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・・『開幕』・・
・・同盟完成記念祝賀会・・2・・
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「・・奥さん、強いですね・・強いし、先読みもハンパ無い・・それに・ちょっと怖いです・・」
・・ヤンセン君が、ちょっと肩を竦めて言う・・。
「・・私達も、奥様の言われた言葉は聞きました・・その後アドルさんのご自宅にお邪魔させて頂いた時に、奥様の手料理を頂きながらお話しました・・凄く美味しい手料理で、奥様も優しく接して下さって、笑顔で宜しくお願いしますと仰られました・・怖さも感じましたが、その何倍も強く感じられたのが、強さ・優しさ・信頼・愛情の深さです・・私達クルーは全員、アドルさんをお慕いしています・・愛していると言っても好いでしょう・・ですが節度を超えて、親密な関係にはなりません・・それは絶対に守ります・・アリソン奥様と、アリシアお嬢さんの為にも・・」
・・ハル・ハートリーが静かに、背筋を伸ばして真っ直ぐ前を直視しながら自信に満ちて言い切る・・。
「・・我々同盟にとっての、最重要人物がこれで明確になったな・・アドル主宰の細君だ・・彼女の安全が保障できれば、アドル主宰のコンディションも好い状態で維持されるだろう・・ここでまた一つ提案しよう・・同盟に参画する全艦の艦長及び副長で、一度は主宰の自宅を訪問しよう・・その上で奥様にご挨拶を申し上げる・・開幕後暫くが経過してからで好い・・同盟として一度は行うべき事だろう・・会議室には私から提案して日程の調整を図ろうと思う・・今ここに居る諸氏には、その旨を諒承頂きたい・・」
・・ハイラム・サングスター氏も、背筋を伸ばしてそう言った・・。
「・・そうですね・・賛成しますし、諒承します・・同盟に参画する者として、最低限の礼儀でしょう・・多少の無理はしてでも最大公約数的な日程になら、合わせる用意があります・・」
・・と、ザンダー・パスクァール氏がナプキンで口を拭って言う・・。
「・・僕だって賛成しますし、諒承しますよ・!・せっかくアドル主宰の奥方様にお目通りが叶うんですからね・・目一杯にキメて、ご挨拶申し上げます・!・」
「・・あのさあ、ヤンセン君・・ウチの奥さん、女王様じゃないからね・(苦笑)・普通の人だからさ・・」
「・・了解ですよ、アドルさん・(笑)・・」
「・・当然だけど、アリソンとアリシアには私から話すよ・・それで、訪問日程の候補を3つほど出そう・・先ずその3つの候補の中で、検討して欲しい・・40人ちょっと、って事だよね・・?・・」
「・・そうなりますね・・分かりました・・先ずその3つの候補で検討します・・それでも集まり難いようでしたら連絡しますので、宜しくお願いします・・」
・・ハイラム氏が、静かに応じた・・。
「・・分かりました・・」
「・・さて、アドルさん・・そろそろボクシングのディフェンス・テクニックとステップ・ワークを、対艦近接戦闘に於ける操艦にどのように採り容れるのか、教えて頂けませんか・・?・・そろそろ酔いが回って頭が正常に働かなくなりますのでね・・」
・・ザンダー・パスクァール氏が、グラスビールを飲み干して言う・・。
「・!・ボクシングのディフェンス・テクニックとステップ・ワークを、対艦近接戦闘時に於ける操艦に採り容れるんですって・!?・・一体どうやるんですか・・?!・・」
・・ニック・ペイントン副長がさすがにグラスを置いて、驚きの表情を見せながら訝し気に訊く・・。
「・・うん・・これはいずれ会議室に、実際の操艦行動データと一緒に書き込むつもりで準備していたんだけど・・まあ口で言うよりも、観て貰った方が早いな・・じゃあこれが艦だと思って観て下さい・・」
・・そう言うと私は、手の甲を上にした左手を水平にした姿勢で、中空に静止させて見せる・・。
「・・これがボクシングで言う処のスウェイング・・と・・スウェイバック・・と・・ダッキング・・と・・ウィービング・・と・・ボビング・・と・・スリッピング・・これらがディフェンス・テクニックだね・・それらに、今から言うステップ・ワークを組み合わせて敵艦からの砲撃を躱す・・ライトサイド・フロントアップ・ワンステップ・・と・・ダウン・ワンステップ・・レフトサイド・フロントアップ・ワンステップ・・と・・ダウン・ワンステップ・・ライトサイド・バックアップ・ワンステップ・・と・・バックダウン・ワンステップ・・レフトサイド・バックアップ・ワンステップ・・と・・バックダウン・ワンステップ・・・これらは場合によって、ツーステップ分の距離を移動する事も有り得る・・つまり、スウェイングにライトサイド・フロントアップ・ワンステップを組み合わせれば、この動きになる・・逆方向ならこうだ・・ダッキングにレフトサイド・バックアップ・ワンステップを組み合わせればこう動く・・逆方向ならこう動く・・これらのヴァリエーションを上手くコンビネーションして用いながら、出来るだけ短時間で反応して速く動く事で、近接距離にある敵艦からの砲撃を躱しつつカウンターでの砲撃を命中させ、敵艦にダメージを蓄積させる・・その間で皆さんに反対側へ回り込んで貰えれば、理想的な挟撃戦が展開出来ると言う訳です・・」
