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・・『開幕』・・
・・インタビューと対談と・・10・・
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・・私は笑顔で右手を挙げた・・。
「・・私なら攻撃している方を撃って、逃げている方の離脱を援護します・・そうして逃げ切る事が出来れば、いつか同盟に入ってくれるかも知れないし、攻撃していた側には教訓をくれてやる事も出来る・・勿論これをやる前に、周囲を注意深くスキャンして他艦が潜んでいない事を、確認する必要がありますが・・」
「・・そうしてどのくらいまで、ダメージを与えますか・・?・・」
「・・攻撃していた側がいきなり攻撃された場合、かなり驚いて狼狽えますので、その間に攻撃を集中して畳み掛ければ、短時間で15%程度の損傷率にはさせられるでしょう・・それが出来れば戦意は低くなるでしょうから、おそらく離脱して行くでしょう・・」
「・・攻撃している側が2隻だったら、どうしますか・・?・・」
「・・周囲の安全確認を厳にした上で最大戦速にて突入し、一方にミサイル攻撃を集中すると同時に、一方には砲撃を集中しながら、そのままの速度で擦り抜けて離脱します・・典型的な一撃離脱戦法です・・やれるとすれば、これくらいですね・・」
・・ここで、ハイラム・サングスター氏が苦笑する・・。
「・・(笑)何だかまるで、アドル・エルク艦長の戦術技能講座だな・・」
「・・すみません・・こんなに喋るつもりじゃなかったですし、こんなに喋れるんだって事にも驚いているんですけれどもね・・」
「・・好いんじゃないのかね・・?・(笑)・皆、学ぼうとして聴いているようだから・・」
「・・それでは続きまして、メッセージで寄せられている質問をご紹介して参ります・・皆さんの積極的な発言を期待しますし、お願いも致します・・至近距離での近接戦闘をする場合・・どのように行いますでしょうか・・?・・」
「・・すみません・・コーヒーを貰えますかね・・?・・出来ればマンデリンで・・お願いします・・え・・私見ですが、至近距離で他艦と遭遇してしまうシチュエーションとして考えられるのは、出航ポイントがゲームフィールド内で至近の位置であった場合と、待ち伏せされているのを気付かなかった場合があると思います・・他の場合があったら、教えて下さい・・前者の場合は出航時に於いて最大限の注意を払います・・ポートから艦を離岸させてゲートに向かいながら、短距離・近距離センサーレンジに於いて最大出力でのパッシブセンサースキャン・・ゲートに掛かり始める時点から、赤外線監視モニターと磁気反応スキャンに注意します・・反応が無ければそのままゆっくりと出ますが、反応があればその位置を確認して光学迷彩を掛けてゆっくりと出航します・・ゲートが閉鎖される迄は出航中です・・出航中の艦を攻撃するのは、重大な規約違反となります・・艦体がゲートから出たら、アポジモーターを起動して変針します・・ゲートが閉鎖されたら、非我の位置と状況・状態と地形を確認して対応を考慮します・・後者である場合、先制攻撃を受けてしまう形になりますが・・落ち着いてエンジン停止、光学迷彩、アポジモーターで変針して、非我の位置・周囲の状況や状態と地形を確認して、対応を考慮します・・」
・・そこまで言って、淹れられて来たコーヒーを受け取る・・。
「・・どうもありがとう・・」
「・・そこまで行って、次はどのように対抗しますか・・?・・」
「・・私が至近距離での遭遇近接戦闘を展開するとしたら、あるスポーツでのステップワークを採り入れます・・そのスポーツが何であるのかは、秘密です・・」
・・そう言って、コーヒーに口を着ける・・マンデリンだ・・ありがたい・・。
「・・分かりました・・詳細に語って頂きまして、ありがとうございます・・皆さんは如何でしょうか・・?・・お願いします・・」
