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・・『開幕』・・
・・インタビューと対談と・・3・・
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・・『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社の5階は、その全フロアを撮影スタジオとしても使用できるようだ・・4種類の撮影セットが設えられている・・どうやらここに入ったのは私達で最後のようで・・数十人の視線が私達に集まる・・マスターディレクターのアランシス・カーサー氏が歩み寄って来る・・。
「・・こんにちは、ようこそおいで頂きました、アドル・エルクさん・・ご協力に感謝します・・皆さん、既にスタジオ入りしておられますので、こちらへどうぞ・・」
・・促された先はカフェ・ダイナーの店内を模したように設えられたセットで、彼らはそれぞれテーブル席に着いていたり、カウンター席に座っている・・ハイラム・サングスター氏とヤンセン・パネッティーヤ氏が、私達を観留めて右手を挙げたので私も右手を挙げて応え、他の7人も私達を観て会釈をしたので、私達も会釈を返した・・そうしてサングスター氏と副長のローズ・クラーク女史が着いているテーブル席から程近いテーブル席に対面で座る・・ヤンセン・パネッティーヤ氏を見遣ると、まだ彼からは紹介されていないが、副長のシャロン・ヒューズ女史を伴って来ている・・。
・・若い男性スタッフがやって来て、私の胸元にピンマイクを付けてくれる・・。
・・若い女性スタッフがコーヒーとロシアン・ティーを持って来る・・礼を言って口を付けるとマンデリンだ・・。
・・どうも奇妙な感覚だ・・確かに初顔合わせではあるのだが、おそらくお互いに顔や声も話し口調も知っている・・これから色々と話して、人柄・為人・性格が徐々に判ってくる、と言う事なのだろう・・コーヒーを二口飲んでカップを置いた処で、マルセル・ラッチェンスが姿を見せる・・。
「・・皆さん、こんにちは・・長らくお待たせしてしまいまして、申し訳ありません・・今回の生配信番組への出演要請に対して快いご協力を頂きまして、改めて感謝申し上げます・・今回は私がメインで司会を務めさせて頂きます・・アランシス・カーサーには、サブで入って貰います・・今回の配信は、インタビューと対談を基本的な軸として、進めさせて頂きます・・それでは・・お茶を飲み終わってからで結構ですので、あちらのソファーセットの方へ移動をお願いします・・ご一緒においで下さいました皆さんは、このままここでの待機をお願いします・・」
・・言い終ると直ぐに4人が立ったので、私も残りのコーヒーを飲み干して立ち上がる・・。
「・・それじゃね・・♡・・」
・・すると、可愛い微笑みで返してくれた・・。
・・ソファーセットは、1つのソファーを半円形に取り囲む形で10個のソファーが並べられている・・半径で3m程の半円形だ・・私は司会者席のソファーから観て、左端のソファーに座る・・ハイラム・サングスター氏は司会者席から観て右端のソファーに座り、ヤンセン・パネッティーヤ氏は私から2席を置いて座った・・。
・・司会者席のソファーにマルセル・ラッチェンスが腰を沈めて、全員が着席する・・。
・・アランシス・カーサーが右手を挙げて合図すると、メイクアップとスタイリストの女性スタッフが入って来て私達の廻りを跳び回り、最終調整を施していく・・数分でそれも終わり、彼女達は退がった・・丁度この時、シエナとハンナがスタジオに入って来たのだが、私は気付かなかった・・2人は直ぐにリサを見付けて、彼女が着いているテーブルの対面に座った・・。
「・・ハイ、リサさん・・こんにちは・・?・・リサさん・今日は凄く綺麗だね・・・」
「・・ありがとうございます、ハンナさん・・」
「・・そう・・昨夜は、アドルさんと一緒だったんだね・・?・・」
「・・はい・・」
