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・・『開幕』・・

・・同盟完成記念祝賀会・・

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「・・ハイラムさん・・これは些少ですが、これまでと今日のお礼と言う事で、私からの気持ちです・・どうぞ、お受け取り下さい・・」

・・そう言ってポケットからハイグレード・プレミアムシガレットのボックスを取り出し、ハイラムさんに手渡した・・。

「・・アドルさん、これは・・!・・最高級グレードのプレミアムシガレットじゃないですか・!・どうもありがとうございます・・気を遣わせてしまいまして、申し訳ありません・・この上は、私も精一杯奮励してご期待に応えさせて頂きます・・宜しくお願いします・・すみません今、私のシガレット・ケースには何本も入りませんが・・」

「・・好いんですよ、どうぞ、お納め下さい・・こちらこそ、宜しくお願いします・・ハイラムさんには、感謝してもし切れないですからね・・」

・・そう言った直後に、お替わりの生ビールと一品料理が3皿運ばれて来る・・海鮮サラダに若鶏の唐揚げに具沢山のパスタ料理がどれも大皿だ・・。

「・!・うん!・旨いね・・皆もどんどん食べて・?・ここは『ディファイアント』の奢りで好いから・!・」

「・・どうもありがとうございます、アドルさん・・アドルさんの凄さとか素晴らしさは、私もそのアイデアの源泉たるアドルさんの頭脳と思考であるとは思いますが、最も驚異的であるのはアドルさんの凄まじい迄の洞察力ですね・・この力は他の誰のそれよりも優っていると思います・・畏怖をも覚えますし、畏敬の念も抱いています・・」

・・と、そう言ってザンダー・パスクァール氏も、最初のジョッキを呑み干した・・。

「・・どうかな・・?・・私よりも先の読める艦長だって、何人かはいると思うよ・・そう言う人は徒党を組もうなどとは考えない・・誰が相手であろうとも、1対1で充分に亘り合えると思っている筈だからね・・問題はそう言う艦長が指揮する艦と、いつ何処で出遭うか、だな・・」

「・・そんな先の事で思い悩むより、今を切り抜ける事に集中しましょう・・?・・」

・・と、アレクシア・ランドールさんが一口食べて、ビールを呑んで言う・・。

「・・別に悩んじゃいないさ・・楽しみではあるけどね・・まあ確かにそう言う出遭いは先の事だ・・今は、同盟としてファースト・シーズンをどのように生き延びるか・?・その事に頭も身体も集中しよう・・処で、私が今何を予想していると思う・・?・・」

「・・さあ・?・何でしょう・?・想像もつきませんが・・」

・・マチアス・グラナック副長も、最初のジョッキを飲み干して言う・・。

「・・もう間も無くこの店の人に、我々がここにいる事がバレる・・そうなるとちょっとひとしきりあるだろうから、酔っても好いけどもう暫くはシャキッとしていて下さいよ・・」

「・・何があるのでしょうか・・?・・」

・・シャロン・ヒューズ副長が、呑みながら少し興味のありそうな風情で訊く・・。

「・・まあ、先ず挨拶に来られて・・これは店の奢りですとか言って、酒とか料理を持って来て・・あとはサインとかセルフィーを頼まれるだろうね・・面倒だとは思うだろうけど、適切・適当に対応して下さい・・多分私がメインなんだろうけど・・」

「・・ガードしましょうか・・?・・」

・・ニック・ペイントン副長も、呑みながら訊く・・」

「・・いやいや・・無理難題は言われないだろうから、和やかに対応しよう・・今同盟は注目されている・・出来たばかりだからね・・何かあれば30分以内にニュース・サイトで報道される・・誹謗中傷までは行かずともあれやこれや言われるのは、あまり気持ちの好いものでもないでしょう・・」

「・・分かりました・・」

・・その時、ハイラム・サングスター氏が居住まいを正して座り直した・・。

「・・リサさん・・シエナ・ミュラー副長・・ハル・ハートリー参謀・・平日のアドル主宰を身近で支え得る方々と見込んでお話ししますが、宜しいでしょうか・・?・・」

「・・はい・・」  「・・伺います・・」  「・・お願いします・・」

「・・アドル・エルクと言う人は、過去の事はよく憶えている・・未来の事もよく観える・・ですが得てしてそのような人は、日々の日常生活の中での様々細々とした事物については、あまり好く把握出来ない場合があり、そのような傾向でもある・・ここまでは宜しいですか・・?・・」