・・アリミ・バールマン艦長が右手を挙げる・・。
「・・すみません・・私にはミルクティーをお願いします・・いや、アドル艦長のお話は勉強になります・・私もアドル艦長と同じようにしたいと思います・・アドル艦長が採り入れようと思われているステップワークのスポーツについては、今日の会談の席で教えて頂けるものと期待しています・・このように戦いを始める前までのルーティンと言うか段取りを、迅速に実行する為には演習の反復が不可欠ですね・・?・・」
「・・はい・・仰られる通りですね・・このようなルーティンは地味でも出来得る限り迅速に行う必要があるので、掛かる時間を短縮する為の反復演習訓練が重要です・・」
・・そう言って、もう一口マンデリンを飲む・・。
「・・すみません・・私には、ロシアン・ティーをお願いします・・」
・・そう言って、ザンダー・パスクァール艦長が手を挙げる・・。
「・・至近距離にて他艦と突然に遭遇して、そのまま近接戦闘に移行してしまうシチュエーション・パターンとして、光学的な見通しが極度に悪く、デプリや岩塊が極端に密集していてセンサーも何かの現象の影響を受けている宙域での場合・・双方共に至近距離にて突然遭遇してしまう可能性がありますね・・その場合はどうしますか・・?・・」
「・・ありがとう、ザンダーさん・・なるほど、そうですね・・確かにありますね・・非常に特殊なレア・ケースですが・・先ず、相手艦が重巡宙艦であった場合には秒で逃げます・・勿論シールド最大出力で・・グズグズしていると粉々に吹き飛ばされるか蜂の巣にされるだけなんで・・周りの地形や状態に艦を紛れさせながら、即行で離脱します・・次に同格の軽巡であった場合ですね・・見通しが利かずセンサー・スイープの状態も悪い宙域での遭遇となると、おそらく・・お互いに接近している態勢なのではないかと思いますので・・まあお互いに驚くでしょうけれども、先制の一撃をこちらから先に仕掛け、そのまま摺り抜けて一旦は離脱します・・そしてエンジン停止・光学迷彩・僅かに変針してから、相手艦の様子を確認して次の行動を決めます・・」
・・そこまで言って、またコーヒーを二口飲む・・。
「・・ありがとうございます・・アドルさん・・私も勉強になります・・」
「・・いえいえ、どう致しまして・・マルセルさん・・次の質問をお願いします・・」
「・・分かりました・・では、次の質問に移ります・・敵艦にエネルギー反応やパワーサインも検知させずに操艦するとしたらどのような方法がありますか・・?・・です・・」
「・・これもあんまり喋ると手の内を晒す事になるんで、喋れる範囲内だけに止めますね・・先ずミサイルにデコイ・プログラムを付与して発射すれば、敵艦の注意を逸らせるでしょう・・一定のポイントでデコイを起爆させれば爆発エネルギーで周囲が撹乱されている間に、動く事は出来るでしょう・・シャトルにデコイを抱えさせて出て貰うのも好いですね・・シャトルにデコイを放流して貰えば、自艦からの発射反応を敵艦に気取られる事もありません・・そしてデコイを起爆させればその爆発エネルギーがセンサーレンジを満たしている間は、自由に操艦できるでしょう・・と言っても3分間程度でしょうけれどもね・・」
・・そう言って、またもう一口コーヒーを飲む・・。
・・アーロン・フォスター艦長も右手を挙げた・・。
「・・すみません・・私にはミントティーをお願いします・・あの・・ゲームフィールドには様々な天体も設定されていると思うのですけれども・・中には高重力天体もあると思うので、その重力場を利用して移動すると言う手法も採れるのではないかと思います・・」
「・・確かにそうですね・・小惑星並みに大きい岩塊でしたらある程度の引力がありますので、それを利用して移動すると言う手法も採れますね・・」
「・・アドルさんが話したがらない移動手段として・・ロケット・アンカーを使う方法があるのではないでしょうか・・?・・」