「・・好いね・・好い顔してるよ・・当てようか・・?・・〔かなりの小声で〕一緒には寝たけど・・してない・・」
「・・当たりです・・」
「・・好かったね・・リサさん・・アタシ達は若い娘達の面倒も観なきゃなんだけどさ・・今度はこっちにも廻してね・・?・・物じゃないけどさ・・?・・」
「・・分かってます・・」
「・・それよりさ、ハンナ・・皆さん、副長同伴でいらしてるみたいだね・・?・・」
「・・あんまり廻りを観なくて良いよ、シエナ・・そうみたいだね・・出しゃばって来てるのは、アタシくらいなものか・・?・・」
「・・大丈夫ですよ、ハンナさん・・私も出しゃばって来てますから・・」
「・・ウマイね、リサさん・・あ~あ・・リサさんが女優になったら、アタシ達なんか直ぐに跳び越えて行くんだろうな・・それぐらい綺麗だよ・・リサさん・・」
「・・ありがとう・・ハンナさん・・」
「・・ライト!・・OK!・・カメラ!・・OK!・・マイク!・・OK!・・データストリーム!・・OK!・・システムオールグリーン・!・・」
・・ファーストディレクターのハイラム・ケラウェイが、最終確認をコールする・・。
・・アランシス・カーサーが再び進み出て、右手を挙げる・・。
「・・それでは皆さん、宜しくお願い致します・・配信開始20秒前です・・深く腰掛けて頂いて背中を背凭れから離して、上体を直立させるようにお願いします・・はい・・結構です・・それでは・・10秒前です・・宜しければにこやかな笑顔でお願いします・・6・・5・・4・・3・・2・・用意・・(右手人差し指でキュー)・・」
「・・『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』にアクセスして頂いている皆さん、こんにちは・・弊社マスター・プロデューサーのマルセル・ラッチェンスです・・本日は、只今より特別プログラムを生配信でお届け致します・・皆さんもご承知のように、ゲーム大会・『サバイバル・スペースバトルシップ』が今週末に開幕し、同時に、弊社企画の配信リアル・バラエティ・ライブショウ・『サバイバル・スペース・バトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』の為の、素材動画の収録も開始されます・・今回は・・言わばゲーム大会開幕前夜祭の第一弾と銘打ちまして、10人の男性艦長の皆さんにお集まり頂きました・・(ここで、カメラが先ず私を捉え、直後にパンして10人の男性艦長全員を次々に映し出していく)・・基本的に私から皆さんにお伺いするインタビューと・・フリートーク・ディスカッションにて進行させて頂く予定としてはおりますが・・現時点では予想し得ない展開や飛び入りがあるかも知れませんし・・思わぬサプライズがあるかも知れません・・例に依りましてこの生配信は、双方向通信にてご覧の皆様と接続しております・・皆様からの質問・疑問・提言等は先ずメッセージにて受付させて頂き、興味深いメッセージをお寄せ下さいました方とは音声での通信を接続して、リアルタイムでディスカッションに参加して頂くと言う事も、積極的に行って参りたいと考えております・・ので・・皆様からの積極的なメッセージの送信を期待しております・・それでは、始めましよう・・」
・・ここで、CMが30秒入った・・。
「・・サプライズって、何ですか・・(笑)?・・」
・・私としては、笑いを取ろうと思ってちょっとお道化て訊いたのだが・・。
「・・現時点では、分かりません・・」
・・と、至極冷静に返された・・。
・・アランシス・カーサーが進み出る・・。
「・・本番入ります・・5秒前・・・3・・2・・〔人差し指を立てて〕・・(キュー!)・・」
