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ファースト・シーズン
『フィニアス・ファーヴ』…2…
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アシュリー・アードランド主任がドアをノックして再び姿を観せたのは、それから25分後だった。
「……お待たせ致しました……会議の用意が整いましたので、会議室にご案内致します……どうぞ、こちらへ……」
3人で彼女の後に続く……案内された会議室は、7人掛けの楕円テーブルがひとつ中央に置かれただけの狭いものだったが、かなり高機能に観えた。
「……どうぞ…ご自由にお掛け下さい……会議を始める前に、初めての参加者もおられますので勝手ながらご紹介致します……先ず私ですが…弊社『フィニアス・ファーヴ』で広告営業プレゼンス主任を務めております、アシュリー・アードランドです…宜しくお願い致します……続きまして弊社新製品宣伝課長のメッカード・ソーントン……更に続きまして新製品広告課長のエミール・ハーシュです……どうぞ、宜しくお願い致します……そして『クライトン国際商事会社』からご来社頂いた皆さんですが…ゲイリー・シモンズ係長の代理としまして、アドル・エルク係長が初めてご来社されました……どうぞ、宜しくお願い致します……最後に…こちらの女性ですが……今回、制作される宣伝動画に於ける主役としての出演をこちらから要請しまして、受諾して頂きました女優のローズ・クラークさんです……」
アシュリーさんが座ると、紹介されたローズ・クラークさんが立ち上がる。
「……ご紹介に与りましたローズ・クラークです……精一杯務めさせて頂きますので、どうぞ宜しくお願いします……」
お辞儀をして座る一瞬で俺を観た……ちょっと…観察するような視線だった……座ってから彼女の顔を観たが、もう正面を向いていた……彼女の名前に聞き憶えがあるような気がしたが…思い出せない。
イスマイル・ガスパールが立ち上がる。
「……ご丁寧なご挨拶とご紹介をありがとうございました……それではこちらから、最終のプレゼンテーションを始めさせて頂きます……メイン・ディスプレイと皆さんの前のモニターでも表示致しますので、ご覧下さい……」
プレゼン資料の表紙が映し出されて、イスマイルが説明しながら手許の操作でスライドさせていく形態だ。
「……ご存じのように、本商品…『汎用完全自動翻訳表示装置』…『general-purpose all language full automatic translation utility display』(ゼネラル・プアポーズ・オール・ラングエイジ・フル・オートマティック・トランスレーション・ユーティリティ・ディスプレイ)…略しまして『gpalfatud』(グパルファッツ)とこれよりは呼称しますが…このシリーズは弊社と業務提携条項を締結しております『グローバル・エレクトロニック』社にて開発・販売が開始されました製品であります……今回はこの製品シリーズの第5弾…『gpalfatud sect5』(グパルファッツ・セクト5)のニュー・リリースに当りまして、本品の広告・宣伝に於ける全業務を御社と提携条項を締結した上で広域及び、全面的に展開して参りたいとの所存で参りました……忌憚の無い意見の交換と交流の末に、より善い結果を得まして両社の関係を良好に構築して行ければと思います……どうぞ、宜しくお願いします……」
手元の操作で表示画像をスライドさせながら…その後は3人で分担してプレゼンを進め…終えた。
その後『フィニアス・ファーヴ』側から出された8件の質問に応答して、業務提携条項についての交渉に入る……休憩も挿みながら3時間の交渉で両社とも、持ち帰って社内で協議できるレベルの草案には合意した……今回のコマーシャル・タレントとして、ローズ・クラーク女史を採用する事については早くから合意していた。
「……長時間の交渉協議にお付き合いを頂きまして、ありがとうございました……一度社内に持ち帰りまして、再協議致します……業務提携条項締結と言う…大いなる到達に向けての…確かな道のりを感じておりますので……改めて今後とも、宜しくお願い致します……」
