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地上界にて…
リアル・バラエティ・ライヴ・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』3/6 …6…
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「……あなた……初日で何人の方にマッサージしたの? 」
アリソンの口調は咎めるような、非難めいたものではない……ちょっと呆れてからかうような口調だった。
「……4人だったね……時間が無かったから、1人につき…5分だけだったよ……」
「……パパ…マッサージも出来るんだ? 」
「……出来るよ……我流だけどね……」
60秒のCMタイムが終わって、またスタジオが映し出される。
「……はい…引き続き弊社メイン・サイトに接続して…ご視聴頂いている皆さんには、ありがとうございます……それでは『ディファイアント』艦長控室でのミーティングから……ファースト・エクササイズ・トレーニングデッキ……マッサージルームでの模様をご覧頂きます……」
【 コーヒーを3口飲んだ辺りで、メイン・スタッフが続々と艦長控室に入室して来る……その中にはエマ・ラトナーも居る。
「……エマ…」
「……大丈夫です……終わったら直ぐに行きます……お疲れ様でした…アドル艦長…♡」
「……お疲れさん。本当にありがとうな……」
この言葉にエマ・ラトナーは、物凄く可愛い満面の笑顔で返した。
「……皆、お疲れさん……本当にありがとう……好きな飲み物を出して座ってくれ……シエナ…今回の戦闘記録を圧縮してシークレット・チャンネルを通じ、全艦に送信してくれ……」
「……既に送信は完了しました……」
「……おう、流石はシエナ・ミュラー副長……余計な指示だったな……いつもありがとう……感謝するよ……」
「……それはこちらの台詞ですよ、アドル艦長…♡」
「……カリーナ…賞金と経験値に関しての本部からの通達を読んでくれ……」
「……はい、賞金は1千万……経験値は300%です……」
「……よし……ハル・ハートリー参謀? 」
「…はい…」
「……君の責任に於いて口座を開設し、賞金をプールして欲しい……以後授与される賞金は総てその口座にプールし、以降口座の管理は君に一任する……好いかな? 」
「……承知しました……そのように行います…♡」
「……基本的にファースト・シーズンの間は、その口座預金に手は付けない……チャレンジ・ミッションをクリアする為に効果的・効率的と思われるパワーアップパーツ・オプションパーツがあった場合には、その都度に集まって貰って協議する……好いかな? マレット・フェントン補給支援部長は、別購入パーツ・カタログを読んで置いてくれ? では次に経験値の取扱いに移る……先に経験値を付与できる対象項目について挙げていこう……先ず攻撃力について……主砲はビーム・ジェネレーターの臨界パワーと発射出力の増強……そしてビームの集束率の向上だ……各種ミサイルは積載上限の増量……1機相当破壊力の増強……航続距離の伸長……爆雷や機雷の装備もできるようになる……ハイパー・ヴァリアントは発射出力の増強……各種弾体の積載上限増量……パルス・レーザーキャノンはレーザー出力の増強……ファランクス・イーゲル・シュテルンは発射出力の増強と弾体積載上限の増大と徹甲弾と焼夷弾を装備できるようになる……次に防御力に移る……シールドパワー基本設定値の増大と20%程度のパワーアップができる……もっと経験値を積み上げれば、既存のシールド・ジェネレーターにパワー・ブースターを取り付けられるし、シールド・ジェネレーターの増設もできる……次に機動力だ……総ての推進システムに於ける臨界パワーアップと噴射出力アップと耐久性能を向上させられる……総ての操舵システムと姿勢制御システムの操作反応感度の向上……操作速度の向上が図れる……ざっとこんな処かな? 新装備と付帯装備を除いた項目で挙げれば、18項目だな……均等に分けるのなら15%強ずつ、と言う事になる……300%を15%で割るなら20項目になるから、主砲の発射出力とミサイルの破壊力増強にダブルで付与したらどうだろう? 積極的に意見を頼む……」
「……はい……あの……マニュアルを読んだのですが、フェイザー・キャノンはどの位の経験値で装備できるのでしょう? 」
と…エドナ・ラティスが右手を挙げて訊く。
「……今回付与される300%を総て使えば、タイプ5のフェイザー・クリスタルとフェイザー・バンクスが装備できる……フェイザー・キャノンは強力な兵装だ……レベル10、フルパワーで撃ち込めばシールドパワーを一気に30ポイントは減衰させられる……だが、100から150回撃ったらどちらも整備しなけりゃならない……これには結構金が掛かる……」