「・・はい・・」  「・・よく分かります・・」

「・・この先が極端な例えであろうと言う事は充分に承知しておりますが、仮にアドル氏を亡き者にしようと画策する者がいるとして、彼の日常生活の中に罠を仕掛けているとする・・それに気付かず、想いも拠らずに踏んでしまえば・・氏がいくら凄まじい先読みの者であろうとも、何の意味も無くなります・・ここまでも宜しいですか・・?・・」

「・・アドル・エルク主宰が歩むであろう道の、露払い役を担えと・・?・・」

「・・はい・・」

「・・好い人選をなさいますね・・ハイラム・サングスター艦長・・」

「・・同盟がフィールドの中で共同行動を採るのなら・・各艦は『ディファイアント』をサポート出来るでしょう・・ですが平日のアドルさんを充全に護衛できるのかとなれば、覚束きません・・今ここに居られる『ディファイアント』のスタッフは2名のみ・・今後は貴艦の保安部長と保安部要員の2名を随行させて頂くようにお願いします・・都合が付かない場合があるならば、同盟に参画する各艦から保安部要員を派遣するのも宜しいでしょう・・」

「・・ハイラム・サングスター艦長・・うら若き純真な女性に何を吹き込んでいるんです・・?(笑)・・大丈夫ですよ・・私だって何も用心してない訳じゃありませんし、何も考えていない訳でもありません・・顔も名前も知らないような黒幕の玩具になるのは御免ですし・・老後は安定的に楽しみたいですからね・・」

「・!・このゲーム大会の裏に、黒幕が居るんですか・・!?・・」

・・コンラート・アキン副長が、少々色めき立って腰を浮かしかける・・。

「・・声を落として下さい、コンラート副長・・別にそれ程意外な話でもありません・・このゲーム大会・・形式としては単なる民間のイベントなのに、運営本部は巨大過ぎる程の組織で、政・財・官・軍との関りが大き過ぎるし、深過ぎるし、強過ぎます・・何らかの存在に依る何らかの思惑があると考えるのが自然でしょう・・ああ、この話はここだけで、ここ迄です・・誰にも言わないで下さい・・会議室にもこの話は書きません・・まだ何も観えませんからね・・だから私はゲーム大会が終ったら、トットと退職するんです・・妙な事に巻き込まれたくないですからね・・それに今の処、私達それぞれに危険が及ぶような事は無いでしょう・・今日完成した同盟は、このゲーム大会の目玉になりつつある・・同盟に対する注目度が上がる程に、ゲーム大会の人気も上がるでしょうからね・・運営本部も同盟に対しての注目度・関心度を、今は利用したい処でしょうから・・おや、いらっしゃいましたよ・・」

・・店の奥からシェフのユニフォームを着た男性が2人と、スーツ姿の男性が3人歩み寄って来る・・私は立ち上がってスーツの上着のボタンを留める・・少し遅れて全員が立ち上がった・・。

「・・こんばんは、初めまして・・ようこそ、当『オレンジ・サンセット』においで頂きました・・アドル・エルク主宰と【『ディファイアント』共闘同盟】の皆様・・心より歓迎させて頂きます・・私、当店のオーナー・マスターであります、イゴール・バルーエフと申します・・以後、お見知り置きの程を宜しくお願い致します・・初めて当店をご利用頂きましたお礼と申し上げましては些少でございますが、こちらの料理とお酒は当店からでございます・・どうぞ、ごゆっくりとお楽しみ頂ければ幸いに思います・・」

