている…いきなりストレートに伝えたりしたら、パニックを引き起こし兼ねないし…深刻なトラウマを残す可能性もある…」
「…トラウマですって? ドクター! あれは機械なんですよ! 」
「…彼に血の通う肉体は無くても、生体に準ずる神経マトリクスは持っているし…A I ではあっても、思考能力が備えられている…独自の心理プロセス・パターンもある…無碍にも、雑にも扱って良い存在ではない! 」
「…カウンセラーの意見は? 」
と、私はハンナ・ウェアーに顔を向けて訊いた。
「…『あれ』の存在に於ける論議は別にして…ショックやストレスを与えるような、性急なアプローチは避けるべきでしょう…」
「…よし、分かった…では、こうしよう…ブリッジから機関室…アンバー・リアム機関士、ナターシャ・ミアナ機関士…聴こえるか? 」
「…聴こえます…」
「…何でしょうか? 」
「…今から言う事は1時的な措置だ…機関室周辺に於ける構造維持フィールド・ジェネレーターの配列に手を加えて…機関室内にフィールド・パケットを構築できるように頼む…それが出来るまでに彼を岩塊から取り外して…牽引して艦内に戻り、パケット内で安置して治療に取り掛かる…好いかな? 」
「…諒承しました…」
「…分かりました…」
「…カリーナ、再接続…」
「…再接続、完了…」
「…アドルだ…待たせて申し訳ない…先ず君を安全に、傷付けずに岩塊から取り外す…その後…こちらの航行体の中に君を移し、安静にして貰いながら…君の治療に取り掛かる…それで好いかな? 」
『…委細は、諒承した…宜しく頼む…』
「…OK…その為に今、私の仲間が小型の乗り物で君に接近している…何も心配は要らない…安心して、落ち着いていて欲しい…大丈夫だ…必ず君を助ける…」
『…分かった…ありがとう…』
またカリーナに合図して回線を切らせる。
「…エマ…聴いての通りだ…レーザー削岩機とレーザー・メスを併用して…落ち着いて彼を傷付けずに、岩塊から取り外してくれ…その後は彼にアンカーを取り付けて、シャトル・デッキにまで曳航して、ゆっくり着艦だ…」
「…了解…慎重にアプローチします…」
「…頼む……パティ・シャノン観測室長…彼をアクティブ・フルスキャンした際に得られたデータを元に…出来る限りの広域で、同じ構造体か…構成素材の断片などが無いかどうか、探査してくれ…」
「…了解しました…」
「…副長は観測室へ…機関部長は分析室に行って立ち合ってくれ…ドクターは機関室で待機…私とカウンセラーはここで収容作業を見守り、収容されたら機関室に行く…」
「…了解…」
「…フィオナは保安部員4名と共にシャトル・デッキへ…患者をストレッチャーに乗せたら、機関室に搬送してくれ…」
「…了解しました…」
その後40分で、エマは慎重に彼を岩塊から取り外し…アンカーを取り付けてゆっくり曳航し、シャトル・デッキに着艦した。
「…分かりました…」
「…コンピューター、本艦を中心に半径第5戦闘距離の範囲内を3D投影…」
【コンプリート】
「…さて…何処から聴こえて来るのかな…」
そのまま数分…まんじりともしない。
「…艦長…自動と観られる救難信号らしきものを感知しました…音声は合成で、ある種のC言語のようです…方位328マーク690…距離は第5戦闘距離の34倍と少しです…」
「…エマ、そのポイントに向けて追跡・コースを採り、発進してファースト・スピードへ…カリーナ…サーチ・トランスレーション・アルゴリズムで、その信号をメイン・コンピューターに類意翻訳させてみてくれ…」
「…了解…」
「…分かりました…」
…それから22分後…
「…目標が第1戦闘ラインの内側に入りました…」
「…エンジン停止して、逆噴射減速! パッシブ・フルスキャンの後でアクティブ・フルスキャンを掛けてくれ…ノーマル・チャンネル、回線を同期して接続…類意翻訳の精度を上げてくれ…」
「…了解…」
「…艦長…この信号は、デュオトロニック・アルゴリズムです…メイン・コンピューターのデュオトロニック・トランスレーション・マトリクスで類意翻訳させてみます…」
「…メイン・ビューワで映像を出してくれ…」
点灯したメイン・ビューワが映し出したのは、岩塊デプリが非常に濃密に集積して拡がる、足の踏み場も無い程の暗礁宙域だった。
「…どこだ? 」
「…信号が発信されているのは、中央部です…」
「…拡大してくれ…」