「……私は先程に提示された艦長の提案で好いと思います……ある特定の項目を大きく強化しても、担当のクルーがそれに充分対応できるかどうかは未知数ですし、まだ始まったばかりですから比較的に均等な付与で好いと思います……このミルクティー、艦長が淹れて下さるものに比べると40%程度ですね……」
と、ハンナ・ウェアーがミルクティーのカップを置いて言う。
「……ありがとう、ハンナ……時間があったらコンピューターに私のレシピを入れてみるよ……」
「……でも次のステージでは、2隻出現しますよね? エンジンパワーを増強した方が良いように思いますが? 」
と、フィオナ・コアーが背筋を伸ばして言う……尤もな意見だ。
「……そうだな……それじゃあ、主砲の発射出力とミサイルの破壊力増強に上乗せダブルで廻した15%からそれぞれ5%ずつ、10%をメイン・エンジンのパワーに上乗せして付与しよう……それで好いかな? 」
私のこの返答に、フィオナは笑顔で頷いた。
「……他に意見・提案はあるかな? 」
発言を促したが、誰も声を挙げなかった。
「……好いだろう……それじゃあ、この通りに付与しよう……副長、この通りでの経験値付与を頼む……次のステージでの作戦については、集合後に説明する……皆には悪いがそれぞれの担当システムをダブルチェックしてくれ……チェックしてから休んでも好いし、集合してからチェックしても好い……他には何かあるかな? よし、無ければ解散……副長、私は自室で一服してからジムに行くよ……カリーナ、他艦とは出遭わないと思うが一応、長距離センサーのオートアラートを設定してくれ……以上だ……」 】
【 場面は切り替わって、ファースト・エクササイズ・トレーニングデッキのマッサージ・ルーム……2台のストレッチャーを運び入れて、マッサージベッド4台と言う体を設えていて……メイン・パイロットのエマ・ラトナー……砲術長のエドナ・ラティス……サブ・パイロットのソフィー・ヴァヴァサーと、ハンナ・ハーパーの4人が……下はトレーニング・パンツ……上はスポブラだけを着け、既にマッサージ・オイルとパウダーを肌に充分馴染ませて……両腕を左右に開いて俯せで寝ている……私も両手にオイルとパウダーを充分に馴染ませ、先ずエマの腰に膝立ちで跨って…始めた。
1人に5分で20分……首・肩・腕と手指全体……肩甲骨を重点に背中全域……頭と顔面の表情筋……脇腹と腰は充分に出来ない……脚には触れなかった……とてもマッサージのワンセットには満たないが、それだけで終えた……4人とも施術を始めると直ぐに息が乱れ始め、官能的な声を挙げて身体をくねらせたり跳ねさせたりしていたが、サポートとして来て貰っていた4人に肩や脚を押さえて貰いながら、施術を続けて終わらせた……もとより、彼女達の反応に意識を向ける余裕などは無かった。
4人への施術を終えてベッドから降りると、ちょっとよろけて壁際の床にへたり込み、肩で大きく息を吐く……疲れた……これ以上は出来ない。
セカンド・ステージが始まる迄、もう10分も無い……私は傍で見守っている4人に声を掛けて、ようやっと立ち上がる。
「……終わったから、起して連れて行ってくれ……私は自室でシャワーを浴びて着換えて……一服してから上がるから、頼むな……? 」
そう言い置くとそこから出て、自室に向かう。
「……ホラ、しっかりしなさい! エマ! シャンとして起きて、上着着て立ちなさい! もう始まるから行くわよ! 」
シエナ・ミュラーがエマ・ラトナーを抱き起して立たせようとする。
「……ああ……あ…あ、私……もう駄目です……もうイケません……」
「……何言ってるのよ、この娘は……7回もイキまくったクセに……」
「……まったく……こっちはとんだ眼の毒だったわよ! ホラ! エドナ! しっかりして起きなさい! もう始まるわよ! 」
ハル・ハートリーがエドナ・ラティスを強引に起こし、2.3回軽く頬を叩いてから上着を着せようとする。
「……ああ……アドルさん……ごめんなさい……アタシもう……アドルさんじゃないと……ダメです……」
「……まったく、この娘も何言ってるのよ……ホラ、エドナ! もう始まるわよ! 撮られてるのよ! 彼氏に観られちゃうじゃないのよ! 」
その隣では……ソフィー・ヴァヴァサーとハンナ・ハーパーが、ハンナ・ウェアーとエレーナ・キーンに抱き起され……軽く叩かれながら、上着を着せられようとしていた。 】
「……ハイ! ここまでご覧頂きましたが……如何だったでしょうか? なかなか衝撃的なシーンもあったように思いますが……反響が巻き起こりそうでもありますね……実は……私もアドル・エルクさんがマッサージの名手であるとは知りませんでした……」
ハーヴェイ・カイテル氏が、直ぐに右手を挙げた。
