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地上界にて…

リアル・バラエティ・ライヴ・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』3/6 …3…

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 3月6日(金)PM 20:00……

 接続・視聴確認……オープニング・スタートシーン……『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社のロゴが10秒間、表示されるのは変わらない……変わって『ヴィンセント・ガラン』・『ダルモア・エレクトス』・『バトゥ・ウルス』・『チャッカラタナ・ヴァルティン』・『ラバブ・ドゥーチェン』・『アグニ・ヤマ』が躍動する戦闘シーンが、これもそれぞれ10秒ずつ流されたのには感動したし、感心もした。

 やはり20隻全艦を平等・公平に扱って紹介するつもりではいるらしい。

 今夜も昨夜に引き続いて、メインとサブの司会者は変わらない……アランシス・カーサー氏と、デザレー・ラベル女史だ……カーサー氏は黒のタキシードで真紅のアスコット・タイ……ラベル女史は水色のイブニングドレスだった。

「……『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社のメインサイトに接続して下さいました皆さん…こんばんは……リアル・バラエティ・ライヴ・ショウ…『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』3/6 のお時間です……改めましてこんばんは。接続して下さいまして、ありがとうございます。今夜も昨夜に引き続いてメイン司会を務めます、アランシス・カーサーです。宜しくお願い致します……」

「……こんばんは。同じく接続して下さいまして、ありがとうございます。今夜もサブ司会を務めさせて頂きます、デザレー・ラベルです。どうぞ、宜しくお願い致します……」

「……さて…昨夜に引き続きまして2回目の配信であります、リアル・バラエティ・ライヴ・ショウ…『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』…3/6 を、開幕致します……昨夜の初回配信に於きましては…20隻全艦の初出航完了までをご紹介致しました……そして、今夜の配信に於きましては…ファースト・チャレンジミッションとして設定・施行されました…模擬対艦戦ミッションに20隻のそれぞれが、どのように取り組んで勝利を目指し…クリアしていったのかのご紹介を前半としまして……後半は、初出航後の20隻全艦に24時間以内での開催が義務付けられておりました…初出航記念艦内親睦パーティーの模様を、それぞれの艦内に於いてご紹介致します……そして…今夜も昨夜から引き続いて、多面的な見解のご紹介やご説明……また多々あります事象側面それぞれの詳細な解説に於いて、昨夜と同じ方々にお手伝いをお願いしております……先ず優先取材記者クラブのラーハルト・アーミセンさん…宜しくお願い致します……」

「……宜しくお願い致します…視聴されている皆さんにも、宜しくお願い致します……昨夜に引き続いて、ラーハルト・アーミセンです……先ず優先取材記者クラブから、視聴されている皆さんにお伝えします……現在このゲーム大会に於ける詳細な報道コンテンツはこの配信番組だけと言う状況ですが、先のファースト・ゲームに於ける様々な事象や内容のご紹介がこの配信番組の中で終わりました時点を以て、ファースト・ゲームに関する総ての報道が解禁となります……つまり……先のファースト・ゲームに関する限り『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社が収録しました、総ての動画データへのアクセスが無制限で可能となりますし『サバイバル・スペースバトルシップ』大会運営推進本部にて作成記録されている『ファースト・ゲーム・データベース』へのアクセス・閲覧も、無制限で可能となります……が…この『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』に於きまして、ファースト・ゲームでの詳細事象が充分に紹介されますのは来週の配信が終了した時点を以ちましても難しいであろうと言うのが現時点での実感でありますので、ご視聴の皆さんに於かれましては今暫くご期待を以てお待ち頂きたいと思います……配信の冒頭から長いコメントで、申し訳ありませんでした……」

「……はい…ありがとうございました、アーミセンさん……本来でしたら我々司会者から発表しなければならない報道及び情報解禁についてのお報せを伝えて頂きまして、申し訳ありませんでした…重ねて、ありがとうございます……続いてエンジニアリング・プロデューサーのジョン・ドーフマンさん…昨夜に引き続いて宜しくお願い致します……今夜の配信に於ける技術的な側面での見どころとしては、何がありますでしょうか? 」