・・受け取った紅茶にアプリコット・ジャムをティースプーンで2杯だけ溶かし込んで、香りを確認して一口飲んでからザンダー・パスクァール艦長がそう言う・・。
「・・さすがはザンダーさん・・開幕前でこの事に気が付く艦長は、そんなにいないだろうと思っていました・・」
「・・ありがとうございます・・アドルさん・・貴方が採り入れようとしているステップワークのスポーツについても判りますが・・この場では言わないでおきます・・」
「・・いや・・改めて貴方はすごいですね、ザンダーさん・・貴方とは絶対に戦いたくないですよ・・少なくともサードシーズンが終わるまではね・・」
「・・私も貴方とは戦いたくありません・・アドルさん・・痛み分けで双方とも深刻なダメージを被るだけでしょうから・・」
「・・お話し中にすみません・・その・・ロケット・アンカーを使う移動手段について・・宜しければ、ご説明頂けないでしょうか・・?・・」
「・・話しても宜しいですか・?・アドルさん・・?・・」
「・・どうぞ、ザンダーさん・・好いですよ・・」
「・・分かりました・・我々が乗る軽巡宙艦は艦首両舷に4基と艦尾両舷に4基、それぞれロケット・アンカーを装備しています・・移動したい方位にある岩塊へ向けてロケット・アンカーを発射して撃ち込み、アンカー・ワイヤーを捲き上げる事で移動します・・その岩塊の近隣を通過する直前にアンカーを離脱させて回収し、次の移動に備えます・・」
「・・分かりやすい説明をありがとうございました、パスクァール艦長・・他に移動手段・方法についてのご提案やご意見はありますでしょうか・?・皆さん・・?・・」
・・ヤンセン・パネッティーヤ艦長が右手を挙げる・・。
「・・すみません・・私には濃く淹れたストレートティーにブランデーを20ml入れて貰えますか・?・お願いします・・私でしたら、シャトル10機を戦闘要撃機としてモジュール換装の上で発艦・・敵艦に対して挟撃戦を仕掛けます・・これなら、対艦戦を有利に展開できます・・」
「・・ありがとうございました・・パネッティーヤ艦長・・とても積極的な操艦ですね・・処で皆さん・・現在、あるお方からの映像通話が繋がっております・・その方から皆さんに対してご挨拶を申し上げたいと言う事ですので、お繋ぎします・・モニターをご覧下さい・・」
・・マルセル・ラッチェンス・プロデューサーがそう言うと、私達全員から観える位置に大型モニターが上から降りて来て止まる・・点灯すると、スーツを着込んでデスクに着き手指を組んでこちらを観る、初老の男性の姿が映し出された・・。
「・・社長・・!・・」思わず洩れる・・。
「・・皆さん、こんにちは・・初めまして・・突然にこのようなご挨拶を送らせて頂く事を、どうかお許し下さい・・私は・・『インターナショナル・クライトン・エンタープライズ』にて現在社長を務めております・・トーマス・クライトンであります・・どうぞ宜しくお願い致します・・先ず、仮に『ディファイアント』共闘同盟と呼ばせて頂きますが、この共闘同盟の結成を心からお祝い申し上げます・・そして、そちら様のこの生配信番組終了後に、弊社本社に於きまして同盟に参画される皆様の初会談が行われるとの事ですが、皆様のご来社を本社全域を挙げて歓迎させて頂きます・・現在本社カフェ・ラウンジの料理長が、取って置きのケーキと取って置きのお茶で皆様を持て成そうと準備している処であります・・弊社本社に於いても、直接にご挨拶を申し上げさせて頂きますが、私はそれのみにして退席させて頂きますので、後は皆様でごゆっくりとご歓談下さい・・皆様から本日の会談に於きまして何かご要望がございますれば、弊社役員会にて選抜しアドル・エルク氏の秘書として就いて貰った、リサ・ミルズ女史にお伝え頂きたいと思います・・可能な限りお応えする所存でありますので、宜しくお願い致します・・それでは、マルセル・ラッチェンス・マスター・プロデューサー・・貴重なお時間を突然に拝借させて頂きまして、本当にありがとうございました・・重ねまして、これから宜しくお願い申し上げます・・」
