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・・『開幕』・・
・・自宅壮行会・・2・・
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・・それから25分で自宅に帰着した・・人感センサーがチャイムを鳴らす・・ドアを開けたアリシアがそのまま私に抱き付いてハグしてくれる・・。
「・・お帰り、パパ・・お疲れ様・・(恥かしそうに)会いたかったよ・(照れくさそうに)・買い物して来た割には早かったね・・?・・」
・・と、妙に顔を赤くして訊いてくる・・。
「・・ああ、お客様より遅れちゃマズいからな・・先ず花束を持って行ってくれ、アリシア・・取り敢えず水を入れた容れ物に容れて置いて、得意な人が来たら活けて貰おう・・そしたらママを呼んでくれ・・ケーキがあるから・・」
「・・分かった・・」
・・3つの花束を抱えたアリシアが中に戻って行くのを見送る・・程無くしてエプロンで手を拭きながら、妻が来る・・。
「・・お帰りなさい、貴方・・お疲れ様・・元気そうね・・あら、ケーキ3つも買って来たの・?・スゴイわね・・?・・」
「・・ああ、今日は特別だからな・・取り敢えず冷蔵庫に容れておいてくれ・・?・・」
「・・分かったわ・・お酒は・・?・・」
「・・勿論、買って来たよ・・そっちは俺が持って行くから・・」
「・・ええ、シャワーは浴びる・・?・・」
「・・いや、もう時間が無いな・・全部着換えて顔を洗うだけにするよ・・同僚達が、もうすぐ着くだろうから・・」
「・・分かったわ・・じゃあ、お願いね・・料理はもうすぐ仕上がるから・・」
「・・ああ、そりゃ腹ペコで帰って来た甲斐があったよ・・アリソン・・愛してるよ・・」
「・・私もよ・・じゃ、忙しいから・・」
・・左腕でボトル4本の箱を抱え、右手でケーキひとつの箱を持ってキッチンに入り、ケーキの箱をアリシアに託すとボトル4本の箱を抱えて自室に入る・・自室で着ている物を総て脱ぎ、デオドラント・スプレーとシートを使って丹念に身体を拭い、下着から部屋着迄洗濯済みの物を着込む・・酒のボトルを総て箱から出して確認し、タオルで拭き上げて並べる・・20秒程眺めて『グレンフィデック』の18年を携え、自室から出て洗面台の前に立って丹念に顔を洗い、タオルでよく水分を拭き取ってからキッチンに入って、ミルクティーとコーヒーの用意を始める・・それから数分で人感センサーによるチャイムが客の来訪を告げたので私が出迎えに行くと、職場の同僚達4人が連れ立って到着した・・。
「・・よお、お疲れさん・・よく来てくれたな・・!・・」
「・・お疲れ様でした、先輩・・お久し振りにお邪魔します・・相変らず綺麗にされていますね・・?・・」
「・・そこは奥さんと娘のお陰でね・・頭の上がらない処だよ・・4人で一緒に来たのか・・?・・まあ、上がってよ・・!・・寒かっただろ・・?・・」
「・・僕はこの2人を乗せて来ただけですよ・・リサさんはタクシーで、ほぼ同時に来ましたけど・・」
「・・そうか・・3人ともいらっしゃい・・ズライは初めてだね・・招待できて嬉しいよ・・先ずはリビングで落ち着いてくれ・・お茶を淹れて持って来るから・・」
「・・お邪魔します、アドルさん・・また訪問できて嬉しいです・・」
・・リサに明るい表情が戻っている・・ピンクのワンピースが落ち着いたシックなデザインで優雅さを感じさせる・・少し大きめのトート・バッグを持って来たが何だろう・・?・・。
「・・またお邪魔します、アドル係長・・また伺う事が出来て嬉しいです・・」
・・マーリー・マトリンは何時も元気で明るくて躍動的で、それが彼女の持ち味だ・・鳶色のコートを脱ぐとライト・マリングリーンのフリルブラウスとピンクベージュのタイトミディ・・お嬢さんのような装いが、マーリーにはよく似合う・・。
「・・初めてお邪魔します、アドル係長・・招待して下さってありがとうございます・・とても素晴らしいお宅ですね・・」
・・ズライ・エナオは可愛らしいチェックのオーバーブラウスにイエローピンクのフリルリボンでアクセントを与えていて、脚はシックなライトブラウンのミディプリーツで包んでいる・・3人とも凄く綺麗で魅力的な装いだ・・。
「・・皆、気楽に気兼ねなく寛いでくれ・・あと、ここで係長は無しにしようや・・アドルで好いよ・・さあ、これでコートを掛けてくれ・・座っててな・・今、お茶を持って来るから・・スコットはコーヒーで好いな・・?・・」
・・4人にハンガーを配りながら訊く・・。
「・・ええ、コーヒーでお願いしま~す・・」
・・私はキッチンに戻って3つのミルクティーを仕上げ、コーヒーをふたつ淹れてプレートに乗せる・・手を洗って拭いていると、アリシアがプレートを持ってくれる・・。
