『星屑の狭間で』

トーマス・ライカー

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・・『開幕』・・

・・開幕前日・・最重要金庫解錠・・2・・

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・・常務がパネルのパワースイッチをONにして彼自身の認証コードと名前を入力し、パスワードとパスコードを音声で入力して左手の掌紋と右眼の網膜パターンをスキャンさせた・・。

「・・これでシステムは正常に起動しました・・それではどうぞ・・」

・・常務と入れ替わって私がパネルの前面に立ち、氏名・年齢・生年月日・PIDカードの認証コードをタッチパネルで入力し、パスワードとパスコードを音声で入力・・そして両手の掌紋と両眼の網膜パターンをスキャンさせ、最後に『ディファイアント』とGFPIDカードでの艦長としての認証コード・αC2ΘX9をタッチパネルで入力した・・。

・・音も無くゆっくりと扉が開き始める・・開き切って動きが止まると、皆の必須3種アイテムを納めたケースを乗せたロボット・キャニスターが動き始め、金庫室から出て来てホールの中央部で停止した・・。

・・ジェア・インザー次長とエリック・カンデルチーフが交互にパスワードとパスコードを入力して、ケースカバーのロックを解除する・・チーフがカバーを外すと3歩退がって促した・・。

「・・ご確認をどうぞ・・」

「・・副長と参謀で配付して下さい・・」

「・・分かりました・・」

・・シエナとハルさんが歩み寄り、3種アイテムをワンセットずつ取り出して所有者氏名を確認の上、1人ずつ呼んで手渡していく・・私は腕を組んでそれを眺めている・・ふと、チーフの視線に気付いた・・真っ直ぐに私を観ている・・。

「・・何を観ているんですか、チーフ・・?・・」

「・・お前を観ているんだよ、アドル・・」

「・・何なんです・・?・(笑)・」

「・・1人で皆を守ろうとするなよ・・お前が1人で総てを背負い込む必要は無いんだ・・もっと他の艦長達を信頼して任せて、全員で懸命に引き出した力をまとめ合わせれば、大概のピンチは乗り切れる・・それでも犠牲が出てしまったのなら、それは誰にも力の及ぶ処じゃなかったんだ・・仕方の無い事だろう・・?・・」

「・・そんなに・・悲壮感を漂わせていますかね・?・私は・・?・・まあ、そうなれば・・いや・・そうであれば・・好いんですけれどもね・・本当に・・・でも・・まあね・・私を信じて下さいよ、チーフ・・?・・これでこう観えても、色々と考えてやっているんですから・・大丈夫ですよ・・何とかなるでしょう・・それでも犠牲が出てしまったのなら、土下座して詫びますよ・・」

・・チーフと私の会話を皆は動きを止めて聞いていたので、続けるようにと眼と手で促す・・最後にシエナ副長が私のセットを手渡してくれて、再配付は終わった・・。

「・・常務・・最重要金庫室を貸して下さり、どうもありがとうございました・・明日、開幕と言う運びになりますが、皆さんの応援の気持ち・想いはしっかりと受け取らせて頂きました・・無理はせず、精一杯に力を出し尽くして楽しみたいと思っておりますので、どうかご期待下さい・・」

「・・アドル艦長・・そして、『ディファイアント』のスタッフ・クルーの皆さん・・今回はお手伝いが出来て本当に善かったですし、嬉しかったですし光栄にも思います・・いよいよ明日が開幕ですが、皆さんに於かれては是非、気負わずにリラックスして構えずに、楽観的に自信を持って臨んで頂きたいと思います・・何か必要であると感じられる事物・・手伝いが入用な状況・状態であるなと感じられましたら直ぐに、どうかご遠慮なさらずに私共に御知らせ下さい・・可及的速やかに対応させて頂きます・・お気を付けて・・ご無事での出航と入港をお祈りして、お待ちしております・・」

「・・ご丁寧で優しく心強いご挨拶を、どうもありがとうございます・・強い援護があると言う事を肝に銘じて明日の出航に臨みます・・宜しくお願いします・・それでは、失礼致します・・」