「・・随分・・トリッキーな操艦ですね・・曲芸と言っても良いぐらいじゃないですか・?・出来るかな・・?・・」
・・と、ヤンセン氏が言う・・。
「・・勿論、訓練は必要だね・・だから会議室には、これらのコンビネーション・ディフェンス・ヴァリエーションを総て書き込んで、それぞれの操艦行動データと共に、それぞれについての解説を書くよ・・開幕して最初の2日間は単艦での訓練になるから、その時に反復練習して慣れるようにして下さい・・」
・・そう言って私は、一口食べて二口飲んだ・・。
「・・うん・・やはり想像以上の操艦ですね・・この操艦で近接敵艦からの砲撃を躱しつつカウンター・ショットを撃ち込むなら、敵艦の動きを注視して観察しながら更にその先の動きをも予測して読まなければ、とても躱し切れないでしょうね・・今の処これが出来るとしたら、アドルさんくらいのものでしょうが・・」
・・と、ザンダーさんも眼鏡を外して拭きながら、そう評した・・。
「・・私も含めてウチのメイン・スタッフだって、練習しないと出来ないよ・・」
「・・アドルさんはどうして、この操艦法を考え出されたのですか・・?・・」
・・と、マヤ・アンジェロウ女史が訊く・・。
「・・開幕早々に敵性集団に包囲されてしまう可能性は、ほぼ無いと今は思っているんだけど・・いずれそのような局面に陥る可能性は否定できない・・期せずしてそのような局面になってしまった場合でも、この操艦法に慣れていれば突破できると思うよ・・」
「・・アドルさんの魅力って、話を聴けば聞く程に強く感じますね・・」
・・と、エイミー・カールソンさん・・。
「・・本当にそうですね・・」
・・と、アシュリー・アードランドさん・・。
「・・『ディファイアント』の皆さんが、アドルさんを慕われるのもよく解りますわ・・」
・・と、ヴィヴィアン・カークランド先生・・。
「・・処で、艦長控室にある水槽はどうする・・?・・」
「・・あの水槽ですか・・?・・まだ決めてないですね・・」
・・と、ヤンセンさん・・。
「・・アドルさんは、どうされるんですか・・?・・」
・・と、ザンダー氏・・。
「・・うん・・ウチの医療部長の知り合いに、観賞魚を扱っている人がいるそうでね・・手間の掛からない、綺麗な観賞魚を見繕って貰いますよって話で、水槽の寸法を測って画像を撮っていたけど、あれからまだ連絡が無いからどうしているのかな・・?・・」
「・・それって好いですわね・・私もお願いしようかしら・・紹介して頂けますか、アドルさん・・?・・」
・・と、デボラ・ヴァジリーヴァさんがグラスを置いて、私に顔を向ける・・。
「・・好いですよ・・次に連絡があったら、デボラさんの事を紹介しますから・・」
「・・ありがとうございます・・宜しくお願いします・・」
・・ここでまた、先程挨拶に見えたこの店のオーナー・マスター、イゴール・バルーエフ氏が店の奥から何かを持って歩み寄って来るのが観えたので、私がまた立ち上がると皆も少し遅れて立ち上がった・・。
「・・いやいや、アドル・エルク主宰、どうぞそのままで、皆様もどうぞそのままでお座り下さい・・ご歓談の処をお邪魔致しまして申し訳ありません・・どうぞそのままお座り下さい・・お楽しみの処を誠に申し訳ありませんが、皆様が笑顔で杯を掲げている処を撮らせて頂きたいと思いまして参りました・・どうぞ、宜しくお願い致します・・」
「・・ああ、そうですか、分かりました・・じゃあ、皆さん・・グラスにビールを注いで、精一杯の笑顔でお願いします・・それでは・・!・・」
・・皆のグラスをビールで満たし、右手で掲げてにこやかな笑顔でイゴール氏の構えるカメラを観る・・シャッター音が5回響いて、撮影は終わった・・。
「・・ありがとうございました、アドル・エルク主宰・・皆様のご協力のお陰で素晴らしい画像が撮れました・・ご歓談をお楽しみの処を、誠に申し訳ありませんでした・・改めまして、ありがとうございました・・どうぞ、そのままごゆっくりとお楽しみ下さい・・」
・・3回頭を下げて、イゴール氏は退がった・・皆もグラスを置いて座り直す・・。
「・・ビールはもういいな・・」
・・そう言うと私は、通り掛かったウェイターを呼び止めて、モルトウィスキーのメニューを頼んだ・・。
「・・アドルさん・・今撮られた画像は・・?・・」
・・と、エイミー・カールソン女史・・。
「・・うん・・多分、30分以内にニュースサイトに出るでしょうね・・騒がれる前に切り上げた方が好いだろうかな・・?・・」