「・・ありがとう・・」
・・そう言って、2人でリビングに入る・・。
「・・こんばんは、初めまして、ズライ・エナオさん・・アリシア・エルクです・・どうぞ宜しくお願いします・・スコットさん、お久し振りです・・おいで下さってありがとうございます・・リサさんもマーリーさんもおいで下さってありがとうございます・・どうぞ、ゆっくりお寛ぎ下さい・・間も無く夕食の用意が整いますのでもう暫くお待ち下さい・・」
・・と、アリシアは膝立ちで座って皆にカップを配りながら挨拶した・・。
「・・久し振りだね、アリシアちゃん・・観ない間にすっかり素敵なレディになって、お兄さんは感動したよ・(笑)・・」
「・・おい・(笑)・何でお前が兄貴なんだよ・・?(笑)・」
「・・まあまあ・(笑)・アリシアちゃんにピッタリのお土産を持って来たから・・楽しみにしててね・・?・・」
「・・はい、楽しみにしています・・スコット兄さん・・(笑)・・」
・・アリシアも笑顔でそう返すと他の3人も笑顔がこぼれる・・。
「・・先輩・・『ディファイアント』のクルーで、今夜来られるのはどなたなんですか・・?・・」
「・・ああ、副長にカウンセラー・・参謀に機関部長・・メインパイロットに砲術長・・補給支援部長に保安部長だよ・・もう直ぐ来るはずだ・・」
「・・そうですか・・楽しみですね・・」
「・・(笑)心配しなくても、彼女はお前の隣に座らせてやるから・(笑)・」
「・・そんな事、言ってないじゃないですか・・(照れ笑い)・」
「・・美味・・しいです・・これがアドルさん手ずからのミルクティーなんですね・・?・・」
・・と、ズライがミルクティーを飲み、カップを置いて頬を染める・・。
「・・そうなのよ・・私なんか毎日一杯は、これを飲ませて貰いたくてさ・・」
「・・そうか・・?・・ラウンジで使ってる茶葉とウチの茶葉は違うんだけど、それでも好けりゃお昼に淹れてやるよ・・マーリーの為だ・・朝は時間が合わないかも知れないからな・・?・・」
「・・本当ですか、アドルさん・?・超嬉しいです・・!・・」
「・・私にもお願いします・アドルさん・・」
・・と、ズライが珍しく私を縋るように観る・・。
「・・分かったよ・・ラウンジの茶葉で良ければ昼の初めに2杯淹れるから・・2人にね・・?・・」
「・・ありがとうございます・・」
「・・宜しくお願いします・・」
「・・先輩の淹れるコーヒーも凄く旨いですね・・僕にはこの味は出せないですよ・・豆の配合は・・?・・」
「・・今日は、マンデリンが8割にキリマンジェロが2割だな・・豆の煎り方加減は実際にやって見せないと解らないだろうが・・」
「・・今度、教えて下さいよ・・?・・」
「・・ああ、ちょっと書いて送ってやるよ・・」
「・・私も、パパの淹れてくれるホット・ミルクチョコレートの味が、自分では出せないんです・・3回、試しましたけど・・」
「・・アリシアさんは、何年生・・?・・」
・・と、ズライが訊く・・。
「・・ハイスクールの1年生です・・」
「・・クラブとか、サークルの活動は・・?・・」
「・・はい、演劇クラブに入っています・・」
「・・パパが超有名人になっちゃって、どう・・?・・」
・・と、マーリーも訊く・・。
「・・はい・・クラスでも学校中でもパパを応援してくれていて、嬉しいです・・」
「・・友達が中心になって『ディファイアント』の応援団が出来てね・・あっと言う間に私設親衛隊が結成されて、隊長に据えられたってさ・・」
「・・ヒュー・!・そりゃ凄い・・どんな活動をするの・・?・・」
・・と、スコットも興味津々だ・・。
「・・はい・・配信番組は全員で視聴して翌日に感想を出し合い、分析と考察も加えてフォローしてくれる皆さんにメッセージマガジンを配信します・・」
「・・すごいわね、アリシアさん・・15才とは思えない行動力ね・・」
「・・ありがとうございます、リサさん・・パパの印象を少しでも好くしたいですから・・」
「・・くう・・親冥利に尽きる・・泣かせるセリフじゃないスか、先輩・・?・・」
「・・ああ、全くな・・俺にゃ勿体ない娘だよ・・」
・・私がそう応えた時に、また人感センサーが客の来訪を告げる・・アリシアと一緒に立って迎えに出る・・ドアを開けると8人がハンナを先頭にして全員が入室し、最後にフィオナが入って後ろ手にドアを閉めた・・。
「・・やあ、みんないらっしゃい・・!・・寒い処を来てくれてありがとう・・さっ、上がって・・職場の同僚達は少し前に来たから・・」
「・・皆さん、いらっしゃいませ・・寒い処をおいで頂きまして、ありがとうございます・・父がいつもお世話になっています・・さあどうぞ、お上がり下さい・・」
「・・こんばんは・・また訪問できて嬉しいです・・アドルさん、アリシアちゃん・・今日は楽しみにして来ました・・宜しくお願いします・・アリシアちゃん・・素敵なレディになったわね・・お父さんも鼻が高いでしょう・・?・・」