・・そう言い終えて頭を下げると、全クルーも頭を下げた・・会社側の4人も、答礼として頭を下げる・・頭を上げると4人に対して改めて会釈して踵を反す・・4本のリフトに全員で分乗して1階まで降りて、再び全員でラウンジに入る・・まだ昼食休憩時間には入っていない・・喫煙スペースに入ろうとする処で声を掛けて、禁煙スペースに促す・・皆がそれぞれ比較的にまとまってテーブルに着いたが、私は立っていた・・シエナが右側に、リサは左側に立つ・・歩み寄って来たラウンジスタッフに、注文を取ってくれるように頼んだ・・。

「・・皆、今日は来てくれてありがとう・・明日が開幕と言う事で、アイテムを再配付した・・今、皆は元気そうに観えるが、体調には留意して明日を迎えて欲しい・・慌てる事は何も無いから、マニュアルを読み返して過ごしてくれ・・睡眠時間は充分に確保するようにしてくれ・・明日はアイテムを忘れないように・・明日は艦内に私物を持ち込む事が出来ない・・小さいバッグも認められない・・スターティング・セレモニー・ホールに入る前には、全員が金属探知ゲートを通る事になるから、金属物質はあまり身に付けないで欲しい・・今日はこれから私と数人で、最初の4日間で行う単艦での訓練プログラム・プランを完成させてプリントアウトする・・このプリントが何枚に及ぶかは判らないが、これだけは秘密裏に艦内へ持ち込む必要がある・・もしかしたら数百枚にも及ぶかも知れないが、その場合にはここに居る全員が数枚ずつ衣服の間に潜ませてゲートを通過して欲しい・・このプログラムプランに沿って、4日間を訓練で過ごす事が出来れば同盟全艦は間違い無く他艦より2歩は先んずる事が出来るだろう・・ここにはまだ承知していない者も居るかも知れないので、付け加えて報告するが・・ザック・オークマン艦長の『カオス・カスタリア』も同盟に参画する事が正式に認定された・・彼と彼の司令部に、ふたつの会議室の事は当面知らせないが、暗号秘密通信回線のセットアップデータは今日中に渡す事となっている・・その確認は今日中に、私の方で行う・・全員は乗艦したら個室に入り、作業用のユニフォームに着替えてラウンジ・バーに集合してくれ・・私から少し話をした後で、ほんの少しだけ呑み交わしてプレ・フライト・チェックに入って貰う・・私は機関室を手伝う・・ブリッジでの準備は、副長と参謀とメイン・パイロット・・そしてメイン・センサー・オペレーターを中心として進めて欲しい・・プレ・フライト・チェックの手順としては、それぞれのマニュアルを参照してくれ・・取り敢えず以上だが・・何か質問は・・?・・他に艦内へ持ち込みたい物がある場合には、毎週木曜日に運営推進本部に届け出る事が出来る・・乗艦して出航するまで、取り敢えず2時間を目標としたい・・でも準備が整えば、その時点で出航する・・」

・・そこまで言って言葉を切り、リサから水のグラスを貰って飲んだ・・。

・・誰も手を挙げないで、私を観ている・・もう一口水を飲んでグラスをテーブルに置いた・・。

「・・少し重い話になってしまったかも知れないが、全員がそれぞれこのゲームを心から思いっ切り楽しんでくれれば、それで好い・・何も深刻に考える必要は無い・・それぞれの場所と任務と責任の範囲内で、力を尽くして楽しんでくれ・・質問が無ければ、これでこの場では解散とする・・まだ昼食の休憩時間には入っていないが、頼めば何でも作ってくれる・・支払いは私と言う事にして、何でも頼んで食べて行ってくれ・・帰りたければ気を付けて帰宅してくれ・・明朝、『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社の正面出入口前で、午前7:30分に会おう・・!・・」

・・そう言い終えて右手を挙げて挨拶すると私は歩き出して喫煙スペースに入り、奥の空いている大テーブルに着いた・・少し遅れてリサとシエナが私の左右に座る・・ハンナとエマとリーアに、ハルとフィオナとカリーナは・・それから30秒の間でその大テーブルを囲んで座った・・。

