262 / 294
地上界にて…
リアル・バラエティ・ライヴ・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』3/6
しおりを挟む
エレカーの運転をオートにセットして自宅への帰路に着きながら、アリソンとアリシアとも通話した。
アリシアと先に話したが授業はあと1時限で終わるとの事で、放課後にはクラスメート等7人と共に共同学習と言う名目でウチに連れて帰るとの事だった……その7人の親御さんには必ず事前に連絡して許可を貰う事を条件に了承の意向を示す……我が娘ながらすごい喜びようではあったが……気を付けて帰るようにと言い置いて通話をアリソンに切り換える……アリシアの話をそのまま伝えて、保存してあるケーキとお茶で持て成すように頼む……基本的には夕食までに帰らせるように段取りを組もうと大まかに意思統一して何か買い物はあるかと訊いたが、特には無い……気を付けて帰ってくれれば好いとの事だったので、了承して通話を終えた……アリシアの帰宅と自分の帰着…どちらが早いか微妙だったので、運転をマニュアルに切り換えて少し急ぐ事にした。
結果としては、私の方が早かった……アリシアと共に友人達が来訪したのは、帰宅した私が一服してシャワーを浴びて…アリソンが選んだ失礼のない部屋着に着換えてから、15分後だった。
「……やあ、いらっしゃい……よく来てくれたね……寒かったでしょう? さっ、遠慮せずに上がって下さい……いつもアリシアと仲良くしてくれてありがとう……自己紹介は座って寛ぎながらしよう……こちらです……」
そう言って7人をリビングに招き入れる……アリソンとアリシアが7人にハンガーを渡してコートを掛けて貰った……アリシアは着換えて来るからと皆に言って、自室に入った……7人のお茶の好みを訊いた私はその場をアリソンに任せてキッチンに入り、ミルクティーを3つ…レモンティーを2つ…ホット・ミルクココアを3つと、自分のコーヒーを含めて点てて淹れて仕上げ…トレイに乗せてリビングに戻り、それぞれの前に配した……その時にはアリシアも着換えて、ソファーに座っていた。
「……改めてようこそ……初めまして……アドル・エルクです……こちらはアリソン……アリシアがいつもお世話になっているね……来てくれて、どうもありがとう……今日は寛いでいって下さい……テレンスとアデリーンとロヒスとマノンとは、暫くだったね……元気そうで好かった……ああ、ごめんなさい…せっかくのお茶が冷めてしまうね……飲みながらで好いから、名前を聞かせて貰えるかな? 」
「……初めまして…ルカ・アラナと言います……2年生で、演劇サークルのサブ・リーダーです……今日は急にお邪魔しまして済みませんでした……大ファンのアドル・エルクさんにお会いできてすごく嬉しいですし、光栄です……アリシアとは一緒に演劇サークルで頑張っています……あんまり上手く話せませんけど、今日は宜しくお願いします……」
上手く話せないとは言ったが、緊張している様子を差し引いても結構好い滑舌だ……流石にサブ・リーダーだな、と思う……背はテレンスより僅かに低いが、精悍さはテレンスとロヒスの中間ぐらいの印象だ……テレンスよりも長髪だが、ロヒスのような天然カールでもない……ロヒスが醸し出している攻撃的な印象を20%抑えれば彼ぐらいになるのだろう。
「……初めまして、ミレーナ・カッシーニと申します……今日は急にお邪魔致しましたのに、快く迎えて下さいまして、ありがとうございます……アリシアとはクラスメイトでもあり、同じ演劇サークルのメンバーでもあります……私もアドル・エルクさんの大ファンでして、今日はお会いできて本当に嬉しいですし光栄です……そして私は今……このミルクティーに凄く感動しています……こんなに美味しいミルクティーを飲んだのは、初めてです……これから宜しくお願い致します……」
育ちがすごく好いようだ……先ず15.6才の話し方じゃない……ハイスクール『エドゥアール・オランピア』には、裕福な良家の子女・子弟が結構在籍していると言う……彼女の家庭も、そのような良家なのかも知れない……青味掛かった漆黒のストレート・ロングヘアが、珍しい印象を残す……本当にこの髪色は過去に観た記憶が無い。
「……初めまして、アドル・エルクさん……お会い出来て光栄です……隣のクラスなのですが同学年と言う事で、アリシアとは仲良くさせて貰っています……今日は快く迎えて頂きまして、ありがとうございます……クララ・サンサと申します……アリシアとはハイスクールの受験準備期間中に、同じ学習塾で知り合いました……実はその頃に一度だけ、ここにお邪魔させて頂いたのですが…アドルさんにはお会いできませんでした……改めまして、これから宜しくお願いします……それとあの……とても美味しいホット・ミルクココアをありがとうございます……」
「……へえ、そうだったんだ……覚えてる? 」
「……ごめんなさい……今思い出しました……お久し振りですね、クララさん……」
「……ありがとうございます……ご無沙汰しております……アリソンお母さん……お元気なご様子で嬉しいです……」
この娘の話し方も上品だ……体格は華奢で小柄で小顔だが、弱々しくは観えない……健康な元気強さを感じさせる。
