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・・『開幕』・・
・・インタビューと対談と・・8・・
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・・やがて、デザレー・ラベル女史がカフェ・ダイニングセットに入って来て、皆さん、そろそろお願いしますと告げる・・。
「・・じゃあ、行って来るよ・・やった方が良いと感じる事が頭に浮かんだら、私に断らずにやって好いからね・・?・・」
「・・分かりました・・」
・・3人が、ほぼ同時に応える・・。
「・・何だかもう・・サラリーマンじゃなくなってきてるみたいだよ・・?・・」
「・・嫌なんですか・・?・・」
・・と、リサが訊く・・。
「・・いいや・・どうせいずれは辞めるつもりだし・・好いんじゃない・・?・・それじゃね・・」
・・3人に手を振って歩き出し、ソファーセットに向かい、自分の席に座る・・アランシス・カーサーが指示してまたメイクとスタイリストが呼ばれ、私達は最終調整される・・終わると彼女達は退がり、ライトが焚かれる・・。
「・・本番10秒前です・・皆さん、宜しくお願いします・・同じように深く座って背中を背凭れから離して、背筋直立願います・・5・・4・・3・・2・・用意・・(キュー)・・」
「・・はい、皆さん、お待たせ致しました・・マルセル・ラッチェンスです・・再開致しました・・ご出演の皆様には申し訳ありませんが、もう暫く休憩時間はありませんので、このまま続けさせて頂きます・・休憩時間の間にこの番組のPVをご覧になって頂きましたが、如何でしたでしょうか・・?・・率直且つ忌憚の無いご感想やご意見も、メッセージにてお寄せ下さい・・さて、それではクマール・パラーナ艦長・・副長の方と協議されて、どのような結論が導き出されましたのか、宜しければお聞かせ頂きますでしょうか・・?・・」
「・・はい・・先ず、ご無理を申し上げたのに時間を採って頂きました事を感謝致します・・この間、副長と協議しまして決定しました・・私が指揮を執ります『チャッカラタナ・ヴァルティン』も、アドル・エルク艦長の『ディファイアント』と共闘します・・継いては、この番組の後で行われる3者会談に私も参加させて頂いて、4者会談とさせて頂きますようにお願い申し上げます・・」
「・・ハイ・!・プロデューサー・Mr.ラッチェンス・・!・・」
・・元気良く言って、アリミ・バールマン艦長が右手を挙げる・・。
「・・はい、どうぞ・・アリミ・バールマン艦長・・」
「・・ありがとうございます・・私、アリミ・バールマンが指揮を執ります、『ラバブ・ドゥーチェン』もアドル・エルク艦長の『ディファイアント』と共闘させて頂く事を、先程副長と協議しました上で決定しました旨、ここに表明致します・・そして・・私共も混ぜて頂いて、5者会談として頂きますよう、続けてお願い申し上げます・・」
・・スコット・グラハムがデスクに着いたまま、左手の指をパチンッと鳴らす・・。
「・・スゲェ・・!・・これで5者・5隻・・これは一気にいくか・・?!・・もし今日、男性艦長達の艦が全艦でまとまったら、明日開かれる女性艦長達の番組でも、先輩達に合流しようとする人が続出するだろうな・・やっぱり先輩は、最高にスゲェ・・!・・」
「・・弊社メインサイトに接続して頂いている皆様・・この状況の急変・事態の急転を、生配信でご覧頂いていますでしょうか・・?・・既に男性艦長が指揮を執ります3隻が、アドル・エルク艦長指揮の『ディファイアント』と共闘する旨を表明しました・・これで外部参加艦1隻をも交えて、事実上5隻での共闘同盟が成立したものと観られます・・」
「・・ハイ、マルセルさん・・ヤンセン・パネッティーヤです・・」
