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セカンド・ゲーム
…2次集結ポイントまで…2…
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ブリッジに戻り、シエナに代わってキャプテン・シートに座り着く。
「……じゃあ…欺瞞交信と敵集団間での交信内容について、報告してくれ……」
シエナ・ミュラーとハンナ・ウェアーが、私の左前に立つ。
「……はい……欺瞞交信では、航走中の長距離デコイ27基のコースとパワー・サインの発信状況に基付き、仮想の集結ポイントを設定しました……仮想ポイントに対してのインターセプトコースを採り……それぞれが個別設定のルートで集結するよう……各艦の副長同士で、48分間の通常平文交信を行いました……」
「……演技の評価は? 騙せたようかな? 」
「……演技は誇張的に受け取られないよう留意したつもりですので……怪しまれはしないと思います……」
「……一通りの欺瞞交信が終わりまして、敵集団間での交信を傍受していましたが……こちらの長距離デコイに対して、インターセプト・コースを採って追跡せよとの指令通信を傍受しました……」
「……その指令通信を受けて実際にコースを変えたのは、何隻くらい? 」
「……デコイと同じベクトル針路で航走させている中継発信ビーコンからのスキャン・データに拠れば……第1波グループが35隻……30分を置いてコースを変えた、第2波グループが48隻です……」
「……こちらのデコイ27基は…総て向こうに認知されている? 」
「……認知されています……確実に……」
「……そう……順調だね……デコイとビーコンの遮蔽状況に異常は無いね? 」
「……はい……光学迷彩もアンチ・センサージェルも、所定の設定通りに展開されています……」
「……合わせても75隻か……ちょっと少ないな……向こうの追跡艦が、デコイの近くにまで寄るのに…どのくらい掛かる? 」
「……大凡ですが……6時間から8時間かと……」
「……向こうの交信を傍受していて……これがデコイなんじゃないかと疑っているような……感触と言うか、雰囲気はあったかね? 」
「……それはあります……一定度は……ですが、これ以外には手掛かりになりそうなものも無いので……」
「……まあ、そうだろうな……うん……やはり、割合に順調だね……今後、欺瞞交信の予定は? 」
「……3時間に1回の割合で、欺瞞交信を行います……傍受した交信内容と、敵集団の動きによっては……煽りを入れます……」
「……分かった……状況を観ながら慎重に行うように……今から250分後を目処に……デコイの遮蔽を解除する……これからは大質量誘導弾を何基準備できるかが勝負だ……引き続き、宜しく頼む……」
「……分かりました……」
「……シエナ副長……ハル参謀……君らふたりで指揮を執って……グループ『A』…3隻合同での、操艦シミュレーション訓練と砲撃シミュレーション訓練を執行して欲しい……先に操艦シミュレーション訓練から始めてくれ……操艦シミュレーション・トレーニング・ファイルの最初から、反復して実行……最後は3隻で、それぞれガチの追い掛けっこをやってくれ……全部で1時間にまとめるように……次の砲撃シミュレーション・トレーニングも、ファイルの最初から反復して実行……これは50分間でまとめてくれ……終わったら僚艦2隻の担当者にも話を聞いて…まとめられる範囲で好いから、レポートを上げてくれ……宜しく頼む……質問は? 」
「……いえ…特には、ありません……」
「……何かあったら、いつでも訊いてくれ……艦内の…どこかには居るから……」
「……分かりました……」
「……と言う訳で…ブリッジは暫く君達に任せる……」
立ち上がってシエナの顔を観ながら頷き、機関部長の席に歩み寄って彼女の左肩に左手を置く。
「……リーア……敵集団間での、データ・リンク・ストリーム・ネットワークを妨害する…ノーマル・チャンネルでのジャミング・ディストゥルバンス・キャリアーを準備してくれ……」
「……はい…ノーマル・チャンネルでの妨害・撹乱搬送波ですね? 」
「……そうだ……彼等のノーマル・チャンネルでの…交信設定プログラム・データに合わせてな? 」
「……分かりました…準備します……」