「……3人とも初めまして……丁寧ではっきりしていて分かりやすい自己紹介をありがとう……アドル・エルクです……気軽にアドルと呼んで下さい……え…ルカにミレーナにクララだね? そう呼んでも好いかな? 」
「……はい、大丈夫です……」
「……ありがとうございます……」
「……宜しくお願いします……」
「……こちらこそ、どうもありがとう……宜しくお願いします……テレンスにアデリーンにロヒスにマノンも暫くだね……元気そうに観えるよ……アリシアがお世話になっています……全員…親衛隊のメンバーかな? 」
「……はい、全員メンバーです……お久し振りでした、アドルさん……またこの…すごく美味しいミルクティーが飲めて嬉しいです……感動しています……」
テレンス・カシオが少し恥ずかし気に照れている……キリッとして観せれば精悍で逞しくも観えるのだが、やはりこの年頃の男の子と言うのは可愛いものだ。
「……ご無沙汰していました、アドルさん……また、このとても美味しいミルクティーが飲めて本当に嬉しいです……私も感動しています……明日はまたゲームに参加されるのに、お邪魔してしまってすみません……でも…帰宅されると伺いましたので、親衛隊と支持者に向けた配信ブログ用にお話しを伺えればと思って来ました……手短に終らせますので、どうか宜しくお願いします……」
相変わらずのショートウェイブで完璧にセットされている、素晴らしく輝くゴールドブロンドだ……アデリーン・ジーマは一般的な視点から観てもかなりの美人だが…少し妖艶で小悪魔的な可愛らしさもある……それもこの娘の才能と言うか適性なのだろうが…それでも私から芸能界の話をするような事はないだろう。
「……ありがとう、アデリーン…どう致しまして……アリシアとよく付き合ってくれているお礼もあるから、何でも訊いて好いよ……応えられない事には答えられないけどね……」
「……分かりました……宜しくお願いします……」
「……暫く振りです、アドルさん…またお会い出来て僕も嬉しいです……今日はレモンティーを頂いていますけれども、これも本当に美味しいです……アドルさんもアリソンさんも本当に素敵で素晴らしいお父さんとお母さんで……アリシアが羨ましいですし、嫉妬もしています……」
「……ありがとう、ロヒス君…暫くだったね……褒めてくれてくすぐったいぐらいに嬉しいんだけど、そんなに大した親子関係でもないんだよ……それより僕は君が君らしく実直に、誠実に育って成長している事に感銘を受けているんだ……きっと君のご両親は…私達よりも品格の高い人達だと思うんだよ……」
「……ありがとうございます……両親が聞いたら、喜びます……」
「……どう致しまして……処で、ザハシュは練習しているのかい? 」
「……はい…少しでも時間を採って、毎日練習しています……殆ど独学ですが……」
「……それで好いと思うよ……いつか聴かせて欲しいし、僕のギターと合せてセッションもしてみたいね? 」
「……ありがとうございます……恥ずかしいですけれども、頑張ります……」
「……お久し振りでした、アドルさん……またこのとっても美味しいココアが飲めて、本当に嬉しいです……また明日はゲームに参加する為に、朝早くから出掛けられる処をお時間を割いて頂いてもありがとうございます……もう感動していて、あまり言葉が出て来ません……」
マノン・ドアの限りなく白い肌が今は感動しているのか、赤味が挿して観える……この娘も上品で慎ましやかな仕草と所作を観せる……きっとご両親も、そのような方達なのだろう。
「……マノンも今日は来てくれてありがとう……ゆっくり寛いでね……アリシアは本当に好い友達を持ったと思っているよ……ああ! 母さん、ケーキがまだだよ…取り敢えず全部持って来て? アリシアはケーキナイフと取り皿とフォークを頼むよ…皆、気が付かないで御免なさいね……考えてはいたんだけど、ちょっとスッポリ忘れていたよ…本当に御免なさい……」
「……あら大変…気が付かないで御免なさいね……直ぐに持って来ますからね……」
「……本当にどうしたんだろう? いつもは忘れないのに……珍しくパパが早く帰って来たからかな? 」
「…俺のせいにするんじゃないよ(笑)早く持って来なさい…」
「…は~い…」
「……ちょっと…変な処を観せちゃったね……じゃあ……何でも質問……好いよ……その前にさ……昨夜の配信を観て、どう思った? 」
「……すごく感動しました……『ARIA』を…全フィールドで流された時……それを聴いた『リアン・ビッシュ』と『ミーアス・クロス』の8人が…口を押さえて泣いていて……私も泣いてしまいました……」
ミレーナ・カッシーニが直ぐにそう応えた……他の女子生徒達も一様に頷いている。
「……『ARIA』が流れた時……僕も凄く感動して、震えが止まらなくなったぐらいだったんですけど……実はアドルさんの最初のスピーチの時から鳥肌が立ちっ放しだったんですよね……」
テレンス・カシオも少し興奮気味に応える。
「……僕も最初から全部観ていてとても感動していました……『ディファイアント』だけではなく、共闘同盟に参加する他の19隻の軽巡宙艦が発進して出航完了までの様子が紹介されて……観ながらすごく感動して興奮していました……」
ロヒス・ムケーシュも率直な感想を熱っぽく話した。