・・ラウンジ・スタッフが来たので取り敢えずコーヒーを頼み、隣のテーブルから灰皿を取って眼の前に置く・・皆もそれぞれに飲み物を頼むようだ・・。

「・・アドルさん・・やっぱりエリック・カンデルさんは、お優しい方ですね・・」

・・と、ハル・ハートリーが優しい笑顔で言う・・。

「・・優しいのは勿論なんだけれどもね・・結構心配性な処もあったんだね・・普段はあんな事、言わない人だから・・新鮮だったよ・・」

「・・エリックさんは、アドルさんの事を2番目に理解していらっしゃいますね・・1番目は勿論、奥様ですけれども・・」

・・と、エマ・ラトナーが感嘆する・・。

「・・そうだね・・付き合いだけは長いから・・そう言えば、私のハイパー・モードを最初に観せたのもチーフだったな・・」

「・・ねえ、アドルさん・・無理はしませんよね・・?・・」

・・と、カリーナ・ソリンスキー・・。

「・・しないよ、カリーナ・・無理をしてたら何も楽しく無いだろ・・?・・先ずは自分自身が思いっ切り楽しむのが大前提で最優先だ・・それが無かったら、何をしてたってロクな事にはならないさ・・だろ・・?・・」

・・運ばれて来たコーヒーに口を付け、一服喫って蒸して燻らせる・・通り掛かったスタッフを呼び止めて、唐揚げサラダを頼む・・。

「・・それだけで好いんですか・・?・・」

・・と、フィオナ・コアー・・。

「・・まさか・・!・・もう暫くしたらちゃんと頼むよ・・小腹が空いたって言う感じかな・・君達もここで昼飯を食ってくれよ・・夕飯の時間になる迄は何も食べないからね・・シエナ・・今、何人残ってる・・?・・ちょっとこれを貸すから支払って来てくれるか・・?・・」

