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・・『開幕』・・

・・女性艦長達・・

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・・翌日・・(2/24・火)・・8:36・・

「・・アドルさん・・アドルさん・・おはようございます・・」

・・泥のように眠っていたのだが、優しく揺り起こされる・・目を開くのに、随分と苦労した・・。

「・・う・・あ・・ああ・・おはよう・・シエナ・・何時・・?・・」

「・・8:40くらい・・大丈夫ですか・・?・・まだ寝ますか・・?・・」

「・・う・・ん・・大丈夫だよ・・二度寝したら、10時頃まで起きないだろうから・・よく眠ったよ・・君が起きた事に気付かなかった・・」

「・・ゆっくり出ましたから・・何か飲みますか・・?・・それとも、シャワー・・?・・」

「・・水を一杯貰って・・シャワー・・だな・・頭も体もハッキリさせたい・・」

・・そう言いながらノロノロと起き上がる・・シエナからグラスを受け取って口を付けると、飲み頃のお湯だった・・ありがたい・・グラスを返して、脱ぎ散らかした下着と部屋着を片付けて、新しい下着を手にバスルームへ向かおうとして思い付く・・。

「・・シエナ・・昨日頼み損ねたんだけど、今日俺が着て行く服を選んでくれないかな・・?・・俺のセンスだと心許ないからさ・・」

「・・分かりました・・朝食を仕上げますね・・?・・」

「・・頼む・・」

・・そう言ってバスルームに入り、熱いシャワーで身体を目覚めさせる・・シャワーを浴びながらバスにも湯を張る・・丁寧に体中を洗い、髭も剃り上げる・・。

・・ほぼ同時刻・・。

「・・むう・・」

・・携帯端末のモニターを観て、ハイラム・サングスターが呻く・・。

「・・どうしました、マスター・・?・・」

・・そう訊きながらローズ・クラークがミント・ティーのカップをソーサーに乗せて、ベッドサイドのテーブルに置いた・・。

「・・会議室『DSC24』だよ・・まだ観ていないのか・・?・・それと、私をマスターと呼ぶのはふたりっ切りの時だけだよ・・ローズ・・?・・」

「・・分かっています・・マスター・・気を付けていますから・・会議室設定の通知は、昨夜来ましたので観ましたが・・まだ何も書き込まれていませんでした・・」

「・・今はもう違う・・観てみなさい・・?・・」

・・ローズ・クラークが自分の携帯端末で会議室『DSC24』にアクセスして入ると、タイムラインには膨大な分量の文章が延々と続いていて驚いた・・。

「・・これ程長文の記事を・・いつアップしたんですか・・?・・」

「・・昨夜だ・・タイムカウンターでは、20:43とある・・」

「・・えっ・!・・会議室設定の通知を受けたのが、その30分程前ですよ・・!・・そんな短時間で、これ程の長文は書けないでしょう・・!?・・」

「・・会議室の設定以前から書き綴っていたのだろうが、それでも時間的には短すぎる・・昨日本社で別れてからそう何時間も経っていない・・だが、この記事はアドルさんが1人で書いたものだ・・それは間違いない・・凄いな・・彼の力は、まだ計り知れない・・よし・・こちらは、これを読んで承知するのが任務だ・・」

・・ほぼ同時刻・・本社・・。

「・・カーライル副社長、これを観ましたか・・!?・・」

「・・どうしたの、カーネル・・?・・そんなに驚いた顔をして・・?・・」

「・・会議室、『DSC24』ですよ・・とにかく・・ご自分の端末でご覧になって下さい・・」

「・・え・?・だって、この会議室は昨夜出来たばかりでしょう・・?・・まだ何も・・」

・・そう言いながら自分の携帯端末で会議室『DSC24』にアクセスし、タイムラインを表示させると目を疑った・・。

「・・何よ、これ・・こんなにスクロールしても終わらないじゃない・・これ程長文の記事を、いつアップしたのよ・・?・・」

「・・時系列から観ると、アドルさんは45分そこそこでこの記事をアップしていますね・・まったく信じられないスピードです・・会議室が設定される前から書き始めていたと言う事も考えられますが、それでも昨日本社から出られて帰宅されてからだった筈です・・何せ同盟は昨日成立したばかりなのですから・・私達はまだ、アドルさんの本当の力を知らないですね・・」

「・・とにかく彼は、会議室を設定して記事をアップすると言う約束を果たしたわ・・私達も指示に従ってこれを読むのよ、カーネル・・読んで気付いた事があれば書き込みましょう・・」