「……私はシエナ・ミュラーさんがすごく格好良いと思いました……アドルさんが指示してからは、シエナさんが『ディファイアント』の出航完了まで指示を出していて……その姿に、すごく感動していました……シエナさんのような女性(ひと)になりたいと思いました……」
アデリーンも思い出して感動の余りに泣きそうになっている……その時に冷蔵庫で保存されていたそれぞれのケーキを、アリソンとアリシアがショートケーキ程の大きさに切り分けて、取り皿に美しく盛り付けてフォークも添えて、皆の前に配していった……なかなかに器用に盛り付けられていて綺麗な盛り合わせになっている。
「……お待たせしてしまって、申し訳なかったね……さ、遠慮なく食べて下さい……実はこのケーキはね……『シムリット・サール』の艦長、メリッサ・エメリックさんがご主人と経営されている生菓子店で買い求めたんだよ……最近、美味しいケーキを出していると評判のお店でね……実際にすごく美味しいケーキばかりなんだ……さあ、どうぞ? 」
「……そうなんですか? 嬉しいです……ありがとうございます……それじゃ、頂きます……」
マノン・ドアが目を輝かせてそう応え、ガトー・ショコラを一口食べると両手で口と頬を押さえて目を瞠る。
「……美味…しい…です……私…ガトー・ショコラが大好きで…よく食べるんですけれども、こんなに美味しいガトー・ショコラは食べた事がありません……メリッサ・エメリックさんのお店を教えて頂けませんか? 」
「……うん、好いよ……アリシアに教えておくから、後で訊いて? 」
「……ありがとうございます……お手数をお掛けします……」
「……どう致しまして……喜んでくれて嬉しいよ……これらのサイズは、元々6号のホールケーキで…ガトー・ショコラとザッハ・トルテ…ドボシュ・トルタにストロベリー・トルテとガトー・バスク…それでこれがベイクド・チーズケーキ…なんだけど、皆はどうだい? 」
「……とても美味しいです……僕はフルーツ・タルトが好きなんですが、この…ストロベリー・トルテですか? 言葉になりません……」
ルカ・アラナも一口食べて、目を瞠っている。
「……美味しい…と言う言葉だけでは絶対に足りません……私、ベイクド・チーズケーキには目が無い性質なんですけど……こんなに美味しいものには出会った事がありません……私にもメリッサ・エメリックさんのお店を教えて下さい……」
クララ・サンサもひと口食べて、赤くなった頬を押さえている。
「……うん、好いですよ…後でアリシアに訊いてね? 」
「……はい、ありがとうございます…感謝します……」
「……私はこの…ガトー・バスクに感動しました……初めて経験する、素晴らしい味です……私も後でアリシアにお店の事を訊きます……」
ミレーナ・カッシーニも一口食べて、すごく感動している様子だ……頬が紅潮して眼がキラキラしている。
「……皆、ありがとう……喜んで貰えて、とても嬉しいよ……是非一度、お店を訪ねてあげて下さい……それに同盟に参画してくれている艦長さんの中には、他にもとても素敵なお店を経営されている方がいらっしゃってね……『クラウン・カンバーランド』を艦長として率いている、エスター・セーラ・ヴェレスさんは素敵な生花店をご主人と一緒に切り盛りされているんだ……僕も時折そこで花束を買い求めて、家の中に飾っているんだよ……このお店も出来れば一度、訪ねてあげて欲しいな……それと『サンクトル・アブローラ』を率いるデボラ・ヴァジリーヴァ艦長は、婦人用服飾店のオーナー店長でもあられる……まだ訪ねた事は無いんだけど…この前の女性艦長達を集めた対談配信番組に招かれて出演した時に話を聞いたら…若い女性向けの服も多数取り揃えていますと仰っていたから、落ち着いたら皆で一緒に訪ねてみようと思っているんだけど……どうだろう……その時には一緒に行こうか? お母さんに訊いてみてくれる? 」
「……あ…あの……とても素敵なお話とお誘いを、どうもありがとうございます……エスター・セーラ・ヴェレスさんの生花店も…一度お訪ねしたいと思いますし、デボラ・ヴァジリーヴァさんのお店にもお邪魔させて頂きたいです……このお誘いの話は、ウチの親にも言います……ウチの親もアドルさんの大ファンなので、きっと興味を持って貰えると思います……本当に素敵なお話をありがとうございました……きっとご一緒に行けると思います……」
アデリーン・ジーマが両手を胸の前で組み合わせて、すがるように私を観る……ちょっとリップ・サービスが過ぎたかなとも思うが、まあ好いだろう。
「……どう致しまして…こちらこそ、ありがとう……処でさ…ご両親が僕のファンだなんて…本当? 」
「…! 本当ですよ! 大ファンですよ! も、僕達以上に親衛隊員ですよ! 今日だって配信ブログの取材でアドルさんのお宅にお邪魔するんだって言ったら、何で私に言わないの? 何で俺に言わないんだって大騒ぎだったんですから……」
と、テレンス・カシオが憤慨気味に言う。
「…へえ、そうなの? だって配信だって昨日が最初だったしさ……」
「…いや、激励壮行会も対談配信場組も、総合共同記者会見だって全部観てますから……」
「…へえ……そうなんだ……もうそんなにコアなファンの方がいらっしゃるんだね……ありがたいと思わなくちゃいけないね……」
「……いえ、こちらこそなんですけれども……もしもアドルさんの事を悪く言うような奴は、俺が許さないって言って息巻いてますからね……」