「……すみません! 先ず私から言わせて下さい………艦長控室で経験値の割り振りについて協議されていましたが……非常に効率的で効果的な分配であったと思います……マニュアルもよく読み込まれていらっしゃったようで、フェイザー・キャノンに付いても言及されておられましたから……それと改めて感じたのは、あの控室にいた全員がお互いを深く信頼し合っている、と言う事ですね……」
「……ハーヴェイさん……それは私も全く同感ですね……」
司会のアランシス・カーサーが、頷いて応じた。
「……アドル・エルクさんって、何者なんですか? たった5分のマッサージであんなにイカせられるなんて、信じられません……」
と、インナ・リチョワさん。
「……私…明日の朝、アドルさんに突撃レポートします! 色々質問して来ます! 」
と、イナ・ピエハさん。
「……エ!? レポーターは私ですけど? 」
と、ダーラ・ジスキンさん。
「……あなたは、ハイラム・サングスター艦長にインタビューするんでしょ? 」
「……そうですけど……」
「……(笑)…まあまあ……カメラマンならもう1人出しますから、ピエハさん…お願いします……」
「……ありがとうございます…出航前の限られた時間ですけど、色々インタビューします! お楽しみに! 」
「……アドル・エルクさんのマッサージもすごいんですけど……『ディファイアント』のスタッフの皆さん……アドルさんの事が好きなんじゃ……? 」
エスター・ロッサム女史がそう言うと、ルカ・アラナも頷いた。
「……私もそう思いますね……アドルさんには……話せば話す程に目の当たりにする、底知れない魅力があるのかも知れません……」
「……今度…ハイラム・サングスター艦長に連絡を執って……アドル・エルクさんの事を訊いてみますよ……」
と、ニール・マッキーン准将。
「……私やこちらのラベル女史は、開幕前にアドルさんと何度か話す機会がありましたので、彼の人柄にはある程度触れていました……礼儀正しいですが気さくに話せる人ですね……一緒に少しでも同じ仕事に取り組んだら……きっと直ぐ、彼の魅力に惹き込まれたでしょう……何と言いますか……配慮や気遣いを先回りしてする方ですから……気付いて驚いて感心したら、もう惹き込まれていますね……」
「……そんなにすごい人なんですか……でしたら私も是非1度お会いして、お話を伺いたいですね……」
と、ラーハルト・アーミセン氏。
「……アドル・エルクさんは、エンジニアとしても特異で稀有な才能をお持ちのようですから…私も是非、お会いしたいですね……」
と、ジョン・ドーフマン氏。
「……私は同じゲームプレイヤーとして、お話を伺いたいです……」
と、ハーヴェイ・カイテル氏。
「……私は、シエナ・ミュラー副長とハル・ハートリー参謀に、お話を伺いたいですね……」
と、ルカ・アラナ氏。
「……話は、カウンセラーのハンナ・ウェアーさんと、メイン・パイロットのエマ・ラトナーさんにお会いしたいです……」
と、インナ・リチョワさん。
「……私は『ミーアス・クロス』と『リアン・ビッシュ』の8人に、話を訊きたいです……」
と、イナ・ピエハさん。
「……私が話を訊いてみたいのは2人です……1人は『アグニ・ヤマ』で副長を務める、カーラ・ブオノ・マルティーヌさん……彼女と私は10年来の友人なので、久し振りに会いたいですね……もう1人は、アドル・エルクさんのお勤め先が彼の為に選任させたと言う、専任秘書の方……艦長の皆さん方が集まられての対談配信番組で、お顔を拝見しました……出来ればお会いして、お話してみたいですね……」
と、エスター・ロッサム女史。
「……それにしても、エマ・ラトナーさんがこのゲームに参加されているのがすごいと言うか……今だに信じられない気持ちですよ……【E・X・F】(エクセレント・フォーミュラ)……ファースト・エクセレンデット・クラスでも5指に入る強豪チームで、マスター・パイロットを務めていた彼女が……半分引退するみたいな形でこのゲームへの参加を決めたのが何故なのか……出来れば私も訊いてみたいです……」
と、カムリン・マンハイムさん。
「……私は明日…ハイラム・サングスター艦長に、アドル・エルク主宰がどんな人なのかについても訊きます……お楽しみに! 」
と、ダーラ・ジスキンさんがトリを獲った。