・・そう言って大皿での一品料理を10皿と、大瓶でのビールを20本、テーブルに並べた・・。

「・・初めまして、アドル・エルクです・・同盟を代表してご挨拶申し上げます・・思いも掛けぬ心尽くしをありがとうございます・・こちらこそ、宜しくお願い致します・・」

・・彼等は一礼して退がり、私達は座った・・。

「・・こりゃあもう、追加注文はいらないな・・」    「・・そうですね・・」

「・・皆さん、他に呑みたいものがあったら遠慮なく自由に頼んで下さいね・・支払いは気にしないで下さい・・大丈夫ですから・・」

「・・アドルさん・・ゲーム大会が終ったら、本当に退職するんですか・・?・・」

・・クレイトン・パイク副長が、ビール瓶の栓を開けながら訊く・・。

「・・しますよ・・その頃には部長職に就かされていると思いますがね・・どんなに慰留されようが辞めます・・」

「・・退職されて、その後は・・?・・」

・・ザンダーさんが眼鏡を拭きながら訊いた・・。

「・・好い立地で好い物件があるなら購入しますが、無ければ環境の好い場所で土地を購入して、カフェ・レストランを建てて開業します・・昼はカフェ・レストランで、夜はダイニング・バーでも好いですね・・それで、そのままずっとそこに居ます・・」

「・・そりゃ好いですね・・完璧な人生設計じゃないですか・・?・・同盟に参画する全員が週に1回来るだけでも、大繁盛間違い無しですよ・・僕も結構入り浸ると思いますね・・」

・・ヤンセンさんが、呑みながら食べながらだが言ってくれる・・。

「・・(笑)・ありがとう、ヤンセンさん・・君の指定席を設定しても好いよ・・(笑)・・」

「・・アドルさん、店舗施工の際には是非お手伝いさせて下さい・・効率や使い心地の好いシステムを組みます・・」

「・・ありがとう、マヤさん・・その時には私から声を掛けてお願いしますよ・・」

「・・とっても素敵な未来図ですわね・・開業されたら私からもお祝いを贈らせて頂きますし、ちょくちょくお邪魔させて頂きますわね・・?・・」

「・・ありがとうございます、デボラさん・・ちょっとしたステージとかピアノや楽器も幾つか置いて、ミニ・ライヴなんかも演ろうと思ってます・・」

「・・私もとても素敵なお店になると思います・・私なら週に3回は寄らせて貰うでしょうね・・アドルさんはお料理や飲み物を作られるのがお上手ですから、きっと固定客が沢山附くでしょうね・・?・・」

「・・どうもありがとう、アシュリーさん・・料理の腕で言えば女房の方が私よりも数段上ですので、その点での心配はありません・・それに『ディファイアント』の厨房スタッフの中にも、その時には手伝いたいと言って下さっている方がいらっしゃいますのでね・・ありがたい事ですよ・・」

「・・私達もお手伝いします・・厨房でも接客でもミニ・ライヴでも・・そうして最後までアドルさんと一緒に過ごす事が出来れば、それが私達には幸せです・・」

・・シエナ・ミュラーがそう言った・・リサもハルも頷く・・皆、眼を見開いて3人を見遣る・・。

「・・そりゃ、本当に最高の店になりますね・・執り立てて特別な事などしなくても大繁盛は間違いないですよ・・」

・・タイタス・エルダード副長が呑みながら感嘆する・・。

「・・何だか・・『ディファイアント』のスタッフの皆さんの、アドル艦長に対しての惚れ込み様が凄いですわね・・そこまでアドルさんを慕って付いて行こうとされる・・何か特別な理由があるのかしら・・?・・」

・・ヴィヴィアン・カークランド先生が不思議そうな風情で、興味深げに訊く・・シエナはリサやハルとも眼で眼を視交わしたが、2人とも頷いたので口を開いた・・。

「・・アドル・エルク艦長が候補者リストから選抜された『ディファイアント』のメイン・サブスタッフの全員は、16年前から続く私的交友・交遊グループのメンバーでした・・このグループの事はメンバー以外には誰も知りません・・知らない人に話したのは、今が初めてです・・にも拘らずアドル艦長は私達の全員を選び抜いて『ディファイアント』のスタッフとして下さいました・・私達のグループは人数が多い事もあって、今迄に一つに纏まった事がありません・・アドル艦長は私達を初めて一つに纏めて下さいました・・私達はそれだけでもアドルさんに最後まで附いて行こうと思えたのです・・」