「・・トーマス・クライトン社長・・こちらこそ、暖かくご丁寧なご挨拶をどうもありがとうございます・・これを機に御社と弊社のこれからの繁栄を祈念申し上げるものです・・そしてこれからも、宜しくお願い申し上げます・・」
・・社長は微笑みながら頷き・・その姿はフェードアウトして行って、通話は終了した・・。
「・・配信をご覧頂いている皆さん・・只今、『インターナショナル・クライトン・エンタープライズ』社のトーマス・クライトン社長様より直接映像通話にて、ご挨拶を頂きました・・これにより私共の番組も、益々盛り上げられて行くものと思います・・こちらとしても重ねてになりますが、ご挨拶に感謝申し上げます・・さて、続きまして再び、メッセージにて寄せられました質問にお応え頂きたいと思います・・皆さんはそれぞれ艦長として自艦を指揮され、80名以上のスタッフ・クルーを指揮下に置かれる訳ですけれども、クルーの内の1人または数名から愛を告白された場合にはどのように対処されるのでしょうか・・?・・この質問にはこれまでも応えられていて、辟易されているのだろうとは存じますが、非常に多くのメッセージにて同様の質問を頂いておりますので、これが最後であると思って頂いてお応え下さるようにお願いします・・それではまた、アドル・エルク艦長からお願いします・・」
・・私は、もう冷めているコーヒーを飲み干して水を飲む・・。
「・・アドル・エルクです・・先ず何と言いますか、不思議な違和感と言うか面白さを感じています・・と言うのも、女性艦長の皆さんに対してこの質問はしないのだろうな、と言う感触です・・何故ならば男性芸能人はそれぞれ熱烈な女性ファンが多く付いているでしょうし、結婚されている方もいらっしゃいますでしょうから、女性艦長に対して恋心を抱くと言う事は、ほぼ無いだろうと言う感触です・・ですがまあ、無きにしも非ずかも知れないと言う感覚もあります・・私自身ですが、妻子を扶養している身分ですので・・愛を告白されても受け入れる事は出来ません・・その人の心を傷付けないように説明して、納得して貰う他にはありません・・以上ですね・・」
「・・分かりました・・ありがとうございます・・それでは、クマール・パラーナ艦長・・お願いします・・」
「・・クマール・パラーナです・・私も妻子を扶養しています・・妻を本当に愛していますし、子供はまだ小さくて本当に可愛いです・・愛を告白されたとしても、応える事は出来ません・・アドルさん同様にその人の心を傷付けないように説明して、納得して貰うだけです・・」
「・・分かりました・・ありがとうございます・・それでは、ネヘマイヤ・パーソフ艦長・・お願いします・・」
「・・ネヘマイヤ・パーソフです・・私は従業員も含めて家族全員で農場の経営をしていますので、もう恋愛が出来るような立場でもありません・・ですので、もしもそのような話があったとしても、率直にお断りするしかありません・・」
「・・分かりました・・ありがとうございます・・それでは、ヤンセン・パネッティーヤ艦長・・お願いします・・」
「・・ヤンセン・パネッティーヤです・・自分はまだ独身ですし、現状で彼女もおりませんのでそのような話があった場合には、それなりに考えます・・多くの側面から考えて検討して『トルード・レオン』のクルーとして彼女達を選抜しましたので、クルーとしての彼女達の事は強く信頼していますし、今は様々に機会を設けて色々な事について話し合ってもいます・・プライベートな側面に於いても、彼女達との関わりは深くなって行っている処もありますので、恋愛感情を打ち明けられる可能性も無くはないのではないかと思っています・・私から先に打ち明けるかも知れませんし、彼女達の中の誰かが私に告白する事も考えられます・・何れにしてもそのような話が挙がった場合には、真剣に受け止めて真剣に話し合う積りではいます・・」