「…はい、宜しくお願いします。ジョン・ドーフマンです……視聴されている皆さんにも、宜しくお願いします……
ファースト・ゲームでは模擬対艦戦ミッションが設定・発表の上で施行されました……参加艦それぞれからの参加表明の上で、我々がプログラムした3D表示艦との模擬戦に移行します……選ばれた20隻の軽巡宙艦それぞれが、3D表示での軽巡宙艦との模擬戦にどのように取り組んでミッション・クリアを目指すのかが見どころになると思います……」

「……ご丁寧にありがとうございました、ドーフマンさん……それではニール・マッキーン参謀次官……今夜も宜しくお願い致します……今回の模擬戦ミッションに於ける戦略・戦術的な視点に於いては、どのような側面に注目するべきでしょうか? 」

「……ご視聴の皆さん、今夜も宜しくお願いします…ニール・マッキーンです……ドーフマンさんのエンジニアリング・チームによる3D表示模擬艦のプログラム・データは私共でも拝見して検証もさせて頂きましたが……その技術水準は、現行に於いて運用されているダミー・プログラムと比較しましても遜色ないレベルであるとの報告を受けました……なので、選ばれた20隻がこの模擬艦に対してどのように戦い抜くのか…非常に興味のある処です……」

「……ありがとうございました…マッキーンさん……続きまして、プロ・ゲーム・プレイヤーのお二方にもお伺いしましょう……昨夜に引き続きまして、今夜も宜しくお願いします……ハーヴェイ・カイテルさんと、メリッサ・エクスタインさんです……いよいよゲームが始まりまして…A I 制御による模擬戦とは言え、実際に対艦戦闘が展開される訳ですが…どのような点に注目されますでしょうか? 」

「……皆さん、こんばんは。今夜も宜しくお願いします…ハーヴェイ・カイテルです……拘りとか癖とか特徴的な傾向とか嗜好が設定されていないA I 制御による操艦は、効率とか効果を合理的に追及する傾向が顕著に顕れやすくなりますので、それが理解できていれば比較的に対処はしやすいと思います……それを加味して、選ばれた20隻の操艦を見極めたいと思います……」

「……続きましてこんばんは…メリッサ・エクスタインです……今夜も宜しくお願い致します……私もカイテルさんと同じ注目点で拝見させて頂きたいと思いますが…特に、各艦内での指示や会話にも注意を払って聴き取り、各艦での合意形成がどのように成されたのかについても、見極めたいと思います……」

「……ありがとうございました。カイテルさん…エクスタインさん……どうぞその姿勢を堅持されたまま、今夜も宜しくお願い致します……それではゲスト・コメンテーターの皆さんも、昨夜と同じメンバーでお願いしております……ルカ・アラナさん、今夜も宜しくお願いします……アラナさんが今夜の見どころとされる処は、どちらでしょうか? 」

「……皆さん、こんばんは。昨夜に引き続き、ルカ・アラナです……今夜も引き続き、宜しくお願いします……私は特に女性艦長を支える男性芸能人副長の発言と動向に注目したいと思います……」

「……宜しくお願いします。では、インナ・リチョワさん……宜しくお願いします……」

「……皆さん、こんばんは。今夜も宜しくお願い致します……私は副長さん以下のスタッフとサブ・スタッフさん達の発言と動向に注目させて頂きます……重ねて宜しくお願いします……」

「……続いて、グラビア・モデルとしても活躍されている…イナ・ピエハさんです……今夜も宜しくお願いします……」

「……イナ・ピエハです……今夜も宜しくお願いします……私は『ディファイアント』のパーティーに注目しています……きっとすごく素敵で楽しいパーティーなんだろうなと、思います……」

「……ありがとうございました……続いて、女優のエスター・ロッサムさんです……今夜も宜しくお願いします……」

「……宜しくお願いします。エスター・ロッサムです……私は、男性艦長の皆さん……全員の発言と動向に、強く注目して参ります……」

「……ありがとうございました、ロッサムさん……それでは、カムリン・マンハイムさんです……今夜も宜しくお願いします……」

「……こんばんは。今夜もお付き合いを願います。カムリン・マンハイムです……私は特に……アドル・エルク艦長……ヤンセン・パネッティーヤ艦長……ザンダー・パスクァール艦長の言動に強く関心を持ち、注目したいと思います……」

「……ありがとうございました。マンハイムさん……宜しくお願いします……それでは最後に、突撃レポーターを務めて下さいました…ダーラ・ジスキンさんです……今夜も宜しくお願いします……」

「……こんばんは。今夜も宜しくお願い致します。突撃レポーターの、ダーラ・ジスキンです……実は開幕日に於いて私は、スターティング・セレモニーが終わりまして皆さんがそれぞれの艦に搭乗しようとしていた時、丁度この日に43才のお誕生日を迎えておられました『バトゥ・ウルス』のネヘマイヤ・パーソフ艦長に、インタビューを慣行致しまして収録にご協力を頂きました……今夜はその模様をご紹介致します……更に、明日のセカンド・ゲーム開幕前には、ハイラム・サングスター艦長へのインタビューを敢行致します……どうぞご期待の上、お待ち下さい……」

「……ありがとうございました、ジスキンさん……今夜も宜しくお願い致します……パーソフ艦長にご協力頂きまして収録しましたインタビューも、今夜ご紹介出来れば幸いに思います……それでは……弊社メイン・サイトに接続されている皆さんもご期待の事と思いますので……先ずはファースト・チャレンジミッションが発表されてからの同盟主宰艦『ディファイアント』を含む、参画諸艦での反応とその様相……艦内での指示や会話や動向なども含めまして、ファースト・ステージが開始される迄を様々にご覧頂きましょう……」


【「……チャレンジ・ミッション? この4日間は無いと思ってたんだけどな……読みは外れたようだな……」

「……アドルさん、生配信番組の中で、そのような事を仰いませんでしたか?  」

シエナ・ミュラーが訊く。

「……言ったかなあ……まあ別に、生配信番組の中で、でなくても観られてはいたからな……私がそう思っていると言う事を、クルー以外でも知っている人は、いたと思うね……それよりカリーナ、ミッションの内容を読んでくれ?  」

「……分かりました……ファースト・チャレンジ・ミッションは、模擬戦闘ミッションです。プレイヤーであるミッション参加艦は、ゲームフィールド内にて3D投影される模擬敵艦と模擬戦闘を行います……このミッションに参加すると表明した時点でスタートします。模擬敵艦の設定は同じ軽巡宙艦ですが、攻撃力・防御力・機動力共にノーマルレベルの2倍です……こちらで設定出来るのは、この模擬敵艦何隻と交戦するか? です……模擬戦闘ですので攻撃を受けても、実際にこの艦体が損傷する事はありませんが、状況としては損傷したと表示されます……彼我のどちらかが継戦能力を喪失したと判定されるまで続けられます。運営推進本部は本艦の位置を把握していますが、模擬敵艦を操るプログラムには知らされません……最初の模擬敵艦を1隻と設定して模擬戦して勝利判定を受けた場合、30分後には次のミッションプログラムが始まるのですが、その場合には模擬敵艦1隻がプラスされて敵艦2隻でスタートします……模擬戦の結果として授与される報酬は、賞金に於いても経験値に於いても、通常の戦闘結果と変わらないレベルで受けられます……このミッションへの参加表明期限は今から42分後です。期限を過ぎても表明しなかった場合には、ミッション参加艦とは見做されません……尚、昼食休憩時間・夕食休憩時間・ナイトタイム・及び初出航記念艦内親睦パーティーの開催時間を申告すれば、その時間内でミッションプログラムは発動されません……」

「……1隻プラス……倍になるって訳じゃないんだな……しかし、40分後とは急かすな……副長、同盟参画艦は全艦出航したのか? 」

「……はい、え~と、2分前に全艦出航しました……」

「……そうか。じゃあ『ARIA』は全艦聴いたんだな? 」

「……聴こえては、いたはずですね……」

「……そうか。副長、暗号秘密通信回線を開いて、次のように発信してくれ……同盟参画全艦は、原則としてチャレンジ・ミッションには参加するように……4日間と言う長丁場だから無理はせず、最初の模擬敵艦設定は1隻とするように……休憩時間・ナイトタイム・パーティー開催時間の申告は、忘れないように……ミッションの結果に応じて授与される報酬の処理については、各艦司令部に一任する。以上だ……」

「……了解しました。そのように発信します……」

「……それが終わったら同盟各艦からの返信を待った上で、運営推進本部に向けて各休憩時間とナイトタイムと親睦パーティーの開催時間を申告した上で……チャレンジ・ミッションに参加する旨を表明してくれ……」

「……了解しました……」

「……ハル参謀、一応同盟参画全艦がミッションに参加したかどうかの確認だけ、お願いします……」

「……分かりました……」

「……副長、あとはこれだけ連絡しておいてくれ……私が任命したメイン・スタッフは全員、昼食休憩時間が終わる15分前に私の個室に集合するように……」

「……はい、あの……艦長控室ではなくて、個室ですね? 」

「……そう、私の個室です……」

『サライニクス・テスタロッツァ』ブリッジ……

「……サングスター艦長、どうされますか?  」

「……勿論、参加だ。ローズ副長……アドル主宰が魂を込めて作ってくれた、あの完璧な単艦での訓練プログラム・プランが無駄になってしまうかも知れないのは残念に思うが、実戦に勝る訓練は無い。……早速各休憩時間とナイト・タイムと親睦パーティーの開催時間帯を運営推進本部に申告した上で、ミッションへの参加を表明してくれ……アドル主宰の助言に従って、模擬敵艦の設定は1隻でな?  」

「……了解しました。そのように申告して参加表明します……」

『カレドン・カサンドラ』ブリッジ……

「……アドル艦長……なんて粋な名乗りの挙げ方なのかしら……このシチュエーションにピッタリの歌じゃない? 今頃大泣きしてるわよ、『リアン・ビッシュ』の4人……」

「……アシュリー艦長…?  」

「……コンラート副長、『カレドン・カサンドラ』もファースト・チャレンジ・ミッションに参加します……アドル主宰の助言に従って、除外時間を運営推進本部に申告し、模擬敵艦設定を1隻として、その上でミッションへの参加を表明して下さい……」

「…了解しました…」

『アグニ・ヤマ』ブリッジ……

「……ハンプトン艦長…?  」

「……マルティーヌ、遠く離れていても『アグニ・ヤマ』は『ディファイアント』に同道する。アドル艦長の助言に従い、時間の申告と1隻での設定をした上で、ミッションへの参加を表明してくれ給え? 」

「…承知しました…」

『ロード・ガラン』ブリッジ……

「……ヴィダル艦長、参加表明期限まであと30分です……」

「……アーミセン副長、勿論参加します。アドル主宰の助言通りに申告して設定の上で、参加を表明して下さい……」

「…イエス・マム…」

『トルード・レオン』ブリッジ……

「……どうしますか? ヤンセン艦長? 」

「……勿論、決まっているでしょう? 参加しますよ。訓練プログラムプランは、後で幾らでも使える時が来る。あれはハイラムさんとザンダーさんと俺の3人で案を出して、アドル主宰が完璧にまとめ上げた傑作だからね……いや、あれを読むだけでアドルさんの凄さが解るよ。まともにやり合ったら、俺なんか瞬殺されるだろうな……」

「…それで…? 」

「……だから、除外時間と模擬敵艦設定を1隻って事で申告して、参加を表明して下さい……」

「……了解しました。ヤンセン・パネッティーヤ艦長……」

その数分後………

「……アドル艦長、同盟参画全艦がチャレンジ・ミッションへの参加を表明しました……」

 ハル・ハートリー参謀が、そう報告する。

「……了解。シエナ副長、本艦も申告と参加表明を……」

「…分かりました…」

「……ブリッジより全セクションに通達。総員第1警戒配置! 」

 第1警戒アラートが鳴り響く。

「……30秒でアラートは解除。コンピューター、本艦を中心に半径第4戦闘距離内のチャートをブリッジ中央部領域に3D投影!  」

 約1.5秒で投影された。

「……カリーナ、センサー・パッシブ・スイープは中距離領域を重点に!  エマ、コースこのままで、セカンド・スピードまで加速!  エドナ、主砲1番2番の砲身を最大仰角へ!  同盟参画全艦に向けて激励の礼砲を撃つ! 臨界パワー100%、発射出力80%で斉射3連セット!  」