・・沈黙が30秒・・ここで話すのか・・マズい展開になりそうかな・・?・・いや・・?・・。

「・・シエナ副長・・今後この話は、この場に居る者以外には誰にも話さないで下さい・・今この場に居る皆さんも他言無用でお願いします・・いずれは同盟に参画する全員で共有するべき情報となるのかも知れませんが、今はまだその時ではない・・この場に居る者以外にこの話が広まれば、アドルさんが無用に恐れられてしまう可能性が出て来ます・・それは避けた方が賢明でしょう・・宜しくお願いします・・」

「・・しかしここに来て、アドル・エルク主宰の特別性・特殊性が極まったようですね・・同盟が何故これ程急速に完成したのか・・その理由の一端が解りました・・」

・・そう言ってザンダーさんも、ジョッキビールを飲み干す・・。

「・・アドルさんって、まさかエスパー・・?!・・」

「・・そんな訳無いじゃないですか、シャロンさん・・勘弁して下さいよ・・」

「・・じゃあ、どうして判ったんですか、アドルさん・?・これ程の事が・・?・・」

「・・申し訳ないんですけれどもね、アレクシアさん・・私にもはっきりとは応えられません・・ただ何となく分かった・・としか言えないんです・・納得できないかも知れませんけど、今はこれで承知して下さい・・」

「・・分かりました・・すみません・・」

「・・いいえ、好いんですよ・・」

「・・そう言えば、アドルさん・・昔私に勉強を教えてくれていた時にも、すごく先回りして教えてくれた事がありましたね・・?・・」

「・・そうだったかな・?・変な教え方しちゃってごめんね、ローズさん・・」

「・・いいえ、大丈夫です・・後でとても役に立ちましたから・・」

「・・ありがとう・・そう言ってくれると嬉しいよ・・」

「・・やっぱりアドルさんって最高・最強のキャラクターじゃないですか・・!・・アドルさんは謙遜してますけどアドルさんより凄い人って、まずいないと思いますよ・・同盟に入ったのは大正解ですね・・僕も最後まで生き延びますよ・・」

「・・だからこそだよ、ヤンセン君・・我々も出来る事、考え得る事は全部やって出来得る限りアドルさんをサポートしないと・・アドルさんが疲弊して倒れてしまった時が、同盟最大の危機だからな・・!・・」

「・・そんな事は当然ですし解ってますよ、ハイラムさん・・僕だってアドルさんの為、同盟の為なら何だってやる覚悟です・・!・・」

「・・あと・・アドルさんに懸念材料があるとすれば・・女性関係ですかね・・?・・」

・・ザンダーさんがビールを二口呑んで、ポツリと漏らしたこの一言が、思いの外に波紋を拡げる・・。

「・・あ・・ああ、私の事はもういいからさ・・同盟として、何が出来るのか話そうか・・?・・」

・・私のこの問い掛けは即座に、そしてスムーズに無視される・・。

「・・アドルさん・・艦長に選ばれてからぶっちゃけ、モテたっしょ・・?・・」

・・と、ヤンセン氏・・。

「・・アドルさんは平常時には控え目でいらっしゃいますよね・?・まあ、ご家庭がありますから当然だとは思いますけれども・・でも何かが起きた時の対応力と行動力・・そしてそのスピードは抜群ですね・・その・・起きた何かも、事前に予想されていますし・・理想的な艦長を体現されていると思います・・どんな女性も惹かれるでしょう・・」

・・と、ニック・ペイントン副長がジョッキ・ビールを呑み干しながら、そのように私を評して感嘆する・・。

「・・あ~・モテるとか、人気が出るとか・?・チヤホヤされるとか、崇められるってのは・・それぞれどう違うのかね・・?・・勿論、嫌われたり相手にされなくなったり・?・無視されたりするよりよっぽど好いのは解るけどさ・・結婚していて娘も居る男をチヤホヤしたり、わざわざ擦り寄って来たりしなくたって良いと思うけどな・・私は絶対に離婚しないんだからさ・・」

「・・アドルさん・・アリシアちゃんがハイスクールを卒業されたら、本社の近くに転居されては如何でしょうか・・?・・」

「・!・それだ・!・ありがとう、ハルさん・・そうするよ・!・やっぱり俺ってそう言う事、思い付きにくい性質なんだな・・2年半もあれば、転居費用ぐらい稼げるだろう・・そうすれば、問題解決だ・・ありがとう・・」