「・・私なら攻撃している方を撃って、逃げている方の離脱を援護します・・そうして逃げ切る事が出来れば、いつか同盟に入ってくれるかも知れないし、攻撃していた側には教訓をくれてやる事も出来る・・勿論これをやる前に、周囲を注意深くスキャンして他艦が潜んでいない事を、確認する必要がありますが・・」
「・・そうしてどのくらいまで、ダメージを与えますか・・?・・」
「・・攻撃していた側がいきなり攻撃された場合、かなり驚いて狼狽えますので、その間に攻撃を集中して畳み掛ければ、短時間で15%程度の損傷率にはさせられるでしょう・・それが出来れば戦意は低くなるでしょうから、おそらく離脱して行くでしょう・・」
「・・攻撃している側が2隻だったら、どうしますか・・?・・」
「・・周囲の安全確認を厳にした上で最大戦速にて突入し、一方にミサイル攻撃を集中すると同時に、一方には砲撃を集中しながら、そのままの速度で擦り抜けて離脱します・・典型的な一撃離脱戦法です・・やれるとすれば、これくらいですね・・」
・・ここで、ハイラム・サングスター氏が苦笑する・・。
「・・(笑)何だかまるで、アドル・エルク艦長の戦術技能講座だな・・」
「・・すみません・・こんなに喋るつもりじゃなかったですし、こんなに喋れるんだって事にも驚いているんですけれどもね・・」
「・・好いんじゃないのかね・・?・(笑)・皆、学ぼうとして聴いているようだから・・」
「・・それでは続きまして、メッセージで寄せられている質問をご紹介して参ります・・皆さんの積極的な発言を期待しますし、お願いも致します・・至近距離での近接戦闘をする場合・・どのように行いますでしょうか・・?・・」
「・・すみません・・コーヒーを貰えますかね・・?・・出来ればマンデリンで・・お願いします・・え・・私見ですが、至近距離で他艦と遭遇してしまうシチュエーションとして考えられるのは、出航ポイントがゲームフィールド内で至近の位置であった場合と、待ち伏せされているのを気付かなかった場合があると思います・・他の場合があったら、教えて下さい・・前者の場合は出航時に於いて最大限の注意を払います・・ポートから艦を離岸させてゲートに向かいながら、短距離・近距離センサーレンジに於いて最大出力でのパッシブセンサースキャン・・ゲートに掛かり始める時点から、赤外線監視モニターと磁気反応スキャンに注意します・・反応が無ければそのままゆっくりと出ますが、反応があればその位置を確認して光学迷彩を掛けてゆっくりと出航します・・ゲートが閉鎖される迄は出航中です・・出航中の艦を攻撃するのは、重大な規約違反となります・・艦体がゲートから出たら、アポジモーターを起動して変針します・・ゲートが閉鎖されたら、非我の位置と状況・状態と地形を確認して対応を考慮します・・後者である場合、先制攻撃を受けてしまう形になりますが・・落ち着いてエンジン停止、光学迷彩、アポジモーターで変針して、非我の位置・周囲の状況や状態と地形を確認して、対応を考慮します・・」
・・そこまで言って、淹れられて来たコーヒーを受け取る・・。
「・・どうもありがとう・・」
「・・そこまで行って、次はどのように対抗しますか・・?・・」
「・・私が至近距離での遭遇近接戦闘を展開するとしたら、あるスポーツでのステップワークを採り入れます・・そのスポーツが何であるのかは、秘密です・・」
・・そう言って、コーヒーに口を着ける・・マンデリンだ・・ありがたい・・。
「・・分かりました・・詳細に語って頂きまして、ありがとうございます・・皆さんは如何でしょうか・・?・・お願いします・・」
・・アリミ・バールマン艦長が右手を挙げる・・。
「・・すみません・・私にはミルクティーをお願いします・・いや、アドル艦長のお話は勉強になります・・私もアドル艦長と同じようにしたいと思います・・アドル艦長が採り入れようと思われているステップワークのスポーツについては、今日の会談の席で教えて頂けるものと期待しています・・このように戦いを始める前までのルーティンと言うか段取りを、迅速に実行する為には演習の反復が不可欠ですね・・?・・」