「・・いや全く、俺には勿体ない過ぎた娘だよ・・さあ上がって・・取り敢えずリビングで寛いでくれ・・直ぐにお茶を淹れて来るから・・アリシア、皆さんにハンガーをお配りして・・?・・」
「・・ハ~イ・・」
「・・こんばんは・・お邪魔します・・」「・・お世話になります・・楽しみです・・」「・・こんばんは・・宜しくお願いします・・」「・・今日は、お招きありがとうございます・・」「・・また訪問できて嬉しいです・・」「・・こんばんは・・相変らず、素敵なお宅ですね・・」
・・そう口々に応えて、スタッフ達は全員で上がりながらコートを脱ぐ・・アリシアが1人ずつにハンガーを配りながらリビングへと招き入れる・・先に来ていたスコット達が立ち上がって挨拶し、スタッフ達もそれに応じて挨拶を返す・・改めて全員で座り直したが、エマがエドナを促してスコットの左隣に座らせる・・彼の右隣にはシエナが座った・・私とアリシアはキッチンに戻って8杯のミルクティーを淹れ始める・・。
「・・こんばんは、リサさん・・今日は素敵な装いね・・とても綺麗よ・・」
「・・こんばんは、ハンナさん・・ありがとうございます・・ハンナさんも皆さんも、とても素敵で美しいですよ・・」
「・・スコットさんも・・とてもサッパリした装いで清潔感を出されていて、格好好くて素敵ですよ・・ホラ、エドナ・・!・・褒めてあげなさいよ・・?!・・」
「・・分かってるわよ、エマ・!・でもちょっと・・何だか見惚れちゃっててさ・・」
・・そう言うと頬を染めて俯き、髪の毛を気にして触り始めるエドナ・ラティスである・・。
「・・貴方・・もう皆さん、おいでになったの・・?・・」
・・と、一段落ついたらしいアリソンが、エプロンで手を拭きながら私に訊く・・。
「・・うん・・今はリビングで寛いで貰っているよ・・」
「・・そう・・じゃ、ちょっとご挨拶して来るわね・・?・・」
・・そう言うとエプロンを外してリビングへ向かう・・。
「・・皆さん、こんばんは・・ようこそおいで下さいました・・寒い処をお集まり頂いて、ありがとうございます・・いつもお世話になりまして、ありがとうございます・・今夜はどうぞ、ごゆっくりなさって行って下さい・・夕食はもうひと手間で仕上がりますので、あと少しお待ち下さいね・・後程お呼び致します・・」
「・・こんばんは、奥様・・またお邪魔致します・・ご招待して頂きまして、ありがとうございます・・奥様の手料理をまたご馳走になれるなんて、本当に感激です・・私達の方がアドルさんのお世話になっておりますので、どうぞ気兼ねなさらないで下さい・・何かお手伝い致しましょうか・・?・・」
・・と、スタッフ達は立ち上がり、シエナが代表する形で返礼した・・。
「・・料理はもうほぼ出来上がっていますので大丈夫ですよ・・今アドルがお茶を淹れておりますので、ごゆっくり寛いで楽しんで下さい・・ああそうだわ・・お花を買って来てるんですけれども、まだ活けてなかったわ・・申し訳ないですけれども、得意な方がいらしたら手伝って頂けないかしら・・?・・」
・・アリソンの問い掛けに、ハルとリーアとマレットとフィオナが手を挙げてアリソンに続いてダイニングルームに入り、3つの花束を見せられた・・。
「・・とても素敵な花束ですね・・どうしましょうか・・?・・」
・・と、マレット・・。
「・・そこに5つの花瓶を出してありますので、皆さんにお任せしますから5つに分けて活けて下さいな・・置き場所はテーブルの上に、こう3つと・・キッチンのあそこの隅と、玄関にひとつ置いて下さい・・お任せしますので、宜しくお願いします・・」
「・・分かりました、お任せ下さい・・」
・・と、ハル・ハートリーが頷く・・。
・・4人は手早く花束を解き、適切にバランス良く5つの花束に分けて再構成して5つの花瓶に活けると、それぞれアリソンが指示した場所に置いた・・。
「・・アリソンさん、出来ましたが・・これで如何でしょうか・・?・・」
・・と、フィオナ・コアーがアリソンに問い掛けると、アリソンは満足そうな笑顔で言った・・。
「・・とっても素敵ですわね・・本当にありがとうございました・・感謝しますね・・それでは、もう暫くリビングでお待ち下さいな・・お茶を飲み終わりました頃に、お呼びしますわね・・?・・」
「・・分かりました・・お手伝い出来て好かったです・・お世話になります・・」
・・5人でリビングに戻り、アリソンはリビングから出てキッチンに戻って、スタッフ達はまた座る・・私は8杯のミルクティーを仕上げた・・。
「・・好し・・また頼むな、アリシア・・」
「・・はい・・」