「・・そうでしょうね・・」
・・と、ザンダー氏・・。
「・・お子さんのいらっしゃる方は、料理をテイクアウトで頼んでも好いですよ・・それも含めて支払います・・」
「・・ありがとうございます・・お言葉に甘えます・・」
・・と、デボラさん・・。
・・ウェイターがウィスキーのメニューを持って来たので、ハイラムさんと一緒に観る・・モルトでの品揃えはあまり無いが、ブレンデッドウィスキーで30年ものがあったのでそれをボトルで頼み、全員分のウィスキーグラスも頼んだ・・。
「・・デザートを頼んでも大丈夫ですよ・・一応の締めと言う事で、最後の乾杯をしましょう・・こういう飲み会も好いものですね・・2ヶ月に一回くらいは集まっても好いんじゃないかと思いますけれども、問題は場所ですね・・」
「・・ウチの警備護衛艦隊司令部内の施設に、パーティールームがありましてね・・100人でも楽に入れます・・何時でも私の方で予約できますよ・・」
・・そう言ってハイラム・サングスター氏が、一口食べて二口飲む・・。
「・・そいつは好いですね・・お願いしましょうよ、アドルさん・・?・・」
・・と、ヤンセン氏が笑顔で言う・・。
「・・それじゃあお言葉に甘えまして、その際には宜しくお願いします・・」
「・・畏まりました・・何時でもご連絡下さい・・」
・・その時にウェイターがボトルとグラスを全員分持って来てボトルの封を切ったので、全員にツーフィンガーで注ぐように頼む・・注ぎ終わったウェイターが一礼して退がる・・私がグラスを右手に立ち上がると、皆も遅れて立ち上がった・・。
「・・え~・艦長に選ばれたと言う連絡を貰ってから、まだ1ヶ月も経ってない・・にも拘らずこれ程迄の展開を観る事になるとは、全く予想の範囲外でした・・ですが皆さんに会えて・知り合えて・仲間になれて・友誼を結べた事に付いては感謝しかありません・・間も無く開幕しますが、今はとにかく全員無事にファースト・シーズンを生き延びる・・それだけを改めて誓い合いましょう・・乾杯・!!・・」
「・・乾杯・!!・・」
・・ブレンデッド・ウィスキーだが30年物だった事もあり、非常に口当たりが好くてマイルドな味わいだった・・フォロースルーにも殆ど癖が無い・・それ程の逸品であった為か、全員が一口で飲み干した・・。
「・・これは好いですね・・ブレンデット・ウィスキーですが、かなりの逸品です・・このボトルはヤンセン艦長に預けますから、『トルード・レオン』に持ち込んで下さい・・私が訪問した時にでも呑ませてくれれば好いですから・・」
「・・好いんですか・・?・・呑んじゃいますよ・・?・・」
「・・2杯分くらい、残して置いてくれれば好いですよ・・その辺は、シャロン・ヒューズ副長に監視をお願いしましょう・・?・・」
「・・了解しました、アドル主宰・・」
「・・開幕して順調に訓練をこなして無事に全艦で合流出来たら、訓練も兼ねてシャトルでスペース・レースでもやりますか・・?・・各艦のメイン・パイロットは出さないって言う条件でね・・メイン・パイロットを出しちゃうと、ガチのレースになっちゃうから・・」
「・・好いですねえ・・艦長っつったってシートに座ってるだけじゃダメですからね・・受けて立ちますよ・!・」
・・と、ヤンセンさん・・。
「・・私も出ましょう・・これでも乗ってる車は速いやつなんで、イケると思います・・」
・・と、ザンダーさん・・。
「・・そう言えば見ましたよ、アドルさん・・『ディファイアント』のメイン・パイロット・・エマ・ラトナーさんですよね・?・よく口説けましたね・?・あれ程の人を・・」
・・と、タイタス・エルダード副長が訊く・・。
「・・うん・・彼女の名前を候補者名簿の中で観た時には、メイン・パイロットを頼むのなら彼女しかいないと思ったよ・・だが実際に受けてくれるかどうかについては、初めて会うまで半信半疑だったね・・」
「・・では何故メイン・パイロットへの就任を、承知して貰えたのですか・・?・・」
・・と、今度はニック・ペイントン副長が訊いたが、これにはシエナ・ミュラー副長が応えた・・」
「・・エマ・ラトナーも私達のグループの一員でした・・彼女もアドル艦長が私達を一つに纏めてくれた事に感謝し、感激して感動していました・・そして『ディファイアント』のメイン・パイロットシートに座って艦を操る事が自分のこれからの生甲斐であると見付けたのです・・」
「・・『E・X・F』(エクセレント・フォーミュラ)のマスター・パイロットですからね・・スペース・レースに出れば、ぶっ千切りでチェッカー・フラッグでしょう・・?・・」
・・と、コンラート・アキン副長がそう評する・・。
