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・・『開幕』・・

・・女性艦長達・・2・・

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「・・『ディファイアント』の中で、男性芸能人に詳しいクルーと言うと、誰だい・・?・・」

「・・ん・何人かはいますね・・7.8人くらい・・」

「・・シエナ・・そのメンバーをカテゴライズして、連絡網を作ってくれ・・男性芸能人副長10人の名前を流して、彼女達が知っている情報を集めたい・・」

「・・分かりました、直ぐに作って流します・・」

「・・でも取り敢えず、食べ終わろう・・食べながら読み上げたりするのは、行儀が悪いからね・・」

「・・そうですね・・」

「・・シエナ・・今日出演するメンバーが集まってからも言うけど・・今日の我々はオブザーバーだ・・勿論、アドバイザーとして訊かれた事には答える・・同盟を構成した理由・・目的・・保持する姿勢・・態度・・言動・・約束できる事・・については、先ず私から話す・・気付いた事があれば補足して欲しい・・願いは・・参画して欲しいと言う事だ・・その方が皆にとって有益になるからね・・だが無理強いはしない・・出来る立場でもない・・それぞれの艦長が・・判断を下せば好い話だ・・それでもこれだけは彼女達に約束する・・例え開幕までに参画して貰えなくても・・同盟は彼女達の艦を見守り・・援護する・・それをする為に、暗号秘密回線の設定だけはして欲しいと願い出る・・これぐらいだな・・後は彼女達の反応を受けて・・話を進める・・」

「・・アドルさん・・私は今・・猛烈に貴方に抱かれたいです・・はしたない事を言って、すみません・・」

「・・好いよ・・2人っ切りの時には・・何を言っても別に好いよ・・さてと・・食後のお茶は・・何が好い・・?・・」

「・・シナモン・ミルクティーで・・お願いできますか・・?・・」

「・・好いよ・・シナモンは、ほんのちょっとだね・・?・・」

「・・はい・・」

「・・次は、君の淹れたお茶が飲みたいな・・」

「・・そんな・・恥ずかしいですけど・・お望みでしたら、やってみます・・」

「・・ありがとう・・」

・・その後、10数分で食べ終わった・・食器をシンクに運び入れて、ストレートティーとシナモン・ミルクティーを淹れる・・淹れている途中で、データ着信音が携帯端末から響く・・。

「・・ハルからのレポートだな・・俺はつくづく素晴らしいスタッフに恵まれたよ・・確かに俺が選抜したんだけど、あのクルー候補者名簿が作為的に編纂されたので無いのなら、俺は恵まれているよ・・だから俺は君達に対しての責任を最大限に果たす・・君達からの信頼に応える道はそれしか無い・・さあ、どうぞ・・」

・・そう言ってシナモン・ミルクティーを彼女の前に置き、自分のストレートティーを置いて座る・・。

「・・例え今日、誰も同盟に参画してくれなくても、それはそれで別に好い・・同盟として、彼女達の艦を守り続ける思考・態度・姿勢・言動に変わる処は無い・・続けていれば、彼女達もいずれは同盟に参画してくれるだろう・・戦略的には、これで正しいと思うんだ・・」

「・・はい・・私も、それで正しいと思います・・」

「・・10:30には出て向かおうか・・?・・早く来たメンバーと、話す事も出来るだろう・・」

「・・そうですね・・」

「・・シエナ・・これはメインスタッフの皆にも改めて言うけど、私の言動に違和感があったら直ぐに言ってくれ・・私がいつも適正で適切な態度・言動を採っているとは限らないからね・・?・・」

「・・はい・・改めて承知しました・・」  「・・宜しく頼む・・」

・・美しい副長の返答に頷くと、紅茶を二口飲んでまた携帯端末を取り上げる・・

「・・さてと・・アシュリー・アードランド艦長・・28才・・独身・・艦名は、『カレドン・カサンドラ』・・職業は、広告宣伝部の主任だそうだ・・キャリアウーマンなんだね・・副長はコンラート・アキン・・32才・・この人は積極的に、自分の艦を会社の広告宣伝媒体として使う積りのようだね・・既に艦体にはコマーシャルペイントが施されているそうだ・・それだけ艦の使用に於ける思考と姿勢がハッキリとしていると言うのは、却って気持ちが好いぐらいだ・・コンラート・アキンと言う人は知っているかい・・?・・」

「・・あまりよくは知らないのですが、舞台で活躍されている方ですね・・プライベートでの報道を観た事がありません・・有名な舞台演劇で、ロングラン公演を継続している作品に出演されています・・」

「・・そう・・公演中に彼が、艦に乗るか乗らないかで変わってくるかな・・?・・」

「・・どうでしょう・・?・・」

「・・次は・・マヤ・アンジェロウ艦長・・29才・・既婚・・扶養者無し・・艦名は、『ヴィンセント・ガラン』・・職業は、IT関連専門のフリー・システムエンジニア・・副長はニック・ペイントン・・38才・・少し年上の副長だね・・30才前でフリーのシステムエンジニアなら、彼女が機関部長を兼ねても好いぐらいなんだろう・・システムに強い艦長が、その眼で観て機関部長と副機関部長や主任達を選抜したのなら、この艦のエンジニアリング部門は相当に充実していると観た方が好いだろうね・・戦略・戦術関連で助言を得るなら、年上の副長の方が好い、と言う事か・・ニック・ペイントンと言う人は知ってる・・?・・」