「……ハイ……とても綺麗にまとめて頂きまして、ありがとうございます……ご視聴頂いている皆さん……長時間に亘りお付き合いを頂きまして、ありがとうございます……まだまだファースト・ゲームのご紹介が終わりません……各艦内での親睦パーティーの模様も……まだ全くご紹介しておりませんが……本当に残念ですが、お時間になろうとしております……次回はまた来週木曜日の夜に……おそらく『ディファイアント』のセカンド・ステージから……親睦パーティーまでご紹介出来れば幸いです……そして、いよいよ明日はセカンド・ゲームの開幕です……アドル・エルク主宰の予測では…【『ディファイアント』共闘同盟】にとって初めての組織的な艦対艦隊戦闘になるであろうとの事でしたが……如何、相成ります事でしょうか……私自身もそうですが、ご視聴の皆さんも大変に期待されている事と思います……このヴァラエティ・ショウでも、なかなか追い付けないとは思いますが……皆さんに観て頂きたいシーンは総てご紹介するつもりで、お届けして参りますので…どうぞ、宜しくお願い致します……それでは、今回もこのメンバーでお送り致しました……また、来週木曜日の夜にお会いしましょう……おやすみなさい……」
配信番組は終わった。
「……母さん……女性ドライバーでの、ワゴン・タクシーを呼んで? 全員乗って貰って、1人ずつ送り届けて貰おう……着いたら、私が先に支払いを済ませるから……」
「……はい…お任せを……」
そう応えて、携帯端末を取り出す。
「……アドルさん……観させて頂いて、ありがとうございました……『ディファイアント』は最強ですね! 絶対に最後まで残りますよ! 」
「……ありがとう、テレンス君……『ディファイアント』が勝てたのは、スタッフが優秀だからだよ……それに、『ディファイアント』は最強じゃない……6th・ステージはクリア出来なかった……軽巡宙艦では、6隻がクリアしたと聞いている……その6隻は、間違いなく『ディファイアント』よりも強いだろうね……」
「……でも『ディファイアント』は、必ず最後まで残ります! 」
「……ありがとう……僕もそう願うよ……」
「……アドルさん……明日からのセカンド・ゲームは……厳しい戦いになるんですか? 」
マノン・ドアが心配そうに訊く。
「……うん……僕の予測が当たれば、同盟にとって初めての組織戦になるだろうね……でもまあ……そんなに厳しくも酷くもならないように、段取りは考えるから……心配しなくても好いよ……危なくなったら離脱するからさ……」
「……個室の中って、どうなっているんですか? 」
ルカ・アラナだ……端末を取り出して画像を呼び出し、手渡す。
「……画像はコピーしないでね? 一応、非公開になっているから……皆にも観せてあげて? 」
「……艦内でのお食事は、どのように摂られているんですか? 」
クララ・サンサだ……残っていた酒を飲み干して、グラスを置く。
「……艦内での食事は、基本的にバー・ラウンジで摂るんだけど……料理は中の厨房で作ってくれる……『ディファイアント』に来てくれたシェフの皆さんが、もう本当に最高でね……どんな料理でも食べられる……だから食事については、何の心配も無いよ……」
「……アドルさん! このお部屋に毎週2日も居られるんですか?! すごいですね! このお部屋なら、5人家族でも全然大丈夫ですよ! 」
ミレーナ・カッシーニが比較的に大きい声で言いながら、隣のアデリーンに端末を渡す。
「……まあ2日と言っても泊まれるのは一晩なんだけどね……1人じゃスペースが余りまくりだよ……」
「……いつか……このお部屋も含めて『ディファイアント』の中を観たいです……」
アデリーン嬢は何だか少しうっとりとした表情だ。
「……そうだね……実はちょっと考えていてさ……マスター・プロデューサーのマルセル・ラッチェンスさんに提案してみようと思っている事があるんだ……言わば、ファン感謝デーとでも言えば好いのかな?……シーズンはまだまだ続くだろうけど、敢えて時間を取って特別編みたいな感じでね……各艦スタッフ・クルーのご家族や親しい関係者を招待して1日、艦内で楽しく一緒に過ごして貰おうって感じなんだけど……どう思う? 」
「……パパ、それ最高! 決まったら絶対行くよ! 春休みは間に合わないだろうけど、夏休みにやってくれたら好いな……親衛隊の皆も誘って好いよね? 最高……楽しみが出来た! 」
「…(笑)…まあ、その辺も含めて話してみるからさ……待ってて? 」
その後も10数分、楽しく雑談を続けた……タクシーが着いたので先に運賃を多めに支払い、子供達を乗せて見送る。
アリシアはさっさと歯を磨いて自室に入った……その後で私も歯を磨き、顔を洗ってタンク・ベッドの調整を済ませる。
「……明日着て行く服は用意したわよ……」
「……ありがとう……日曜日は遅くなってもここに帰って、月曜日は休むよ……」
「……分かりました……食材を観て、注文するわね……」
「……ああ……おやすみ、アリソン……」
「……おやすみなさい……気を付けてね……」
「……ありがとう……」
キッチンで何かの片付けものに取り掛かる妻の後姿を見遣って、タンク・ベッドの傍で服を脱ぐ……脱いだ服は畳んでカゴに入れ、そのままタンク・ベッドの下に置く……寒いのでタンクのハッチを開けて中に滑り込み、耳と鼻にウィスパーを詰めてソフト・レギュレーターを咥える……ゆっくりとした呼吸を続けてリラックスを図り、温かいエプソム・ソルト水溶液の中で横たわった。
