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ファースト・シーズン
迎撃戦4:1
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「コースこのまま、速度最大で発進!! 第1戦闘ラインで攻撃開始! 敵艦はどうだ? 」
「4隻とも反転して、シールドアップ。それぞれ別の方位へ離脱コースを採る模様です。4隻総てを撃つのは、難しそうです」
「エドナ、先ず1番狙い易い艦に初撃を加えて脚を止める。どれだ? 」
「…C、ですね…」
「よし、指向し得る総ての兵装は『C』に照準! シールドを突破する迄、ヴァリアントは炸裂弾を使う! 敵艦『C』に対し、インターセプト・コースで最大戦速! 砲雷撃戦、用意! 」
弾かれたように跳び出す『ディファイアント』。カウンター・ショットを喰らった4隻は、それぞれ別方位に針路を採って離脱しようとしている。徹甲弾をハイパー・ヴァリアントで撃ち込まれたのだが一発だけだったので、それ程のダメージにはなっていないようだ。
「カリーナ、データリンクを妨害する信号を最大出力で発信してくれ。4隻に連携操艦をさせたくない」
「了解」
「エマ、『C』に追い付けそうか? 」
「大丈夫です。最大出力でも加速率でも、こちらが上ですから」
「カリーナ、アクティブ・スキャンで4隻の状態を観てくれ」
「了解…4隻とも損傷率は17%に達しません…エンジンとシールド・ジェネレーターに不調が観られますが、徐々に回復中…シールド・パワーも平均93%からゆっくり回復中」
「ふん…そうか…方針を変更する。エンジンの臨界パワーはそのままで、噴射出力を30%へ。妨害信号は停止。面舵40°に切ってくれ」
「艦長、やらないんですか? 」
と、エドナ・ラティスが私の顔を観て、少々不満気に訊く。
「今、あの4隻は逃げ腰だ。戦う気が無い。そう言う相手を追い掛け回して叩いても、時間が掛かるばかりで効果は薄いし、時間を掛け過ぎていたら他の敵を呼び込むだけだ。それにこんな弱い者いじめのようなやり口は、俺の性に合わない…それと、こっちが腑抜けたように観せれば、また図に乗って突っ掛かって来るかも知れないからな…」
「…分かりました…」
「エマ、暫くゆったりと飛んでくれ。4隻の内1隻でもエンジンを停止したら、こちらもエンジン停止だ」
「了解」
「さて、どう出るかな? 」
「4隻とも、それぞれの離脱コースを航走中。ほぼ全速に達しています。シールドもほぼフルパワーに回復。20秒で第3戦闘距離を越えます。どうやら逃げの一手で逃走離脱するつもりのようです」
「4隻が交信した形跡は? 」
「ありません。何も傍受していません」
「ふん。カウンター・ショットが効き過ぎたか…損傷率じゃ大した事は無いが、どうやら完全にビビらせちまったようだな。それにしても4対1なのに意気地がない…ちょっと打ち合わせして反転包囲態勢を敷けば、こっちだってかなり厳しい局面に入っただろう…」
「いいえ、アドル艦長なら余裕で突破されるでしょう」
と、参謀補佐のエレーナ・キーンが追従する。
「まっ、それもそうだけどな(ドヤ顔)カリーナ、4隻に変わりは無いな? 」
「ありません。全速で逃走中」
「エマ、エンジン停止してアポジモーターで面舵10°。以降30分は様子を観る。カリーナ、センサーは長距離レンジでのパッシブ・スイープに暫くは注意していてくれ。あと、今の小競り合いの結果が戦果として認められるかどうか、運営推進本部に訊いてくれ。副長、30分経過して異常が無ければエンジン始動。噴射出力30%だ。私は1度自室で一服してから控室に入るから、ブリッジを頼む。エンジン始動して30分が経過しても異常が無ければ、夕食休憩時間まで半舷休息だ。スケジュールの設定は君とハルとハンナに任せる。アリシア、ようやく補給したミサイルを使わなくて好かったな。全艦は通常配置に復帰してくれ」