「・・今のレベルは多分、全員同じだよ・・僕らも含めてね・・精々が撮影セットを見学して触って初期設定をしたり、マニュアルを読み込んだりしている位で何も変わらないさ・・開幕したって暫くはオタオタするだろう・・それも含めて楽しめば好いのさ・・どうせ2日間で敵に遭うなんて事は無い・・2日間でどれだけ慣れるかが一つのチェックポイントだな・・番組からすれば視聴者受けする放映素材はごく稀にしかない戦闘シーンよりも、艦内での様子・・人間関係って事になるだろう・・つまり我々の一般クルーに対する接し方・・姿勢・態度・言動が切り取られて取り沙汰されるであろう事は間違いない・・フラット・ユージュアリー・フレンドリーで好いと思うけど、節度は超えないようにしないとね・・少なくとも艦内ではね・・」
・・そう言い終わる頃合いで、デザートとテイクアウト・パッケージが届けられる・・私は何も頼まなかった・・ウィスキー・ボトルのキャップをキツ目に締めて、ボトルをヤンセン氏の前に置く・・シャロン・ヒューズ副長がそれを受け取って預かった・・。
「・・明日は、どう言う流れになるんでしょう・・?・・」
・・と、アレクシア・ランドール副長・・。
「・・さあねえ・・挨拶は求められるだろうね、少なくとも私には・・艦長全員が挨拶と決意表明でもしたら、それだけで1時間以上になるだろうからそれは無いとして・・運営本部として新しく発表するような事も、まあそんなには無いだろうから・・メディアからどのような質問が寄せられるか、だろうね・・」
「・・それでは、そろそろお開きにしましょうか・?・アドルさん・・?・・」
・・と、ハイラム・サングスター氏・・。
「・・そうですね、明日もある事だし、そろそろお開きにして帰りましょう・・タクシーを呼ばれるんでしたら、運賃も支払いますよ・・」
「・・ご馳走様でした、アドルさん・・とても楽しかったです・・明日もご一緒させて頂きますので、宜しくお願いします・・」
・・と、エイミー・カールソン女史・・。
「・・こちらこそ、楽しい食事会でした・・明日も宜しくお願いします・・」
「・・ご馳走様でした、アドルさん・・また明日もお逢い出来るので、嬉しいです・・」
「・・ありがとう、アシュリーさん・・明日もあるから、気を付けて帰ってね・・」
「・・ご馳走様でした、アドルさん・・楽しかったですし、勉強にもなりました・・依頼して下さった仕事には真摯に取り組むつもりです・・あの・・アドルさんがエンジニアとして感銘を受けた言葉があったら、教えて頂けませんか・・?・・」
・・と、マヤ・アンジェロウ女史が訊く・・。
「・・そうですね・・私が尊敬して止まない、あるエンジニアがこんな言葉を遺しました・・『・・好いエンジニアってのはな、本当の数字は言わないもんだ・・特に記録して残す場合にはな・・』・・この言葉の背景については、また次の機会にお話しましょう・・」
「・・ありがとうございました、アドルさん・・」
「・・ご馳走様でした、アドルさん・・また明日も宜しくお願いします・・あの・・今日の最後に艦長としての心得を一つご教授下さい・・」
「・・そうですね・・デボラさん、艦長も店長も似たような者だと思います・・通常直での航行時ならスタッフに総て丸投げして、確認以外にああしろ・こうしろとは言わない事・・何か問題が起きてスタッフが報告する迄、どっしりと構えていて好いですよ・・艦長・副長の指揮能力は、緊急非常事態に於いて試されるものですから・・その場合でも、スタッフの意見を訊いて判断を下すようにすれば好いです・・」
「・・ありがとうございました、アドルさん・・胸に留めて置きます・・」
「・・ご馳走様でした、アドルさん・・とても楽しかったです・・明日も宜しくお願いします・・失礼ですが個人的にアドルさんの着られる、新しいスーツをデザインしてみたいと考えています・・」
「・・本当ですか・?・カークランド先生・・?・・先生にスーツをデサインして頂けるなんて、とても光栄です・・でも、お高いんでしょうね・・?・・」
「・・いいえ、アドルさん・・これは私のとても個人的な想いでの申し出ですので、代金は頂きません・・時間を掛けてでもデザインさせて頂きたいと思います・・でもその代わり、いつまでもお元気でとても魅力的なリーダーでいて下さいね・・?・・」
「・・どうもありがとうございます、カークランド先生・・先生にそこまで言って頂けると身が引き締まる想いです・・家族や職場の同僚達に言ったら、びっくりするでしょうね・・こちらこそ新米のリーダーですが、宜しくお願いします・・それじゃ皆さん、会計して帰りましょう・・パブリック・ステーションまで送れば好い人は言って下さい・・タクシーを呼ぶ人は、お店の人に言って下さいね・・運賃が計上できたら言って下さい・・振り込みますから・・また乗り合わせで帰りましょう・・」
・・飲食代金と計上されたタクシー運賃をビットカード・セタッチで支払う・・私が提示したビットカードを観て少し驚いた人もいた・・また私のエレカーには、エイミー・カールソン艦長・・リサ・ミルズ専任秘書・・シエナ・ミュラー副長・・ハル・ハートリー参謀が乗り合わせる事になり、発車して一路、最寄りのパブリック・ステーションへと向かった・・。