「・・はい・・仰られる通りですね・・このようなルーティンは地味でも出来得る限り迅速に行う必要があるので、掛かる時間を短縮する為の反復演習訓練が重要です・・」
・・そう言って、もう一口マンデリンを飲む・・。
「・・すみません・・私には、ロシアン・ティーをお願いします・・」
・・そう言って、ザンダー・パスクァール艦長が手を挙げる・・。
「・・至近距離にて他艦と突然に遭遇して、そのまま近接戦闘に移行してしまうシチュエーション・パターンとして、光学的な見通しが極度に悪く、デプリや岩塊が極端に密集していてセンサーも何かの現象の影響を受けている宙域での場合・・双方共に至近距離にて突然遭遇してしまう可能性がありますね・・その場合はどうしますか・・?・・」
「・・ありがとう、ザンダーさん・・なるほど、そうですね・・確かにありますね・・非常に特殊なレア・ケースですが・・先ず、相手艦が重巡宙艦であった場合には秒で逃げます・・勿論シールド最大出力で・・グズグズしていると粉々に吹き飛ばされるか蜂の巣にされるだけなんで・・周りの地形や状態に艦を紛れさせながら、即行で離脱します・・次に同格の軽巡であった場合ですね・・見通しが利かずセンサー・スイープの状態も悪い宙域での遭遇となると、おそらく・・お互いに接近している態勢なのではないかと思いますので・・まあお互いに驚くでしょうけれども、先制の一撃をこちらから先に仕掛け、そのまま摺り抜けて一旦は離脱します・・そしてエンジン停止・光学迷彩・僅かに変針してから、相手艦の様子を確認して次の行動を決めます・・」
・・そこまで言って、またコーヒーを二口飲む・・。
「・・ありがとうございます・・アドルさん・・私も勉強になります・・」
「・・いえいえ、どう致しまして・・マルセルさん・・次の質問をお願いします・・」
「・・分かりました・・では、次の質問に移ります・・敵艦にエネルギー反応やパワーサインも検知させずに操艦するとしたらどのような方法がありますか・・?・・です・・」
「・・これもあんまり喋ると手の内を晒す事になるんで、喋れる範囲内だけに止めますね・・先ずミサイルにデコイ・プログラムを付与して発射すれば、敵艦の注意を逸らせるでしょう・・一定のポイントでデコイを起爆させれば爆発エネルギーで周囲が撹乱されている間に、動く事は出来るでしょう・・シャトルにデコイを抱えさせて出て貰うのも好いですね・・シャトルにデコイを放流して貰えば、自艦からの発射反応を敵艦に気取られる事もありません・・そしてデコイを起爆させればその爆発エネルギーがセンサーレンジを満たしている間は、自由に操艦できるでしょう・・と言っても3分間程度でしょうけれどもね・・」
・・そう言って、またもう一口コーヒーを飲む・・。
・・アーロン・フォスター艦長も右手を挙げた・・。
「・・すみません・・私にはミントティーをお願いします・・あの・・ゲームフィールドには様々な天体も設定されていると思うのですけれども・・中には高重力天体もあると思うので、その重力場を利用して移動すると言う手法も採れるのではないかと思います・・」
「・・確かにそうですね・・小惑星並みに大きい岩塊でしたらある程度の引力がありますので、それを利用して移動すると言う手法も採れますね・・」
「・・アドルさんが話したがらない移動手段として・・ロケット・アンカーを使う方法があるのではないでしょうか・・?・・」
・・受け取った紅茶にアプリコット・ジャムをティースプーンで2杯だけ溶かし込んで、香りを確認して一口飲んでからザンダー・パスクァール艦長がそう言う・・。
「・・さすがはザンダーさん・・開幕前でこの事に気が付く艦長は、そんなにいないだろうと思っていました・・」
「・・ありがとうございます・・アドルさん・・貴方が採り入れようとしているステップワークのスポーツについても判りますが・・この場では言わないでおきます・・」