・・アリシアが8杯のミルクティーを乗せたプレートを持って先にリビングに入り、私も後に続く・・膝立ちで座ったアリシアが皆の前にカップを乗せたソーサーを置こうとするが、皆自らソーサーごとカップを受取っていく・・。
「・・皆さん、改めまして今日は寒い中、おいで頂きありがとうございます・・何時も父がお世話になっております・・どうぞごゆっくり寛いで、お楽しみ下さい・・」
・・そう挨拶してアリシアは退がる・・。
「・・本当に素敵なお嬢さんですね、アドルさん・・」
「・・ありがとう、ハルさん・・あまり背伸びしなくても好いんだけどね・・お宅のお子さん達とも遊ばせてやりたいですよ・・」
「・・いえ、うちの子供達は、まだまだやんちゃなだけですから・・」
「・・やんちゃに遊ぶのも、子供の仕事の内だと思うけどね・・ああ、ごめんなさい・・冷めない内にどうぞ・・?・・」
「・・頂きます・・」
「・・う・・ん・・美味・・しい・・」
「・・美味しいです・・この一杯をたまにしか飲めないのが・・却ってツラいです・・」
「・・何だか・・力が抜けちゃって・・立てなくなりそう・・」
「・・癒やされ過ぎますよ・・アドルさん・・」
「・・(笑)・みんな、ありがとうな・・労う事が出来て、善かったよ・・」
「・・あの・・僕、今日は色々とお土産を持って来たんですけれども・・初めにエドナさんに、これを差し上げます・・」
・・そう言って、スコットはケースをポケットから取り出して、テーブルに置く・・。
「・・これは・・自分で材料を揃えて、自分で造りました・・エドナさんにお守りとして持っていて欲しいんです・・どうぞ・・」
・・そう言いながらケースを開けて、エドナの前に置く・・観ると・・弾丸のような物にキーホルダーが取り付けられていて、小さいソリッドメディアも取り付けられている・・エドナの左隣に座るエマがケースごと取り上げてしげしげと観る・・。
「・・これって・・本物の金と銀で造ってあるよ・・?・・」
「・・なんですって・・?!・・」
・・と、シエナ・・。
・・エマがケースごと、マレットの掌に乗せる・・。
「・・本当だ・・カートリッジが銀で・・ブリットが金で出来てる・・ご自分で鋳造されたんですか・スコットさん・・?・・」
「・・ええ、はい・・2回失敗して・・3回目にやっと綺麗に仕上がりました・・エドナさんにお守りとして持っていて欲しいんです・・心はこもっていると思います・・」
「・・エドナ・・これはアナタのお守りだよ・・アタシ達は触れない・・これ以上にアナタを守ってくれるお守りは無いと思うね・・受け取りなさい、エドナ・・?・・」
・・そう言ってマレットは、ケースごとエドナの前にそれを置く・・10数秒躊躇っていたエドナだったが、やがてそれをケースから取り上げたエドナは、両手で包み込むように握った・・。
「・・ありがとう・・ございます・・スコットさん・・大切にします・・」
・・握った両手を胸に引いて、涙目でスコットを観る・・。
「・・こちらこそ、ありがとうございます・・受け取ってくれて嬉しいです・・」
・・スコットも両の拳を両脚の上に置いて、込み上げるものを堪えているようだった・・やれやれ・・一段落付いたかな・・?・・あとは・・うん・・?・・少し前に席を外したアリシアが何かを持って帰って来た・・何だろう・・?・・。
「・・あの、ハンナさん・・これは昨日まで作っていて、やっと出来上がってまだラッピングも出来ていなくて申し訳ないのですが、お世話になったお礼として作りました・・お守りになるかどうかは判りませんが、差し上げます・・どうか受け取って下さい・・」
・・アリシアが持って来てハンナに差し出したのは、私と『ディファイアント』を模して作ったマスコット人形だ・・軽巡宙艦のフォルム・ディテイルは、発表されている・・『ディファイアント』の艦体がシルバー・ホワイトに塗られているのも知られている・・結構頑張って、特徴をよく捉えて作っている・・苦労したんだろう・・私の方はと言うと、結構イケメンとして作ってくれたようだ・・。
「・・アリシアちゃん・・本当にありがとう・・すごく上手に作ってあるし、すごく素敵だよ・・これは私のお守りとして、大切にするね・・ありがとう・・すごく嬉しいよ・・」
・・と、大切そうに受け取ったハンナがそう応える・・。
「・・受け取ってくれて、ありがとうございます・・頑張って作った甲斐がありました・・これからも私とパパを宜しくお願いします・・」
「・・こちらこそ宜しくね、アリシアちゃん・・て言うか、私達皆アドルさんにはものすごくお世話になってるんだよ・・貴女のパパは、本当にすごい人なんだよ・・」
「・・はい・・よく分かります・・」
・・流石に擽ったくなって来たので、堪らずに口を挿む・・。
「・・ああまあ、そろそろ皆、腹も減ってきただろうし・・ダイニングに行こうか・・?・・食べながらでも話は色々と出来るだろうからさ・・?・・これ以上待ってると、せっかくの料理が冷めちまう・・じゃ、行こう・・」