私はそう言いながら立ち上がり、副長に左手でキャプテン・シートを指し示すとブリッジから出て行った。
自室に入るとディスペンサーにコーヒーを出させる。飲みながら少し荷解きをして、コーヒー・キットと紅茶のキットを取り出し、取り敢えずの場所に置く。レイアウトはまた後でチェンジするだろう。デスクに着いて灰皿を引寄せ、コンピューターにエア・コンディショニングを命じて煙草に火を点ける。モルトへの誘惑に駆られたが、流石にそれは抑えた。このまま何事も無ければ、夕食の後で時間的には短いが単艦での訓練に入れるだろう。ファースト・ミッションはクリアしたからな。もういきなり襲われるような事は無いだろう。訓練の指揮は副長に任せれば好い。
コーヒーを飲み終わり、一本を喫い終る。灰皿で揉み消して立ち上がり、よく顔を洗って身嗜みを整えてから自室を出た。
ブリッジに上がると、キャプテン・シートに座っていたシエナが私の顔を観ながら立ち上がったのだが、私は右手を挙げてそのままでと制しながら声を掛ける。
「副長、無事に夕食休憩時間が終ったら、時間的には短いが君が指揮を執って単艦での訓練プログラムに入ってくれ。トレーニング・カテゴリーにアップしている最終版のトレーニング・プランに従って遂行してくれれば好い。一々突っ込む必要は無いから、時間短縮だけ心掛けるようにしてくれ。好いかな? 」
「分かりました。訓練の指揮を執ります」
「何か違和感があったら、その場で中断して確認してくれ。その後は任意のタイミングで再開してくれて好いから」
「了解しました」
「一応長距離センサーには注意しつつ進めてくれ。何もヒットしないだろうと思うけどな」
「分かりました」
「じゃあ、頼む。カリーナ、どうだった? 」
「はい、あの後運営推進本部から本艦に宛てて個別の通達が来ました。評定は賞金で400万、戦果の判定は軽巡宙艦1隻を大破というもので、付与される経験値は50%、と言う事です」
「そうか…ふん…ちょっとシブいな。4隻の損傷率を合わせて60%なら、1隻を撃沈と言う事でも良いと思うがね。分かった。メイン・スタッフは全員、艦長控室に集合だ。協議する」
そう言い置いて、艦長控室に入る。
「4隻とも反転して、シールドアップ。それぞれ別の方位へ離脱コースを採る模様です。4隻総てを撃つのは、難しそうです」
「エドナ、先ず1番狙い易い艦に初撃を加えて脚を止める。どれだ? 」
「…C、ですね…」
「よし、指向し得る総ての兵装は『C』に照準! シールドを突破する迄、ヴァリアントは炸裂弾を使う! 敵艦『C』に対し、インターセプト・コースで最大戦速! 砲雷撃戦、用意! 」
弾かれたように跳び出す『ディファイアント』。カウンター・ショットを喰らった4隻は、それぞれ別方位に針路を採って離脱しようとしている。徹甲弾をハイパー・ヴァリアントで撃ち込まれたのだが一発だけだったので、それ程のダメージにはなっていないようだ。
「カリーナ、データリンクを妨害する信号を最大出力で発信してくれ。4隻に連携操艦をさせたくない」
「了解」
「エマ、『C』に追い付けそうか? 」
「大丈夫です。最大出力でも加速率でも、こちらが上ですから」
「カリーナ、アクティブ・スキャンで4隻の状態を観てくれ」
「了解…4隻とも損傷率は17%に達しません…エンジンとシールド・ジェネレーターに不調が観られますが、徐々に回復中…シールド・パワーも平均93%からゆっくり回復中」
「ふん…そうか…方針を変更する。エンジンの臨界パワーはそのままで、噴射出力を30%へ。妨害信号は停止。面舵40°に切ってくれ」
「艦長、やらないんですか? 」
と、エドナ・ラティスが私の顔を観て、少々不満気に訊く。
「今、あの4隻は逃げ腰だ。戦う気が無い。そう言う相手を追い掛け回して叩いても、時間が掛かるばかりで効果は薄いし、時間を掛け過ぎていたら他の敵を呼び込むだけだ。それにこんな弱い者いじめのようなやり口は、俺の性に合わない…それと、こっちが腑抜けたように観せれば、また図に乗って突っ掛かって来るかも知れないからな…」
