上 下
260 / 277
地上界にて…

同盟参画希望者との面談…3…

しおりを挟む
「……【『ディファイアント』共闘同盟】の皆さん……こんにちは……初めまして……本日はお招きを頂きまして、ありがとうございます……軽巡宙艦『ファム・ファタール』を、艦長として代表しております…ロレイン・グラスコットです……このように手厚い歓迎を頂けるとは、予想しておりませんでしたので…感激しております……改めて【『ディファイアント』共闘同盟】に参画を希望したのは、間違いではなかったと確信しております……この上は微力ではありますが全力を尽くしますので、どうぞ宜しくお願い致します……」

「……共闘同盟の皆様…初めまして……『ファム・ファタール』の副長として就いております、パーヴェル・ミリュコーフです……どうぞ宜しくお願い致します……私もグラスコット艦長同様に感動しております……加盟の要請を承認して頂きまして、心から感謝申し上げます……微力ながら私も精一杯尽力させて頂きます……」

「……共闘同盟の皆さん、初めまして……同艦の参謀に就任しました、ロミナ・パルッツィです……宜しくお願いします……加盟を承認して頂きまして、ありがとうございます……『ファム・ファタール』の参謀として、尽力させて頂きます……」

「……こんにちは…初めまして…同艦で機関部長に就いております…シェイリーン・オースティンです……今日は呼んで下さってありがとうございます……加盟を承認して下さいましても、ありがとうございます……自分もエンジニアの端くれだと思っていたのですが…まだまだのようです……アドル主宰がプレ・フライトチェックの際、披露された手腕に感銘を受けました……私もこれから色々と教えて頂きたいと思っています……どうぞ、宜しくお願い致します……」

「……オースティン機関部長……『ディファイアント』のリーア・ミスタンテです……アドル主宰が観せるエンジニアとしての手腕は、今夜のライブ配信バラエティでも紹介されると思いますので、是非ご覧下さい……驚きますよ……」

「……リーア……何故そう予想できるんだい? 」

「……根拠はありません……私の勘です……」

「……そうか……実は僕もそう考えているんだよね……」

「……どう言う事なんですか? 」

 と、ハル・ハートリー。

「……うん…まあ…例によって、明確な説明はできないんだけれどもね……今夜の配信はほぼ……『ディファイアント』の紹介……と言う事になるだろう……それだけ派手に立ち回って観せたし、ウチでのパーティーは全宙域に生中継していたからね……まあそれが根拠のひとつと言えなくもないか……」

「……同盟僚艦の活躍が紹介されるのは…来週以降ですか? 」

 と、シエナ・ミュラー。

「……そうなるだろうね……まあ20隻の活躍を、たった2回の配信で紹介しようってのが、どだい無理な話なんだ……ああ……時間を取ってしまって、すみませんでした……話が逸れてしまいましたね……続けて下さい……」

「……失礼します……軽巡宙艦『アステル・アルムフェルト』の司令部を代表して、4名で参りました……艦長のブライアン・メイナードです……本艦の加盟要請を受諾して頂き、あまつさえこれ程盛大な歓迎の場にお招き下さいまして、ありがとうございます……感謝に耐えません……また、面談の席でもありますので、何でも訊いて頂ければと思います……明日のセカンド・ゲームでは本艦も、微力を尽くすつもりですので宜しくお願い致します……」

「……初めまして……本日はお招き下さいまして、ありがとうございます……また、加盟要請を承認して頂きましても、ありがとうございます……『アステル・アルムフェルト』の副長として就いております、マッシモ・トロイージです……まだ始まったばかりで慣れない部分もありますが……早く同盟の一翼を担えるように頑張りますので、宜しくお願い致します……」

「……初めまして……今日は呼んで下さいまして、ありがとうございます……同艦にて参謀に就いております、ロッセーラ・フォークです……どうぞ、宜しくお願い致します……私も、微力を尽くして頑張ります……」

「……皆さん、初めまして……同艦の機関部長に就任致しました、ジョアン・ウィックスです……宜しくお願い致します……私もアドル・エルク主宰が観せる、エンジニアとしての手腕を楽しみにしております……同盟の一員として精一杯務めますので、どうぞ宜しくお願い致します……」