アリソンの口調は咎めるような、非難めいたものではない……ちょっと呆れてからかうような口調だった。
「……4人だったね……時間が無かったから、1人につき…5分だけだったよ……」
「……パパ…マッサージも出来るんだ? 」
「……出来るよ……我流だけどね……」
60秒のCMタイムが終わって、またスタジオが映し出される。
「……はい…引き続き弊社メイン・サイトに接続して…ご視聴頂いている皆さんには、ありがとうございます……それでは『ディファイアント』艦長控室でのミーティングから……ファースト・エクササイズ・トレーニングデッキ……マッサージルームでの模様をご覧頂きます……」
【 コーヒーを3口飲んだ辺りで、メイン・スタッフが続々と艦長控室に入室して来る……その中にはエマ・ラトナーも居る。
「……エマ…」
「……大丈夫です……終わったら直ぐに行きます……お疲れ様でした…アドル艦長…♡」
「……お疲れさん。本当にありがとうな……」
この言葉にエマ・ラトナーは、物凄く可愛い満面の笑顔で返した。
「……皆、お疲れさん……本当にありがとう……好きな飲み物を出して座ってくれ……シエナ…今回の戦闘記録を圧縮してシークレット・チャンネルを通じ、全艦に送信してくれ……」
「……既に送信は完了しました……」
「……おう、流石はシエナ・ミュラー副長……余計な指示だったな……いつもありがとう……感謝するよ……」
「……それはこちらの台詞ですよ、アドル艦長…♡」
「……カリーナ…賞金と経験値に関しての本部からの通達を読んでくれ……」
「……はい、賞金は1千万……経験値は300%です……」
「……よし……ハル・ハートリー参謀? 」
「…はい…」
「……君の責任に於いて口座を開設し、賞金をプールして欲しい……以後授与される賞金は総てその口座にプールし、以降口座の管理は君に一任する……好いかな? 」
「……承知しました……そのように行います…♡」
「……基本的にファースト・シーズンの間は、その口座預金に手は付けない……チャレンジ・ミッションをクリアする為に効果的・効率的と思われるパワーアップパーツ・オプションパーツがあった場合には、その都度に集まって貰って協議する……好いかな? マレット・フェントン補給支援部長は、別購入パーツ・カタログを読んで置いてくれ? では次に経験値の取扱いに移る……先に経験値を付与できる対象項目について挙げていこう……先ず攻撃力について……主砲はビーム・ジェネレーターの臨界パワーと発射出力の増強……そしてビームの集束率の向上だ……各種ミサイルは積載上限の増量……1機相当破壊力の増強……航続距離の伸長……爆雷や機雷の装備もできるようになる……ハイパー・ヴァリアントは発射出力の増強……各種弾体の積載上限増量……パルス・レーザーキャノンはレーザー出力の増強……ファランクス・イーゲル・シュテルンは発射出力の増強と弾体積載上限の増大と徹甲弾と焼夷弾を装備できるようになる……次に防御力に移る……シールドパワー基本設定値の増大と20%程度のパワーアップができる……もっと経験値を積み上げれば、既存のシールド・ジェネレーターにパワー・ブースターを取り付けられるし、シールド・ジェネレーターの増設もできる……次に機動力だ……総ての推進システムに於ける臨界パワーアップと噴射出力アップと耐久性能を向上させられる……総ての操舵システムと姿勢制御システムの操作反応感度の向上……操作速度の向上が図れる……ざっとこんな処かな? 新装備と付帯装備を除いた項目で挙げれば、18項目だな……均等に分けるのなら15%強ずつ、と言う事になる……300%を15%で割るなら20項目になるから、主砲の発射出力とミサイルの破壊力増強にダブルで付与したらどうだろう? 積極的に意見を頼む……」
「……はい……あの……マニュアルを読んだのですが、フェイザー・キャノンはどの位の経験値で装備できるのでしょう? 」
と…エドナ・ラティスが右手を挙げて訊く。
「……今回付与される300%を総て使えば、タイプ5のフェイザー・クリスタルとフェイザー・バンクスが装備できる……フェイザー・キャノンは強力な兵装だ……レベル10、フルパワーで撃ち込めばシールドパワーを一気に30ポイントは減衰させられる……だが、100から150回撃ったらどちらも整備しなけりゃならない……これには結構金が掛かる……」
「……私は先程に提示された艦長の提案で好いと思います……ある特定の項目を大きく強化しても、担当のクルーがそれに充分対応できるかどうかは未知数ですし、まだ始まったばかりですから比較的に均等な付与で好いと思います……このミルクティー、艦長が淹れて下さるものに比べると40%程度ですね……」