・・ヤンセン・パネッティーヤ艦長が、和かな笑顔で右手を挙げる・・。
「・・あ・はい、ヤンセン・パネッティーヤ艦長・・どうぞ・・」
「・・ありがとうございます・・マルセルさん・・私も先程副長と協議をしまして決定しました・・私が指揮する『トルード・レオン』も、アドル・エルク艦長の『ディファイアント』と共闘させて頂き、同盟に参加させて頂く旨をここに表明致します・・私は以前アドル・エルク艦長と出会っており、その際短く言葉を交わしましたが、アドル・エルク氏の人柄、為人には一程度の感銘を受けておりました・・現在、我々が置かれているこの危機的な状況は、最早明白で疑い得ません・・この中でアドルさんから発せられました提言、提案を私と副長で吟味しましたが、我々が長く存続する為の選択肢はこれしか無いものと私も考えます・・因って私達も今日、『インターナショナル・クライトン・エンタープライズ』本社にて開催される、5者会談に合流させて頂き、6者会談として頂きますよう、宜しくお願い申し上げます・・」
「・・マルセルさん、発言しますよ・・?・・」
・・と、ハイラム・サングスター艦長が軽く右手を挙げる・・。
「・・どうぞ・・サングスター艦長・・」
「・・他の艦長諸氏に於かれても、この休憩時間に副長の方と協議された事と思うが・・如何かな・・?・・この同盟に参加する方が、安全性は飛躍的に高まる・・間違いない・・単艦での行動は危険だし、神経も使う・・敵艦に囲まれての単艦突破は非常に厳しく、難しい・・仮に運良く脱出出来ても被る被害は甚大で深刻だろうし、何より何も楽しくない・・戦略的な面白い発想とか戦術的な発想は、アドル・エルク艦長と私に任せて貰えれば良い・・艦長諸氏に於かれても、アドルさんの発想の面白さ、ユニークさ、素晴らしさは充分に感じ取って頂けているものと思う・・こう観えて私も船乗りとしては長いのでね・・色々と教えられる事もあるだろう・・この同盟に興味がある・・出来れば参加したい気持ちがあるのなら、今ここで表明して欲しい・・確実に安全性は高められるし、何よりもこのゲームが楽しくなる・・宜しく頼む・・」
「・・アーロン・フォスターです・・私の『アレクサンドラ・フランクランド』もこの同盟に加盟し、その上で今日の会談にも合流を希望します・・私自身もよく学び、同盟の永い存続に寄与出来るよう力を尽くしますので、宜しくお願いします・・」
「・・はい・・続きまして、アジェイ・ナイデュです・・私も副長と協議しまして決定しました・・本艦・『ダルモア・エレクトス』もこの同盟への加盟を希望し、今日開催される会談にも参加させて頂きます・・艦長としては新米で初心者ですが、宜しくお願い致します・・」
・・ハーマン・パーカーはいまだ執務室でデスクに着いたまま、手指を組み合わせてモニターを注視しつつ、眼を見開いている・・。
「・・これで8隻・・10人の中でも7人が纏まった・・会談は20人弱か・・」
・・やおらインターコールを秘書課に繋ぐ・・。
「・・グレイス・カーライル副社長は何をしている・・?・・何・?・シャワー・?・分かった・・料理長が何をしているか訊いてくれ・・?・・彼の考えで何かを準備しているのなら、それで好い・・それと・メディアの取材攻勢が強まる可能性が高い・・広報にその旨を連絡して対応を準備するようにと・・ああ・・そうだ・・頼む・・」
・・切ると間髪を容れず、携帯端末に通話が繋がる・・。
「・・ああ・どうも・・貴方は『ロード・クライトン』の副長なんだから、出席しないとマズい・・うん・お客様方は我が社を訪問されにいらっしゃる訳じゃない・・副社長が2人で出迎えるんだから、殊更に社長が出席する必要は無いと思うが・・挨拶だけ頂いて、退席されるのが良いと思う・・そう・・頼みます・・」
・・通話を切って、深く座り直す彼だった・・。