イスマイルの挨拶を受けてアシュリー主任が立ち上がる。
「……こちらこそ…遠路も厭わずにご来社下さり…長時間の協議にもお付き合いを頂きまして…本当に有り難うございました……弊社に於きましても再度……協議に掛けさせて頂きます……そして、両社に於いて条項案の摺り合わせ協議を行い……必ず統一した業務提携条項として、締結させましょう……弊社としても全力を挙げさせて頂きます……こちらこそ、ありがとうございました……」
あまり発言機会の無かったローズ・クラーク女史も立ち上がる。
「……皆さん、お疲れ様でした……私にとっては貴重な宣伝動画制作協議の場に呼んで頂きまして、ありがとうございました……抜擢されましたキャストとして…どのような演出で出演を要請されましても、精一杯務めさせて頂きたいと思います……実際の動画撮影には、まだ少し間があると思いますので…自分なりに準備をして、お待ちしています……改めまして、宜しくお願い致します……」
「……ありがとうございました、ローズ・クラークさん……ご来社下さいました皆さんもお疲れ様でした……如何でしょう? 最早夕刻でございますので、ラウンジにて軽くお持て成しさせて頂きます……どうぞ、こちらへ……改めてお疲れ様でした……」
メッカード・ソーントン新製品宣伝課長に促されて、私達も立ち上がった。
10分後に、俺達3人とアシュリー主任とローズ女史は…ラウンジで同じテーブルを囲んでいた。
「……美味しいコーヒーですね……ウチのコーヒーも美味しいですけど、退けは取りませんよ……」
「……ありがとうございます……厨房のスタッフも喜びます……ケーキもどうぞ、召し上がって下さい……」
美味しいケーキとお茶を頂きながら、歓談は進む。
「……あの……唐突な質問で申し訳ありませんが、アドル・エルクさん……ハイ・ティーンの頃『ランシェス・シティ』にお住まいではありませんでしたか? 」
ローズ・クラークさんが、俺に向き直ってそう訊いた。
「……ええ…住んでいました……私の実家がありますので……それが何か? 」
「……私も『ランシェス・シティ』に住んでいました……その当時……週に2回程度でしたが…ロウ・スクール5年生の女の子の勉強を観てあげていませんでしたか? 」
「……え? あ…あの……まさか……? 」
「……そうです……私です……ローズです……」
「…えっ、……ローズ……ちゃん? ……あの……顔にソバカスを散らしてよく跳びはねていた……? 」
「…恥ずかしいですよ💦アドルさん💦……もう大人ですから……」
「…あ、…ああ……ごめんなさい……そうだよね……女優さんだものね……」
彼女を除く全員が目を見張っている。
「……お知り合いなんですか? 」
イスマイル・ガスパールが訊く。
「……ええ……私が大学に入学する前の……9ヶ月間くらいでしたか……週に2回程…勉強を観てあげていました……私と彼女の実家が歩いて20分くらいの距離で……母親同士が幼馴染だった事もあって、家族ぐるみでのお付き合いでした……11年振り…ですね……」
「……すごいですね……ひょんな処で、感動的な再会のお手伝いをさせて頂きました……ここはもう、再会を祝して軽く乾杯と参りましょう……用意致しますので、お待ち下さい……」
アシュリー女史がそう言って席を立ち…ライトビアをボトルで人数分、カウンターから厨房のスタッフに頼んで戻った……程無くして栓を抜いたライトビア・ボトルが配される……全員が手にして立ち上がった。
「……再会を祝して……」
「…乾杯! 」
アシュリー女史の音頭でボトルを触れ合わせた。
「……しかし……どうして11年も会わなかったんですか? 」
アグシン・メーディエフだ。
「……入学と入寮が同時だったもので……バタバタしていて連絡しそびれました……母親が連絡しただろうと思ってもいましたし……」
「…はい…勿論、お母様からご連絡は頂きました……でも…かなり遠方の大学でしたし、私もまだ子供だったので会いには行けませんでした……」
「……それにしても、綺麗になったね……ああ、こんな事しか言えなくてごめんなさい……でも、言われなきゃ絶対に分からなかったよ……」
「……おっ、アドル係長もいよいよロマンスに発展かな? 独身だし……彼女はいるの? 」