・・その言葉で皆、お茶やコーヒーを飲み干して立ち上がった・・。
「・・お帰り、パパ・・お疲れ様・・(恥かしそうに)会いたかったよ・(照れくさそうに)・買い物して来た割には早かったね・・?・・」
・・と、妙に顔を赤くして訊いてくる・・。
「・・ああ、お客様より遅れちゃマズいからな・・先ず花束を持って行ってくれ、アリシア・・取り敢えず水を入れた容れ物に容れて置いて、得意な人が来たら活けて貰おう・・そしたらママを呼んでくれ・・ケーキがあるから・・」
「・・分かった・・」
・・3つの花束を抱えたアリシアが中に戻って行くのを見送る・・程無くしてエプロンで手を拭きながら、妻が来る・・。
「・・お帰りなさい、貴方・・お疲れ様・・元気そうね・・あら、ケーキ3つも買って来たの・?・スゴイわね・・?・・」
「・・ああ、今日は特別だからな・・取り敢えず冷蔵庫に容れておいてくれ・・?・・」
「・・分かったわ・・お酒は・・?・・」
「・・勿論、買って来たよ・・そっちは俺が持って行くから・・」
「・・ええ、シャワーは浴びる・・?・・」
「・・いや、もう時間が無いな・・全部着換えて顔を洗うだけにするよ・・同僚達が、もうすぐ着くだろうから・・」
「・・分かったわ・・じゃあ、お願いね・・料理はもうすぐ仕上がるから・・」
「・・ああ、そりゃ腹ペコで帰って来た甲斐があったよ・・アリソン・・愛してるよ・・」
「・・私もよ・・じゃ、忙しいから・・」
・・左腕でボトル4本の箱を抱え、右手でケーキひとつの箱を持ってキッチンに入り、ケーキの箱をアリシアに託すとボトル4本の箱を抱えて自室に入る・・自室で着ている物を総て脱ぎ、デオドラント・スプレーとシートを使って丹念に身体を拭い、下着から部屋着迄洗濯済みの物を着込む・・酒のボトルを総て箱から出して確認し、タオルで拭き上げて並べる・・20秒程眺めて『グレンフィデック』の18年を携え、自室から出て洗面台の前に立って丹念に顔を洗い、タオルでよく水分を拭き取ってからキッチンに入って、ミルクティーとコーヒーの用意を始める・・それから数分で人感センサーによるチャイムが客の来訪を告げたので私が出迎えに行くと、職場の同僚達4人が連れ立って到着した・・。
「・・よお、お疲れさん・・よく来てくれたな・・!・・」
「・・お疲れ様でした、先輩・・お久し振りにお邪魔します・・相変らず綺麗にされていますね・・?・・」
「・・そこは奥さんと娘のお陰でね・・頭の上がらない処だよ・・4人で一緒に来たのか・・?・・まあ、上がってよ・・!・・寒かっただろ・・?・・」
「・・僕はこの2人を乗せて来ただけですよ・・リサさんはタクシーで、ほぼ同時に来ましたけど・・」
「・・そうか・・3人ともいらっしゃい・・ズライは初めてだね・・招待できて嬉しいよ・・先ずはリビングで落ち着いてくれ・・お茶を淹れて持って来るから・・」
「・・お邪魔します、アドルさん・・また訪問できて嬉しいです・・」
・・リサに明るい表情が戻っている・・ピンクのワンピースが落ち着いたシックなデザインで優雅さを感じさせる・・少し大きめのトート・バッグを持って来たが何だろう・・?・・。
「・・またお邪魔します、アドル係長・・また伺う事が出来て嬉しいです・・」
・・マーリー・マトリンは何時も元気で明るくて躍動的で、それが彼女の持ち味だ・・鳶色のコートを脱ぐとライト・マリングリーンのフリルブラウスとピンクベージュのタイトミディ・・お嬢さんのような装いが、マーリーにはよく似合う・・。
「・・初めてお邪魔します、アドル係長・・招待して下さってありがとうございます・・とても素晴らしいお宅ですね・・」
・・ズライ・エナオは可愛らしいチェックのオーバーブラウスにイエローピンクのフリルリボンでアクセントを与えていて、脚はシックなライトブラウンのミディプリーツで包んでいる・・3人とも凄く綺麗で魅力的な装いだ・・。
「・・皆、気楽に気兼ねなく寛いでくれ・・あと、ここで係長は無しにしようや・・アドルで好いよ・・さあ、これでコートを掛けてくれ・・座っててな・・今、お茶を持って来るから・・スコットはコーヒーで好いな・・?・・」
・・4人にハンガーを配りながら訊く・・。
「・・ええ、コーヒーでお願いしま~す・・」
・・私はキッチンに戻って3つのミルクティーを仕上げ、コーヒーをふたつ淹れてプレートに乗せる・・手を洗って拭いていると、アリシアがプレートを持ってくれる・・。
「・・ありがとう・・」
・・そう言って、2人でリビングに入る・・。
「・・こんばんは、初めまして、ズライ・エナオさん・・アリシア・エルクです・・どうぞ宜しくお願いします・・スコットさん、お久し振りです・・おいで下さってありがとうございます・・リサさんもマーリーさんもおいで下さってありがとうございます・・どうぞ、ゆっくりお寛ぎ下さい・・間も無く夕食の用意が整いますのでもう暫くお待ち下さい・・」