・・ヤンセン君が、ちょっと肩を竦めて言う・・。
「・・私達も、奥様の言われた言葉は聞きました・・その後アドルさんのご自宅にお邪魔させて頂いた時に、奥様の手料理を頂きながらお話しました・・凄く美味しい手料理で、奥様も優しく接して下さって、笑顔で宜しくお願いしますと仰られました・・怖さも感じましたが、その何倍も強く感じられたのが、強さ・優しさ・信頼・愛情の深さです・・私達クルーは全員、アドルさんをお慕いしています・・愛していると言っても好いでしょう・・ですが節度を超えて、親密な関係にはなりません・・それは絶対に守ります・・アリソン奥様と、アリシアお嬢さんの為にも・・」
・・ハル・ハートリーが静かに、背筋を伸ばして真っ直ぐ前を直視しながら自信に満ちて言い切る・・。
「・・我々同盟にとっての、最重要人物がこれで明確になったな・・アドル主宰の細君だ・・彼女の安全が保障できれば、アドル主宰のコンディションも好い状態で維持されるだろう・・ここでまた一つ提案しよう・・同盟に参画する全艦の艦長及び副長で、一度は主宰の自宅を訪問しよう・・その上で奥様にご挨拶を申し上げる・・開幕後暫くが経過してからで好い・・同盟として一度は行うべき事だろう・・会議室には私から提案して日程の調整を図ろうと思う・・今ここに居る諸氏には、その旨を諒承頂きたい・・」
・・ハイラム・サングスター氏も、背筋を伸ばしてそう言った・・。
「・・そうですね・・賛成しますし、諒承します・・同盟に参画する者として、最低限の礼儀でしょう・・多少の無理はしてでも最大公約数的な日程になら、合わせる用意があります・・」
・・と、ザンダー・パスクァール氏がナプキンで口を拭って言う・・。
「・・僕だって賛成しますし、諒承しますよ・!・せっかくアドル主宰の奥方様にお目通りが叶うんですからね・・目一杯にキメて、ご挨拶申し上げます・!・」
「・・あのさあ、ヤンセン君・・ウチの奥さん、女王様じゃないからね・(苦笑)・普通の人だからさ・・」
「・・了解ですよ、アドルさん・(笑)・・」
「・・当然だけど、アリソンとアリシアには私から話すよ・・それで、訪問日程の候補を3つほど出そう・・先ずその3つの候補の中で、検討して欲しい・・40人ちょっと、って事だよね・・?・・」
「・・そうなりますね・・分かりました・・先ずその3つの候補で検討します・・それでも集まり難いようでしたら連絡しますので、宜しくお願いします・・」
・・ハイラム氏が、静かに応じた・・。
「・・分かりました・・」
「・・さて、アドルさん・・そろそろボクシングのディフェンス・テクニックとステップ・ワークを、対艦近接戦闘に於ける操艦にどのように採り容れるのか、教えて頂けませんか・・?・・そろそろ酔いが回って頭が正常に働かなくなりますのでね・・」
・・ザンダー・パスクァール氏が、グラスビールを飲み干して言う・・。
「・!・ボクシングのディフェンス・テクニックとステップ・ワークを、対艦近接戦闘時に於ける操艦に採り容れるんですって・!?・・一体どうやるんですか・・?!・・」
・・ニック・ペイントン副長がさすがにグラスを置いて、驚きの表情を見せながら訝し気に訊く・・。
「・・うん・・これはいずれ会議室に、実際の操艦行動データと一緒に書き込むつもりで準備していたんだけど・・まあ口で言うよりも、観て貰った方が早いな・・じゃあこれが艦だと思って観て下さい・・」
・・そう言うと私は、手の甲を上にした左手を水平にした姿勢で、中空に静止させて見せる・・。
「・・これがボクシングで言う処のスウェイング・・と・・スウェイバック・・と・・ダッキング・・と・・ウィービング・・と・・ボビング・・と・・スリッピング・・これらがディフェンス・テクニックだね・・それらに、今から言うステップ・ワークを組み合わせて敵艦からの砲撃を躱す・・ライトサイド・フロントアップ・ワンステップ・・と・・ダウン・ワンステップ・・レフトサイド・フロントアップ・ワンステップ・・と・・ダウン・ワンステップ・・ライトサイド・バックアップ・ワンステップ・・と・・バックダウン・ワンステップ・・レフトサイド・バックアップ・ワンステップ・・と・・バックダウン・ワンステップ・・・これらは場合によって、ツーステップ分の距離を移動する事も有り得る・・つまり、スウェイングにライトサイド・フロントアップ・ワンステップを組み合わせれば、この動きになる・・逆方向ならこうだ・・ダッキングにレフトサイド・バックアップ・ワンステップを組み合わせればこう動く・・逆方向ならこう動く・・これらのヴァリエーションを上手くコンビネーションして用いながら、出来るだけ短時間で反応して速く動く事で、近接距離にある敵艦からの砲撃を躱しつつカウンターでの砲撃を命中させ、敵艦にダメージを蓄積させる・・その間で皆さんに反対側へ回り込んで貰えれば、理想的な挟撃戦が展開出来ると言う訳です・・」