アグシンだ……ちょっと踏み込み過ぎだな……適当にあしらって話題を変えるか話を締めよう。
「……ええ、まあ……そこら辺はご想像に任せますよ……アードランド主任……御社の広告やCMに於いて、よくローズ・クラークさんを起用されているのですか? 」
「……アシュリーと呼んで下さい…アドルさん……ええ…彼女とは2年前からのお付き合いでして…これまでに4回、ご協力を頂いております……非常に知的感性の高い…聡明な女優さんですね……」
「……本商品のCMキャラクターとして、ローズ・クラークさんは非常に適性が高いと思いますし…個人的にも高い好感度で受け止めさせて頂いております……直ぐにも幾つかのコマーシャル・ストーリーが……それらに伴う演出案も共に…創案として提出できるでしょう……私としても、楽しみです……」
アグシン・メーディエフが絶賛する。
「……アシュリー主任…それでは……今日の検討会議の成功と交渉の前進を祝しまして…最後に乾杯しましょう……名残惜しいのですが、もうそろそろお暇を頂かないと…会社に帰着するのが18:00を回ってしまいますので……」
「……分かりました、イスマイルさん…配慮が足りずに申し訳ありませんでした……それでは皆さん…改めて乾杯させて頂き…会議の成功と交渉の前進を祝しまして終了し、散会とさせて頂きます……アドルさん……シモンズさんに宜しくお伝え下さい……それでは…乾杯! 」
「…乾杯! 」
立ち上がってボトルを掲げ、唱和の上でボトルを触れ合わせて飲み干した……全員で握手を交わし合い、俺はメディア・カードをアシュリー主任とローズ女史に渡し、2人からもカードを受け取った……お土産のショート・ケーキを厨房のスタッフから頂き、手を振り交わして正面玄関から外に出る……運転手さんが、既に車をエントランスに回してくれている。
「…このお土産、どうします? 」
そう訊きながら乗り込む。
「……取り敢えず、それぞれのフロアで冷蔵庫に保管して明日…女史達で分けて貰えば良いよ……」
イスマイル・ガスパールは端的だが、過不足なく言う……車は発車して本社への帰路に就き……17:48に滑り込んだ……フロアではチーフが1人で雑務していたので、帰着と経過報告を端的に行い……ケーキを箱ごと冷蔵庫に入れて…そのまま1階に降りると、自分の車に乗り込んで出た。
「……お待たせ致しました……会議の用意が整いましたので、会議室にご案内致します……どうぞ、こちらへ……」
3人で彼女の後に続く……案内された会議室は、7人掛けの楕円テーブルがひとつ中央に置かれただけの狭いものだったが、かなり高機能に観えた。
「……どうぞ…ご自由にお掛け下さい……会議を始める前に、初めての参加者もおられますので勝手ながらご紹介致します……先ず私ですが…弊社『フィニアス・ファーヴ』で広告営業プレゼンス主任を務めております、アシュリー・アードランドです…宜しくお願い致します……続きまして弊社新製品宣伝課長のメッカード・ソーントン……更に続きまして新製品広告課長のエミール・ハーシュです……どうぞ、宜しくお願い致します……そして『クライトン国際商事会社』からご来社頂いた皆さんですが…ゲイリー・シモンズ係長の代理としまして、アドル・エルク係長が初めてご来社されました……どうぞ、宜しくお願い致します……最後に…こちらの女性ですが……今回、制作される宣伝動画に於ける主役としての出演をこちらから要請しまして、受諾して頂きました女優のローズ・クラークさんです……」
アシュリーさんが座ると、紹介されたローズ・クラークさんが立ち上がる。
「……ご紹介に与りましたローズ・クラークです……精一杯務めさせて頂きますので、どうぞ宜しくお願いします……」
お辞儀をして座る一瞬で俺を観た……ちょっと…観察するような視線だった……座ってから彼女の顔を観たが、もう正面を向いていた……彼女の名前に聞き憶えがあるような気がしたが…思い出せない。
イスマイル・ガスパールが立ち上がる。
「……ご丁寧なご挨拶とご紹介をありがとうございました……それではこちらから、最終のプレゼンテーションを始めさせて頂きます……メイン・ディスプレイと皆さんの前のモニターでも表示致しますので、ご覧下さい……」
プレゼン資料の表紙が映し出されて、イスマイルが説明しながら手許の操作でスライドさせていく形態だ。