・・と、アリシアは膝立ちで座って皆にカップを配りながら挨拶した・・。
「・・久し振りだね、アリシアちゃん・・観ない間にすっかり素敵なレディになって、お兄さんは感動したよ・(笑)・・」
「・・おい・(笑)・何でお前が兄貴なんだよ・・?(笑)・」
「・・まあまあ・(笑)・アリシアちゃんにピッタリのお土産を持って来たから・・楽しみにしててね・・?・・」
「・・はい、楽しみにしています・・スコット兄さん・・(笑)・・」
・・アリシアも笑顔でそう返すと他の3人も笑顔がこぼれる・・。
「・・先輩・・『ディファイアント』のクルーで、今夜来られるのはどなたなんですか・・?・・」
「・・ああ、副長にカウンセラー・・参謀に機関部長・・メインパイロットに砲術長・・補給支援部長に保安部長だよ・・もう直ぐ来るはずだ・・」
「・・そうですか・・楽しみですね・・」
「・・(笑)心配しなくても、彼女はお前の隣に座らせてやるから・(笑)・」
「・・そんな事、言ってないじゃないですか・・(照れ笑い)・」
「・・美味・・しいです・・これがアドルさん手ずからのミルクティーなんですね・・?・・」
・・と、ズライがミルクティーを飲み、カップを置いて頬を染める・・。
「・・そうなのよ・・私なんか毎日一杯は、これを飲ませて貰いたくてさ・・」
「・・そうか・・?・・ラウンジで使ってる茶葉とウチの茶葉は違うんだけど、それでも好けりゃお昼に淹れてやるよ・・マーリーの為だ・・朝は時間が合わないかも知れないからな・・?・・」
「・・本当ですか、アドルさん・?・超嬉しいです・・!・・」
「・・私にもお願いします・アドルさん・・」
・・と、ズライが珍しく私を縋るように観る・・。
「・・分かったよ・・ラウンジの茶葉で良ければ昼の初めに2杯淹れるから・・2人にね・・?・・」
「・・ありがとうございます・・」
「・・宜しくお願いします・・」
「・・先輩の淹れるコーヒーも凄く旨いですね・・僕にはこの味は出せないですよ・・豆の配合は・・?・・」
「・・今日は、マンデリンが8割にキリマンジェロが2割だな・・豆の煎り方加減は実際にやって見せないと解らないだろうが・・」
「・・今度、教えて下さいよ・・?・・」
「・・ああ、ちょっと書いて送ってやるよ・・」
「・・私も、パパの淹れてくれるホット・ミルクチョコレートの味が、自分では出せないんです・・3回、試しましたけど・・」
「・・アリシアさんは、何年生・・?・・」
・・と、ズライが訊く・・。
「・・ハイスクールの1年生です・・」
「・・クラブとか、サークルの活動は・・?・・」
「・・はい、演劇クラブに入っています・・」
「・・パパが超有名人になっちゃって、どう・・?・・」
・・と、マーリーも訊く・・。
「・・はい・・クラスでも学校中でもパパを応援してくれていて、嬉しいです・・」
「・・友達が中心になって『ディファイアント』の応援団が出来てね・・あっと言う間に私設親衛隊が結成されて、隊長に据えられたってさ・・」
「・・ヒュー・!・そりゃ凄い・・どんな活動をするの・・?・・」
・・と、スコットも興味津々だ・・。
「・・はい・・配信番組は全員で視聴して翌日に感想を出し合い、分析と考察も加えてフォローしてくれる皆さんにメッセージマガジンを配信します・・」
「・・すごいわね、アリシアさん・・15才とは思えない行動力ね・・」
「・・ありがとうございます、リサさん・・パパの印象を少しでも好くしたいですから・・」
「・・くう・・親冥利に尽きる・・泣かせるセリフじゃないスか、先輩・・?・・」
「・・ああ、全くな・・俺にゃ勿体ない娘だよ・・」
・・私がそう応えた時に、また人感センサーが客の来訪を告げる・・アリシアと一緒に立って迎えに出る・・ドアを開けると8人がハンナを先頭にして全員が入室し、最後にフィオナが入って後ろ手にドアを閉めた・・。
「・・やあ、みんないらっしゃい・・!・・寒い処を来てくれてありがとう・・さっ、上がって・・職場の同僚達は少し前に来たから・・」
「・・皆さん、いらっしゃいませ・・寒い処をおいで頂きまして、ありがとうございます・・父がいつもお世話になっています・・さあどうぞ、お上がり下さい・・」
「・・こんばんは・・また訪問できて嬉しいです・・アドルさん、アリシアちゃん・・今日は楽しみにして来ました・・宜しくお願いします・・アリシアちゃん・・素敵なレディになったわね・・お父さんも鼻が高いでしょう・・?・・」
「・・いや全く、俺には勿体ない過ぎた娘だよ・・さあ上がって・・取り敢えずリビングで寛いでくれ・・直ぐにお茶を淹れて来るから・・アリシア、皆さんにハンガーをお配りして・・?・・」