「・・いや・・改めて貴方はすごいですね、ザンダーさん・・貴方とは絶対に戦いたくないですよ・・少なくともサードシーズンが終わるまではね・・」
「・・私も貴方とは戦いたくありません・・アドルさん・・痛み分けで双方とも深刻なダメージを被るだけでしょうから・・」
「・・お話し中にすみません・・その・・ロケット・アンカーを使う移動手段について・・宜しければ、ご説明頂けないでしょうか・・?・・」
「・・話しても宜しいですか・?・アドルさん・・?・・」
「・・どうぞ、ザンダーさん・・好いですよ・・」
「・・分かりました・・我々が乗る軽巡宙艦は艦首両舷に4基と艦尾両舷に4基、それぞれロケット・アンカーを装備しています・・移動したい方位にある岩塊へ向けてロケット・アンカーを発射して撃ち込み、アンカー・ワイヤーを捲き上げる事で移動します・・その岩塊の近隣を通過する直前にアンカーを離脱させて回収し、次の移動に備えます・・」
「・・分かりやすい説明をありがとうございました、パスクァール艦長・・他に移動手段・方法についてのご提案やご意見はありますでしょうか・?・皆さん・・?・・」
・・ヤンセン・パネッティーヤ艦長が右手を挙げる・・。
「・・すみません・・私には濃く淹れたストレートティーにブランデーを20ml入れて貰えますか・?・お願いします・・私でしたら、シャトル10機を戦闘要撃機としてモジュール換装の上で発艦・・敵艦に対して挟撃戦を仕掛けます・・これなら、対艦戦を有利に展開できます・・」
「・・ありがとうございました・・パネッティーヤ艦長・・とても積極的な操艦ですね・・処で皆さん・・現在、あるお方からの映像通話が繋がっております・・その方から皆さんに対してご挨拶を申し上げたいと言う事ですので、お繋ぎします・・モニターをご覧下さい・・」
・・マルセル・ラッチェンス・プロデューサーがそう言うと、私達全員から観える位置に大型モニターが上から降りて来て止まる・・点灯すると、スーツを着込んでデスクに着き手指を組んでこちらを観る、初老の男性の姿が映し出された・・。
「・・社長・・!・・」思わず洩れる・・。
「・・皆さん、こんにちは・・初めまして・・突然にこのようなご挨拶を送らせて頂く事を、どうかお許し下さい・・私は・・『インターナショナル・クライトン・エンタープライズ』にて現在社長を務めております・・トーマス・クライトンであります・・どうぞ宜しくお願い致します・・先ず、仮に『ディファイアント』共闘同盟と呼ばせて頂きますが、この共闘同盟の結成を心からお祝い申し上げます・・そして、そちら様のこの生配信番組終了後に、弊社本社に於きまして同盟に参画される皆様の初会談が行われるとの事ですが、皆様のご来社を本社全域を挙げて歓迎させて頂きます・・現在本社カフェ・ラウンジの料理長が、取って置きのケーキと取って置きのお茶で皆様を持て成そうと準備している処であります・・弊社本社に於いても、直接にご挨拶を申し上げさせて頂きますが、私はそれのみにして退席させて頂きますので、後は皆様でごゆっくりとご歓談下さい・・皆様から本日の会談に於きまして何かご要望がございますれば、弊社役員会にて選抜しアドル・エルク氏の秘書として就いて貰った、リサ・ミルズ女史にお伝え頂きたいと思います・・可能な限りお応えする所存でありますので、宜しくお願い致します・・それでは、マルセル・ラッチェンス・マスター・プロデューサー・・貴重なお時間を突然に拝借させて頂きまして、本当にありがとうございました・・重ねまして、これから宜しくお願い申し上げます・・」
「・・トーマス・クライトン社長・・こちらこそ、暖かくご丁寧なご挨拶をどうもありがとうございます・・これを機に御社と弊社のこれからの繁栄を祈念申し上げるものです・・そしてこれからも、宜しくお願い申し上げます・・」