15倍程に拡大されたが、それでもよく判らない。
「…もっと接近する必要があるな……ブリッジより機関室…シャトル1機にレーザー・メスとレーザー削岩機を取り付けて、発艦用意…」
「…了解…」
「…艦長…生きている生体の反応を感知できません……遅かったようです…」
「…いや、カリーナ…生体反応を感知できない理由は他にも考えられる…今はもっと…近くに接近して観ることだ…」
「…はい…」
「…エマ、パイロットを選抜して派遣してくれ…」
「…私でも宜しいですか? 」
「…好いよ…だが向こうのシステムを壊さないよう、アプローチは注意深く頼む…」
「…了解…」
応えてエマ・ラトナーは、表情を引き締めて出て行った。
「…艦長…回線を同期接続した事で向こうが反応して、話し掛けて来ています……『…怪我をしている…助けて欲しい…何故か目が観えない…耳も聴こえない…身体の感覚も麻痺していて動かせない…』…」
続けてリーア・ミスタンテも報告した。
「…艦長…アクティブ・スキャンの結果ですが、強大なエネルギー・マトリクスを感知しました…ディフレクター・シールド…生体神経マトリクス…ニューロン・ジェルパックの反応もあります…」
「…どうやら…人間のような知的生命体が乗り組んでいるのではないようだ…だが、それに準ずる存在ではあるらしい…」
…それから15分後…
「…こちらシャトル・デッキ…レスキュー・シャトル、発艦準備完了…」
「…発艦を許可する…アプローチは注意深く頼む…」
「…了解…右舷から出ます…」
右舷の発艦ハッチが開いて、レスキュー・シャトルが虚空に滑り出した…そのまま微速0.4で接近していく。
「…ブリッジより医療部…ドクター・アーレン…聴こえますか? 」
「…聴こえますよ…何がありましたか? 」
「…すみませんが、ブリッジにおいで下さい…」
「…分かりました…直ぐに行きます…」
「…艦長…どうしてドクターをブリッジへ? 」
「…うん…これはかなり混み入った…対応には慎重を要する対象者だと思ったからだよ…エマ、聴こえるな? 発信源の対象に接近したら、私が直接ブリッジから質問する…もう直ぐドクターがブリッジに上がって来てくれるから…私も含めてカウンセラーと機関部長の4人で、発信源である対象者に対しての問診を行う…慎重にゆっくり接近してくれ…」
「…了解…」
それから2分で、ドクターがブリッジに入った。
「…お待たせしました…チャレンジ・ミッションですって? 」
「…そうなんですよ…」
「…内容は? 」
「…『救難信号に対処せよ』と…それだけでした…」
「…あの中に、救難信号の発信源が? 」
「…そうです…今、エマがレスキュー・シャトルで接近中です…」
「…それで? 何をするのかね? 」
「…まあ…観ていて下さい…」
「…こちら、レスキュー・シャトル…発信源に接近中…距離、47m…」
「…観えるか、エマ? 」
「…待って下さい…金属反応を検知……観えました! 転映します…」
画面が切り替わって、それが映し出される。
「…サイズはそんなに大きくないが…金属製の機械的な構造体だね…あのデプリに半分以上減り込んでいるようだ…」
「…何なんでしょう? 」
「…分からない……それじゃあ、始めよう……こんにちは……少し前から君の救難信号をキャッチして、回線を接続・同期して……君自身の状態の表現を聴いていた者だ……驚かないで聴いて欲しい……私達も知的な生命体で……空間内を進む航行体に乗って移動している……その移動中に君の救難信号をキャッチして、ゆっくりと接近している訳だ……私の名前は、アドル・エルク…アドルと呼んでくれ……君の名前と、何に所属しているのか…教えてくれないかな? 」
『…アドル…個別の表現が…かつてあったように感じてはいるが、今は表現できない…所属についても同様だ……どうやら私の記憶中枢に、不具合もしくは損傷があるらしい……また、私の感覚は今遮断されていて…身体をどのようにも動かせない……助けて欲しい…』
「…分かった…慎重に考えながら対処するよ……君はひとりなのか? 他に同様の、仲間はいるのか? 」
『…仲間…と呼べるような概念の存在が…かつて居たように、感覚としては感じているが…具体的には表現できない…記憶中枢の問題と、関連があるようだ…』