「・・改めまして、皆さん、こんにちは・・マルセル・ラッチェンスです・・それでは先ず、お集まり頂きました男性艦長10人の皆さんそれぞれから、自己紹介を頂きましょう・・お名前と艦名と年齢と・・お勤め先は結構ですので、ご職業をお願いします・・ご趣味とか、習慣にしているライフスタイル等についてもお願いします・・次にこのゲーム大会に参加されて同時に、弊社企画の配信リアル・バラエティショウにもご出演頂けるに当たっての、抱負をお願いします・・また今週末には開幕するのですが、開幕を見据えて今取り組んでいる事についても、発表出来る範囲で教えて下さい・・最後に・・開幕後4日間程度の中での基本方針についてもお願いします・・それでは、アドル・エルク艦長からお願いしましょう・・そのままの姿勢でお話し下さい・・」
・・言い終ると、カメラが切り換わって私を捉える・・モニターにも、私の姿が映る・・。
(・・俺からかよ・・が、まあ・・最後よりは最初の方が好いか・・)
「・・皆さん、こんにちは・・初めまして・・アドル・エルクです・・宜しくお願いします・・『ディファイアント』を指揮します・・38才です・・総合商社の会社員です・・趣味としてはギターやピアノでの弾き語りと、アルトサックスの演奏をたまにやります・・習慣としているのは、瞑想ですね・・抱負と言うよりは願望かも知れませんが、出来得る限り長く・・このゲームに参加し続けて・・楽しみたいと思っています・・長く存在し続けていれば、経験値も自ずと積まれていくでしょうから・・現状での取り組みとして・・一つには自分自身、マニュアルをよく読み込んで可能な限り記憶しようとしています・・2つにはクルーの皆にも、マニュアルをよく読み込んで貰うと言う事と・・出来得る限り撮影セットを見学して貰って・・触ったり、動かしたり、初期設定をして貰ったりしています・・3つには全クルーが決定して、艦内配置も確定しましたので・・艦内での機動体制を整備・拡充しようとしています・・また、必要と思える備品をリストアップして開幕前に搬入しようとしています・・出航してからの4日間は、ほぼ訓練に充てようと思っています・・突発に他艦から挑まれたとしても、基本的にはスルーする方針です・・特に一般クルーには、シャトルパイロットとしての練度を上げて貰いたいと思っていますので・・時間を取って実施します・・簡単且つ雑駁ですが、以上です・・」
「・・詳細な自己紹介をありがとうございました、アドル・エルクさん・・それでは次の方、お願い致します・・」
・・カメラが右にパンして、私の左隣の男性の姿を捉える・・。
「・・はい、こんにちは・・クマール・パラーナと言います・・艦は、『チャッカラタナ・ヴァルティン』と名付けました・・36才です・・仕事は、運送業です・・趣味はまあ・・このようなゲームに参加すると言う事と、釣りと、モデルクラフトです・・ゲーム以外で習慣にしている事は、ジョギングと筋トレです・・抱負ですか・・こちらの、アドル・エルクさんも言われましたが・・私も出来るだけ長く、このゲーム大会に参加していたいです・・ミッションには全部、参加するつもりでいます・・今やっている事は・・とにかく、幅広く情報を集めて片っ端から読んでいます・・また・・撮影セットの見学には、まだ1回しか行っていないので、早い内にもう1回行こうと思っています・・あの・・先程アドル・エルクさんの言われた事が今、大変参考になっています・・マニュアルの読み込みはまだ足りないと思いますので、クルーと一緒に読み込みたいと思います・・最初の4日間は・・私達も訓練に充てるだろうと思います・・どうしても避けられなければ戦うかも知れませんが、出来る限り戦いは避けようと思っています・・シャトルの操縦訓練は、私も重要だろうと思います・・まとまりの無い言い方ですみませんが、取り敢えず以上です・・」
・・クマール・パラーナさんか・・名前からしても南方系の人だ・・この人のインタビュー報道は殆ど出なかった・・仕事が運送業なら、仕事中の彼をメディアが追い掛けると言うのもなかなか難しいのだろう・・36才と言ったが30才でも通るような若々しい顔付きだ・・仕事柄を反映しているのだろうか・・よく日に焼けていて身体付きも逞しい・・純朴さを覗わせる話し方にも好感が持てる・・話せば仲良くなれるかも知れない・・。