「…へえ……いや、本当にありがたい話だね……テレンス君…僕がお礼を言っていたと、お父さんに伝えてね? 」
「…勿論、伝えます……喜ぶと思います……」
「…ありがとう……それじゃ、質疑応答に移ろうか? 誰からでも好いよ……その前にひとつだけ……親衛隊向けのブログ記事は、ネットにも載せるのかな? 」
「…それじゃ僕からお答えして、質問に入ります……配信ブログ記事は親衛隊員にしか閲覧できないクラウドスペースにも保存しますが、ネットに載せたり流したりはしません……繰り返しますが、記事を読めるのは【『ディファイアント』共闘同盟】の存在とその活動を支持すると表明した、親衛隊員だけです……宜しければ最初の質問ですが…アドルさんご自身は最初のライブ・バラエティ配信をご覧になって、どう思われましたか? 」
「…ありがとう…テレンス・カシオ君……最初のスピーチを観た時には、俺ってあんなに格好の好い事を喋ってたんだっけ? とも思ったんだけど……まあそれは冗談としてもね……それ以外にちょっとした懸念材料があるとすれば、同盟が独自に設定した秘密会議室とシークレット・チャンネルの存在が早々にバラされてしまった事かな……これが明日からの作戦にどんな影響があるのかなと、考えている処だね……まあいいや……それを逆手に取る方法も、無くはないから……それとシエナ・ミュラー副長はね……本当に優秀な人ですよ……『ディファイアント』を指揮して戦い抜くなら、もう任せても問題は無いね……同盟を取りまとめて行くのは、まだちょっと厳しいだろうけど……」
「……分かりました……ありがとうございました……」
「……どう致しまして……他にはあるかな? 」
「……同盟は、今現在で何隻ですか? 」
「……ロヒス・ムケーシュ君……その問いに対する答えは機密事項の範疇に入るんだけれども、特別に答えよう……27隻だ……今日、3隻からの代表者と面談して…歓迎昼食会にも招待して、27隻として全体的にも認知したよ……」
「……ありがとうございます……続けての質問で失礼しますが、同盟は何隻まで増やすおつもりですか? 」
「……正直に言って分からない……状況の推移に依って、どうとでもなるだろう……ただ…指揮し得る限界点として考えるなら、1000隻以上には増やせないだろうね……それが指揮する上での飽和点と言う事だろうな……」
「……分かりました…ありがとうございました……」
「……どう致しまして……他にはどうかな? 」
「……このゲーム大会は…どこまで続くんでしょう? 」
「……ルカ君、ゲーム大会はそれこそ最後の数隻になるぐらいまではやると思うよ……ただ、このライブ・バラエティはね……サード・シーズンまでは内定してるんじゃないのかな? その先は誰にも分からないと思うんだけどね……ま、希望的観測で言っても好いなら…フィフス・シーズンまでは続けるんじゃないかなとは思うね……」
「…分かりました…ありがとうございます……」
「……どう致しまして…それじゃ、他にはあるかな? 」
「……アドルさん……もう少し待って観れば、どのようなものか判るとは思いますけれども……今夜の配信ライブ・バラエティは……どのような内容になると思われますか? 」
と、ミレーナ・カッシーニが訊いた。
「……そうだね……20隻がそれぞれ、チャレンジ・ミッションにどう取り組んで…模擬戦を戦い抜いたのか……次いでは、初出航記念艦内親睦パーティーをどのように開催したのか……が、紹介されるだろうね……」
こりゃあ……今夜、アリソンと愛し合うのは無理だな……まあ好いか……月曜日…休んで、ウチに居れば良いや。
「……それはやっぱり…『ディファイアント』からの紹介と言う事になるのでしょうか? 」
クララ・サンサが、被せて訊いてくる。
「……それこそ私には判らないけど……そうなる可能性も、考えられるよね……」
「……分かりました…ありがとうございます……『ディファイアント』でのパーティーがどのようなものか興味深いですし、紹介されるのを観るのがとても楽しみです……」
「……それはどうもありがとう……それでさ……君達がそれぞれ帰宅して、余裕を以て夕食も摂って……配信番組の視聴準備も整えて……視聴に臨むのなら、そろそろ動いた方が好いと思うんだよね……君達が好ければ…タクシーを呼ぶけど、好いかな? 」
「……お父さん…それについてなんだけど……このままウチで夕食を摂って……そのまま一緒に視聴して……その後それぞれ帰る、と言う事にしても良いですか? 」
「……アリシア……それはパパが許可する事じゃない……皆がそれぞれのご両親に対して、許可を取らなければならない事だ……お前が責任を以て、今から直ぐにそれぞれのご家庭に連絡を執って……それぞれのご両親から許可を貰いなさい……全員から許可を貰えたら、パパも許可する……但しそれまで……パパは一切口添えしない……それに急な話だから…充分な夕食は用意できないかも知れない……勿論その場合には、パパが少なく済ませる……さあ、始めて? 」
「……分かりました。パパ、ありがとう。始めます……」
そう言ってアリシアは自分の端末を取り出した。