「…了解した…外から観える状態を以て君に説明する…君自身もまた、そのままで空間内を移動できる航行体のようだ…そしておそらく航行中に、岩塊デプリに衝突して…そのまま君の半分以上が岩塊に減り込んだ状態に観える…君を助けるには、君を傷付けないように岩塊から君自身を外さなければならない…今、その方法を調べながら検討している…もう暫く待って欲しい…」
『…承知した…』
そこまで話して、カリーナに右手で首を刎ねる動作をして観せる…彼女は回線の接続を外した。
「…艦長、どうするつもりですか? 」
リーア・ミスタンテ機関部長が近くにまで寄って訊く。
「…うん…先ず彼の本体を岩塊から安全に取り外す…その後、艦内に搬入して…」
「…反対です! 艦長、あれは生命体ではありません…機械です。それにまだ正体も判明していません…現状で艦内に搬入するのは、危険が大き過ぎます…」
リーア・ミスタンテの意見に、ドクターが反論した。
「…その意見は尤もだがね、機関部長…純然たる生命体ではないにしても、生体に準ずる構造と機能は内包している…ニューロン・ジェルパック…生体神経マトリクス…何者かの手に依るA I だが、思考能力が備えられている…その存在が、途方に暮れて助けを求めているんだ…道義に於いても助けるべきだし『救難信号に対処せよ』とのチャレンジ・ミッションでもある…救助して、治療するべきだろう…」
「…ではあれにA I である事と、機械的な構造体である事を教えて…艦内には搬入せずに静止させて、記憶中枢を修理しましょう…」
「…ダメだ! 彼は今、自分の存在認識に関する事柄を総て忘れている…いきなりストレートに伝えたりしたら、パニックを引き起こし兼ねないし…深刻なトラウマを残す可能性もある…」
「…トラウマですって? ドクター! あれは機械なんですよ! 」
「…彼に血の通う肉体は無くても、生体に準ずる神経マトリクスは持っているし…A I ではあっても、思考能力が備えられている…独自の心理プロセス・パターンもある…無碍にも、雑にも扱って良い存在ではない! 」
「…カウンセラーの意見は? 」
と、私はハンナ・ウェアーに顔を向けて訊いた。
「…『あれ』の存在に於ける論議は別にして…ショックやストレスを与えるような、性急なアプローチは避けるべきでしょう…」
「…よし、分かった…では、こうしよう…ブリッジから機関室…アンバー・リアム機関士、ナターシャ・ミアナ機関士…聴こえるか? 」
「…聴こえます…」
「…何でしょうか? 」
「…今から言う事は1時的な措置だ…機関室周辺に於ける構造維持フィールド・ジェネレーターの配列に手を加えて…機関室内にフィールド・パケットを構築できるように頼む…それが出来るまでに彼を岩塊から取り外して…牽引して艦内に戻り、パケット内で安置して治療に取り掛かる…好いかな? 」
「…諒承しました…」
「…分かりました…」
「…カリーナ、再接続…」
「…再接続、完了…」
「…アドルだ…待たせて申し訳ない…先ず君を安全に、傷付けずに岩塊から取り外す…その後…こちらの航行体の中に君を移し、安静にして貰いながら…君の治療に取り掛かる…それで好いかな? 」
『…委細は、諒承した…宜しく頼む…』
「…OK…その為に今、私の仲間が小型の乗り物で君に接近している…何も心配は要らない…安心して、落ち着いていて欲しい…大丈夫だ…必ず君を助ける…」
『…分かった…ありがとう…』
またカリーナに合図して回線を切らせる。
「…エマ…聴いての通りだ…レーザー削岩機とレーザー・メスを併用して…落ち着いて彼を傷付けずに、岩塊から取り外してくれ…その後は彼にアンカーを取り付けて、シャトル・デッキにまで曳航して、ゆっくり着艦だ…」
「…了解…慎重にアプローチします…」
「…頼む……パティ・シャノン観測室長…彼をアクティブ・フルスキャンした際に得られたデータを元に…出来る限りの広域で、同じ構造体か…構成素材の断片などが無いかどうか、探査してくれ…」
「…了解しました…」
「…副長は観測室へ…機関部長は分析室に行って立ち合ってくれ…ドクターは機関室で待機…私とカウンセラーはここで収容作業を見守り、収容されたら機関室に行く…」
「…了解…」
「…フィオナは保安部員4名と共にシャトル・デッキへ…患者をストレッチャーに乗せたら、機関室に搬送してくれ…」
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