・・と、そう言ってビット・カードを取り出したが、リサがそれを受取って立ち上がる・・。

「・・私が支払って来ます・・」

「・・あ、ああ・・頼む・・」

「・・あの、アドルさん・・私も接待の席をお手伝いします・・」

・・と、カリーナ・ソリンスキーがホット・チョコレートを一口飲んで言う・・これでリサも含めれば17人だ・・
そろそろ大丈夫だろう・・。

「・・ありがとう、カリーナ・・助かるよ・・でも、無理はしなくて好いからね・・?・・」

「・・はい・・分かりました・・」

「・・シエナ・・日曜日、夜の入港までに接待の手伝いについては集約を採ってくれ・・もうあまり増えなくても好いからな・・」

「・・分かりました・・」

「・・それはそうと・・カリーナ・・パティと組んで貰って私から出しておいた課題はどうだい・?・難しそうかい・・?・・」

・・一服喫って蒸して燻らし、コーヒーを二口飲み、ウェットナプキンで手を拭いて、運ばれて来た唐揚げサラダを眼の前に置いてカリーナに訊く・・。

「・・はい・・小惑星も彗星も、新しいものはまだ発見できていません・・明日までには間に合いませんが、必ず見付けます・・」

「・・その意気だ・・!・・しっかり食って頑張ってくれ・・2人なら絶対できるさ・・発見出来たら3時間デート・・な・・?・・」

「・・はい・・宜しくお願いします・・」

・・ホット・チョコレートを飲んで頷き、頬を染めるカリーナだ・・リサが支払いを終えて戻って来た・・。

「・・どうだい・?・結構残っているかい・・?・・」

・・と、ビット・カードを受取りながら訊く・・。

「・・ええ、そうですね・・30数人は食事をされて、帰られるようです・・」

「・・そうか・・ここの飯は旨いからな・・しっかりと食って力を付けてくれれば好いよ・・」

・・そう言ってコーヒーを飲み干し、煙草を揉み消す・・唐揚げサラダに取り掛かろう・・。

「・・それで・・カウンセラー・・原稿は大体出来上がっているのかな・・?・・」

・・訊きながら、唐揚げをレタスで巻いて食べる・・うん・・唐揚げのパリパリ感が好い・・。

「・・はい・・大凡は仕上がりました・・データベースの組織的な構築についても、ほぼ決まりました・・」

・・と、ハンナもコーヒーを飲みながら応える・・。

「・・了解・・悪いがカウンセラーは、帰ったら食べながら飲みながらでも好いから、最終の詰めと推敲・・最終チェックと組織構築を終らせてくれ・・私とリサとカリーナで手伝う・・入力はその後で私がやる・・今日集まる皆に、私のスーパー・モードを観て貰う・・スーパー・モードの3割増し程度のスピードで好いだろうと思う・・原稿の分量がどの位かは判らないが・・このスピードでなら、1時間連続でも大丈夫だろうと思う・・他の人は私の状態をよく観察して、様子がおかしくなってきたら何をしても好いから止めてくれ・・リサさん・・君のと僕のとあとひとつ・・ヘッドセット・バイザーを借りて行こう・・月曜日の朝に返せば好い・・入力と保存とアップロードが終ったら、プリントアウトだ・・紙とプリント・カートリッジも買って行こう・・それで仕事を早く終わらせたら、後はハンナの誕生会だ・・楽しく食って呑んで祝って騒いで・・早く終わらせて帰って寝よう・・こんな流れで好いかな・・?・・」

・・皆、少し心配そうな笑顔で頷く・・。

「・・もう少し、手伝う人数を増やしましょうか・・?・・」

・・と、リーア・ミスタンテが訊く・・。

「・・俺は構わないけど・・俺とエマの車だろ・・?・・乗って貰うにしてもあと2人だな・・今、残っているメンバーの中で、頼める人はいるかい・・?・・」

「・・ちょっと観て来ます・・ハンナとエマも来て・・?・・」

・・と、シエナが席を立ち、ハンナとエマを促して禁煙スペースに入って行く・・そろそろ昼食休憩時間に入る頃だな・・・と、突然・ラッサール・コラントーニ料理長がシェフキャップを外しながら入って来る・・少し探していたが、直ぐに私を見付けて大股に歩み寄って来る・・。

「・・どうしたんですか・?・ラッサール・コラントーニ料理長・・そんなに慌てて・・?・・」

「・・ああ、いたいた・・アドル艦長、どうしたじゃないよ・・水臭いじゃないですか・・!・・クルーの皆さんが今日いらっしゃる予定だったのなら、言ってくれれば取って置きのスペシャル・ランチを用意したのに・・!・・」

「・・それはどうも申し訳ありませんでした、料理長・・ですが私が任命したクルーは70名弱にもなりますので、かなりの大所帯です・・全員にスペシャル・ランチともなりますと、厨房の皆さんにかなり過大な負担となるだろうと考えましたので、特段にお知らせはしませんでした・・厨房の皆さんを軽んじていたつもりはありませんので、どうかご容赦下さい・・」

・・立ち上がって、真っ直ぐに料理長を観ながらそう言い、深く頭を下げる・・すると料理長も落ち着いた様子になって相好を崩した・・。

「・・まあ・・そこまで言ってくれるならね・・致し方のない処もあるな・・ああ、この前・・アドル艦長と秘書さんに薬膳スープを食って貰ったよな・・?・・あれとはまた違うタイプのスープなんだが・・今、丁度出来てるんだよ・・それで・・今ここに来ているクルーの皆さんにだけでも、出航前の景気付けと言うか元気付けに振る舞いたいんだが・・好いかな・・?・・」

「・・そうですか・・それはとても有難いですね・・ラッサール料理長の肝いりともなれば、大変美味しく頂けるでしょう・・有難く頂きます・・どうぞ、宜しくお願いします・・」