「・・いいえ、どう致しまして・・」

「・・そうか・・これはアドルさんだけの問題じゃない・・ご家族も守らなきゃならん・・今はまだ大丈夫だとしても、いずれゆくゆくはアドルさんとご家族を専門にガードする直掩部隊を編制せにゃならなくなるだろうな・・まあその時期が来たら、私から会議室に提案して組織を始めますから・・任せて置いて下さい・・」

「・・宜しくお願いします・・ハイラムさん・・」

「・・ねえ、リサさん・・お勤め先でのアドルさんのご様子はどうですか・・?・・女性社員の皆さんに騒がれて、大変ですの・・?・・」

・・デボラ・ヴァジリーヴァ女史が、少し心配そうに訊く・・。

「・・そうですね・・会社の中でアドルさんを争って騒いでいる人がいるとか、アドルさんが付き纏われているとか、女性社員同士での鞘当てがあるとか、そのような事はありません・・ですが例えば必要があってお昼をラウンジ・カフェテリアで、アドルさんとご一緒しながらお話したりしていると、周囲の女性社員達の視線が強くて痛いです・・また私の場合ですが、アドルさんの為に専任の秘書を選抜するとの通知があった時、私は直ぐに立候補して結果として選抜されたのですが、その際秘書課に所属する同僚達の約半数から、かなり強く睨まれました・・そのくらいですね・・それとアドルさんは社宅に居住されておりますので、調べようと思えば住所は調べられます・・まだそのような事案はありませんが、今後アドルさんの人気がもっと高まってくると社宅に押し掛けようとする女性社員や、アドルさんの帰りを待ち伏せようとする女性社員が出て来る可能性もありますので、出来れば早目にご自宅の住所を本社との通勤圏内に設定して頂ければ、有難いと思います・・」

(・・彼女にしては、いつになく饒舌に喋ったな・・押し掛けだの待ち伏せだのを自分で言うとは・・いや、待てよ・・わざとそう言う事で、ここに居る女性達を牽制した・・?・・まさかな・・)

「・・まあ私でも、人の恋愛感情とそれに因って促される行動については、読み切れない部分もありますのでね・・注意して過ごしたいとは思いますけど、ままならない部分もあるでしょうね・・」

「・・え・・じゃあ、アドルさん・・艦長に選ばれる前からモテてたんじゃないの・・?・・」

・・ヤンセン君が呑みながらだが、訝し気に言う・・。

「・・ヤンセンさん・・それについては奥様の戦略的な采配が功を奏して、艦長に選ばれるまで表面化しないで推移していました・・」

・・またリサが説明する・・(・・まさかアリソンが言った言葉まで言わないよな・・?・・)

「・・奥さんの戦略的采配って、どんなものだったんですか・?・アドルさん・・?・・」

(・・ありがたい・・こっちに振ってくれた・・)

「・・私と妻のアリソンとは、同じ大学での出会いでね・・当時の私には全く実感が無かったんだけど、私が多くの女学生から注目されていると観て採った彼女は、大学内での様々な活動に於いても極力他の女学生と私を関らせないように図っていたんだ・・この事は最近本人から聞かされた・・卒業して今の会社に就職したんだけど、3年間は独身寮だったし・・勤務地も地方の小規模な営業所でね・・女性社員と言ったって遙かに年上のお姉様方だったから、表面化するべくも無かった・・18ケ月前から本社勤務になったんだけど、娘を転校させるのは忍びなかったんで私だけ社宅を借りて住んで働き出した・・そして艦長に選ばれて今に至るって訳だ・・アリソンが言うには、私が艦長に選ばれたと聞かされた時から、こうなる事は分っていたと・・せっかく選ばれたんだし注目も集めているし、副収入にもなるだろうし貴方のやりたい事なら辞めてくれとは言わない・・私は貴方がどんな女性と何処で何の話をしていたとしても、浮気だとは思わない・・だから・・他の女性と節度を超えた親密な関係にだけはならないでいて欲しい・・とね・・当然の事だよ・・私はアリソンとアリシアを誰よりも愛しているんだからね・・」

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