「・・すみません、名前くらいしか知らないです・・」

「・・了解・・それじゃあ次は・・デボラ・ヴァジリーヴァ艦長・・47才・・既婚・・扶養者あり・・艦名は、『サンクトル・アブローラ』・・職業は、婦人用服飾店のオーナーであり、店長も務める・・店のメインサイトがあって・・リサが調べた範囲では顧客の評価がかなり高いし、口コミの評価も高い・・副長はクレイトン・パイク・・45才・・このヴァジリーヴァ艦長もそうだろうと思うが、結婚されている女性艦長達は配偶者の方の理解と協力の度合いが、かなり高いのだろうと思う・・ブレない芯の強さが経営者には勿論、艦長にも必要だ・・加えてスタッフを選抜して雇用されているのだろうから、人物観察眼も適正で的確で適格なのだろう・・」

「・・アドルさん・・副長のクレイトン・パイクさんですが、『ディファイアント』のクルーの1人と以前にお付き合いの関係がありました・・」

「・・シエナ・・そのクルーの名前を言わなかった事には感謝する・・確認するが、付き合いの関係があったのは1人で・・それは既に過去の事である・・で、良いのかな・・?・・」

「・・はい・・その通りです・・」

「・・OK、ありがとう・・それならその情報が、今後の同盟構築に於ける脅威と成り得るような事は無いだろう・・問題は無いと考える・・例え今現在に於いて、そのような関係にあるクルーがいるにしても、私は一顧だにしないだろう・・それが今後の同盟構築を阻害する原因とならない限りはね・・?・・」

「・・分かりました・・アドル艦長・・ありがとうございます・・」

「・・なに・・大人同士の関係に口を出す程の野暮じゃないし、それが出来るような筋合いさえどこにも無いからね・・ただ・・別れた経験やその思い出が原因で、我々の関係が悪くなるような事態は望まない・・大人同士、同じ立場での過去の経験であったと理解し、割り切って昇華させて欲しいと望むばかりだよ・・」

「・・分かりました・・改めて、ありがとうございます・・」

「・・ハルが送って来たレポートに、このような情報があるだろうかな・・?・・」

「・・さあ・・?・・」

「・・ハルが送って来たレポートは、君が先に読んでくれ・・それでもしもそのような情報があったとして、ウチのクルーの名前が書いてあったら、その名前だけ削除してくれ・・?・・そして今後私がどのような質問をしたとしても、その名前については答えなくて好い・・」

「・・分かりました・・」

・・また紅茶に口を付けて二口飲む・・もうかなり冷めている・・。

「・・さて次は・・エスター・セーラ・ヴェレス艦長・・26才・・若いな・・既婚・・扶養者無し・・艦名は、『クラウン・カンバーランド』・・職業は、生花店を夫婦で経営し、現場では店長でもあり、フラワー・コーディネーターでもある・・配偶者の理解と協力の成果だね・・副長はマティアス・ハルトマン・・55才・・随分年上の副長だ・・これならワザと立場を入れ替えて、相手を騙す事も可能だな・・花が好きそうなキャラクターに観える・・明るい、好い笑顔だね・・今後の花束の発注先はこれで決まったな・・店については・・?・・おや・・?・・ここは確か・・・これは驚いた・・ここは以前にリサから紹介された店だよ・・最近評判の高い生花店と言う事でね・・へえ・・ここだったのか・・それじゃ、我が家での最後の壮行会を飾る花束は、ここで買う事にしよう・・このマティアス・ハルトマンさんは知ってるかい・・?・・」

「・・この方は、映画業界の重鎮です・・ご存じありませんか・・?・・ハイラム・サングスター中佐の半生を描いた伝記映画で、中佐ご本人を演じておられました・・」

「・・そうだったんだ・・それは知っていないとマズい情報だね・・何せ芸能界にはとんと疎いものでね・・」

「・・すみませんでした・・アドルさん・・」

「・・好いんだよ・・謝る必要は無い・・と言う事は、ハイラム・サングスター艦長は当然、知っているよね・・?・・」

「・・はい・・その映画が完成した記念に配信された特別番組の中で、対談されている動画が流されました・・」

「・・その映画の公開は、何年前・・?・・」

「・・3年程前です・・」

「・・分かった・・彼に会ったら、印象を訊いてみよう・・若い艦長ではあるけど、戦略・戦術面ではこの副長がしっかりとサポートしてくれるだろうから、大丈夫そうだね・・?・・」