と、ハンナ・ウェアーがミルクティーのカップを置いて言う。
「……ありがとう、ハンナ……時間があったらコンピューターに私のレシピを入れてみるよ……」
「……でも次のステージでは、2隻出現しますよね? エンジンパワーを増強した方が良いように思いますが? 」
と、フィオナ・コアーが背筋を伸ばして言う……尤もな意見だ。
「……そうだな……それじゃあ、主砲の発射出力とミサイルの破壊力増強に上乗せダブルで廻した15%からそれぞれ5%ずつ、10%をメイン・エンジンのパワーに上乗せして付与しよう……それで好いかな? 」
私のこの返答に、フィオナは笑顔で頷いた。
「……他に意見・提案はあるかな? 」
発言を促したが、誰も声を挙げなかった。
「……好いだろう……それじゃあ、この通りに付与しよう……副長、この通りでの経験値付与を頼む……次のステージでの作戦については、集合後に説明する……皆には悪いがそれぞれの担当システムをダブルチェックしてくれ……チェックしてから休んでも好いし、集合してからチェックしても好い……他には何かあるかな? よし、無ければ解散……副長、私は自室で一服してからジムに行くよ……カリーナ、他艦とは出遭わないと思うが一応、長距離センサーのオートアラートを設定してくれ……以上だ……」 】
【 場面は切り替わって、ファースト・エクササイズ・トレーニングデッキのマッサージ・ルーム……2台のストレッチャーを運び入れて、マッサージベッド4台と言う体を設えていて……メイン・パイロットのエマ・ラトナー……砲術長のエドナ・ラティス……サブ・パイロットのソフィー・ヴァヴァサーと、ハンナ・ハーパーの4人が……下はトレーニング・パンツ……上はスポブラだけを着け、既にマッサージ・オイルとパウダーを肌に充分馴染ませて……両腕を左右に開いて俯せで寝ている……私も両手にオイルとパウダーを充分に馴染ませ、先ずエマの腰に膝立ちで跨って…始めた。
1人に5分で20分……首・肩・腕と手指全体……肩甲骨を重点に背中全域……頭と顔面の表情筋……脇腹と腰は充分に出来ない……脚には触れなかった……とてもマッサージのワンセットには満たないが、それだけで終えた……4人とも施術を始めると直ぐに息が乱れ始め、官能的な声を挙げて身体をくねらせたり跳ねさせたりしていたが、サポートとして来て貰っていた4人に肩や脚を押さえて貰いながら、施術を続けて終わらせた……もとより、彼女達の反応に意識を向ける余裕などは無かった。
4人への施術を終えてベッドから降りると、ちょっとよろけて壁際の床にへたり込み、肩で大きく息を吐く……疲れた……これ以上は出来ない。
セカンド・ステージが始まる迄、もう10分も無い……私は傍で見守っている4人に声を掛けて、ようやっと立ち上がる。
「……終わったから、起して連れて行ってくれ……私は自室でシャワーを浴びて着換えて……一服してから上がるから、頼むな……? 」
そう言い置くとそこから出て、自室に向かう。
「……ホラ、しっかりしなさい! エマ! シャンとして起きて、上着着て立ちなさい! もう始まるから行くわよ! 」
シエナ・ミュラーがエマ・ラトナーを抱き起して立たせようとする。
「……ああ……あ…あ、私……もう駄目です……もうイケません……」
「……何言ってるのよ、この娘は……7回もイキまくったクセに……」
「……まったく……こっちはとんだ眼の毒だったわよ! ホラ! エドナ! しっかりして起きなさい! もう始まるわよ! 」
ハル・ハートリーがエドナ・ラティスを強引に起こし、2.3回軽く頬を叩いてから上着を着せようとする。
「……ああ……アドルさん……ごめんなさい……アタシもう……アドルさんじゃないと……ダメです……」
「……まったく、この娘も何言ってるのよ……ホラ、エドナ! もう始まるわよ! 撮られてるのよ! 彼氏に観られちゃうじゃないのよ! 」
その隣では……ソフィー・ヴァヴァサーとハンナ・ハーパーが、ハンナ・ウェアーとエレーナ・キーンに抱き起され……軽く叩かれながら、上着を着せられようとしていた。 】
「……ハイ! ここまでご覧頂きましたが……如何だったでしょうか? なかなか衝撃的なシーンもあったように思いますが……反響が巻き起こりそうでもありますね……実は……私もアドル・エルクさんがマッサージの名手であるとは知りませんでした……」
ハーヴェイ・カイテル氏が、直ぐに右手を挙げた。
「……すみません! 先ず私から言わせて下さい………艦長控室で経験値の割り振りについて協議されていましたが……非常に効率的で効果的な分配であったと思います……マニュアルもよく読み込まれていらっしゃったようで、フェイザー・キャノンに付いても言及されておられましたから……それと改めて感じたのは、あの控室にいた全員がお互いを深く信頼し合っている、と言う事ですね……」