「・・随分・・トリッキーな操艦ですね・・曲芸と言っても良いぐらいじゃないですか・?・出来るかな・・?・・」
・・と、ヤンセン氏が言う・・。
「・・勿論、訓練は必要だね・・だから会議室には、これらのコンビネーション・ディフェンス・ヴァリエーションを総て書き込んで、それぞれの操艦行動データと共に、それぞれについての解説を書くよ・・開幕して最初の2日間は単艦での訓練になるから、その時に反復練習して慣れるようにして下さい・・」
・・そう言って私は、一口食べて二口飲んだ・・。
「・・うん・・やはり想像以上の操艦ですね・・この操艦で近接敵艦からの砲撃を躱しつつカウンター・ショットを撃ち込むなら、敵艦の動きを注視して観察しながら更にその先の動きをも予測して読まなければ、とても躱し切れないでしょうね・・今の処これが出来るとしたら、アドルさんくらいのものでしょうが・・」
・・と、ザンダーさんも眼鏡を外して拭きながら、そう評した・・。
「・・私も含めてウチのメイン・スタッフだって、練習しないと出来ないよ・・」
「・・アドルさんはどうして、この操艦法を考え出されたのですか・・?・・」
・・と、マヤ・アンジェロウ女史が訊く・・。
「・・開幕早々に敵性集団に包囲されてしまう可能性は、ほぼ無いと今は思っているんだけど・・いずれそのような局面に陥る可能性は否定できない・・期せずしてそのような局面になってしまった場合でも、この操艦法に慣れていれば突破できると思うよ・・」
「・・アドルさんの魅力って、話を聴けば聞く程に強く感じますね・・」
・・と、エイミー・カールソンさん・・。
「・・本当にそうですね・・」
・・と、アシュリー・アードランドさん・・。
「・・『ディファイアント』の皆さんが、アドルさんを慕われるのもよく解りますわ・・」
・・と、ヴィヴィアン・カークランド先生・・。
「・・処で、艦長控室にある水槽はどうする・・?・・」
「・・あの水槽ですか・・?・・まだ決めてないですね・・」
・・と、ヤンセンさん・・。
「・・アドルさんは、どうされるんですか・・?・・」
・・と、ザンダー氏・・。
「・・うん・・ウチの医療部長の知り合いに、観賞魚を扱っている人がいるそうでね・・手間の掛からない、綺麗な観賞魚を見繕って貰いますよって話で、水槽の寸法を測って画像を撮っていたけど、あれからまだ連絡が無いからどうしているのかな・・?・・」
「・・それって好いですわね・・私もお願いしようかしら・・紹介して頂けますか、アドルさん・・?・・」
・・と、デボラ・ヴァジリーヴァさんがグラスを置いて、私に顔を向ける・・。
「・・好いですよ・・次に連絡があったら、デボラさんの事を紹介しますから・・」
「・・ありがとうございます・・宜しくお願いします・・」
・・ここでまた、先程挨拶に見えたこの店のオーナー・マスター、イゴール・バルーエフ氏が店の奥から何かを持って歩み寄って来るのが観えたので、私がまた立ち上がると皆も少し遅れて立ち上がった・・。
「・・いやいや、アドル・エルク主宰、どうぞそのままで、皆様もどうぞそのままでお座り下さい・・ご歓談の処をお邪魔致しまして申し訳ありません・・どうぞそのままお座り下さい・・お楽しみの処を誠に申し訳ありませんが、皆様が笑顔で杯を掲げている処を撮らせて頂きたいと思いまして参りました・・どうぞ、宜しくお願い致します・・」
「・・ああ、そうですか、分かりました・・じゃあ、皆さん・・グラスにビールを注いで、精一杯の笑顔でお願いします・・それでは・・!・・」
・・皆のグラスをビールで満たし、右手で掲げてにこやかな笑顔でイゴール氏の構えるカメラを観る・・シャッター音が5回響いて、撮影は終わった・・。
「・・ありがとうございました、アドル・エルク主宰・・皆様のご協力のお陰で素晴らしい画像が撮れました・・ご歓談をお楽しみの処を、誠に申し訳ありませんでした・・改めまして、ありがとうございました・・どうぞ、そのままごゆっくりとお楽しみ下さい・・」
・・3回頭を下げて、イゴール氏は退がった・・皆もグラスを置いて座り直す・・。
「・・ビールはもういいな・・」
・・そう言うと私は、通り掛かったウェイターを呼び止めて、モルトウィスキーのメニューを頼んだ・・。
「・・アドルさん・・今撮られた画像は・・?・・」
・・と、エイミー・カールソン女史・・。
「・・うん・・多分、30分以内にニュースサイトに出るでしょうね・・騒がれる前に切り上げた方が好いだろうかな・・?・・」
「・・そうでしょうね・・」
・・と、ザンダー氏・・。
「・・お子さんのいらっしゃる方は、料理をテイクアウトで頼んでも好いですよ・・それも含めて支払います・・」
「・・ありがとうございます・・お言葉に甘えます・・」