「……【『ディファイアント』共闘同盟】の皆さんにお会い出来て…感動しております……軽巡宙艦『ラシッド・マクレイヴン』の司令部から4名でお邪魔させて頂きました……艦長のアンガス・ホーガンです…初めまして……加盟要請を承認して頂きました事…面談の席にお招き下さいました事…共に感謝致します……新米の艦であり、私も含めて新米の乗員ではありますが…精一杯お手伝いさせて頂きますので、どうぞ宜しくお願い致します……」

「……同盟の皆さんにお会いできて、私も感激しております……『ラシッド・マクレイヴン』にて副長の任に就いております、マッシミリアーノ・アルトと申します……未だ若輩者ですが、宜しくお願い致します……微力ながら同盟の存続の為に尽力させて頂きます……ご指導・ご鞭撻に於いても、宜しくお願い致します……」

「……お初にお目に掛かります……ウドム・カウィラと申します……同艦の参謀として就いております……同盟への参画要請を受諾して頂いた事にも、面談と歓迎のレセプションにお招き下さった事にも、感謝致します……ファースト・ゲームはチャレンジ・ミッションでしたが、模擬敵艦をしずめる事は出来ずに終わりました……同艦の参謀としても、同僚の一員としても微力を尽くす所存ですので、宜しくお願い致します……」

「……【『ディファイアント』共闘同盟】の皆さん、初めまして……『ラシッド・マクレイヴン』にて機関部長として就いております、デブラ・イーリー・ウォレスと申します……微力の者ですが、宜しくお願い致します……皆さんにお会いできて感激しておりますし、光栄でもあります……特にファースト・ゲームのチャレンジ・ミッションで、フィフス・ステージ迄クリアされたアドル・エルク主宰を目の前にして、取り乱しそうな自分です……粗相して失礼に当たってしまいましたら、ご容赦を願います……若輩者ですが微力を尽くしてお手伝いさせて頂きます……」

「……『ファム・ファタール』・『アステル・アルムフェルト』・『ラシッド・マクレイヴン』からおいで下さった皆さん……大変に熱い、想いの込もったご挨拶をありがとうございました……ファースト・ゲームのチャレンジ・ミッションに於ける結果については…もう気になさらないで下さい……A Iと人間では、メンタリティやリアクション・パターンに於いても、その複雑さは格段に違います……今後の参考にはあまりならないと思いますので重ねて申し上げますが、もう気になさらないで下さい……さて……それでは若干の質疑に入らせて頂きます……皆さんがそれぞれに所属していたS N Sのグループ内で、敵対勢力に勧誘されましたか? 」

「……勧誘どころか脅迫されましたね……入らなければ撃沈するとまで言われて脅されましたので、直ぐにグループから抜けました……取り付く島もありません……」

 そう言って息を吐くグラスコット艦長……他の招待客諸氏も一様に頷く。

「……何か、強迫観念めいた狂信性を感じましたね……近くにも寄りたくないと思いました……」

 メイナード艦長もそう言って、ちょっと首を竦める仕草をする。

「……なるほど……それだけ彼等は自らの強迫観念で、自分達を追い詰めているのでしょう……周りが観えなくなって客観的な観察と判断も出来なくなっているようですが、こちらとしても対応をひとつ誤れば手痛い深傷も負い兼ねませんね……よく分かりました……実際に対戦するまで、心理戦で揺動を掛けましょう……今日迄の情報収集と観測で、敵対勢力は多く見積もっても380隻前後だと思われるのですが……皆さんの観測と感触から言って、彼等の中で我々に対する敵愾心を募らせているのは、何人ぐらいだと思われますか? 」

「……そうですね……多くても100隻か……100隻弱だと思います……苛烈な物言いに嫌悪感を抱いている艦長達も多いと思いますから……」

 そう応えて飲み干したコーヒーカップを置くホーガン艦長だ。

「……そうですか……ありがとうございます……でしたら、その内の40隻前後に一程度以上の損傷を与えられれば、彼等の結束力を弱めて継戦意識を喪失させられるでしょう……それではこれから、その為の具体的な話に移ろうと思いますが、その前に10分間休憩しましょう……皆さんそれぞれ、ご自由に過ごされて下さい……私は隣の喫煙休憩室に行きます……」