「……ハーヴェイさん……それは私も全く同感ですね……」
司会のアランシス・カーサーが、頷いて応じた。
「……アドル・エルクさんって、何者なんですか? たった5分のマッサージであんなにイカせられるなんて、信じられません……」
と、インナ・リチョワさん。
「……私…明日の朝、アドルさんに突撃レポートします! 色々質問して来ます! 」
と、イナ・ピエハさん。
「……エ!? レポーターは私ですけど? 」
と、ダーラ・ジスキンさん。
「……あなたは、ハイラム・サングスター艦長にインタビューするんでしょ? 」
「……そうですけど……」
「……(笑)…まあまあ……カメラマンならもう1人出しますから、ピエハさん…お願いします……」
「……ありがとうございます…出航前の限られた時間ですけど、色々インタビューします! お楽しみに! 」
「……アドル・エルクさんのマッサージもすごいんですけど……『ディファイアント』のスタッフの皆さん……アドルさんの事が好きなんじゃ……? 」
エスター・ロッサム女史がそう言うと、ルカ・アラナも頷いた。
「……私もそう思いますね……アドルさんには……話せば話す程に目の当たりにする、底知れない魅力があるのかも知れません……」
「……今度…ハイラム・サングスター艦長に連絡を執って……アドル・エルクさんの事を訊いてみますよ……」
と、ニール・マッキーン准将。
「……私やこちらのラベル女史は、開幕前にアドルさんと何度か話す機会がありましたので、彼の人柄にはある程度触れていました……礼儀正しいですが気さくに話せる人ですね……一緒に少しでも同じ仕事に取り組んだら……きっと直ぐ、彼の魅力に惹き込まれたでしょう……何と言いますか……配慮や気遣いを先回りしてする方ですから……気付いて驚いて感心したら、もう惹き込まれていますね……」
「……そんなにすごい人なんですか……でしたら私も是非1度お会いして、お話を伺いたいですね……」
と、ラーハルト・アーミセン氏。
「……アドル・エルクさんは、エンジニアとしても特異で稀有な才能をお持ちのようですから…私も是非、お会いしたいですね……」
と、ジョン・ドーフマン氏。
「……私は同じゲームプレイヤーとして、お話を伺いたいです……」
と、ハーヴェイ・カイテル氏。
「……私は、シエナ・ミュラー副長とハル・ハートリー参謀に、お話を伺いたいですね……」
と、ルカ・アラナ氏。
「……話は、カウンセラーのハンナ・ウェアーさんと、メイン・パイロットのエマ・ラトナーさんにお会いしたいです……」
と、インナ・リチョワさん。
「……私は『ミーアス・クロス』と『リアン・ビッシュ』の8人に、話を訊きたいです……」
と、イナ・ピエハさん。
「……私が話を訊いてみたいのは2人です……1人は『アグニ・ヤマ』で副長を務める、カーラ・ブオノ・マルティーヌさん……彼女と私は10年来の友人なので、久し振りに会いたいですね……もう1人は、アドル・エルクさんのお勤め先が彼の為に選任させたと言う、専任秘書の方……艦長の皆さん方が集まられての対談配信番組で、お顔を拝見しました……出来ればお会いして、お話してみたいですね……」
と、エスター・ロッサム女史。
「……それにしても、エマ・ラトナーさんがこのゲームに参加されているのがすごいと言うか……今だに信じられない気持ちですよ……【E・X・F】(エクセレント・フォーミュラ)……ファースト・エクセレンデット・クラスでも5指に入る強豪チームで、マスター・パイロットを務めていた彼女が……半分引退するみたいな形でこのゲームへの参加を決めたのが何故なのか……出来れば私も訊いてみたいです……」
と、カムリン・マンハイムさん。
「……私は明日…ハイラム・サングスター艦長に、アドル・エルク主宰がどんな人なのかについても訊きます……お楽しみに! 」
と、ダーラ・ジスキンさんがトリを獲った。
「……ハイ……とても綺麗にまとめて頂きまして、ありがとうございます……ご視聴頂いている皆さん……長時間に亘りお付き合いを頂きまして、ありがとうございます……まだまだファースト・ゲームのご紹介が終わりません……各艦内での親睦パーティーの模様も……まだ全くご紹介しておりませんが……本当に残念ですが、お時間になろうとしております……次回はまた来週木曜日の夜に……おそらく『ディファイアント』のセカンド・ステージから……親睦パーティーまでご紹介出来れば幸いです……そして、いよいよ明日はセカンド・ゲームの開幕です……アドル・エルク主宰の予測では…【『ディファイアント』共闘同盟】にとって初めての組織的な艦対艦隊戦闘になるであろうとの事でしたが……如何、相成ります事でしょうか……私自身もそうですが、ご視聴の皆さんも大変に期待されている事と思います……このヴァラエティ・ショウでも、なかなか追い付けないとは思いますが……皆さんに観て頂きたいシーンは総てご紹介するつもりで、お届けして参りますので…どうぞ、宜しくお願い致します……それでは、今回もこのメンバーでお送り致しました……また、来週木曜日の夜にお会いしましょう……おやすみなさい……」