「・・サングスター艦長・・司会を代行させてしまいましたようで、申し訳ありませんでした・・ご覧の皆さん・・既に状況は急変し、事態も急転しまして男性艦長10名の中で7名が、共闘同盟への参加を表明しております・・現時点で表明しておられないのは、ザンダー・パスクァール艦長が指揮する『フェイトン・アリシューザ』・・ネヘマイヤ・パーソフ艦長指揮下の『バトゥ・ウルス』・・ガンナー・ヴァン・ハンプトン艦長が統率される『アグニ・ヤマ』の3名・3隻であります・・それでは、お一方ずつお話を伺いましょう・・ネヘマイヤ・パーソフ艦長・・副長の方と協議されて、如何ですか・・?・・」
「・・はい・・正直に申し上げまして、7人もの方々が同盟に参画されるとは予想しておりませんでしたので、驚いていますし同時に迷っています・・私がこのゲーム大会に参加する目的の一つに、私の処で栽培して出荷している農産物をPRして販促を図ると言うものがあるのですが、その為には私の艦が長く存続する必要があります・・ので・・どうしたものかと・・・?・」
「・・ネヘマイヤ・パーソフ艦長・・初めまして・・宜しくお願いします・・アドル・エルクです・・あの・・若干の販促効果しかないのだろうとは承知しておりますが、本艦で消費する植物性生鮮食材の全品目を、貴方の農場に発注して購入し搬入します・・これはこの同盟に参画して頂ける各艦にも、お願いします・・何、これは各艦で身銭を切ると言う訳じゃありません・・各艦の補給支援部長を通じて大会運営本部に発注を掛ければ、運営本部の補給部から貴方の農場に発注が入り、それに応じて出荷して頂いて、こちらへの搬入が滞りなく終了すれば、運営本部からそちらに購入代金が入ると言う仕組みです・・それともう一つ・・これはたった今思い付いたものなのですが、私が勤める『インターナショナル・クライトン・エンタープライズ』と貴方の農場とで、農産物販売事業に於いての業務提携条項を締結して、共に販路を開拓・拡大して販売を促進しましょうと言う提案です・・前以て申し上げますが、これは私が今勝手に思い付いて、勝手に喋っているだけの話なので、私の直属の上司とその上の上司もこの生配信を観ております・・それであの・・オイオイ、勝手に何してくれてるの・?・って事になったら、直ぐ私の端末に通話が繋がりますので、そうなりましたら申し訳ありませんが、ゴメンナサイです・・ですがそうなりましても、この同盟を形成した8艦の植物性生鮮農産物の補給発注は、そちらの農場に入るようにしますので、一緒にやりませんか・?・
パーソフ艦長・・?・・」
・・言い終えると、また自分でグラスに水を半分注いで飲み干す・・誰も喋らない・・沈黙が怖い・・。
「・・アドル・エルク艦長・・ハイラム・サングスター艦長の仰られた通りですね・・私も一面ではある程度営業マンの積もりでいましたが、とても貴方には及ばないと知りました・・それに貴方のその・・力まない情熱・?・軽そうに観えて真摯な対応・?・そして、満ち溢れる面白くてユニークで素晴らしいサービスの発想・・感服しましたよ・・私と『バトゥ・ウルス』も同盟に参画します・・そして、今日の会談にも参加させて頂きます・・至らない新米艦長ではありますが、宜しくお願いします・・」
「・・ありがとうございます、パーソフ艦長・・私も新米の艦長ですし、営業マンとしてもまだ係長です・・ユニークですか・・?・・大学時代に教えて頂いていた教授に言われました・・君は非常にユニークだ・・ユニーク過ぎる・・と言うより、ファンキーなユニークだ・・だから教授(プロフェッサー)にはなれないな・・精々達人(マスター)止まりだってね・・そうだ・・後一つ提案があります・・本艦の厨房に料理長として就任して頂いたのが、名にしおう巨匠、マエストロ・サルヴァトーレ・ラウレンティス氏ですので、貴方の農場で採れた農産物を食材として使う、お手軽な料理レシピを定期的に公開して貰いましょう・・これも農産物の販促に、幾らかは貢献できるでしょう・・」