・・また、ほぼ同時刻・・。

「・・おい、シャロン・・!・・凄いぞ、これ・・!?・・」

・・ヤンセン・パネッティーヤが裸で毛布を胸まで掛けて寝ながら自分の携帯端末を観ていたが、驚いて隣で寝ているシャロン・ヒューズ副長を呼びながら起き上がる・・。

「・・どうしたのよ、ヤンセン・・!・・そんなに驚いて・・?・・」

・・毛布を胸まで引き上げて、彼女も起き上がった・・。

「・・いいから携帯端末で観てみろよ・・!・・会議室『DSC24』の中を・・!・・」

「・・それなら昨夜、設定通知が来たけど、まだ何も・・・え・・何・・?・・これ・・どこまでスクロールしても終わらないじゃない・・こんな分量の記事・・いつアップしたの・・?・・」

「・・昨夜だ・・これはアドルさんが1人で書いた・・間違いない・・これを彼は1時間足らずで書き上げて、アップしてる・・凄い・・ここ迄の事をして、彼はちゃんと寝たのかな・・?・・今日も生配信があるのに・・しかも今日集まるのは・・?・・」

「・・男性を厳しく観て、選び出して集めた人達よね・・?・・」

「・・ああ・・とにかく今の俺達に出来る事は・・これを読む事と、今日の彼をサポートする事だ・・こうしちゃいられない・・シャワーを浴びたら、飯を食って行くぞ・・シャロン・・悪いけど今日、俺が着て行く服を選んでくれ・・俺のセンスじゃヤバいからさ・・アドルさんに恥を掻かせる訳にはいかないからな・・」

「・・了解・・ヤンセン艦長・・」

・・そう言って2人ともベッドから降りると、バスルームに向かった・・。

・・バスルームから出た私は部屋着姿でキッチンに立ち、コーヒーを点てる・・今朝は試みにマンデリンを8割にキリマンジェロを2割でブレンドしてみた・・シエナもコーヒーを所望していたので、2杯淹れる・・。

「・・出社しないで、朝をゆっくり過ごせるのは好いもんだね・・これからは、こうして時々休暇を取っても大丈夫だろう・・」

「・・出来ればアドルさんには週に1日、ゆっくり休んで欲しいです・・」

「・・毎週1日休暇か・・まあ、この社宅にもタンクベッドが入れば、どんなに疲れていても4時間の睡眠で快復するから、大丈夫だよ・・」

・・そう言って、2杯のコーヒーをテーブルの対面に置いて座る・・。

「・・さあ、熱い内にどうぞ・・」

「・・頂きます・・」

・・二口飲んで、思い出す・・。

「・・!・・ああ、そうだ・!・・シエナ、ごめん・・ちょっとアリソンと話をするから・・」

「・・いいですよ・・どうぞ、ごゆっくり・・」

・・携帯端末を取り上げて、妻に繋ぐ・・。

「・・もしもし、俺だ・・おはよう、アリソン・・」

「・・あら、あなた・・おはよう・・どうしたの・・?・・仕事中でしょ・・?・・」

「・・いや、今日は直行直帰の出張なんだ・・って言ってもさ・・実は今日も生配信に出るんだよ・・」

「・・えっ・!・今日の生配信は、女性艦長の皆さんが集まるんでしょ・!?・どうしてあなたが出るのよ・・?・・」

「・・出演の要請があったから、受けたんだよ・・オブザーバーの立場でアドバイザーとしてね・・昨日の生配信はどうだったかな・・?・・」

「・・なかなか感動的な展開だったわね・・アリシア達も学校で観ていて、大騒ぎだったそうよ・・」

「・・アリシアはもう登校したのか・・?・・」

「・・もうとっくに行ったわよ・・それで、どうしたの・?・あなた・・?・・」

「・・いや、アリシアには言ったんだけどさ・・君には言いそびれていたから・・26日の木曜日・・開幕の前々日だけど、ウチで最後の壮行会を細やかに開きたいんだ・・大丈夫かな・・?・・」

「・・ああ、それならアリシアから聞いているわよ・・明後日よね・?・大丈夫よ・・少しずつ準備を進めているから・・」

「・・分かった・・ありがとう・・確認して好かったよ・・宜しく頼むな・・?・・」

「・・大丈夫よ、あなた・・それでお客様は何人でいらっしゃるの・・?・・」

「・・12人だ・・俺達を入れて15人・・」

「・・分かったわ・・ちょうど好い人数ね・・お料理の方は任せておいて・?・腕に縒りを掛けるから・・」

「・・改めて宜しく頼む・・花とケーキと酒は、俺が用意して持って行くから、任せてくれ・・」

「・・お願いね・・始まりは7時くらい・・?・・」

「・・ああ、そんな処だ・・」

「・・分かったわ・・それじゃ、明後日にね・・愛してるわよ・あなた・・♡・・」

「・・俺も愛してるよ・・アリソン・・♡・・」

・・通話中にも二口・三口と飲んでいたが、通話を終えて、コーヒーを飲み干した・・。

「・・よし・・朝食にしようか・・シエナ・・?・・」

「・・アドルさん・・ご自宅での壮行会に招かれるクルーは、誰でしょうか・・?・・」

「・・ああ、そうだね・・君とハンナにハルにリーアとエマにエドナにマレットとフィオナだ・・ウチの職場からは、リサとスコットとマーリーにズライだ・・俺の家族も含めて15名・・職場の仲間も招くから、クルーからは今回、このメンバーにした・・開幕したら毎月に1回位ホームパーティーみたいな感じで、12.3人のクルーを招いて持て成そうと思っているから・・」