 そう言うと、会釈して立ち上がる……5分後には喫煙休憩室でテーブルに着き、灰皿を引き寄せてシガレット・ケースを取り出して蓋を開けた。

「……お疲れ様です…アドル主宰……」

 プレミアム・シガレットを咥えると、右隣のヤンセン・パネッティーヤがライターの火を差し出す。

「……ありがとう……話を聴いていただけですよ。これから重要な話に入るんで、ちょっと間を空けようと思いましてね……リサさん…スキャナーの用意は良い? 」

「……はい、出来ています……」

「……ありがとう。ナンバー・ワン……皆さんに説明して、通常携帯端末とゲーム内専用携帯端末のメッセージ・アカウントと通話アカウントを全員で同期して下さい……」

「……分かりました……」

「……アドルさん……いよいよ疾風怒濤ですかな? 」

 ハイラムさんだ……同じシガレットを喫っている。

「……その状態にまで縺れ込むかどうかは分かりませんが、一程度の集団戦闘は避けられないでしょう……」

「……やはり……戦闘は可能な限り避けるのですか? 」

「……マルティーヌ副長……それが同盟の基本的なスタンスだ……何故なら私達の本当の相手は、戦艦と重巡宙艦なのだから……このゲームを終盤まで生き延びる為にはどうしても、なるべく事を荒立てずに軽巡宙艦を結集させる必要がある……でなければ遅くともフォース・シーズンの終盤までに、我々は撃沈されてしまうだろう……明日からの作戦中はシャトルを長距離偵察仕様にして、間断なく作戦宙域周辺を周回させる……重巡宙艦を探知したら、即応できるようにね……皆さん、小腹が空くようなら何でも頼んで下さいね……直ぐに作ってくれますから……この後、ちょっと重要な話をしますんでね……」

「……こちら側に犠牲者を出さない戦い方を採られるのですか? 」

「……そう。それも基本的な前提姿勢のひとつだね、ランドール副長……軽巡宙艦を糾合して戦力を結集しようとしている我々に……肉を切らせて骨を断つ戦法は採れないよ……」

「……アドルさん…それは『ディファイアント』が先陣に立つと言う事ですか? 危険です。敵の攻撃があなたに集中します……」

「……そうですね、フォスター艦長……その可能性も高いでしょう……しかしこの際は、これが最も効果的な配置です……敵は『ディファイアント』を沈めれば同盟は瓦解すると考えているでしょうから、私に攻撃を集中させようとするでしょう……しかし同時にそれは、貴方方からの援護や反撃に対する警戒や構えを弱めて薄れさせる事になるので、対応が遅れる事になります……私は貴方方からの援護を確信していますので心配はしていませんし、ウチのパイロット・チームは優秀ですからみすみす沈められはしません……それに付与された経験値によって、本艦の有効射程距離が1番長く伸びていますから、通常の射程距離外から有効かつ呼び水となる一撃を撃ち込む事が出来ます……」