アリシアと先に話したが授業はあと1時限で終わるとの事で、放課後にはクラスメート等7人と共に共同学習と言う名目でウチに連れて帰るとの事だった……その7人の親御さんには必ず事前に連絡して許可を貰う事を条件に了承の意向を示す……我が娘ながらすごい喜びようではあったが……気を付けて帰るようにと言い置いて通話をアリソンに切り換える……アリシアの話をそのまま伝えて、保存してあるケーキとお茶で持て成すように頼む……基本的には夕食までに帰らせるように段取りを組もうと大まかに意思統一して何か買い物はあるかと訊いたが、特には無い……気を付けて帰ってくれれば好いとの事だったので、了承して通話を終えた……アリシアの帰宅と自分の帰着…どちらが早いか微妙だったので、運転をマニュアルに切り換えて少し急ぐ事にした。
結果としては、私の方が早かった……アリシアと共に友人達が来訪したのは、帰宅した私が一服してシャワーを浴びて…アリソンが選んだ失礼のない部屋着に着換えてから、15分後だった。
「……やあ、いらっしゃい……よく来てくれたね……寒かったでしょう? さっ、遠慮せずに上がって下さい……いつもアリシアと仲良くしてくれてありがとう……自己紹介は座って寛ぎながらしよう……こちらです……」
そう言って7人をリビングに招き入れる……アリソンとアリシアが7人にハンガーを渡してコートを掛けて貰った……アリシアは着換えて来るからと皆に言って、自室に入った……7人のお茶の好みを訊いた私はその場をアリソンに任せてキッチンに入り、ミルクティーを3つ…レモンティーを2つ…ホット・ミルクココアを3つと、自分のコーヒーを含めて点てて淹れて仕上げ…トレイに乗せてリビングに戻り、それぞれの前に配した……その時にはアリシアも着換えて、ソファーに座っていた。
「……改めてようこそ……初めまして……アドル・エルクです……こちらはアリソン……アリシアがいつもお世話になっているね……来てくれて、どうもありがとう……今日は寛いでいって下さい……テレンスとアデリーンとロヒスとマノンとは、暫くだったね……元気そうで好かった……ああ、ごめんなさい…せっかくのお茶が冷めてしまうね……飲みながらで好いから、名前を聞かせて貰えるかな? 」
「……初めまして…ルカ・アラナと言います……2年生で、演劇サークルのサブ・リーダーです……今日は急にお邪魔しまして済みませんでした……大ファンのアドル・エルクさんにお会いできてすごく嬉しいですし、光栄です……アリシアとは一緒に演劇サークルで頑張っています……あんまり上手く話せませんけど、今日は宜しくお願いします……」
上手く話せないとは言ったが、緊張している様子を差し引いても結構好い滑舌だ……流石にサブ・リーダーだな、と思う……背はテレンスより僅かに低いが、精悍さはテレンスとロヒスの中間ぐらいの印象だ……テレンスよりも長髪だが、ロヒスのような天然カールでもない……ロヒスが醸し出している攻撃的な印象を20%抑えれば彼ぐらいになるのだろう。
「……初めまして、ミレーナ・カッシーニと申します……今日は急にお邪魔致しましたのに、快く迎えて下さいまして、ありがとうございます……アリシアとはクラスメイトでもあり、同じ演劇サークルのメンバーでもあります……私もアドル・エルクさんの大ファンでして、今日はお会いできて本当に嬉しいですし光栄です……そして私は今……このミルクティーに凄く感動しています……こんなに美味しいミルクティーを飲んだのは、初めてです……これから宜しくお願い致します……」
育ちがすごく好いようだ……先ず15.6才の話し方じゃない……ハイスクール『エドゥアール・オランピア』には、裕福な良家の子女・子弟が結構在籍していると言う……彼女の家庭も、そのような良家なのかも知れない……青味掛かった漆黒のストレート・ロングヘアが、珍しい印象を残す……本当にこの髪色は過去に観た記憶が無い。
「……初めまして、アドル・エルクさん……お会い出来て光栄です……隣のクラスなのですが同学年と言う事で、アリシアとは仲良くさせて貰っています……今日は快く迎えて頂きまして、ありがとうございます……クララ・サンサと申します……アリシアとはハイスクールの受験準備期間中に、同じ学習塾で知り合いました……実はその頃に一度だけ、ここにお邪魔させて頂いたのですが…アドルさんにはお会いできませんでした……改めまして、これから宜しくお願いします……それとあの……とても美味しいホット・ミルクココアをありがとうございます……」
「……へえ、そうだったんだ……覚えてる? 」
「……ごめんなさい……今思い出しました……お久し振りですね、クララさん……」
「……ありがとうございます……ご無沙汰しております……アリソンお母さん……お元気なご様子で嬉しいです……」
この娘の話し方も上品だ……体格は華奢で小柄で小顔だが、弱々しくは観えない……健康な元気強さを感じさせる。
「……3人とも初めまして……丁寧ではっきりしていて分かりやすい自己紹介をありがとう……アドル・エルクです……気軽にアドルと呼んで下さい……え…ルカにミレーナにクララだね? そう呼んでも好いかな? 」
「……はい、大丈夫です……」
「……ありがとうございます……」
「……宜しくお願いします……」
「……こちらこそ、どうもありがとう……宜しくお願いします……テレンスにアデリーンにロヒスにマノンも暫くだね……元気そうに観えるよ……アリシアがお世話になっています……全員…親衛隊のメンバーかな? 」