・・と、デボラさん・・。
・・ウェイターがウィスキーのメニューを持って来たので、ハイラムさんと一緒に観る・・モルトでの品揃えはあまり無いが、ブレンデッドウィスキーで30年ものがあったのでそれをボトルで頼み、全員分のウィスキーグラスも頼んだ・・。
「・・デザートを頼んでも大丈夫ですよ・・一応の締めと言う事で、最後の乾杯をしましょう・・こういう飲み会も好いものですね・・2ヶ月に一回くらいは集まっても好いんじゃないかと思いますけれども、問題は場所ですね・・」
「・・ウチの警備護衛艦隊司令部内の施設に、パーティールームがありましてね・・100人でも楽に入れます・・何時でも私の方で予約できますよ・・」
・・そう言ってハイラム・サングスター氏が、一口食べて二口飲む・・。
「・・そいつは好いですね・・お願いしましょうよ、アドルさん・・?・・」
・・と、ヤンセン氏が笑顔で言う・・。
「・・それじゃあお言葉に甘えまして、その際には宜しくお願いします・・」
「・・畏まりました・・何時でもご連絡下さい・・」
・・その時にウェイターがボトルとグラスを全員分持って来てボトルの封を切ったので、全員にツーフィンガーで注ぐように頼む・・注ぎ終わったウェイターが一礼して退がる・・私がグラスを右手に立ち上がると、皆も遅れて立ち上がった・・。
「・・え~・艦長に選ばれたと言う連絡を貰ってから、まだ1ヶ月も経ってない・・にも拘らずこれ程迄の展開を観る事になるとは、全く予想の範囲外でした・・ですが皆さんに会えて・知り合えて・仲間になれて・友誼を結べた事に付いては感謝しかありません・・間も無く開幕しますが、今はとにかく全員無事にファースト・シーズンを生き延びる・・それだけを改めて誓い合いましょう・・乾杯・!!・・」
「・・乾杯・!!・・」
・・ブレンデッド・ウィスキーだが30年物だった事もあり、非常に口当たりが好くてマイルドな味わいだった・・フォロースルーにも殆ど癖が無い・・それ程の逸品であった為か、全員が一口で飲み干した・・。
「・・これは好いですね・・ブレンデット・ウィスキーですが、かなりの逸品です・・このボトルはヤンセン艦長に預けますから、『トルード・レオン』に持ち込んで下さい・・私が訪問した時にでも呑ませてくれれば好いですから・・」
「・・好いんですか・・?・・呑んじゃいますよ・・?・・」
「・・2杯分くらい、残して置いてくれれば好いですよ・・その辺は、シャロン・ヒューズ副長に監視をお願いしましょう・・?・・」
「・・了解しました、アドル主宰・・」
「・・開幕して順調に訓練をこなして無事に全艦で合流出来たら、訓練も兼ねてシャトルでスペース・レースでもやりますか・・?・・各艦のメイン・パイロットは出さないって言う条件でね・・メイン・パイロットを出しちゃうと、ガチのレースになっちゃうから・・」
「・・好いですねえ・・艦長っつったってシートに座ってるだけじゃダメですからね・・受けて立ちますよ・!・」
・・と、ヤンセンさん・・。
「・・私も出ましょう・・これでも乗ってる車は速いやつなんで、イケると思います・・」
・・と、ザンダーさん・・。
「・・そう言えば見ましたよ、アドルさん・・『ディファイアント』のメイン・パイロット・・エマ・ラトナーさんですよね・?・よく口説けましたね・?・あれ程の人を・・」
・・と、タイタス・エルダード副長が訊く・・。
「・・うん・・彼女の名前を候補者名簿の中で観た時には、メイン・パイロットを頼むのなら彼女しかいないと思ったよ・・だが実際に受けてくれるかどうかについては、初めて会うまで半信半疑だったね・・」
「・・では何故メイン・パイロットへの就任を、承知して貰えたのですか・・?・・」
・・と、今度はニック・ペイントン副長が訊いたが、これにはシエナ・ミュラー副長が応えた・・」
「・・エマ・ラトナーも私達のグループの一員でした・・彼女もアドル艦長が私達を一つに纏めてくれた事に感謝し、感激して感動していました・・そして『ディファイアント』のメイン・パイロットシートに座って艦を操る事が自分のこれからの生甲斐であると見付けたのです・・」
「・・『E・X・F』(エクセレント・フォーミュラ)のマスター・パイロットですからね・・スペース・レースに出れば、ぶっ千切りでチェッカー・フラッグでしょう・・?・・」
・・と、コンラート・アキン副長がそう評する・・。
「・・今のレベルは多分、全員同じだよ・・僕らも含めてね・・精々が撮影セットを見学して触って初期設定をしたり、マニュアルを読み込んだりしている位で何も変わらないさ・・開幕したって暫くはオタオタするだろう・・それも含めて楽しめば好いのさ・・どうせ2日間で敵に遭うなんて事は無い・・2日間でどれだけ慣れるかが一つのチェックポイントだな・・番組からすれば視聴者受けする放映素材はごく稀にしかない戦闘シーンよりも、艦内での様子・・人間関係って事になるだろう・・つまり我々の一般クルーに対する接し方・・姿勢・態度・言動が切り取られて取り沙汰されるであろう事は間違いない・・フラット・ユージュアリー・フレンドリーで好いと思うけど、節度は超えないようにしないとね・・少なくとも艦内ではね・・」