「・・分かりました・・ありがとうございます・・今回のクルーメンバーには、私から確認の連絡をします・・」

「・・宜しく頼む・・気を遣わないで好いから、気軽に来て欲しいと伝えてくれ・・?・・」

「・・分かりました・・それにしても奥様との通話は、お熱いですね・・?・・」

「・・愛してるからね・・さっ、朝食にしよう・・?・・」

「・・はい・・」

・・朝食は昨日の夕食の残りを素とした賄い料理で、更に3品の料理を新しく作って付け加えたものであり、オレンジジュースとミルクとトーストも用意された・・。

「・・君の料理は実に健康的な味付けだね・・薄過ぎずに濃過ぎない・・実に好い按配だよ・・」

「・・ありがとうございます・・アドルさん・・朝食後はどうしますか・・?・・昼食もここで摂りますか・・?・・」

「・・取り敢えず、リサとハルからのメッセージを待とう・・内容を観て検討したい・・ここで昼食を摂ってから出ると時間的にギリギリだから、向こうへ行って食べよう・・他のメンバーともその時に合流できるだろう・・」

「・・そうですね・・分かりました・・そうしましょう・・」

「・・それと、シエナ・・全乗員に連絡網を通じてこう流してくれ・・現在、カウンセラーが鋭意作成中の、全乗員に於ける心理動向データベースの完成が急務である・・各員は合間を観てカウンセラーと連絡を執り、積極的に協力して出航前迄にデータベースを完成させるように・・とね・・」

「・・分かりました・・直ぐに流します・・」

「・・君と一緒にいると、指示が出し易いから助かるよ・・」

・・そう言った時に、データ着信音が響く・・。

「・・おっ・!・来たな・・」

・・この日最初のメッセージはリサからだった・・早速開いて観る・・。

「・・ほう・・結構調べてあるな・・」

「・・ジーン・ヴィダル艦長・・28才・・独身・・扶養者あり・・艦名は、『ロード・ガラン』・・職業は、フリーのイラストレーター・・副長はリンデン・アーミセン・・53才・・年齢の割には、枯れて観える人だね・・知ってる・・?・・」

「・・中堅助演俳優としての、演技力に定評があります・・これまでに2回共演しました・・受けてからの反しの演技が、上手い方ですね・・」

「・・受けてからの・・型としては、『柔』かな・・?・・ああ・!・そうか・・しまったな・・」

「・・どうしました・・?・・」

「・・いや・・連絡を寄越した3人の女性艦長の名前を、マルセルさんに訊き忘れたよ・・でも、まあ・・いずれ判るから好いか・・次は・・エイミー・カールソン艦長・・37才・・既婚・・扶養者あり・・艦名は、『サンダー・ハルヴァード』・・職業は、国立大学の政治経済学教授・・副長はマチアス・グラナック・・29才・・モリー・イーノス女史はこのカールソン艦長を、女性艦長の中では手強いだろうとレポートしていたね・・37才の国立大女性教授とは・・きっとザンダー・パスクァール艦長と同じように、才能溢れる人なんだろう・・」

「・・ニュース報道の配信動画で、この人がレポーターと論争していたのを2回観ました・・」

「・・うん・・負けず嫌いで自信家か・・副長を務める、マチアス・グラナックさんは知ってる・・?・・」

「・・俳優でもあり、男性アイドルグループの1人でもあります・・7.8年前ぐらい迄、アイドル的若手俳優陣の1人として持て囃されていましたが、最近ではあまり聴きません・・グループは解散していませんが、目立った活動は無いようです・・俳優としても、ここ数年で助演として2回程だったと思います・・」

「・・そう・・ひょっとしたらこの艦長は・・あまり周囲の意見を求めないタイプの人かも知れないね・・さて・・次だな・・アマンダ・アーズマ艦長・・29才・・独身・・艦名は、『ロード・ヴィンセンス』・・職業は、プロテニスプレイヤー・・世界ランキングで現在14位・・副長はシャリフ・アドラー・・27才・・世界的なアスリートで個人プロスポーツプレイヤー・・自分の生活をストイックに制御できる・・性格的には一匹狼で自信家かな・・?・・孤独感と自分のメンタル制御に、どう向き合っているのか・・スポーツニュースはあまり観ないんで、これだけじゃよく判らないけどね・・この、シャリフ・アドラーさんは知ってるかい・・?・・」

「・・いえ・・私は知らないですね・・クルーの中で、知っているメンバーはいるでしょう・・」

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