「……ご存じのように、本商品…『汎用完全自動翻訳表示装置』…『general-purpose all language full automatic translation utility display』(ゼネラル・プアポーズ・オール・ラングエイジ・フル・オートマティック・トランスレーション・ユーティリティ・ディスプレイ)…略しまして『gpalfatud』(グパルファッツ)とこれよりは呼称しますが…このシリーズは弊社と業務提携条項を締結しております『グローバル・エレクトロニック』社にて開発・販売が開始されました製品であります……今回はこの製品シリーズの第5弾…『gpalfatud sect5』(グパルファッツ・セクト5)のニュー・リリースに当りまして、本品の広告・宣伝に於ける全業務を御社と提携条項を締結した上で広域及び、全面的に展開して参りたいとの所存で参りました……忌憚の無い意見の交換と交流の末に、より善い結果を得まして両社の関係を良好に構築して行ければと思います……どうぞ、宜しくお願いします……」
手元の操作で表示画像をスライドさせながら…その後は3人で分担してプレゼンを進め…終えた。
その後『フィニアス・ファーヴ』側から出された8件の質問に応答して、業務提携条項についての交渉に入る……休憩も挿みながら3時間の交渉で両社とも、持ち帰って社内で協議できるレベルの草案には合意した……今回のコマーシャル・タレントとして、ローズ・クラーク女史を採用する事については早くから合意していた。
「……長時間の交渉協議にお付き合いを頂きまして、ありがとうございました……一度社内に持ち帰りまして、再協議致します……業務提携条項締結と言う…大いなる到達に向けての…確かな道のりを感じておりますので……改めて今後とも、宜しくお願い致します……」
イスマイルの挨拶を受けてアシュリー主任が立ち上がる。
「……こちらこそ…遠路も厭わずにご来社下さり…長時間の協議にもお付き合いを頂きまして…本当に有り難うございました……弊社に於きましても再度……協議に掛けさせて頂きます……そして、両社に於いて条項案の摺り合わせ協議を行い……必ず統一した業務提携条項として、締結させましょう……弊社としても全力を挙げさせて頂きます……こちらこそ、ありがとうございました……」
あまり発言機会の無かったローズ・クラーク女史も立ち上がる。
「……皆さん、お疲れ様でした……私にとっては貴重な宣伝動画制作協議の場に呼んで頂きまして、ありがとうございました……抜擢されましたキャストとして…どのような演出で出演を要請されましても、精一杯務めさせて頂きたいと思います……実際の動画撮影には、まだ少し間があると思いますので…自分なりに準備をして、お待ちしています……改めまして、宜しくお願い致します……」
「……ありがとうございました、ローズ・クラークさん……ご来社下さいました皆さんもお疲れ様でした……如何でしょう? 最早夕刻でございますので、ラウンジにて軽くお持て成しさせて頂きます……どうぞ、こちらへ……改めてお疲れ様でした……」
メッカード・ソーントン新製品宣伝課長に促されて、私達も立ち上がった。
10分後に、俺達3人とアシュリー主任とローズ女史は…ラウンジで同じテーブルを囲んでいた。
「……美味しいコーヒーですね……ウチのコーヒーも美味しいですけど、退けは取りませんよ……」
「……ありがとうございます……厨房のスタッフも喜びます……ケーキもどうぞ、召し上がって下さい……」
美味しいケーキとお茶を頂きながら、歓談は進む。
「……あの……唐突な質問で申し訳ありませんが、アドル・エルクさん……ハイ・ティーンの頃『ランシェス・シティ』にお住まいではありませんでしたか? 」
ローズ・クラークさんが、俺に向き直ってそう訊いた。
「……ええ…住んでいました……私の実家がありますので……それが何か? 」
「……私も『ランシェス・シティ』に住んでいました……その当時……週に2回程度でしたが…ロウ・スクール5年生の女の子の勉強を観てあげていませんでしたか? 」
「……え? あ…あの……まさか……? 」
「……そうです……私です……ローズです……」
「…えっ、……ローズ……ちゃん? ……あの……顔にソバカスを散らしてよく跳びはねていた……? 」