「・・はい・・おそらく・・ですが・・」

「・・うん・・まあ、総てはこれからだよ・・次は・・メリッサ・エメリック艦長・・30才・・こちらも若い・・既婚・・扶養者無し・・艦名は、『シムリット・サール』・・職業は、ご夫婦で生菓子店を経営・・ご自身はパティシエでもあられる・・ほう・・この方の配偶者も、理解と協力の度合いが高いね・・生菓子店のメインサイトもある・・待てよ・・?・・ああ・・この店もリサが以前に紹介してくれた店だよ・・!・・最近評判の高い生菓子店って事でね・・そうか・・ケーキの発注も今後はこの店に決定だな・・副長はミケルティ・アラズラキ・・46才・・うん・・私にしては珍しく、この俳優さんは知っているね・・癖の強い性格俳優さんで・・5年ちょっと前に私が推していた連続配信ドラマで準レギュラーだった・・」

「・・アラズラキさんとは共演経験があります・・4回ですね・・癖の強さが魅力的に感じられていて、惹かれていた時期もありました・・」

「・・へえ、そうなんだ・・君の珍しい一面だね・・」

「・・今では少し、恥かしい思い出です・・アラズラキさん・・私より3レベルは上のすごい美人と、熱烈な恋愛の末に結婚されましたから・・」

「・・ふうん・・そう・・?・・今日の生配信・・楽しみが増えたな・・」

「・・言わないで下さいね、こんな話・・」

「・・(笑)・勿論、言わないよ・・しかし・・さっき言った生花店もこの生菓子店も、訪問するのが楽しみだな・・」

「・・アドルさんなら、好いお得意様ですね・・?・・」

「・・うん・・そうなれるように努めるよ・・さて、次なるは・・ヴィヴィアン・カークランド艦長・・44才・・独身・・艦名は、『アレス・アストライオス』・・職業は、ファッションデザイナー・・シエナ・・この方は著名なのかな・・?・・」

「・・はい・・今のファッション業界では、かなり高名な方ですね・・この方が選ばれた艦長なのですか・・?・・すみません・・私今迄、ちゃんと認識出来ていませんでした・・この方は10年ほど前に、ご自身のオリジナルデザインシリーズでオリジナルブランドを立ち上げられて、それが大成功してブレイクされました・・私は2回だけでしたが・・『ディファイアント』のクルーメンバーの中には7.8回、彼女のファッションショーに呼ばれてモデルを務めた者がいます・・この方・・ご自分で応募されたのでしょうか・・?・・」

「・・うん・・その辺の子細な事情は、リサからのレポートでは判らないな・・ハルが送って来たレポートを読めば、もう少し詳しい事情が判るかも知れないが・・」

「・・分かりました・・この後で、ハルのレポートを読みます・・」

「・・頼む・・副長はタイタス・エルダード・・32才・・カークランド艦長に比すれば、若い副長だね・・知ってるかい・・?・・」

「・・はい・・何と言いますか・・少しマッチョな肉体派のアクション俳優です・・主演作はまだ無いと思います・・助演で、5.6回でしょうか・・?・・」

「・・そうか・・この艦長に対して、戦略・戦術面で助言の出来るスタッフに、誰がいるのか知りたい処だね・・」

「・・分かりました・・」

「・・それでは・・これで最後だね・・アウリイ・グナディ艦長・・名前からして南方の人だね・・43才・・独身・・扶養者あり・・艦名は、『マキシム・ゴーリキー』・・職業は・・へえ・・!・・凄いな・・この人はウィルス学・細菌学・医学生理学で3つの博士号を受けている・・!・・アウリィ・グナディ博士・・女性で43才で3つの博士号を受けていると言うのは、凄く若い・・天才的な才能だ・・!・・さっきのヴィヴィアン・カークランド艦長とはまた別の意味で、この人が何故応募したのかに興味がある・・ハルからのレポートに何か書いてあれば良いが・・モリー・イーノス女史に訊いてみるべきかも知れない・・これ程の医学的研究者がこんなゲーム大会に応募すると言う事自体、ちょっと考え難い・・何だか邪な想像が浮かんでしまう・・」

「・・どんな想像ですか・・?・・」

「・・いや・・想像は想像だ・・もう言わないし、考えないようにする・・どの道今日会って会話すれば、何某かは感じ採れるだろう・・それにしても・・凄い人だよ・・副長はキーナン・エイヴリー・・35才・・副長席に座って貰うには、若いかな・・?・・何れにしても、先ずは会話の上でだな・・よし・・リサからのレポートはここまでだな・・シエナ・・このレポートをそのまま、ハイラム・サングスター艦長とローズ・クラーク副長・・ヤンセン・パネッティーヤ艦長とシャロン・ヒューズ副長・・ザンダー・パスクァール艦長とアレクシア・ランドール副長の携帯端末に転送してくれ・・予備知識としては、これくらいで充分だろう・・尤もこれくらい・・彼等も調べているだろうとは思うがね・・それじゃ、私は食器を洗って収納するから、その間にハルのレポートを読んで修整が必要なら修正してくれ・・頼む・・」

・・そう言って私は端末をシエナに手渡すと冷えたお茶を飲み干して、余計な想像を振り払うかのように立ち上がった・・。
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