・・社長は微笑みながら頷き・・その姿はフェードアウトして行って、通話は終了した・・。
「・・配信をご覧頂いている皆さん・・只今、『インターナショナル・クライトン・エンタープライズ』社のトーマス・クライトン社長様より直接映像通話にて、ご挨拶を頂きました・・これにより私共の番組も、益々盛り上げられて行くものと思います・・こちらとしても重ねてになりますが、ご挨拶に感謝申し上げます・・さて、続きまして再び、メッセージにて寄せられました質問にお応え頂きたいと思います・・皆さんはそれぞれ艦長として自艦を指揮され、80名以上のスタッフ・クルーを指揮下に置かれる訳ですけれども、クルーの内の1人または数名から愛を告白された場合にはどのように対処されるのでしょうか・・?・・この質問にはこれまでも応えられていて、辟易されているのだろうとは存じますが、非常に多くのメッセージにて同様の質問を頂いておりますので、これが最後であると思って頂いてお応え下さるようにお願いします・・それではまた、アドル・エルク艦長からお願いします・・」
・・私は、もう冷めているコーヒーを飲み干して水を飲む・・。
「・・アドル・エルクです・・先ず何と言いますか、不思議な違和感と言うか面白さを感じています・・と言うのも、女性艦長の皆さんに対してこの質問はしないのだろうな、と言う感触です・・何故ならば男性芸能人はそれぞれ熱烈な女性ファンが多く付いているでしょうし、結婚されている方もいらっしゃいますでしょうから、女性艦長に対して恋心を抱くと言う事は、ほぼ無いだろうと言う感触です・・ですがまあ、無きにしも非ずかも知れないと言う感覚もあります・・私自身ですが、妻子を扶養している身分ですので・・愛を告白されても受け入れる事は出来ません・・その人の心を傷付けないように説明して、納得して貰う他にはありません・・以上ですね・・」
「・・分かりました・・ありがとうございます・・それでは、クマール・パラーナ艦長・・お願いします・・」
「・・クマール・パラーナです・・私も妻子を扶養しています・・妻を本当に愛していますし、子供はまだ小さくて本当に可愛いです・・愛を告白されたとしても、応える事は出来ません・・アドルさん同様にその人の心を傷付けないように説明して、納得して貰うだけです・・」
「・・分かりました・・ありがとうございます・・それでは、ネヘマイヤ・パーソフ艦長・・お願いします・・」
「・・ネヘマイヤ・パーソフです・・私は従業員も含めて家族全員で農場の経営をしていますので、もう恋愛が出来るような立場でもありません・・ですので、もしもそのような話があったとしても、率直にお断りするしかありません・・」
「・・分かりました・・ありがとうございます・・それでは、ヤンセン・パネッティーヤ艦長・・お願いします・・」
「・・ヤンセン・パネッティーヤです・・自分はまだ独身ですし、現状で彼女もおりませんのでそのような話があった場合には、それなりに考えます・・多くの側面から考えて検討して『トルード・レオン』のクルーとして彼女達を選抜しましたので、クルーとしての彼女達の事は強く信頼していますし、今は様々に機会を設けて色々な事について話し合ってもいます・・プライベートな側面に於いても、彼女達との関わりは深くなって行っている処もありますので、恋愛感情を打ち明けられる可能性も無くはないのではないかと思っています・・私から先に打ち明けるかも知れませんし、彼女達の中の誰かが私に告白する事も考えられます・・何れにしてもそのような話が挙がった場合には、真剣に受け止めて真剣に話し合う積りではいます・・」
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この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
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