「・・こちらこそ、ありがとうな・・明日、開幕だって・・?・・頑張ってくれな・・?・・」

「・・ありがとうございます・・頑張ります・・」

「・・それじゃ、ちょっと待っててくれ・・」

・・そう言って料理長は、嬉しそうに満面の笑みで出て行った・・。

「・・こちらのラッサール料理長も、善い方ですね・・」

・・と、フィオナ・コアーが微笑んで言う・・。

「・・そうだね・・話し方に気を付けなきゃならない処が、多少はあるがな・・」

・・シエナとハンナとエマが、パティ・シャノンとミーシャ・ハーレイを連れて戻って来る・・近くから椅子を2脚寄せて、2人とも大テーブルに着いた・・。

「・・アドルさん・・パティとミーシャも手伝ってくれます・・」

「・・そうか・・これだけメンバーが居れば大丈夫だな・・さっき料理長が来てね・・今いるメンバーに特製の薬膳スープを、出航前の元気付けに振る舞ってくれるってさ・・せっかくだから有難く頂こう・・それに併せて、もう昼食休憩時間に入るから皆もメニューを頼んでくれ・・ここで昼飯を済ませてから、行こう・・」

・・そう言い終えると同時に、昼食休憩時間に入る旨を告げるチャイムが響いた・・ラウンジ・スタッフを呼び寄せてメニューを頼む・・私はランチ・プレートのBと、サイドメニューをふたつ・・皆もそれぞれに頼み始める・・私は立ってカウンターに行き、コーヒーひとつにミルクティーを10杯淹れた・・淹れている間にスコット達が降りて来る・・。

「・・おっ、先輩・・お疲れ様です・・どこに座ってるんです・・?・・」

「・・奥で皆と一緒にな・・悪いけどスコット・・俺達は飯を食ったらもう行くから・・後は頼むな・・2時間しか手伝えなかったけど、どうだ・・?・・」

「・・充分過ぎる程の大活躍スよ・・お陰様で、もうあまりやる事も無いです・・気を付けて行ってらっしゃい・・明日は早くから開幕ですから、早く寝て下さいよ・・?・・」

「・・分かってるよ、ありがとうな・・ああ、スコット・・このコーヒー、持って行ってくれ・・好いから・・マーリーにズライもミルクティーを持って行ってくれ・・ちゃんと淹れたから美味いよ・・それじゃあな・・」

・・3人にそれぞれ飲み物を持たせると、追加も含めて更にミルクティーとコーヒーを仕上げていく・・11杯を改めて仕上げるとプレートに乗せて運んで行き、皆の前にそれぞれ置いて座った・・。

「・・お手伝いもせずにすみません・・」

「・・好いんだよ、副長・・しっかり食ったら行こう・・もう頼んだのか・・?・・」

「・・はい、全員頼み終わりました・・頂きます・・」

・・と、エマ・ラトナー・・軽く吹いてから二口飲む・・。

「・・ふう・・安定の美味しさですね・・いつもながら癒されます・・」

「・・今日の仕事が終れば、もう開幕前で組織的にやるべき事は無い・・ギリギリまでズレ込んだけど、何とかなったな・・我ながらよくもまあ潰れずにここまで来れたもんだ・・偏に・・皆のお陰だよ・・ありがとう・・どう言えば好いのかな・・?・・俺が選んだ君達が・・恥ずかしいけど、こんなにも愛おしい・・おかしいかな・・?・・」

「・・いいえ・・!・・おかしくなんか、ありません・・ありがとうございます・・その言葉を・・待っていたように、思います・・すみません・・」

・・と、パティ・シャノンが応え、不意に涙ぐんでひとつ零した・・さすがに驚く・・。

「・・済まない、パティ・・悪かった・・ごめん・・泣かせるつもりじゃなかったんだ・・悪かったな・・」

「・・好いんですよ、アドルさん・・大丈夫です・・アドルさんも、泣かせるセリフが言えるんですね・・?・・」

・・ハル・ハートリーだ・・彼女にそう評されるとは思わなかった・・一本取られたな・・ラウンジ・スタッフが料理長特製の薬膳スープを持って来る・・そんなに大きくない器で持って来てくれたのが有難い・・食欲をそそられる香りに・・胃袋が反応し始める・・。

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