「・・アドル艦長・・貴方には脱帽ですね・・重ねて感謝します・・どうやら、通話は繋がらないようですね・・本社にお伺いするのが楽しみですよ・・」
「・・そのようですね・・良かった・・一安心です・・」
「・・皆さん・・どうやら今日の私は司会者として、不適格なようです・・状況・事態の急変・急転に付いて行けなくなっておりますし、アドル艦長を初めとして皆さんのお話しに一々感動してしまって言葉を紡ぐ事もままなりません・・ですが、訊くべき事は伺い続けたいと思います・・」
「・・マルセル・ラッチェンスさん・・アドル・エルク艦長・・私と『アグニ・ヤマ』も、同盟に参画させて下さい・・これまで皆さんのお話しを聞かせて頂きましたが、とても1隻だけで乗り切って突破できそうな自信は持てません・・皆さんから色々と教えて頂いて、宜しくお願いしたいと思います・・私と副長も会談に参加させて頂きたいです・・」
「・・ありがとうございます・・ハンプトン艦長・・大丈夫ですよ・・誰だって1人じゃ自信なんか持てませんよ・・皆で補い合って頑張れるんですから・・伸び伸びと自分らしく楽しみましょう・・?・・」
「・・ありがとうございます、アドル艦長・・」
「・・さて・・それでは、最後のお一方となりました・・『フェイトン・アリシューザ』のザンダー・パスクァール艦長・・如何でしょうか・・?・・」
「・・ザンダー・パスクァールです・・私も副長と協議致しました・・彼女は私に一任すると言ってくれました・・私自身も、安全性を確保してこのゲームを楽しむならば、同盟に参画する方が賢明な選択であるとは充分に認識しておりますし・・これが私の我儘である事も充分に承知してはおりますが・・どうしても私は自分と艦とクルーを信じて、どこまで出来るものなのか試したいのです・・挑んでみたいのです・・ですので、お許し下さい・・皆さんと行動を共にする事は出来ません・・」
「・・分かりました、パスクァール艦長・・大丈夫です・・お気持ちは分かります・・我々と行動を共にしなくても結構です・・存分に試してみて下さい・・貴方程に才能にも自信にも満ち溢れる方ならば、そのように言われるかも知れないと予想はしておりました・・ご自由に行動してみて下さい・・ですがその代わり、我々が設定します、暗号秘密通信回線のセットアップには協力して下さい・・お願いします・・我々と行動は共にしなくても結構ですが、連絡は取り合いましょう・・そしてこれは無理だなと感じたならば、何時でも連絡を下さい・・援護に行きます・・助けに行きます・・何時でも頼って下さい・・行動を共にしないからと言っても、我々が貴方を観ない訳でも、助けない訳でもありません・・せっかく同じゲームの中で集えた仲間ですから、沈んで欲しくありません・・出来る処まではご自由に行動して下さい・・いずれは一緒になれると思っておりますので、連絡だけは取り合いましょう・・宜しいですか・・?・・」
「・・分かりました・・行動の自由を許して頂き、感謝します・・回線設定の要請には、協力します・・私もいずれは一緒にゲームを楽しめるようになれると考えていますが・・先ずはお任せ下さい・・重ねて感謝します・・観ていて下さい・・出来る処まで、試してみます・・」
「・・分かりました・・充分に気を付けて・・油断無く・・細心の注意で・・充分に準備して、行動して下さい・・今日か後日に、私のスタッフから暗号秘密通信回線のセットアップ・アプリケーション・プログラムを受け取って下さい・・宜しくお願いします・・」
「・・お気遣いをありがとうございます・・アドル艦長・・重ねて感謝します・・マルセル・ラッチェンスさん・・お時間を頂きました・・以上です・・」