配信番組は終わった。
「……母さん……女性ドライバーでの、ワゴン・タクシーを呼んで? 全員乗って貰って、1人ずつ送り届けて貰おう……着いたら、私が先に支払いを済ませるから……」
「……はい…お任せを……」
そう応えて、携帯端末を取り出す。
「……アドルさん……観させて頂いて、ありがとうございました……『ディファイアント』は最強ですね! 絶対に最後まで残りますよ! 」
「……ありがとう、テレンス君……『ディファイアント』が勝てたのは、スタッフが優秀だからだよ……それに、『ディファイアント』は最強じゃない……6th・ステージはクリア出来なかった……軽巡宙艦では、6隻がクリアしたと聞いている……その6隻は、間違いなく『ディファイアント』よりも強いだろうね……」
「……でも『ディファイアント』は、必ず最後まで残ります! 」
「……ありがとう……僕もそう願うよ……」
「……アドルさん……明日からのセカンド・ゲームは……厳しい戦いになるんですか? 」
マノン・ドアが心配そうに訊く。
「……うん……僕の予測が当たれば、同盟にとって初めての組織戦になるだろうね……でもまあ……そんなに厳しくも酷くもならないように、段取りは考えるから……心配しなくても好いよ……危なくなったら離脱するからさ……」
「……個室の中って、どうなっているんですか? 」
ルカ・アラナだ……端末を取り出して画像を呼び出し、手渡す。
「……画像はコピーしないでね? 一応、非公開になっているから……皆にも観せてあげて? 」
「……艦内でのお食事は、どのように摂られているんですか? 」
クララ・サンサだ……残っていた酒を飲み干して、グラスを置く。
「……艦内での食事は、基本的にバー・ラウンジで摂るんだけど……料理は中の厨房で作ってくれる……『ディファイアント』に来てくれたシェフの皆さんが、もう本当に最高でね……どんな料理でも食べられる……だから食事については、何の心配も無いよ……」
「……アドルさん! このお部屋に毎週2日も居られるんですか?! すごいですね! このお部屋なら、5人家族でも全然大丈夫ですよ! 」
ミレーナ・カッシーニが比較的に大きい声で言いながら、隣のアデリーンに端末を渡す。
「……まあ2日と言っても泊まれるのは一晩なんだけどね……1人じゃスペースが余りまくりだよ……」
「……いつか……このお部屋も含めて『ディファイアント』の中を観たいです……」
アデリーン嬢は何だか少しうっとりとした表情だ。
「……そうだね……実はちょっと考えていてさ……マスター・プロデューサーのマルセル・ラッチェンスさんに提案してみようと思っている事があるんだ……言わば、ファン感謝デーとでも言えば好いのかな?……シーズンはまだまだ続くだろうけど、敢えて時間を取って特別編みたいな感じでね……各艦スタッフ・クルーのご家族や親しい関係者を招待して1日、艦内で楽しく一緒に過ごして貰おうって感じなんだけど……どう思う? 」
「……パパ、それ最高! 決まったら絶対行くよ! 春休みは間に合わないだろうけど、夏休みにやってくれたら好いな……親衛隊の皆も誘って好いよね? 最高……楽しみが出来た! 」
「…(笑)…まあ、その辺も含めて話してみるからさ……待ってて? 」
その後も10数分、楽しく雑談を続けた……タクシーが着いたので先に運賃を多めに支払い、子供達を乗せて見送る。
アリシアはさっさと歯を磨いて自室に入った……その後で私も歯を磨き、顔を洗ってタンク・ベッドの調整を済ませる。
「……明日着て行く服は用意したわよ……」
「……ありがとう……日曜日は遅くなってもここに帰って、月曜日は休むよ……」
「……分かりました……食材を観て、注文するわね……」
「……ああ……おやすみ、アリソン……」
「……おやすみなさい……気を付けてね……」
「……ありがとう……」
キッチンで何かの片付けものに取り掛かる妻の後姿を見遣って、タンク・ベッドの傍で服を脱ぐ……脱いだ服は畳んでカゴに入れ、そのままタンク・ベッドの下に置く……寒いのでタンクのハッチを開けて中に滑り込み、耳と鼻にウィスパーを詰めてソフト・レギュレーターを咥える……ゆっくりとした呼吸を続けてリラックスを図り、温かいエプソム・ソルト水溶液の中で横たわった。
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