「……はい、全員メンバーです……お久し振りでした、アドルさん……またこの…すごく美味しいミルクティーが飲めて嬉しいです……感動しています……」
テレンス・カシオが少し恥ずかし気に照れている……キリッとして観せれば精悍で逞しくも観えるのだが、やはりこの年頃の男の子と言うのは可愛いものだ。
「……ご無沙汰していました、アドルさん……また、このとても美味しいミルクティーが飲めて本当に嬉しいです……私も感動しています……明日はまたゲームに参加されるのに、お邪魔してしまってすみません……でも…帰宅されると伺いましたので、親衛隊と支持者に向けた配信ブログ用にお話しを伺えればと思って来ました……手短に終らせますので、どうか宜しくお願いします……」
相変わらずのショートウェイブで完璧にセットされている、素晴らしく輝くゴールドブロンドだ……アデリーン・ジーマは一般的な視点から観てもかなりの美人だが…少し妖艶で小悪魔的な可愛らしさもある……それもこの娘の才能と言うか適性なのだろうが…それでも私から芸能界の話をするような事はないだろう。
「……ありがとう、アデリーン…どう致しまして……アリシアとよく付き合ってくれているお礼もあるから、何でも訊いて好いよ……応えられない事には答えられないけどね……」
「……分かりました……宜しくお願いします……」
「……暫く振りです、アドルさん…またお会い出来て僕も嬉しいです……今日はレモンティーを頂いていますけれども、これも本当に美味しいです……アドルさんもアリソンさんも本当に素敵で素晴らしいお父さんとお母さんで……アリシアが羨ましいですし、嫉妬もしています……」
「……ありがとう、ロヒス君…暫くだったね……褒めてくれてくすぐったいぐらいに嬉しいんだけど、そんなに大した親子関係でもないんだよ……それより僕は君が君らしく実直に、誠実に育って成長している事に感銘を受けているんだ……きっと君のご両親は…私達よりも品格の高い人達だと思うんだよ……」
「……ありがとうございます……両親が聞いたら、喜びます……」
「……どう致しまして……処で、ザハシュは練習しているのかい? 」
「……はい…少しでも時間を採って、毎日練習しています……殆ど独学ですが……」
「……それで好いと思うよ……いつか聴かせて欲しいし、僕のギターと合せてセッションもしてみたいね? 」
「……ありがとうございます……恥ずかしいですけれども、頑張ります……」
「……お久し振りでした、アドルさん……またこのとっても美味しいココアが飲めて、本当に嬉しいです……また明日はゲームに参加する為に、朝早くから出掛けられる処をお時間を割いて頂いてもありがとうございます……もう感動していて、あまり言葉が出て来ません……」
マノン・ドアの限りなく白い肌が今は感動しているのか、赤味が挿して観える……この娘も上品で慎ましやかな仕草と所作を観せる……きっとご両親も、そのような方達なのだろう。
「……マノンも今日は来てくれてありがとう……ゆっくり寛いでね……アリシアは本当に好い友達を持ったと思っているよ……ああ! 母さん、ケーキがまだだよ…取り敢えず全部持って来て? アリシアはケーキナイフと取り皿とフォークを頼むよ…皆、気が付かないで御免なさいね……考えてはいたんだけど、ちょっとスッポリ忘れていたよ…本当に御免なさい……」
「……あら大変…気が付かないで御免なさいね……直ぐに持って来ますからね……」
「……本当にどうしたんだろう? いつもは忘れないのに……珍しくパパが早く帰って来たからかな? 」
「…俺のせいにするんじゃないよ(笑)早く持って来なさい…」
「…は~い…」
「……ちょっと…変な処を観せちゃったね……じゃあ……何でも質問……好いよ……その前にさ……昨夜の配信を観て、どう思った? 」
「……すごく感動しました……『ARIA』を…全フィールドで流された時……それを聴いた『リアン・ビッシュ』と『ミーアス・クロス』の8人が…口を押さえて泣いていて……私も泣いてしまいました……」
ミレーナ・カッシーニが直ぐにそう応えた……他の女子生徒達も一様に頷いている。
「……『ARIA』が流れた時……僕も凄く感動して、震えが止まらなくなったぐらいだったんですけど……実はアドルさんの最初のスピーチの時から鳥肌が立ちっ放しだったんですよね……」
テレンス・カシオも少し興奮気味に応える。
「……僕も最初から全部観ていてとても感動していました……『ディファイアント』だけではなく、共闘同盟に参加する他の19隻の軽巡宙艦が発進して出航完了までの様子が紹介されて……観ながらすごく感動して興奮していました……」
ロヒス・ムケーシュも率直な感想を熱っぽく話した。
「……私はシエナ・ミュラーさんがすごく格好良いと思いました……アドルさんが指示してからは、シエナさんが『ディファイアント』の出航完了まで指示を出していて……その姿に、すごく感動していました……シエナさんのような女性(ひと)になりたいと思いました……」
アデリーンも思い出して感動の余りに泣きそうになっている……その時に冷蔵庫で保存されていたそれぞれのケーキを、アリソンとアリシアがショートケーキ程の大きさに切り分けて、取り皿に美しく盛り付けてフォークも添えて、皆の前に配していった……なかなかに器用に盛り付けられていて綺麗な盛り合わせになっている。