「…恥ずかしいですよ💦アドルさん💦……もう大人ですから……」
「…あ、…ああ……ごめんなさい……そうだよね……女優さんだものね……」
彼女を除く全員が目を見張っている。
「……お知り合いなんですか? 」
イスマイル・ガスパールが訊く。
「……ええ……私が大学に入学する前の……9ヶ月間くらいでしたか……週に2回程…勉強を観てあげていました……私と彼女の実家が歩いて20分くらいの距離で……母親同士が幼馴染だった事もあって、家族ぐるみでのお付き合いでした……11年振り…ですね……」
「……すごいですね……ひょんな処で、感動的な再会のお手伝いをさせて頂きました……ここはもう、再会を祝して軽く乾杯と参りましょう……用意致しますので、お待ち下さい……」
アシュリー女史がそう言って席を立ち…ライトビアをボトルで人数分、カウンターから厨房のスタッフに頼んで戻った……程無くして栓を抜いたライトビア・ボトルが配される……全員が手にして立ち上がった。
「……再会を祝して……」
「…乾杯! 」
アシュリー女史の音頭でボトルを触れ合わせた。
「……しかし……どうして11年も会わなかったんですか? 」
アグシン・メーディエフだ。
「……入学と入寮が同時だったもので……バタバタしていて連絡しそびれました……母親が連絡しただろうと思ってもいましたし……」
「…はい…勿論、お母様からご連絡は頂きました……でも…かなり遠方の大学でしたし、私もまだ子供だったので会いには行けませんでした……」
「……それにしても、綺麗になったね……ああ、こんな事しか言えなくてごめんなさい……でも、言われなきゃ絶対に分からなかったよ……」
「……おっ、アドル係長もいよいよロマンスに発展かな? 独身だし……彼女はいるの? 」
アグシンだ……ちょっと踏み込み過ぎだな……適当にあしらって話題を変えるか話を締めよう。
「……ええ、まあ……そこら辺はご想像に任せますよ……アードランド主任……御社の広告やCMに於いて、よくローズ・クラークさんを起用されているのですか? 」
「……アシュリーと呼んで下さい…アドルさん……ええ…彼女とは2年前からのお付き合いでして…これまでに4回、ご協力を頂いております……非常に知的感性の高い…聡明な女優さんですね……」
「……本商品のCMキャラクターとして、ローズ・クラークさんは非常に適性が高いと思いますし…個人的にも高い好感度で受け止めさせて頂いております……直ぐにも幾つかのコマーシャル・ストーリーが……それらに伴う演出案も共に…創案として提出できるでしょう……私としても、楽しみです……」
アグシン・メーディエフが絶賛する。
「……アシュリー主任…それでは……今日の検討会議の成功と交渉の前進を祝しまして…最後に乾杯しましょう……名残惜しいのですが、もうそろそろお暇を頂かないと…会社に帰着するのが18:00を回ってしまいますので……」
「……分かりました、イスマイルさん…配慮が足りずに申し訳ありませんでした……それでは皆さん…改めて乾杯させて頂き…会議の成功と交渉の前進を祝しまして終了し、散会とさせて頂きます……アドルさん……シモンズさんに宜しくお伝え下さい……それでは…乾杯! 」
「…乾杯! 」
立ち上がってボトルを掲げ、唱和の上でボトルを触れ合わせて飲み干した……全員で握手を交わし合い、俺はメディア・カードをアシュリー主任とローズ女史に渡し、2人からもカードを受け取った……お土産のショート・ケーキを厨房のスタッフから頂き、手を振り交わして正面玄関から外に出る……運転手さんが、既に車をエントランスに回してくれている。
「…このお土産、どうします? 」
そう訊きながら乗り込む。
「……取り敢えず、それぞれのフロアで冷蔵庫に保管して明日…女史達で分けて貰えば良いよ……」
イスマイル・ガスパールは端的だが、過不足なく言う……車は発車して本社への帰路に就き……17:48に滑り込んだ……フロアではチーフが1人で雑務していたので、帰着と経過報告を端的に行い……ケーキを箱ごと冷蔵庫に入れて…そのまま1階に降りると、自分の車に乗り込んで出た。
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