「・・ハ~イ・・」
「・・こんばんは・・お邪魔します・・」「・・お世話になります・・楽しみです・・」「・・こんばんは・・宜しくお願いします・・」「・・今日は、お招きありがとうございます・・」「・・また訪問できて嬉しいです・・」「・・こんばんは・・相変らず、素敵なお宅ですね・・」
・・そう口々に応えて、スタッフ達は全員で上がりながらコートを脱ぐ・・アリシアが1人ずつにハンガーを配りながらリビングへと招き入れる・・先に来ていたスコット達が立ち上がって挨拶し、スタッフ達もそれに応じて挨拶を返す・・改めて全員で座り直したが、エマがエドナを促してスコットの左隣に座らせる・・彼の右隣にはシエナが座った・・私とアリシアはキッチンに戻って8杯のミルクティーを淹れ始める・・。
「・・こんばんは、リサさん・・今日は素敵な装いね・・とても綺麗よ・・」
「・・こんばんは、ハンナさん・・ありがとうございます・・ハンナさんも皆さんも、とても素敵で美しいですよ・・」
「・・スコットさんも・・とてもサッパリした装いで清潔感を出されていて、格好好くて素敵ですよ・・ホラ、エドナ・・!・・褒めてあげなさいよ・・?!・・」
「・・分かってるわよ、エマ・!・でもちょっと・・何だか見惚れちゃっててさ・・」
・・そう言うと頬を染めて俯き、髪の毛を気にして触り始めるエドナ・ラティスである・・。
「・・貴方・・もう皆さん、おいでになったの・・?・・」
・・と、一段落ついたらしいアリソンが、エプロンで手を拭きながら私に訊く・・。
「・・うん・・今はリビングで寛いで貰っているよ・・」
「・・そう・・じゃ、ちょっとご挨拶して来るわね・・?・・」
・・そう言うとエプロンを外してリビングへ向かう・・。
「・・皆さん、こんばんは・・ようこそおいで下さいました・・寒い処をお集まり頂いて、ありがとうございます・・いつもお世話になりまして、ありがとうございます・・今夜はどうぞ、ごゆっくりなさって行って下さい・・夕食はもうひと手間で仕上がりますので、あと少しお待ち下さいね・・後程お呼び致します・・」
「・・こんばんは、奥様・・またお邪魔致します・・ご招待して頂きまして、ありがとうございます・・奥様の手料理をまたご馳走になれるなんて、本当に感激です・・私達の方がアドルさんのお世話になっておりますので、どうぞ気兼ねなさらないで下さい・・何かお手伝い致しましょうか・・?・・」
・・と、スタッフ達は立ち上がり、シエナが代表する形で返礼した・・。
「・・料理はもうほぼ出来上がっていますので大丈夫ですよ・・今アドルがお茶を淹れておりますので、ごゆっくり寛いで楽しんで下さい・・ああそうだわ・・お花を買って来てるんですけれども、まだ活けてなかったわ・・申し訳ないですけれども、得意な方がいらしたら手伝って頂けないかしら・・?・・」
・・アリソンの問い掛けに、ハルとリーアとマレットとフィオナが手を挙げてアリソンに続いてダイニングルームに入り、3つの花束を見せられた・・。
「・・とても素敵な花束ですね・・どうしましょうか・・?・・」
・・と、マレット・・。
「・・そこに5つの花瓶を出してありますので、皆さんにお任せしますから5つに分けて活けて下さいな・・置き場所はテーブルの上に、こう3つと・・キッチンのあそこの隅と、玄関にひとつ置いて下さい・・お任せしますので、宜しくお願いします・・」
「・・分かりました、お任せ下さい・・」
・・と、ハル・ハートリーが頷く・・。
・・4人は手早く花束を解き、適切にバランス良く5つの花束に分けて再構成して5つの花瓶に活けると、それぞれアリソンが指示した場所に置いた・・。
「・・アリソンさん、出来ましたが・・これで如何でしょうか・・?・・」
・・と、フィオナ・コアーがアリソンに問い掛けると、アリソンは満足そうな笑顔で言った・・。
「・・とっても素敵ですわね・・本当にありがとうございました・・感謝しますね・・それでは、もう暫くリビングでお待ち下さいな・・お茶を飲み終わりました頃に、お呼びしますわね・・?・・」
「・・分かりました・・お手伝い出来て好かったです・・お世話になります・・」
・・5人でリビングに戻り、アリソンはリビングから出てキッチンに戻って、スタッフ達はまた座る・・私は8杯のミルクティーを仕上げた・・。
「・・好し・・また頼むな、アリシア・・」
「・・はい・・」
・・アリシアが8杯のミルクティーを乗せたプレートを持って先にリビングに入り、私も後に続く・・膝立ちで座ったアリシアが皆の前にカップを乗せたソーサーを置こうとするが、皆自らソーサーごとカップを受取っていく・・。
「・・皆さん、改めまして今日は寒い中、おいで頂きありがとうございます・・何時も父がお世話になっております・・どうぞごゆっくり寛いで、お楽しみ下さい・・」