「・・じゃあ、行って来るよ・・やった方が良いと感じる事が頭に浮かんだら、私に断らずにやって好いからね・・?・・」
「・・分かりました・・」
・・3人が、ほぼ同時に応える・・。
「・・何だかもう・・サラリーマンじゃなくなってきてるみたいだよ・・?・・」
「・・嫌なんですか・・?・・」
・・と、リサが訊く・・。
「・・いいや・・どうせいずれは辞めるつもりだし・・好いんじゃない・・?・・それじゃね・・」
・・3人に手を振って歩き出し、ソファーセットに向かい、自分の席に座る・・アランシス・カーサーが指示してまたメイクとスタイリストが呼ばれ、私達は最終調整される・・終わると彼女達は退がり、ライトが焚かれる・・。
「・・本番10秒前です・・皆さん、宜しくお願いします・・同じように深く座って背中を背凭れから離して、背筋直立願います・・5・・4・・3・・2・・用意・・(キュー)・・」
「・・はい、皆さん、お待たせ致しました・・マルセル・ラッチェンスです・・再開致しました・・ご出演の皆様には申し訳ありませんが、もう暫く休憩時間はありませんので、このまま続けさせて頂きます・・休憩時間の間にこの番組のPVをご覧になって頂きましたが、如何でしたでしょうか・・?・・率直且つ忌憚の無いご感想やご意見も、メッセージにてお寄せ下さい・・さて、それではクマール・パラーナ艦長・・副長の方と協議されて、どのような結論が導き出されましたのか、宜しければお聞かせ頂きますでしょうか・・?・・」
「・・はい・・先ず、ご無理を申し上げたのに時間を採って頂きました事を感謝致します・・この間、副長と協議しまして決定しました・・私が指揮を執ります『チャッカラタナ・ヴァルティン』も、アドル・エルク艦長の『ディファイアント』と共闘します・・継いては、この番組の後で行われる3者会談に私も参加させて頂いて、4者会談とさせて頂きますようにお願い申し上げます・・」
「・・ハイ・!・プロデューサー・Mr.ラッチェンス・・!・・」
・・元気良く言って、アリミ・バールマン艦長が右手を挙げる・・。
「・・はい、どうぞ・・アリミ・バールマン艦長・・」
「・・ありがとうございます・・私、アリミ・バールマンが指揮を執ります、『ラバブ・ドゥーチェン』もアドル・エルク艦長の『ディファイアント』と共闘させて頂く事を、先程副長と協議しました上で決定しました旨、ここに表明致します・・そして・・私共も混ぜて頂いて、5者会談として頂きますよう、続けてお願い申し上げます・・」
・・スコット・グラハムがデスクに着いたまま、左手の指をパチンッと鳴らす・・。
「・・スゲェ・・!・・これで5者・5隻・・これは一気にいくか・・?!・・もし今日、男性艦長達の艦が全艦でまとまったら、明日開かれる女性艦長達の番組でも、先輩達に合流しようとする人が続出するだろうな・・やっぱり先輩は、最高にスゲェ・・!・・」
「・・弊社メインサイトに接続して頂いている皆様・・この状況の急変・事態の急転を、生配信でご覧頂いていますでしょうか・・?・・既に男性艦長が指揮を執ります3隻が、アドル・エルク艦長指揮の『ディファイアント』と共闘する旨を表明しました・・これで外部参加艦1隻をも交えて、事実上5隻での共闘同盟が成立したものと観られます・・」
「・・ハイ、マルセルさん・・ヤンセン・パネッティーヤです・・」
・・ヤンセン・パネッティーヤ艦長が、和かな笑顔で右手を挙げる・・。
「・・あ・はい、ヤンセン・パネッティーヤ艦長・・どうぞ・・」
「・・ありがとうございます・・マルセルさん・・私も先程副長と協議をしまして決定しました・・私が指揮する『トルード・レオン』も、アドル・エルク艦長の『ディファイアント』と共闘させて頂き、同盟に参加させて頂く旨をここに表明致します・・私は以前アドル・エルク艦長と出会っており、その際短く言葉を交わしましたが、アドル・エルク氏の人柄、為人には一程度の感銘を受けておりました・・現在、我々が置かれているこの危機的な状況は、最早明白で疑い得ません・・この中でアドルさんから発せられました提言、提案を私と副長で吟味しましたが、我々が長く存続する為の選択肢はこれしか無いものと私も考えます・・因って私達も今日、『インターナショナル・クライトン・エンタープライズ』本社にて開催される、5者会談に合流させて頂き、6者会談として頂きますよう、宜しくお願い申し上げます・・」
「・・マルセルさん、発言しますよ・・?・・」
・・と、ハイラム・サングスター艦長が軽く右手を挙げる・・。
「・・どうぞ・・サングスター艦長・・」
「・・他の艦長諸氏に於かれても、この休憩時間に副長の方と協議された事と思うが・・如何かな・・?・・この同盟に参加する方が、安全性は飛躍的に高まる・・間違いない・・単艦での行動は危険だし、神経も使う・・敵艦に囲まれての単艦突破は非常に厳しく、難しい・・仮に運良く脱出出来ても被る被害は甚大で深刻だろうし、何より何も楽しくない・・戦略的な面白い発想とか戦術的な発想は、アドル・エルク艦長と私に任せて貰えれば良い・・艦長諸氏に於かれても、アドルさんの発想の面白さ、ユニークさ、素晴らしさは充分に感じ取って頂けているものと思う・・こう観えて私も船乗りとしては長いのでね・・色々と教えられる事もあるだろう・・この同盟に興味がある・・出来れば参加したい気持ちがあるのなら、今ここで表明して欲しい・・確実に安全性は高められるし、何よりもこのゲームが楽しくなる・・宜しく頼む・・」
「・・アーロン・フォスターです・・私の『アレクサンドラ・フランクランド』もこの同盟に加盟し、その上で今日の会談にも合流を希望します・・私自身もよく学び、同盟の永い存続に寄与出来るよう力を尽くしますので、宜しくお願いします・・」
「・・はい・・続きまして、アジェイ・ナイデュです・・私も副長と協議しまして決定しました・・本艦・『ダルモア・エレクトス』もこの同盟への加盟を希望し、今日開催される会談にも参加させて頂きます・・艦長としては新米で初心者ですが、宜しくお願い致します・・」
・・ハーマン・パーカーはいまだ執務室でデスクに着いたまま、手指を組み合わせてモニターを注視しつつ、眼を見開いている・・。
「・・これで8隻・・10人の中でも7人が纏まった・・会談は20人弱か・・」
・・やおらインターコールを秘書課に繋ぐ・・。
「・・グレイス・カーライル副社長は何をしている・・?・・何・?・シャワー・?・分かった・・料理長が何をしているか訊いてくれ・・?・・彼の考えで何かを準備しているのなら、それで好い・・それと・メディアの取材攻勢が強まる可能性が高い・・広報にその旨を連絡して対応を準備するようにと・・ああ・・そうだ・・頼む・・」
・・切ると間髪を容れず、携帯端末に通話が繋がる・・。
「・・ああ・どうも・・貴方は『ロード・クライトン』の副長なんだから、出席しないとマズい・・うん・お客様方は我が社を訪問されにいらっしゃる訳じゃない・・副社長が2人で出迎えるんだから、殊更に社長が出席する必要は無いと思うが・・挨拶だけ頂いて、退席されるのが良いと思う・・そう・・頼みます・・」
・・通話を切って、深く座り直す彼だった・・。
「・・サングスター艦長・・司会を代行させてしまいましたようで、申し訳ありませんでした・・ご覧の皆さん・・既に状況は急変し、事態も急転しまして男性艦長10名の中で7名が、共闘同盟への参加を表明しております・・現時点で表明しておられないのは、ザンダー・パスクァール艦長が指揮する『フェイトン・アリシューザ』・・ネヘマイヤ・パーソフ艦長指揮下の『バトゥ・ウルス』・・ガンナー・ヴァン・ハンプトン艦長が統率される『アグニ・ヤマ』の3名・3隻であります・・それでは、お一方ずつお話を伺いましょう・・ネヘマイヤ・パーソフ艦長・・副長の方と協議されて、如何ですか・・?・・」
「・・はい・・正直に申し上げまして、7人もの方々が同盟に参画されるとは予想しておりませんでしたので、驚いていますし同時に迷っています・・私がこのゲーム大会に参加する目的の一つに、私の処で栽培して出荷している農産物をPRして販促を図ると言うものがあるのですが、その為には私の艦が長く存続する必要があります・・ので・・どうしたものかと・・・?・」
「・・ネヘマイヤ・パーソフ艦長・・初めまして・・宜しくお願いします・・アドル・エルクです・・あの・・若干の販促効果しかないのだろうとは承知しておりますが、本艦で消費する植物性生鮮食材の全品目を、貴方の農場に発注して購入し搬入します・・これはこの同盟に参画して頂ける各艦にも、お願いします・・何、これは各艦で身銭を切ると言う訳じゃありません・・各艦の補給支援部長を通じて大会運営本部に発注を掛ければ、運営本部の補給部から貴方の農場に発注が入り、それに応じて出荷して頂いて、こちらへの搬入が滞りなく終了すれば、運営本部からそちらに購入代金が入ると言う仕組みです・・それともう一つ・・これはたった今思い付いたものなのですが、私が勤める『インターナショナル・クライトン・エンタープライズ』と貴方の農場とで、農産物販売事業に於いての業務提携条項を締結して、共に販路を開拓・拡大して販売を促進しましょうと言う提案です・・前以て申し上げますが、これは私が今勝手に思い付いて、勝手に喋っているだけの話なので、私の直属の上司とその上の上司もこの生配信を観ております・・それであの・・オイオイ、勝手に何してくれてるの・?・って事になったら、直ぐ私の端末に通話が繋がりますので、そうなりましたら申し訳ありませんが、ゴメンナサイです・・ですがそうなりましても、この同盟を形成した8艦の植物性生鮮農産物の補給発注は、そちらの農場に入るようにしますので、一緒にやりませんか・?・
パーソフ艦長・・?・・」
・・言い終えると、また自分でグラスに水を半分注いで飲み干す・・誰も喋らない・・沈黙が怖い・・。
「・・アドル・エルク艦長・・ハイラム・サングスター艦長の仰られた通りですね・・私も一面ではある程度営業マンの積もりでいましたが、とても貴方には及ばないと知りました・・それに貴方のその・・力まない情熱・?・軽そうに観えて真摯な対応・?・そして、満ち溢れる面白くてユニークで素晴らしいサービスの発想・・感服しましたよ・・私と『バトゥ・ウルス』も同盟に参画します・・そして、今日の会談にも参加させて頂きます・・至らない新米艦長ではありますが、宜しくお願いします・・」
「・・ありがとうございます、パーソフ艦長・・私も新米の艦長ですし、営業マンとしてもまだ係長です・・ユニークですか・・?・・大学時代に教えて頂いていた教授に言われました・・君は非常にユニークだ・・ユニーク過ぎる・・と言うより、ファンキーなユニークだ・・だから教授(プロフェッサー)にはなれないな・・精々達人(マスター)止まりだってね・・そうだ・・後一つ提案があります・・本艦の厨房に料理長として就任して頂いたのが、名にしおう巨匠、マエストロ・サルヴァトーレ・ラウレンティス氏ですので、貴方の農場で採れた農産物を食材として使う、お手軽な料理レシピを定期的に公開して貰いましょう・・これも農産物の販促に、幾らかは貢献できるでしょう・・」
「・・アドル艦長・・貴方には脱帽ですね・・重ねて感謝します・・どうやら、通話は繋がらないようですね・・本社にお伺いするのが楽しみですよ・・」
「・・そのようですね・・良かった・・一安心です・・」
「・・皆さん・・どうやら今日の私は司会者として、不適格なようです・・状況・事態の急変・急転に付いて行けなくなっておりますし、アドル艦長を初めとして皆さんのお話しに一々感動してしまって言葉を紡ぐ事もままなりません・・ですが、訊くべき事は伺い続けたいと思います・・」
「・・マルセル・ラッチェンスさん・・アドル・エルク艦長・・私と『アグニ・ヤマ』も、同盟に参画させて下さい・・これまで皆さんのお話しを聞かせて頂きましたが、とても1隻だけで乗り切って突破できそうな自信は持てません・・皆さんから色々と教えて頂いて、宜しくお願いしたいと思います・・私と副長も会談に参加させて頂きたいです・・」
「・・ありがとうございます・・ハンプトン艦長・・大丈夫ですよ・・誰だって1人じゃ自信なんか持てませんよ・・皆で補い合って頑張れるんですから・・伸び伸びと自分らしく楽しみましょう・・?・・」
「・・ありがとうございます、アドル艦長・・」
「・・さて・・それでは、最後のお一方となりました・・『フェイトン・アリシューザ』のザンダー・パスクァール艦長・・如何でしょうか・・?・・」
「・・ザンダー・パスクァールです・・私も副長と協議致しました・・彼女は私に一任すると言ってくれました・・私自身も、安全性を確保してこのゲームを楽しむならば、同盟に参画する方が賢明な選択であるとは充分に認識しておりますし・・これが私の我儘である事も充分に承知してはおりますが・・どうしても私は自分と艦とクルーを信じて、どこまで出来るものなのか試したいのです・・挑んでみたいのです・・ですので、お許し下さい・・皆さんと行動を共にする事は出来ません・・」
「・・分かりました、パスクァール艦長・・大丈夫です・・お気持ちは分かります・・我々と行動を共にしなくても結構です・・存分に試してみて下さい・・貴方程に才能にも自信にも満ち溢れる方ならば、そのように言われるかも知れないと予想はしておりました・・ご自由に行動してみて下さい・・ですがその代わり、我々が設定します、暗号秘密通信回線のセットアップには協力して下さい・・お願いします・・我々と行動は共にしなくても結構ですが、連絡は取り合いましょう・・そしてこれは無理だなと感じたならば、何時でも連絡を下さい・・援護に行きます・・助けに行きます・・何時でも頼って下さい・・行動を共にしないからと言っても、我々が貴方を観ない訳でも、助けない訳でもありません・・せっかく同じゲームの中で集えた仲間ですから、沈んで欲しくありません・・出来る処まではご自由に行動して下さい・・いずれは一緒になれると思っておりますので、連絡だけは取り合いましょう・・宜しいですか・・?・・」
「・・分かりました・・行動の自由を許して頂き、感謝します・・回線設定の要請には、協力します・・私もいずれは一緒にゲームを楽しめるようになれると考えていますが・・先ずはお任せ下さい・・重ねて感謝します・・観ていて下さい・・出来る処まで、試してみます・・」
「・・分かりました・・充分に気を付けて・・油断無く・・細心の注意で・・充分に準備して、行動して下さい・・今日か後日に、私のスタッフから暗号秘密通信回線のセットアップ・アプリケーション・プログラムを受け取って下さい・・宜しくお願いします・・」
「・・お気遣いをありがとうございます・・アドル艦長・・重ねて感謝します・・マルセル・ラッチェンスさん・・お時間を頂きました・・以上です・・」
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断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
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