「……お待たせしてしまって、申し訳なかったね……さ、遠慮なく食べて下さい……実はこのケーキはね……『シムリット・サール』の艦長、メリッサ・エメリックさんがご主人と経営されている生菓子店で買い求めたんだよ……最近、美味しいケーキを出していると評判のお店でね……実際にすごく美味しいケーキばかりなんだ……さあ、どうぞ? 」
「……そうなんですか? 嬉しいです……ありがとうございます……それじゃ、頂きます……」
マノン・ドアが目を輝かせてそう応え、ガトー・ショコラを一口食べると両手で口と頬を押さえて目を瞠る。
「……美味…しい…です……私…ガトー・ショコラが大好きで…よく食べるんですけれども、こんなに美味しいガトー・ショコラは食べた事がありません……メリッサ・エメリックさんのお店を教えて頂けませんか? 」
「……うん、好いよ……アリシアに教えておくから、後で訊いて? 」
「……ありがとうございます……お手数をお掛けします……」
「……どう致しまして……喜んでくれて嬉しいよ……これらのサイズは、元々6号のホールケーキで…ガトー・ショコラとザッハ・トルテ…ドボシュ・トルタにストロベリー・トルテとガトー・バスク…それでこれがベイクド・チーズケーキ…なんだけど、皆はどうだい? 」
「……とても美味しいです……僕はフルーツ・タルトが好きなんですが、この…ストロベリー・トルテですか? 言葉になりません……」
ルカ・アラナも一口食べて、目を瞠っている。
「……美味しい…と言う言葉だけでは絶対に足りません……私、ベイクド・チーズケーキには目が無い性質なんですけど……こんなに美味しいものには出会った事がありません……私にもメリッサ・エメリックさんのお店を教えて下さい……」
クララ・サンサもひと口食べて、赤くなった頬を押さえている。
「……うん、好いですよ…後でアリシアに訊いてね? 」
「……はい、ありがとうございます…感謝します……」
「……私はこの…ガトー・バスクに感動しました……初めて経験する、素晴らしい味です……私も後でアリシアにお店の事を訊きます……」
ミレーナ・カッシーニも一口食べて、すごく感動している様子だ……頬が紅潮して眼がキラキラしている。
「……皆、ありがとう……喜んで貰えて、とても嬉しいよ……是非一度、お店を訪ねてあげて下さい……それに同盟に参画してくれている艦長さんの中には、他にもとても素敵なお店を経営されている方がいらっしゃってね……『クラウン・カンバーランド』を艦長として率いている、エスター・セーラ・ヴェレスさんは素敵な生花店をご主人と一緒に切り盛りされているんだ……僕も時折そこで花束を買い求めて、家の中に飾っているんだよ……このお店も出来れば一度、訪ねてあげて欲しいな……それと『サンクトル・アブローラ』を率いるデボラ・ヴァジリーヴァ艦長は、婦人用服飾店のオーナー店長でもあられる……まだ訪ねた事は無いんだけど…この前の女性艦長達を集めた対談配信番組に招かれて出演した時に話を聞いたら…若い女性向けの服も多数取り揃えていますと仰っていたから、落ち着いたら皆で一緒に訪ねてみようと思っているんだけど……どうだろう……その時には一緒に行こうか? お母さんに訊いてみてくれる? 」
「……あ…あの……とても素敵なお話とお誘いを、どうもありがとうございます……エスター・セーラ・ヴェレスさんの生花店も…一度お訪ねしたいと思いますし、デボラ・ヴァジリーヴァさんのお店にもお邪魔させて頂きたいです……このお誘いの話は、ウチの親にも言います……ウチの親もアドルさんの大ファンなので、きっと興味を持って貰えると思います……本当に素敵なお話をありがとうございました……きっとご一緒に行けると思います……」
アデリーン・ジーマが両手を胸の前で組み合わせて、すがるように私を観る……ちょっとリップ・サービスが過ぎたかなとも思うが、まあ好いだろう。
「……どう致しまして…こちらこそ、ありがとう……処でさ…ご両親が僕のファンだなんて…本当? 」
「…! 本当ですよ! 大ファンですよ! も、僕達以上に親衛隊員ですよ! 今日だって配信ブログの取材でアドルさんのお宅にお邪魔するんだって言ったら、何で私に言わないの? 何で俺に言わないんだって大騒ぎだったんですから……」
と、テレンス・カシオが憤慨気味に言う。
「…へえ、そうなの? だって配信だって昨日が最初だったしさ……」
「…いや、激励壮行会も対談配信場組も、総合共同記者会見だって全部観てますから……」
「…へえ……そうなんだ……もうそんなにコアなファンの方がいらっしゃるんだね……ありがたいと思わなくちゃいけないね……」
「……いえ、こちらこそなんですけれども……もしもアドルさんの事を悪く言うような奴は、俺が許さないって言って息巻いてますからね……」
「…へえ……いや、本当にありがたい話だね……テレンス君…僕がお礼を言っていたと、お父さんに伝えてね? 」
「…勿論、伝えます……喜ぶと思います……」
「…ありがとう……それじゃ、質疑応答に移ろうか? 誰からでも好いよ……その前にひとつだけ……親衛隊向けのブログ記事は、ネットにも載せるのかな? 」
「…それじゃ僕からお答えして、質問に入ります……配信ブログ記事は親衛隊員にしか閲覧できないクラウドスペースにも保存しますが、ネットに載せたり流したりはしません……繰り返しますが、記事を読めるのは【『ディファイアント』共闘同盟】の存在とその活動を支持すると表明した、親衛隊員だけです……宜しければ最初の質問ですが…アドルさんご自身は最初のライブ・バラエティ配信をご覧になって、どう思われましたか? 」