「……了解しました……セット完了!  」

「……撃ち方、始め!  」

「……発射!!  」

 主砲1番2番砲塔、4本の大口径ビームが1射2射3射と斉射され、虚空に吸い込まれて消えた。

「……よし…総員第1戦闘配置! シエナ! 秘密回線を通じて同盟参画全艦に向け、初戦の健闘を祈ると……来るぞ! 」

「……多分、第2戦闘距離か、その少し外側……第3戦闘距離までは離れない筈だ。いきなりもっと内側かも知れんがね。模擬戦用ダミー・アタック・ルーティン・システムをチェック! 」

「…チェック完了。異常無し…」

「……まあ、エネルギー消費は気にする必要が無い……思い切ってやれるさ……一応対艦ミサイルの積載本数設定は100本だけだけどな……」】


「……はい……取り敢えずはここまで、ご覧頂きました……この後で直ぐに、ファースト・チャレンジ・ミッションのファースト・ステージへと、入って参ります……ラーハルト・アーミセンさん……ここまでご覧になられて、何かしら感じ入られたような処はありましたでしょうか? 」

「……はい……私がここまでの反応やら動向やら指示やら会話やら遣り取りを観て感じましたのは……アドル・エルク主宰以外の全員が、彼を強く信頼していると言う事ですね……それがごく自然・当然に、力を抜いて示されています……感動的な程です……最後に同盟に参画する全艦に向けて、激励の意味で『ディファイアント』が最大仰角で撃ち上げた礼砲のくだりは……承前でのクライマックスのように感じられました……」

「……途中ですが、宜しいでしょうか? 」

 エスター・ロッサム女史が右手を挙げる。

「……どうぞ、どうぞ! エスター・ロッサムさん……発言とか質問とか……意見を伺うのにも…何の順番も設定しておりませんので……ご自由に…ご随意に…いつでもお気軽にご発言下さい……宜しくお願いします……」

「……はい……ええ、あの……すみません……割り込んだらマズイかな? とも、思いましたので……問題が無ければ続けます……ここまでを観させて頂いて私が感銘を受けたのは……やはりアドル・エルク艦長が『リアン・ビッシュ』の『ARIA』を、全宙域に流した事ですね……あれは『ディファイアント』にとって最高の名乗り挙げになりましたし『ディファイアント』のスタッフとクルー……特に『リアン・ビッシュ』の4人にとっては、最高の気遣いと配慮になりましたし……同盟に参画する各艦の関係者には、アドル・エルク主宰が示した粋な図らいに観えたでしょうし……同盟に敵対しようとしている勢力に対しては…絶妙な煽りとなった事でしょう……このようにアドル・エルク主宰は、ひとつの行動で4種類の効果を促しました……言い方を換えれば一石四鳥であった、と言う訳です……」

「……ありがとうございました。ロッサムさん……私も正に、そのように感じました……何と表現すれば好いのでしょうか? アドル・エルク艦長が然り気無く示す、人を効果的に感動させる手法? には……この私でも驚嘆を禁じ得ません……」

「……すみません……私も、宜しいでしょうか? 」

「……どうぞ、ドーフマンさん……ご自由に、忌憚無くお話し下さい……」

「……ありがとうございます……私がちょっと……個人的に非常に気になっているのが……アドル・エルク主宰がまとめ上げられたと言う……完璧な単艦での訓練プログラム・プランです……これは個人的に何としても何処かで……開陳して頂きたいと…感じています……」

「……ドーフマンさん……私も全く同感です……個人的にも……職務上に於いても非常に強く…興味を唆られています……何としても何処かで……何らかの形で発表と言うか……示して頂きたいと、感じています……」

「……なるほど……視聴されている皆さん……ジョン・ドーフマンさんと、ニール・マッキーンさんから、同じ感想が寄せられました……言われてみますと、この私でも非常に気になって参ります……」

「……アドル・エルクさんは開幕前から、最初のゲーム・フィールドは途轍も無い広さになるであろうと予測されていたのがひとつ……また、最初の2週間に於いてチャレンジ・ミッションは発表されないだろうと予測されていたのがひとつ……でした……だから、単艦での訓練プログラム・プランが必要になると考えられたのでしょう……」

 ハーヴェイ・カイテルがそう言い終えると、その場に居る全員が感心した面持ちで彼を見遣る。

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