「…分かりました…」
「エマ、暫くゆったりと飛んでくれ。4隻の内1隻でもエンジンを停止したら、こちらもエンジン停止だ」
「了解」
「さて、どう出るかな? 」
「4隻とも、それぞれの離脱コースを航走中。ほぼ全速に達しています。シールドもほぼフルパワーに回復。20秒で第3戦闘距離を越えます。どうやら逃げの一手で逃走離脱するつもりのようです」
「4隻が交信した形跡は? 」
「ありません。何も傍受していません」
「ふん。カウンター・ショットが効き過ぎたか…損傷率じゃ大した事は無いが、どうやら完全にビビらせちまったようだな。それにしても4対1なのに意気地がない…ちょっと打ち合わせして反転包囲態勢を敷けば、こっちだってかなり厳しい局面に入っただろう…」
「いいえ、アドル艦長なら余裕で突破されるでしょう」
と、参謀補佐のエレーナ・キーンが追従する。
「まっ、それもそうだけどな(ドヤ顔)カリーナ、4隻に変わりは無いな? 」
「ありません。全速で逃走中」
「エマ、エンジン停止してアポジモーターで面舵10°。以降30分は様子を観る。カリーナ、センサーは長距離レンジでのパッシブ・スイープに暫くは注意していてくれ。あと、今の小競り合いの結果が戦果として認められるかどうか、運営推進本部に訊いてくれ。副長、30分経過して異常が無ければエンジン始動。噴射出力30%だ。私は1度自室で一服してから控室に入るから、ブリッジを頼む。エンジン始動して30分が経過しても異常が無ければ、夕食休憩時間まで半舷休息だ。スケジュールの設定は君とハルとハンナに任せる。アリシア、ようやく補給したミサイルを使わなくて好かったな。全艦は通常配置に復帰してくれ」
私はそう言いながら立ち上がり、副長に左手でキャプテン・シートを指し示すとブリッジから出て行った。
自室に入るとディスペンサーにコーヒーを出させる。飲みながら少し荷解きをして、コーヒー・キットと紅茶のキットを取り出し、取り敢えずの場所に置く。レイアウトはまた後でチェンジするだろう。デスクに着いて灰皿を引寄せ、コンピューターにエア・コンディショニングを命じて煙草に火を点ける。モルトへの誘惑に駆られたが、流石にそれは抑えた。このまま何事も無ければ、夕食の後で時間的には短いが単艦での訓練に入れるだろう。ファースト・ミッションはクリアしたからな。もういきなり襲われるような事は無いだろう。訓練の指揮は副長に任せれば好い。
コーヒーを飲み終わり、一本を喫い終る。灰皿で揉み消して立ち上がり、よく顔を洗って身嗜みを整えてから自室を出た。
ブリッジに上がると、キャプテン・シートに座っていたシエナが私の顔を観ながら立ち上がったのだが、私は右手を挙げてそのままでと制しながら声を掛ける。
「副長、無事に夕食休憩時間が終ったら、時間的には短いが君が指揮を執って単艦での訓練プログラムに入ってくれ。トレーニング・カテゴリーにアップしている最終版のトレーニング・プランに従って遂行してくれれば好い。一々突っ込む必要は無いから、時間短縮だけ心掛けるようにしてくれ。好いかな? 」
「分かりました。訓練の指揮を執ります」
「何か違和感があったら、その場で中断して確認してくれ。その後は任意のタイミングで再開してくれて好いから」
「了解しました」
「一応長距離センサーには注意しつつ進めてくれ。何もヒットしないだろうと思うけどな」
「分かりました」
「じゃあ、頼む。カリーナ、どうだった? 」
「はい、あの後運営推進本部から本艦に宛てて個別の通達が来ました。評定は賞金で400万、戦果の判定は軽巡宙艦1隻を大破というもので、付与される経験値は50%、と言う事です」
「そうか…ふん…ちょっとシブいな。4隻の損傷率を合わせて60%なら、1隻を撃沈と言う事でも良いと思うがね。分かった。メイン・スタッフは全員、艦長控室に集合だ。協議する」
そう言い置いて、艦長控室に入る。
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