「……分かりましたよ、アドルさん……それなら僕は貴方の左舷後方、ダウンサイドに居ます……」

 そう言ってヤンセン・パネッティーヤ艦長が冷水のグラスを軽く掲げる。

「……不肖ですがそれでしたら、左舷後方アップサイドに付きます……」

 そう言って一服を蒸して燻らせるハイラムさんだ。

「……私は右舷後方のアップサイドで……」

 そう言ってミネラル・ウォーターを一口含む、ザンダー・パスクァール艦長。

「……でしたら私目が、その下方に付きましょう……」

 アリミ・バールマン艦長がニッと笑った。

「……右舷後方の並行位置に着かせて下さい……」

 エイミー・カールソン艦長がそう言うと、アシュリー・アードランド艦長が空かさず右手を挙げる。

「……でしたら、私が左舷後方の並行位置です……」

「……皆さん、ありがとうございます……これでもう理想的な紡錘陣形が出来上がりました……さあ、そろそろ戻りましょう……大事な話があります……」

 灰皿でシガレットを揉み消して立ち上がる。

「……重ねて申し上げますが、お腹が空いたようでしたら遠慮なく何でも頼んで下さい……まだ大事な話がありますので……では先ず、これをお配りします……」

 そう言ってサーバー・ルームで作業していたメンバーに目配せし、ソリッド・ロッドを配って貰う。

「……申し訳ありませんが、皆さんにお願いがあります……歓迎昼食会が終わりまして解散と言う流れになりましたら、このソリッド・ロッドを携えてそれぞれの艦に搭乗して下さい……私からもプロデューサーに連絡は入れて置きますが、現場でセキュリティ・ガードに何か訊かれたら、緊急に確認する用件があって来た、と言って下さい……搭乗したらコミュニケーション・アレイを起動してロッドを挿し、ガイダンスに従ってセットアップをお願いします……では記録内容について説明します……第1に、フルモデルチェンジ・ニューバージョン・シークレットチャンネルのスタートセットアップ・システムプログラムです……これをガイダンスに従ってセットアップして下さい……第2に、明日の出航直後から同盟参画全艦に取り組んで貰う、スタートアクション・マニュアルが書き込んであります……先ず今日搭乗した全員で読み合わせて下さい……第3に、明日からの作戦で使用する特別製長距離デコイ・ミサイルの設計図が入っています……各艦の機関部長は自分のデスクトップに保存の上、出来る範囲で下拵えに入って下さい……第4に、明日からの作戦に於ける概略要旨も書き込んでありますので、これも今日搭乗するメンバーで読み合わせて下さい……第5に、これも明日からの作戦にて使用する、大質量誘導弾の成形製作法についても記載していますので、それに付いても読み合わせて下さい……大質量誘導弾を使った戦術については、今夜の配信の中で紹介されるでしょうからご覧下さい……このソリッド・ロッドについては以上ですが、何か問題とか質問はありますか? 」

 言い終えて待つ……60秒以上が経過したが、誰も発言しない。

「……私は当初……もっと緩やかに融通を利かせて助け合える……互助会のような組織を作りたかったんです……でも…切迫する情勢がそれを許さなかった……それでも正規軍艦隊のような組織集団にはしたくなかったんで……これがギリギリの組織スタイルなんです……それでは、ローズ・クラーク副長…シャロン・ヒューズ副長…カーラ・ブオノ・マルティーヌ副長…トリッシュ・ヴァンサンティン副長…メアリー・ケイト・シェルハート副長…フランセス・ラングフォード副長……このロッドの中の全データを『DSC24』と『トゥルーダイス24』のタイムラインに貼付するのと、昨日面談に来た4人に対しては直接に送信すると言う事を手分けして行って下さい……6人で手分けするなら、短時間で終わるでしょうから宜しくお願いします……質問はありますか? 感想でも好いですよ……」

「……唯…アドル主宰の凄さを再確認させて頂いて……圧倒される場でした……指示通りにさせて頂きます……」

 ロレイン・グラスコット艦長は、確かに圧倒されたような表情だった。

「……分かりました……何か気付いた事がありましたら、いつでも発言して下さい……遠慮無しで、ざっくばらんにいきましょう……じゃあこれからは、お待ち兼ねの歓迎昼食会に移行します……」
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

弟子と師匠と下剋上?

BL / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:64

→誰かに話したくなる面白い雑学

エッセイ・ノンフィクション / 連載中 24h.ポイント:1,491pt お気に入り:74

二度目の恋

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:21pt お気に入り:13

人の顔色ばかり気にしていた私はもういません

恋愛 / 完結 24h.ポイント:717pt お気に入り:4,591

君の笑顔が大好きで -モテないオレとイケメン親友の恋-

mii
BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:190

転生したので堅物な護衛騎士を調教します。

BL / 完結 24h.ポイント:255pt お気に入り:3,096

【完結】魔術師なのはヒミツで薬師になりました

ファンタジー / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:667

処理中です...