・・そう挨拶してアリシアは退がる・・。
「・・本当に素敵なお嬢さんですね、アドルさん・・」
「・・ありがとう、ハルさん・・あまり背伸びしなくても好いんだけどね・・お宅のお子さん達とも遊ばせてやりたいですよ・・」
「・・いえ、うちの子供達は、まだまだやんちゃなだけですから・・」
「・・やんちゃに遊ぶのも、子供の仕事の内だと思うけどね・・ああ、ごめんなさい・・冷めない内にどうぞ・・?・・」
「・・頂きます・・」
「・・う・・ん・・美味・・しい・・」
「・・美味しいです・・この一杯をたまにしか飲めないのが・・却ってツラいです・・」
「・・何だか・・力が抜けちゃって・・立てなくなりそう・・」
「・・癒やされ過ぎますよ・・アドルさん・・」
「・・(笑)・みんな、ありがとうな・・労う事が出来て、善かったよ・・」
「・・あの・・僕、今日は色々とお土産を持って来たんですけれども・・初めにエドナさんに、これを差し上げます・・」
・・そう言って、スコットはケースをポケットから取り出して、テーブルに置く・・。
「・・これは・・自分で材料を揃えて、自分で造りました・・エドナさんにお守りとして持っていて欲しいんです・・どうぞ・・」
・・そう言いながらケースを開けて、エドナの前に置く・・観ると・・弾丸のような物にキーホルダーが取り付けられていて、小さいソリッドメディアも取り付けられている・・エドナの左隣に座るエマがケースごと取り上げてしげしげと観る・・。
「・・これって・・本物の金と銀で造ってあるよ・・?・・」
「・・なんですって・・?!・・」
・・と、シエナ・・。
・・エマがケースごと、マレットの掌に乗せる・・。
「・・本当だ・・カートリッジが銀で・・ブリットが金で出来てる・・ご自分で鋳造されたんですか・スコットさん・・?・・」
「・・ええ、はい・・2回失敗して・・3回目にやっと綺麗に仕上がりました・・エドナさんにお守りとして持っていて欲しいんです・・心はこもっていると思います・・」
「・・エドナ・・これはアナタのお守りだよ・・アタシ達は触れない・・これ以上にアナタを守ってくれるお守りは無いと思うね・・受け取りなさい、エドナ・・?・・」
・・そう言ってマレットは、ケースごとエドナの前にそれを置く・・10数秒躊躇っていたエドナだったが、やがてそれをケースから取り上げたエドナは、両手で包み込むように握った・・。
「・・ありがとう・・ございます・・スコットさん・・大切にします・・」
・・握った両手を胸に引いて、涙目でスコットを観る・・。
「・・こちらこそ、ありがとうございます・・受け取ってくれて嬉しいです・・」
・・スコットも両の拳を両脚の上に置いて、込み上げるものを堪えているようだった・・やれやれ・・一段落付いたかな・・?・・あとは・・うん・・?・・少し前に席を外したアリシアが何かを持って帰って来た・・何だろう・・?・・。
「・・あの、ハンナさん・・これは昨日まで作っていて、やっと出来上がってまだラッピングも出来ていなくて申し訳ないのですが、お世話になったお礼として作りました・・お守りになるかどうかは判りませんが、差し上げます・・どうか受け取って下さい・・」
・・アリシアが持って来てハンナに差し出したのは、私と『ディファイアント』を模して作ったマスコット人形だ・・軽巡宙艦のフォルム・ディテイルは、発表されている・・『ディファイアント』の艦体がシルバー・ホワイトに塗られているのも知られている・・結構頑張って、特徴をよく捉えて作っている・・苦労したんだろう・・私の方はと言うと、結構イケメンとして作ってくれたようだ・・。
「・・アリシアちゃん・・本当にありがとう・・すごく上手に作ってあるし、すごく素敵だよ・・これは私のお守りとして、大切にするね・・ありがとう・・すごく嬉しいよ・・」
・・と、大切そうに受け取ったハンナがそう応える・・。
「・・受け取ってくれて、ありがとうございます・・頑張って作った甲斐がありました・・これからも私とパパを宜しくお願いします・・」
「・・こちらこそ宜しくね、アリシアちゃん・・て言うか、私達皆アドルさんにはものすごくお世話になってるんだよ・・貴女のパパは、本当にすごい人なんだよ・・」
「・・はい・・よく分かります・・」
・・流石に擽ったくなって来たので、堪らずに口を挿む・・。
「・・ああまあ、そろそろ皆、腹も減ってきただろうし・・ダイニングに行こうか・・?・・食べながらでも話は色々と出来るだろうからさ・・?・・これ以上待ってると、せっかくの料理が冷めちまう・・じゃ、行こう・・」
・・その言葉で皆、お茶やコーヒーを飲み干して立ち上がった・・。
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