「……それとね……こちらはシークレット・チャンネルだから妨害される恐れは無いと思うんだけど…念の為に…レーザー・コミュニケーション・ラインによる、データ・リンク・ストリーム・ネットワークの構築を…全艦の機関部長ともデータを共有して実行してくれ……これは君が指揮を執って、監督するように……」
「……分かりました……そちらの構築も行います……」
「……忙しくさせて、悪いね……」
ちょっと彼女の上体を引き寄せて、顔を寄せる。
「……いえ、💦…大丈夫です……ありがとうございます💦」
「……宜しく頼む……」
そう言って離れ……次はパティ・シャノン天体観測室長に歩み寄る。
「……パティ……『ラタキア恒星系』の第4・第5惑星に於ける詳細なデータが欲しい……それと、『アーキペラゴ多島海』の精密なチャート……判っているだけのデータも広く集めて、データベースの作成を頼む……『地の利は人の和に如かず』だ……地形・地勢で戦略・戦術に利用できるものは総て利用しよう……」
「……分かりました…直ぐに掛かります……」
「……頼むよ……」
次に砲撃管制コントロール・シートに座るエドナ・ラティスの左脇に立って、ターゲット・スキャナーの調整とクロス・ゲージを合わせてからの絞り込みについて話し合う……スキャナー・スコープをふたりで覗き込んだ時、エドナの右腰を右手で支えた……砲撃管制に於けるエドナの動作・反応設定を観させて貰ったが、先の砲撃演習訓練で施した私の設定内容・レベルと比較してもあまり遜色はない。
「……この設定で大丈夫かい? 」
エドナと顔を10cmの距離で観合せて訊く……エドナの頬に赤味が差した。
「……30~40分は大丈夫だと思います……それ以上砲撃戦が続くような事は無いと思っていますので……」
「……まあ…それもそうだな……でも操っていて、もう追い付けないと感じた時の為に…ワンランク下の設定を用意しておいて、いつでもリプレイスメントできるようにしておいた方が好いよ……」
「……分かりました。準備します……」
「……うん……」
それだけで、彼女からは離れた。
グループ『B』・『サライニクス・テスタロッツァ』…ブリッジ…
「……これよりグループ『B』は3隻合同での操艦演習訓練と砲撃演習訓練を行う……僚艦2隻に連絡……3隻での合同操艦演習訓練ファイルと、合同砲撃演習訓練ファイルに従い…操艦演習は1時間……砲撃演習は40分にまとめて執行する……この間のグループ・リーダーはローズ・クラーク副長が務め…僚艦2隻に於いても演習訓練の指揮は当該副長が務める……演習に於いて使用する全システムのOS及び各種動作・反応設定は、担当者が任意に調節・調整して構わない……20分以内に準備を終えて、20分後にスタートする……質問は? 」
「……ありません……了解しました……」
「……宜しく頼む……訓練終了まで、ブリッジはメイン・スタッフに一任する……」
そう言い終えるとハイラム・サングスター艦長はキャプテン・シートをローズ・クラーク副長に譲り、ブリッジから退室した。
同じようにして残りの7グループも、3隻合同での操艦と砲撃演習訓練に入っていく。
…軽巡宙艦『マーズテリア』…ブリッジ…
「……アイク…まだ『ディファィアント』は観えないのか⁈ 」
「……この距離じゃ、まだ観えないよ…アーリング…」
「……第5戦闘距離の6800倍以上だからな……それならどうしてパワーサインが感知できる? 」
「……それはちょっと謎だが、何らかの方法でパワー・サインを増幅して発信する事で、俺達を罠に誘い込もうとしているのかもな……」
「……それじゃ、闇雲に追い掛けるのはマズいか? 」
「……そうでもないだろう……奴らの交信を傍受して、同盟27隻の大体の現在位置……それぞれのコース…速度…集結予定ポイントは判った……アジズ・アズナーの『マラク・ターウース』……エムジェイ・アンダーソンの『ラキア・ヴィロン』……ダナ・ヴァルタンの『ハギト・ファレグ』……この3隻が率いている3グループが、奴らの集結予定ポイントに先廻りして接近中だ……こっちがこのまま追い掛ければ、包囲・挟撃できるだろう……」
「……しかし…奴らはシークレット・チャンネルを持ってる……なんでわざわざノーマル・チャンネルで交信してる? 俺達を罠に誘い込もうとしている可能性はある……」
「……それにしたって、こっちは奴らの10倍以上だ……いざとなれば罠ごと潰してやる事もできるだろう……」
「……あれがもしもデコイだったら? 」
「……それならそれで、デコイの来たコースを逆に伸ばせば…奴らの居る方位は大体見当が付く……今日中には無理でも、明日には奴らを叩ける……10倍以上で包囲攻撃すれば…1時間も掛らん……」