「…ありがとう…テレンス・カシオ君……最初のスピーチを観た時には、俺ってあんなに格好の好い事を喋ってたんだっけ? とも思ったんだけど……まあそれは冗談としてもね……それ以外にちょっとした懸念材料があるとすれば、同盟が独自に設定した秘密会議室とシークレット・チャンネルの存在が早々にバラされてしまった事かな……これが明日からの作戦にどんな影響があるのかなと、考えている処だね……まあいいや……それを逆手に取る方法も、無くはないから……それとシエナ・ミュラー副長はね……本当に優秀な人ですよ……『ディファイアント』を指揮して戦い抜くなら、もう任せても問題は無いね……同盟を取りまとめて行くのは、まだちょっと厳しいだろうけど……」
「……分かりました……ありがとうございました……」
「……どう致しまして……他にはあるかな? 」
「……同盟は、今現在で何隻ですか? 」
「……ロヒス・ムケーシュ君……その問いに対する答えは機密事項の範疇に入るんだけれども、特別に答えよう……27隻だ……今日、3隻からの代表者と面談して…歓迎昼食会にも招待して、27隻として全体的にも認知したよ……」
「……ありがとうございます……続けての質問で失礼しますが、同盟は何隻まで増やすおつもりですか? 」
「……正直に言って分からない……状況の推移に依って、どうとでもなるだろう……ただ…指揮し得る限界点として考えるなら、1000隻以上には増やせないだろうね……それが指揮する上での飽和点と言う事だろうな……」
「……分かりました…ありがとうございました……」
「……どう致しまして……他にはどうかな? 」
「……このゲーム大会は…どこまで続くんでしょう? 」
「……ルカ君、ゲーム大会はそれこそ最後の数隻になるぐらいまではやると思うよ……ただ、このライブ・バラエティはね……サード・シーズンまでは内定してるんじゃないのかな? その先は誰にも分からないと思うんだけどね……ま、希望的観測で言っても好いなら…フィフス・シーズンまでは続けるんじゃないかなとは思うね……」
「…分かりました…ありがとうございます……」
「……どう致しまして…それじゃ、他にはあるかな? 」
「……アドルさん……もう少し待って観れば、どのようなものか判るとは思いますけれども……今夜の配信ライブ・バラエティは……どのような内容になると思われますか? 」
と、ミレーナ・カッシーニが訊いた。
「……そうだね……20隻がそれぞれ、チャレンジ・ミッションにどう取り組んで…模擬戦を戦い抜いたのか……次いでは、初出航記念艦内親睦パーティーをどのように開催したのか……が、紹介されるだろうね……」
こりゃあ……今夜、アリソンと愛し合うのは無理だな……まあ好いか……月曜日…休んで、ウチに居れば良いや。
「……それはやっぱり…『ディファイアント』からの紹介と言う事になるのでしょうか? 」
クララ・サンサが、被せて訊いてくる。
「……それこそ私には判らないけど……そうなる可能性も、考えられるよね……」
「……分かりました…ありがとうございます……『ディファイアント』でのパーティーがどのようなものか興味深いですし、紹介されるのを観るのがとても楽しみです……」
「……それはどうもありがとう……それでさ……君達がそれぞれ帰宅して、余裕を以て夕食も摂って……配信番組の視聴準備も整えて……視聴に臨むのなら、そろそろ動いた方が好いと思うんだよね……君達が好ければ…タクシーを呼ぶけど、好いかな? 」
「……お父さん…それについてなんだけど……このままウチで夕食を摂って……そのまま一緒に視聴して……その後それぞれ帰る、と言う事にしても良いですか? 」
「……アリシア……それはパパが許可する事じゃない……皆がそれぞれのご両親に対して、許可を取らなければならない事だ……お前が責任を以て、今から直ぐにそれぞれのご家庭に連絡を執って……それぞれのご両親から許可を貰いなさい……全員から許可を貰えたら、パパも許可する……但しそれまで……パパは一切口添えしない……それに急な話だから…充分な夕食は用意できないかも知れない……勿論その場合には、パパが少なく済ませる……さあ、始めて? 」
「……分かりました。パパ、ありがとう。始めます……」
そう言ってアリシアは自分の端末を取り出した。
0
お気に入りに追加
86
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【VRMMO】イースターエッグ・オンライン【RPG】
一樹
SF
ちょっと色々あって、オンラインゲームを始めることとなった主人公。
しかし、オンラインゲームのことなんてほとんど知らない主人公は、スレ立てをしてオススメのオンラインゲームを、スレ民に聞くのだった。
ゲーム初心者の活字中毒高校生が、オンラインゲームをする話です。
以前投稿した短編
【緩募】ゲーム初心者にもオススメのオンラインゲーム教えて
の連載版です。
連載するにあたり、短編は削除しました。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる