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出航

再開・サードステージ

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「サード・ステージ再開まで、あと1分です」

と、カリーナ・ソリンスキー。

「…分かった…総員は状況の再開・進行・変化に即応してくれ。私の指示にも迅速に対応するように頼む…」

「…再開されます…」

凍った時間が、いきなり融けて動き出す。

「状況、再報告! 」

「…3隻とも、デコイを追跡して加速中。本艦は微力で減速中。本艦が3隻の後方に後退するまで、このペースだと50分程です…」

「…よし、アリシア、デコイミサイルを更に3基放出。どうせAIも本物だとは思っちゃいない。それならもっと迷わせてやろう。そして更に対艦ミサイルを180基放出だ。どうせ模擬戦なんだから、大盤振る舞いといこう。ミサイルのプログラムは接触起爆だけで好いが、何時でも直ぐに3隻のパワーサインを遠隔入力できるようにしておいてくれ? 」

「…了解しました。デコイミサイルを初めとして順次、連続して放出します…中継ビーコンも出しますか? 」

「…それも頼む。流石だな、アリシア…」

「…いいえ…ありがとうございます…」

「…どうせそんなに離れやしないだろうからな。3隻とも巻き込んで、連続して叩いてやろう。皆、3Dチャートを観てくれ。このままこの位置まで後退する…途中で第2弾のデコイを起動させて、もっと迷わせてやろう。そしてこの位置から、このコースを採って3隻連続で1撃離脱を仕掛け、一旦離脱する。好いか? 」

そう言いながら、指で予定コースを描いて3Dチャートでも表示させた。

「…すごいですね♡…」

エドナ・ラティスが思わず言う。

「…アリシア、ミサイルの放出が終ったら、先に放出したデコイを起動。先行するデコイと同じコースを採らせて直進だ。その30秒後に放出ミサイルの内の8基を、1分間おきに順次起動させて直進させ、20秒後に第1弾を起爆。同時に艦首全力で逆噴射して後退。作戦開始予定位置まで後退して、作戦開始する。作戦名は『メールシュトローム作戦』だ…好いかな? 」

「…最高です♡アドル艦長♡…」

エマ・ラトナーが振り返らないで言う。

「…順番は、『レッド』・『ブルー』・『グリーン』だ。アリシア、放出ミサイルは40基毎に『レッド』・『ブルー』・『グリーン』のパワーサインをそれぞれに入力。全速発進してこちらの射程距離に入る5秒前に、『レッド』のパワーサインを入力した40基を起動させて向かわせろ。エドナ、3隻とも肉迫してハイパー・ヴァリアントで焼夷徹甲弾を2発ずつ撃ち込んでくれ。レナは指向し得る全主砲で最大出力連続斉射。エマはそのままレッドを摺り抜けて離脱し、次の『ブルー』に向かってくれ。好いな? 」

「…アドル艦長…了解ですが、『レッド』が攻撃されれば『ブルー』と『グリーン』はシールドをアップさせるでしょう…それでも、この作戦を継続しますか? 」

「…ああ、継続させる。何故ならシールドを降ろさなければ、向こうもこちらを攻撃できないからだ…だから接近しても降ろさないようだったら、少し減速して誘ってやるさ…」

「…危ない局面ですね…」

と、シエナ・ミュラー。

「…ああ、だがこれも隙を作らせる為の一つのテクニックだな…」

「…大丈夫だよ、シエナ…模擬戦なんだから…少々撃ち合ったって大した事にはならないし、エンジンは何時でもフルパワーでダッシュ出来るからさ!…」

「…ありがとう、リーア機関部長。頼りにしてるよ…」

「…お任せ下さい、アドル艦長! 」

「…ありがとう、リーア…頼むわね? 」

「…任せてよ? 」

「…艦長、ミサイル放出完了しました! 」

「よし。第2段のデコイを起動! 先行するデコイと同じコースを採らせて直進! 続けてカウントダウン30秒! 」

「了解、デコイ起動、点火、航走開始。先行デコイと同じコースで直進セット! 30秒でカウントダウン開始! 」

「リーア、エンジンの臨界パワーを徐々に上げていってくれ。気付かれないようにな? 」

「了解。お任せを…」

「エドナ、レナ、攻撃兵装のセットは? 」

「既に完了しました! 」

「何時でもOKです! 」

「了~解だ…」

「放出ミサイル120基への、パワーサイン入力完了! 7秒前! 5、4、ミサイル第1弾、起動、直進! 20秒後に起爆します! 」

「エマ! 艦首全力逆噴射用意! 」

「用意よし! 」

「…ハンナとミーシャからの報告が遅いな…眠ってくれていれば好いが…」

「…呼んでみますか? 」

「必要ない。2人に任せていれば、心配ない…」

「…3、2、第1弾、起爆! 」

「艦首逆噴射全力! 全速後退! 」

「アイ・サー! リバース・フルパワー! 」

「作戦開始位置に着くまでには? 」

「…約40秒…」

「20秒で噴射停止。エネルギー・サインを読まれる…アリシア、ミサイルの起動と起爆は順次に予定通りだ」

「了解…」

「…こちらはハンナ・ウェアー、聴こえますか? 」

「よく聴こえるよ、カウンセラー。ミーシャも一緒かな? 」

「…一緒です。フィオナは眠りました…よく眠っています…」

「よくやってくれた、カウンセラー。部屋の防音レベルを上げてから、こっちに来てくれ…」

「了解しました。直ぐに向かいます。ハンナより以上…」

「…好かったですね…」

シエナもホッとしたようだ。

「…ああ、そうだな…」

「噴射停止! 慣性後退! 」

「間も無く第2弾起動」

「第2弾の起爆と同時に作戦を開始する。タイミングを合わせるぞ! 」

「了解! 艦尾アポジ・モーター起動。後進減速…」

「カリーナ、3隻の様子はどうだ? 」

「…一応、デコイを追い掛けてはいるようですが…インターセプト・コースは採っていません…やはり、お互いに離れる事を警戒しているようです…」

「リーア、アンチ・センサージェルは展開しているな? 」

「はい、既に展開しています。効果は充分に期待できます」

「よし、そのお互いに離れたくない操艦を逆手に取って、1撃離脱戦を連続で仕掛けてやる。確かにリスクは高いが成功すればリターンも大きい。どうせ模擬戦なんだから、思い切って試してみても好い戦法だろう…」

「ミサイル第2弾起動。航走直進」

「間も無く、作戦開始位置に着きます」

「よし、停止してくれ、エマ…」

「…了解…」

「作戦開始20秒前! エンジン臨界パワー150%へ! 全兵装セット確認! 」

その時、ハンナ・ウェアーとミーシャ・ハーレイがブリッジに入って来た。

「2人ともご苦労さん。席に着いてくれ。作戦が始まる…」

「了解…」

「分かりました…」

「第2弾、起爆5秒前! 」

「『メールシュトローム作戦』! 開始! 」

「第2弾、起爆! 」

「エンジン始動! 最大限出力噴射! 」

「『レッド』に向けて直線衝突コース! 最大限全速発進! アリシア! 先行デコイを10秒間隔で3基とも順次に起爆! 」

「了解! 第1デコイ起爆! 」

「『ブルー』がアクティブ・センサースキャンを発振! 展開中のアンチ・センサージェルがスキャン搬送波を吸収しました! 」

「はっきりしたこちらの位置は掴めなくても、搬送反射波の揺らぎを計算すれば大凡30秒で辺りの見当は附くだろう…その時に3隻がどう動くのか、だが…カリーナ! 3隻の動きをよく観ていてくれよ! 」

「了解しました! 」

「『レッド』! こちらの射程距離内にあと15秒! 」

「第2デコイ起爆! 」

「第3弾ミサイル、起動。直進航走! 」

「…アリシア! 放出ミサイル・『レッド・グループ』の20基を起動して発進! 向かわせろ! 」

「了解! 」

「…エドナ! レナ! まだちょっと遠いが攻撃開始だ! 当ててくれよ! 」

「了解! 」

「お任せを! 」

20基の対艦ミサイルが『レッド』の右舷から襲い掛かろうとする中、エドナ・ラティスとレナ・ライスがターゲット・スキャナーを操作して照準を2回絞り、それぞれのトリガーを絞り切る。

ハイパー・ヴァリアントから発射された2発の焼夷徹甲弾は、『レッド』の左舷艦尾に射角1°の開きで突き刺さって突入し、内部で爆発する。ビーム集束率を最細に絞った主砲4番砲塔迄からの3連斉射が『レッド』左舷艦尾から中部に掛けて突き刺さる。第2斉射が突き刺さるのと同時に、ミサイル20本が着弾した。

『レッド』を含む3隻がシールドをアップしたのはこの直後だったが『ディファイアント』は構わずに突撃し、ハイパー・ヴァリアントは炸裂弾に切り換えて連射で撃ち込み、主砲とフロント・ミサイルは無制限斉射を続行した。

「『レッド』まで、距離1200! シールドパワー76%! 損傷率33%! 」

「距離30mで摺り抜けます! 」

「気を付けろ! いきなり舵を切ったら衝突するぞ! 」

「了解! 」

「撃ち込み続けながら離脱! 」

「了解! 」

「『ブルー』と『グリーン』は?! 」

「シールド解除してこちらに接近中! 両艦とも兵装がパワーアップ! 」

「やはりな…『レッド』を援護してこちらを挟撃する作戦を採った…それを逆手に取ってカウンターをキメる!…アリシア! 『レッド』を摺り抜けたら、放出ミサイル・『ブルー・グループ』の20基を起動して発進航走! ハイパー・ヴァリアントは、摺り抜けた直後に焼夷徹甲弾3連射で狙撃! 主砲・フロントミサイルもそれに続いて連続斉射再開! 」

「距離50! 抜けます! 」

「『ブルー・グループ』の20基を起動! 『ブルー』に向けて直線で衝突コース! ヴァリアント狙撃開始! 」

『ディファイアント』は『レッド』の左舷から至近距離で跳び越えるように摺り抜け、そのまま『ブルー』に艦首を向けて全速で発進する。『ブルー・グループ』のミサイル20基が起動して、そのまま『ブルー』の艦首正面から襲い掛かろうとする時、エドナが連射トリガーを引く。撃ち出された焼夷徹甲弾3発は、『ブルー』の艦首正面の狭い範囲に突き刺さり突入して爆発し内部を引き裂いた。この時のエドナの腕は、正直に言って驚嘆するレベルだった。

主砲連続斉射の2射目が突き刺さり、『ブルー』の主砲第2砲塔を破壊したのと同時に、『ブルー・グループ』・ミサイルが着弾。その直後に『ブルー』はシールドアップ。レナ・ライスの腕も凄い。エドナに全く引けを取らない。

「最大加速! 強襲突撃! ブルーの状態は?! 」

「損傷率34%! シールドパワー74%! 距離1270! 」

「よし! 『ブルー』も跳び越えて『グリーン』に向かう! 『レッド』は?! 」

「シールドを解除して接近中! 距離1420! 」

「なるほど。AIだから、逃げない。『ブルー』を跳び越えると同時に、『レッド・グループ』から更に20基を起動! 『グリーン・グループ』からも20基を起動して、それぞれに向かわせろ! 『レッド』の脚を止める! 『グリーン』は?! 」

「シールド解除して急速接近中! 距離2450! 」

「…何としても、こちらを止めるつもりだな…エドナ! さっきより近い! 焼夷徹甲弾は4発撃ち込め! レナも斉射3連を突き刺せ! これである程度のケリを付ける! 」

「…了解しました! 」

「…お任せ下さい! 」

ハイパー・ヴァリアントは炸裂弾で。主砲とフロント・ミサイルも連続斉射を続行しつつ、『ブルー』に対して衝突コースで突撃する『ディファイアント』

『グリーン』は間に『ブルー』を挿んでいるのでまだこちらを攻撃できないが、『レッド』はこちらを追い縋って主砲とミサイルで攻撃して来る。

「左舷対空ミサイル・ランチャーからビーム撹乱膜形成弾を発射! その後対艦ミサイルは対空ミサイルとレーザー・ヴァルカンで迎撃! 」

「『ブルー』に接近! 距離480! シールド・パワー48%! 」

「撃ち込み続けながら『ブルー』の艦底部を至近で摺り抜ける! 同時に3つのミサイル・グループから20基ずつを起動して、それぞれに向かわせろ! 全兵装は目標を『グリーン』に変更してセット切り換えの上、集中攻撃再開! 」

『ディファイアント』は『ブルー』の艦底部を40mの至近で潜り抜ける。と同時に3つのミサイル・グループからそれぞれ20基が起動し、『レッド』・『ブルー』・『グリーン』へと向かう。『ディファイアント』は三度、最後の目標艦グリーンへと艦首を向け、全速加速・直線衝突コースで突撃して行く。

「『グリーン』がシールドアップ!! 」

「…ほう、学んだな。エンジン噴射停止! 艦首逆噴射半速! そのまま慣性航行で接近! 『グリーン』がシールドを降ろしたら、集中全力斉射再開! 」

「艦長、危険では? 」

ハル・ハートリーが私を観る。

「『レッド』と『ブルー』は今、接近するミサイルへの対処に忙しい…『グリーン』がこのままシールドを降ろさなくても、やりようはあるよ…」

速度を落とし、そのままのコースで接近する『ディファイアント』の目前で、20基の対艦ミサイルが『グリーン』に着弾するが、その総てはシールドによって阻止された。

「ヴァリアントは炸裂弾に切り換えて連射再開! 主砲とフロント・ミサイルも連続斉射再開! 対空ミサイル、レーザー・ヴァルカン、イーゲル・ファランクスの担当者へ! 目標の設定は各員の任意に任せる! これからの15分間だけ、接近するミサイルを総て迎撃してくれ! 私からの指示はそれだけだ! もっと接近・肉迫して攻撃を集中し、『グリーン』のシールドを突き破れ! アリシア! 『レッド』・『ブルー』のミサイルグループからそれぞれ5基だけ残して、他は総て起動し両艦に向かわせろ! この戦闘で例え損傷率が30%以上になっても、ここで踏ん張る! カリーナ! 『グリーン』のシールド・パワーを読んでくれ! 」

「『グリーン』、シールド・パワー71%! 『レッド』接近、距離1350! 『ブルー』も接近、1150! 主砲の被弾率上がります! 本艦の損傷率8%! 『グリーン』のシールド・パワー57%! 」

「ビーム撹乱膜形成弾! 2分間隔で弾幕発射! 」

「『レッド』・『ブルー』の両艦に、放出ミサイル着弾! 『レッド』損傷率38%! 『ブルー』損傷率39%! シールド・パワー42%! 本艦の損傷率12%! 」

「エマ! 10秒毎にアップサイドステップ・レフトサイドステップ・ダウンサイドステップ・ライトサイドステップ! このサークル・ステップワークを繰り返してくれ! レナ! 艦尾6番から8番砲塔で『レッド』と『ブルー』を砲撃! 」

「…了解! 」

「了解! 」

『グリーン』に肉迫し、前部全兵装による連続斉射を撃ち込み続ける事で、シールドを減衰させていく『ディファイアント』

それをしながら、サークル・ステップワークで『レッド』・『ブルー』からの砲撃をある程度躱しつつ、艦尾の主砲で両艦に対する砲撃をも敢行していく。

「シールド・パワー28%! 間も無くです! 『レッド』接近1150! 損傷率42%! 『ブルー』接近1040! 損傷率44%! 本艦の損傷率15%! シールド、15%! ?! 『レッド』と『ブルー』が僅かに後退! シールド5%! …消失!! 」

「『グリーン・グループ』ミサイル全弾起動! ヴァリアント焼夷徹甲弾5連射! 主砲1番から5番と、フロント・ミサイル斉射5連! 主砲6番から8番と、リア・ミサイル、『レッド』・『ブルー』に向けて斉射4連! サークル・ステップワークも続行! 」

「…了解!! 」

『ディファイアント』による総力反撃が3隻に対して敢行される。焼夷徹甲弾は『グリーン』の左舷艦首から艦尾にかけて突き刺さった。3発が内部で爆発し、4発目は爆発した際に破片が右舷から飛び出し、5発目は右舷に貫通してから爆発した。主砲とフロント・ミサイルの4斉射目が突き刺さったのと同時に、『グリーン・グループ』ミサイルの全弾が着弾。最後の5斉射目を撃ち込んでから『ディファイアント』は『グリーン』の左舷艦尾から左回りに廻り込む間に、残った10基の放出ミサイルをそれぞれ5基ずつ、『レッド』と『ブルー』に向かわせる。

『レッド』と『ブルー』は当初、『グリーン』を援護して『ディファイアント』を挟撃しようと接近する姿勢を見せていたが、『ディファイアント』が『グリーン』の左舷艦尾から廻り込んで『レッド』と『ブルー』に艦首を向け、ミサイルを迎撃していた『レッド』と『ブルー』に焼夷徹甲弾を一発ずつ撃ち込み、『ディファイアント』からの主砲斉射が『レッド』・『ブルー』それぞれに2射ずつ撃ち込まれると、『レッド』は面舵、『ブルー』は取舵を切って反転離脱に入る。

「『レッド』・『ブルー』、それぞれシールド・アップ! 反転して離脱に入ります! 『レッド』損傷率49%! 『ブルー』損傷率53%! それぞれ出力が上がらず加速が利かない模様で、シールド・バブルも安定しません! 『グリーン』損傷率68%! オーバー・ロードを感知! 間も無く爆発します! 」

「両舷全速! 最大加速で『レッド』・『ブルー』を追撃する! ヴァリアントは炸裂弾に切り換え! 主砲は更に照準を絞って連射狙撃! 」

『ディファイアント』が両舷全速最大加速で『レッド』・『ブルー』に対する追撃戦に入ってから25秒後、後方の『グリーン』が爆発した…。

「…『グリーン』の爆発を確認…」

「…よ~し(大きく息を吐いて)このまま追撃して『レッド』『ブルー』も撃沈する! 両舷全速加速続行! ハイパー・ヴァリアントは炸裂弾に切り換えて『レッド』・『ブルー』を交互に狙撃! 主砲1番から5番と副砲1番も両艦を交互に斉射! フロント・ミサイルも両艦を交互に斉射! 撃沈するまで追い掛けて追い込む! 」

「…本艦の損傷率は20%! こちらもあまり出力は上がりませんが、両艦との距離は徐々に詰めています。両艦のシールド・パワーは40%台から徐々に減衰中…」

「エドナ! レナ! シールド・ジェネレーターのある辺りを狙ってくれ! もうそろそろ切り上げよう…」

「了解!…」

その後4分程に亘る交互攻撃で両艦のシールドは消失。ハイパー・ヴァリアントの焼夷徹甲弾を3発ずつ撃ち込まれ、主砲の斉射を6射ずつ突き刺され、フロント・ミサイルの斉射も5射ずつ浴びて、『ブルー』…『レッド』の順に爆発四散した…。

「…3隻とも…撃沈しました…サード・ステージ…クリアです…」

「…ああ…疲れたな…(どっとシートに身体を凭せ掛けて)…副長、暗号秘密通信回線を通じて同盟参画全艦に勝利宣言と、圧縮した戦闘記録の配付を頼む…それと…『ディファイアント』はオート・コントロールにセットして、全乗員は1人残らずバー・ラウンジに集合…勝利を宣言して祝杯を挙げよう…チーフ・リントハートに連絡して、酒の用意を頼んでくれ…それと同時に経験値の割振りと、フォース・ステージに於ける基本方針について全乗員で協議する…以上だ…私は先に自室で一服してからラウンジに行くから、後は頼む…」

そう言ってから私は立ち上がり、副長・参謀・カウンセラー・参謀補佐・機関部長・補給支援部長・生活環境支援部長・砲術長・メインミサイルコントローラー・メインセンサーコントローラー・メインパイロットと握手を交わして肩に手を置き、労を労ってブリッジを後にした…。

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