「……あのパワー・サインから第3戦闘距離まで、どのくらいで辿り着ける? 」
「……追い掛けている俺達が6時間……先廻りしようとしている連中が7時間……って処だな……」
それから2時間程度で同盟の全9グループは、操艦と砲撃の演習訓練を終えた。
…『ディファイアント』…
「……ナンバー・ワン……同盟全艦に通達……大質量誘導弾整形・作成に向けて、搭載シャトルの換装を開始するようにと……」
「……分かりました……」
「……カリーナ……各グループの運航予測に、変化は無いね? 」
「……ありません……2次集結ポイントに到着するのは、グループ『H』・『E』・『D』の順で、予測ではそれぞれ180分後……230分後……310分後です……」
「……分かった……各艦のセンサー・チームにも、敵性集団間の交信を傍受して…気が付いた事があれば報告するように通達してくれ……」
「……了解……」
「……リーア……各艦の機関部長に通達……長距離デコイと一緒に放出した、遮蔽システム搭載の発信・中継・センサー・スキャン・ビーコンを、2時間のインターバルを置いて2基……それぞれのコース上に置いて…それぞれその場に設置するようにと……」
「……分かりました……そのように通達します……」
「……頼む……これで後は長距離デコイの遮蔽を解除すれば……下拵えとしては終わりだな……」
「……いよいよですね……アドル艦長……」
「……そうだな、エレーナ……次は、グループ『H』がポイントに到着してからだ……下拵えが終われば…次はお膳立てだ……シエナ副長……これより30分毎に半舷休息……両舷共に3回ずつ休息……全乗員は終了までに、食事と入浴と睡眠を摂るように……」
「……了解…全艦に通達します……」
「……カリーナ……グループ『A』が到着する迄には? 」
「……380分後です……」
「……よし…330分後から到着する迄の間で、モアナ・セレンの誕生会を開催する……企画・運営はメイン・スタッフに一任するので、宜しく頼む……この状況なので……参加は有志の中でも状況が許す者…に限られるかも知れないが、短時間でも出来る範囲で参加して欲しいと思う……私からは以上だ……悪いが先に休ませて貰う……ブリッジを頼む……シフトが決まったら、連絡してくれ……それじゃ……」
「……分かりました…ごゆっくり……」
「……じゃあ…欺瞞交信と敵集団間での交信内容について、報告してくれ……」
シエナ・ミュラーとハンナ・ウェアーが、私の左前に立つ。
「……はい……欺瞞交信では、航走中の長距離デコイ27基のコースとパワー・サインの発信状況に基付き、仮想の集結ポイントを設定しました……仮想ポイントに対してのインターセプトコースを採り……それぞれが個別設定のルートで集結するよう……各艦の副長同士で、48分間の通常平文交信を行いました……」
「……演技の評価は? 騙せたようかな? 」
「……演技は誇張的に受け取られないよう留意したつもりですので……怪しまれはしないと思います……」
「……一通りの欺瞞交信が終わりまして、敵集団間での交信を傍受していましたが……こちらの長距離デコイに対して、インターセプト・コースを採って追跡せよとの指令通信を傍受しました……」
「……その指令通信を受けて実際にコースを変えたのは、何隻くらい? 」
「……デコイと同じベクトル針路で航走させている中継発信ビーコンからのスキャン・データに拠れば……第1波グループが35隻……30分を置いてコースを変えた、第2波グループが48隻です……」
「……こちらのデコイ27基は…総て向こうに認知されている? 」
「……認知されています……確実に……」
「……そう……順調だね……デコイとビーコンの遮蔽状況に異常は無いね? 」
「……はい……光学迷彩もアンチ・センサージェルも、所定の設定通りに展開されています……」
「……合わせても75隻か……ちょっと少ないな……向こうの追跡艦が、デコイの近くにまで寄るのに…どのくらい掛かる? 」
「……大凡ですが……6時間から8時間かと……」
「……向こうの交信を傍受していて……これがデコイなんじゃないかと疑っているような……感触と言うか、雰囲気はあったかね? 」
「……それはあります……一定度は……ですが、これ以外には手掛かりになりそうなものも無いので……」
「……まあ、そうだろうな……うん……やはり、割合に順調だね……今後、欺瞞交信の予定は? 」
「……3時間に1回の割合で、欺瞞交信を行います……傍受した交信内容と、敵集団の動きによっては……煽りを入れます……」
「……分かった……状況を観ながら慎重に行うように……今から250分後を目処に……デコイの遮蔽を解除する……これからは大質量誘導弾を何基準備できるかが勝負だ……引き続き、宜しく頼む……」
「……分かりました……」
「……シエナ副長……ハル参謀……君らふたりで指揮を執って……グループ『A』…3隻合同での、操艦シミュレーション訓練と砲撃シミュレーション訓練を執行して欲しい……先に操艦シミュレーション訓練から始めてくれ……操艦シミュレーション・トレーニング・ファイルの最初から、反復して実行……最後は3隻で、それぞれガチの追い掛けっこをやってくれ……全部で1時間にまとめるように……次の砲撃シミュレーション・トレーニングも、ファイルの最初から反復して実行……これは50分間でまとめてくれ……終わったら僚艦2隻の担当者にも話を聞いて…まとめられる範囲で好いから、レポートを上げてくれ……宜しく頼む……質問は? 」
「……いえ…特には、ありません……」
「……何かあったら、いつでも訊いてくれ……艦内の…どこかには居るから……」
「……分かりました……」
「……と言う訳で…ブリッジは暫く君達に任せる……」
立ち上がってシエナの顔を観ながら頷き、機関部長の席に歩み寄って彼女の左肩に左手を置く。
「……リーア……敵集団間での、データ・リンク・ストリーム・ネットワークを妨害する…ノーマル・チャンネルでのジャミング・ディストゥルバンス・キャリアーを準備してくれ……」
「……はい…ノーマル・チャンネルでの妨害・撹乱搬送波ですね? 」
「……そうだ……彼等のノーマル・チャンネルでの…交信設定プログラム・データに合わせてな? 」
「……分かりました…準備します……」
「……それとね……こちらはシークレット・チャンネルだから妨害される恐れは無いと思うんだけど…念の為に…レーザー・コミュニケーション・ラインによる、データ・リンク・ストリーム・ネットワークの構築を…全艦の機関部長ともデータを共有して実行してくれ……これは君が指揮を執って、監督するように……」
「……分かりました……そちらの構築も行います……」
「……忙しくさせて、悪いね……」
ちょっと彼女の上体を引き寄せて、顔を寄せる。
「……いえ、💦…大丈夫です……ありがとうございます💦」
「……宜しく頼む……」
そう言って離れ……次はパティ・シャノン天体観測室長に歩み寄る。
「……パティ……『ラタキア恒星系』の第4・第5惑星に於ける詳細なデータが欲しい……それと、『アーキペラゴ多島海』の精密なチャート……判っているだけのデータも広く集めて、データベースの作成を頼む……『地の利は人の和に如かず』だ……地形・地勢で戦略・戦術に利用できるものは総て利用しよう……」
「……分かりました…直ぐに掛かります……」
「……頼むよ……」
次に砲撃管制コントロール・シートに座るエドナ・ラティスの左脇に立って、ターゲット・スキャナーの調整とクロス・ゲージを合わせてからの絞り込みについて話し合う……スキャナー・スコープをふたりで覗き込んだ時、エドナの右腰を右手で支えた……砲撃管制に於けるエドナの動作・反応設定を観させて貰ったが、先の砲撃演習訓練で施した私の設定内容・レベルと比較してもあまり遜色はない。
「……この設定で大丈夫かい? 」
エドナと顔を10cmの距離で観合せて訊く……エドナの頬に赤味が差した。
「……30~40分は大丈夫だと思います……それ以上砲撃戦が続くような事は無いと思っていますので……」
「……まあ…それもそうだな……でも操っていて、もう追い付けないと感じた時の為に…ワンランク下の設定を用意しておいて、いつでもリプレイスメントできるようにしておいた方が好いよ……」
「……分かりました。準備します……」
「……うん……」
それだけで、彼女からは離れた。
グループ『B』・『サライニクス・テスタロッツァ』…ブリッジ…
「……これよりグループ『B』は3隻合同での操艦演習訓練と砲撃演習訓練を行う……僚艦2隻に連絡……3隻での合同操艦演習訓練ファイルと、合同砲撃演習訓練ファイルに従い…操艦演習は1時間……砲撃演習は40分にまとめて執行する……この間のグループ・リーダーはローズ・クラーク副長が務め…僚艦2隻に於いても演習訓練の指揮は当該副長が務める……演習に於いて使用する全システムのOS及び各種動作・反応設定は、担当者が任意に調節・調整して構わない……20分以内に準備を終えて、20分後にスタートする……質問は? 」