・・そう言い終わる頃合いで、デザートとテイクアウト・パッケージが届けられる・・私は何も頼まなかった・・ウィスキー・ボトルのキャップをキツ目に締めて、ボトルをヤンセン氏の前に置く・・シャロン・ヒューズ副長がそれを受け取って預かった・・。
「・・明日は、どう言う流れになるんでしょう・・?・・」
・・と、アレクシア・ランドール副長・・。
「・・さあねえ・・挨拶は求められるだろうね、少なくとも私には・・艦長全員が挨拶と決意表明でもしたら、それだけで1時間以上になるだろうからそれは無いとして・・運営本部として新しく発表するような事も、まあそんなには無いだろうから・・メディアからどのような質問が寄せられるか、だろうね・・」
「・・それでは、そろそろお開きにしましょうか・?・アドルさん・・?・・」
・・と、ハイラム・サングスター氏・・。
「・・そうですね、明日もある事だし、そろそろお開きにして帰りましょう・・タクシーを呼ばれるんでしたら、運賃も支払いますよ・・」
「・・ご馳走様でした、アドルさん・・とても楽しかったです・・明日もご一緒させて頂きますので、宜しくお願いします・・」
・・と、エイミー・カールソン女史・・。
「・・こちらこそ、楽しい食事会でした・・明日も宜しくお願いします・・」
「・・ご馳走様でした、アドルさん・・また明日もお逢い出来るので、嬉しいです・・」
「・・ありがとう、アシュリーさん・・明日もあるから、気を付けて帰ってね・・」
「・・ご馳走様でした、アドルさん・・楽しかったですし、勉強にもなりました・・依頼して下さった仕事には真摯に取り組むつもりです・・あの・・アドルさんがエンジニアとして感銘を受けた言葉があったら、教えて頂けませんか・・?・・」
・・と、マヤ・アンジェロウ女史が訊く・・。
「・・そうですね・・私が尊敬して止まない、あるエンジニアがこんな言葉を遺しました・・『・・好いエンジニアってのはな、本当の数字は言わないもんだ・・特に記録して残す場合にはな・・』・・この言葉の背景については、また次の機会にお話しましょう・・」
「・・ありがとうございました、アドルさん・・」
「・・ご馳走様でした、アドルさん・・また明日も宜しくお願いします・・あの・・今日の最後に艦長としての心得を一つご教授下さい・・」
「・・そうですね・・デボラさん、艦長も店長も似たような者だと思います・・通常直での航行時ならスタッフに総て丸投げして、確認以外にああしろ・こうしろとは言わない事・・何か問題が起きてスタッフが報告する迄、どっしりと構えていて好いですよ・・艦長・副長の指揮能力は、緊急非常事態に於いて試されるものですから・・その場合でも、スタッフの意見を訊いて判断を下すようにすれば好いです・・」
「・・ありがとうございました、アドルさん・・胸に留めて置きます・・」
「・・ご馳走様でした、アドルさん・・とても楽しかったです・・明日も宜しくお願いします・・失礼ですが個人的にアドルさんの着られる、新しいスーツをデザインしてみたいと考えています・・」
「・・本当ですか・?・カークランド先生・・?・・先生にスーツをデサインして頂けるなんて、とても光栄です・・でも、お高いんでしょうね・・?・・」
「・・いいえ、アドルさん・・これは私のとても個人的な想いでの申し出ですので、代金は頂きません・・時間を掛けてでもデザインさせて頂きたいと思います・・でもその代わり、いつまでもお元気でとても魅力的なリーダーでいて下さいね・・?・・」
「・・どうもありがとうございます、カークランド先生・・先生にそこまで言って頂けると身が引き締まる想いです・・家族や職場の同僚達に言ったら、びっくりするでしょうね・・こちらこそ新米のリーダーですが、宜しくお願いします・・それじゃ皆さん、会計して帰りましょう・・パブリック・ステーションまで送れば好い人は言って下さい・・タクシーを呼ぶ人は、お店の人に言って下さいね・・運賃が計上できたら言って下さい・・振り込みますから・・また乗り合わせで帰りましょう・・」
・・飲食代金と計上されたタクシー運賃をビットカード・セタッチで支払う・・私が提示したビットカードを観て少し驚いた人もいた・・また私のエレカーには、エイミー・カールソン艦長・・リサ・ミルズ専任秘書・・シエナ・ミュラー副長・・ハル・ハートリー参謀が乗り合わせる事になり、発車して一路、最寄りのパブリック・ステーションへと向かった・・。
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