「……ありません……了解しました……」
「……宜しく頼む……訓練終了まで、ブリッジはメイン・スタッフに一任する……」
そう言い終えるとハイラム・サングスター艦長はキャプテン・シートをローズ・クラーク副長に譲り、ブリッジから退室した。
同じようにして残りの7グループも、3隻合同での操艦と砲撃演習訓練に入っていく。
…軽巡宙艦『マーズテリア』…ブリッジ…
「……アイク…まだ『ディファィアント』は観えないのか⁈ 」
「……この距離じゃ、まだ観えないよ…アーリング…」
「……第5戦闘距離の6800倍以上だからな……それならどうしてパワーサインが感知できる? 」
「……それはちょっと謎だが、何らかの方法でパワー・サインを増幅して発信する事で、俺達を罠に誘い込もうとしているのかもな……」
「……それじゃ、闇雲に追い掛けるのはマズいか? 」
「……そうでもないだろう……奴らの交信を傍受して、同盟27隻の大体の現在位置……それぞれのコース…速度…集結予定ポイントは判った……アジズ・アズナーの『マラク・ターウース』……エムジェイ・アンダーソンの『ラキア・ヴィロン』……ダナ・ヴァルタンの『ハギト・ファレグ』……この3隻が率いている3グループが、奴らの集結予定ポイントに先廻りして接近中だ……こっちがこのまま追い掛ければ、包囲・挟撃できるだろう……」
「……しかし…奴らはシークレット・チャンネルを持ってる……なんでわざわざノーマル・チャンネルで交信してる? 俺達を罠に誘い込もうとしている可能性はある……」
「……それにしたって、こっちは奴らの10倍以上だ……いざとなれば罠ごと潰してやる事もできるだろう……」
「……あれがもしもデコイだったら? 」
「……それならそれで、デコイの来たコースを逆に伸ばせば…奴らの居る方位は大体見当が付く……今日中には無理でも、明日には奴らを叩ける……10倍以上で包囲攻撃すれば…1時間も掛らん……」
「……あのパワー・サインから第3戦闘距離まで、どのくらいで辿り着ける? 」
「……追い掛けている俺達が6時間……先廻りしようとしている連中が7時間……って処だな……」
それから2時間程度で同盟の全9グループは、操艦と砲撃の演習訓練を終えた。
…『ディファイアント』…
「……ナンバー・ワン……同盟全艦に通達……大質量誘導弾整形・作成に向けて、搭載シャトルの換装を開始するようにと……」
「……分かりました……」
「……カリーナ……各グループの運航予測に、変化は無いね? 」
「……ありません……2次集結ポイントに到着するのは、グループ『H』・『E』・『D』の順で、予測ではそれぞれ180分後……230分後……310分後です……」
「……分かった……各艦のセンサー・チームにも、敵性集団間の交信を傍受して…気が付いた事があれば報告するように通達してくれ……」
「……了解……」
「……リーア……各艦の機関部長に通達……長距離デコイと一緒に放出した、遮蔽システム搭載の発信・中継・センサー・スキャン・ビーコンを、2時間のインターバルを置いて2基……それぞれのコース上に置いて…それぞれその場に設置するようにと……」
「……分かりました……そのように通達します……」
「……頼む……これで後は長距離デコイの遮蔽を解除すれば……下拵えとしては終わりだな……」
「……いよいよですね……アドル艦長……」
「……そうだな、エレーナ……次は、グループ『H』がポイントに到着してからだ……下拵えが終われば…次はお膳立てだ……シエナ副長……これより30分毎に半舷休息……両舷共に3回ずつ休息……全乗員は終了までに、食事と入浴と睡眠を摂るように……」
「……了解…全艦に通達します……」
「……カリーナ……グループ『A』が到着する迄には? 」
「……380分後です……」
「……よし…330分後から到着する迄の間で、モアナ・セレンの誕生会を開催する……企画・運営はメイン・スタッフに一任するので、宜しく頼む……この状況なので……参加は有志の中でも状況が許す者…に限られるかも知れないが、短時間でも出来る範囲で参加して欲しいと思う……私からは以上だ……悪いが先に休ませて貰う……ブリッジを頼む……シフトが決まったら、連絡してくれ……それじゃ……」
「……分かりました…ごゆっくり……」
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