「・・初めまして、パラーナさん・・宜しくお願いします・・私を呼ぶ時はアドルで好いですよ・・」
・・そう声を掛けて右手を差し出すと、ちょっと驚いた表情を見せる・・。
「・!・こちらこそ宜しくお願いします、アドルさん・・私の事は、クマールと呼んで下さい・・」
・・そう返してくれながら、握手を交わした・・。
「・・どうもありがとうございました、クマール・パラーナさん・・因みに、艦名として付けられた『チャッカラタナ・ヴァルティン』は・・どちらからの由来なのでしょうか・・?・・」
「・・はあ・・自分が生まれ育った地方に伝わる、神話の中から採りました・・」
「・・そうですか・・分かりました・・それでは次の方、お願い致します・・」
・・またカメラがパンして、次の男性の姿を捉える・・。
「・・あ・・ネヘマイヤ・パーソフと言います・・艦には『バトゥ・ウルス』と付けました・・42才ですが、ちょうど開幕日に43才になります・・農業をしています・・趣味でもあり仕事の一環と言うか範疇でもありますが、農作物の品種改良と農地土壌の改善に我流と言いますか、独自の研究で取り組んでいます・・他には農耕設備や農耕機械の改善や独自考案ですね・・勿論、このようなゲームもやっています・・習慣としているのは、早寝早起きと規則正しい生活ルーティンです・・結局の処長時間に労働しても、結果としては効率や成果も下がるだけなので・・抱負としてはやはり、総てのミッションに参加して経験値を早く積み上げたいです・・経験値が上がらないと、余裕を持ってこのゲームを楽しめないですから・・今はクルーの皆さんとの話し合いを重視して、実施しています・・全員が自分やお互いや全体についての理解を可能な限り深めると同時に、意思疎通のレベルとスピードを上げる事が今は重要だと思っています・・メカやゲームルールについては、やっていく内に嫌でも慣れますから・・私達も最初の4日間は訓練に充てます・・他艦を観掛けても離れます・・簡単ですが、取り敢えず以上です・・」
・・この人のインタビューの報道は、5回位配信されたかな・・?・・立派な農場を所有されていて、ご家族と従業員とで切り盛りされている・・報道と今の話からだけでも、優しい人だとは思うが朴訥と言う訳では無い・・経歴も報道されていたが、大学と大学院で生命科学と農産経営と農業基礎技術についての興味深い論文をそれぞれ3つずつ発表している・・理性的で合理的な人と言う印象が強い・・これまでに品種改良を施した結果として誕生させた、新品種野菜を4品目発表して特許農産物品目として登録している・・報道に依れば売り込みも順調なようだし、経営実績も経営能力も高いと評価されている・・私のような一介の営業マンから観ても、この人はかなりのやり手だ・・印象として特徴的な処はあまり観られない・・技術者のようにも研究者のようにも営業マンのようにも観える・・。
「・・詳細な自己紹介をありがとうございました、ネヘマイヤ・パーソフさん・・パーソフさんが栽培しておられる野菜は、どれも美味しくて私も家族も大好きです・・もう少し価格が下がればとも思いますが・(笑)・・失礼しました・・それでは、次の方・・宜しくお願いします・・」
「・・こんにちは、ようこそおいで頂きました、アドル・エルクさん・・ご協力に感謝します・・皆さん、既にスタジオ入りしておられますので、こちらへどうぞ・・」
・・促された先はカフェ・ダイナーの店内を模したように設えられたセットで、彼らはそれぞれテーブル席に着いていたり、カウンター席に座っている・・ハイラム・サングスター氏とヤンセン・パネッティーヤ氏が、私達を観留めて右手を挙げたので私も右手を挙げて応え、他の7人も私達を観て会釈をしたので、私達も会釈を返した・・そうしてサングスター氏と副長のローズ・クラーク女史が着いているテーブル席から程近いテーブル席に対面で座る・・ヤンセン・パネッティーヤ氏を見遣ると、まだ彼からは紹介されていないが、副長のシャロン・ヒューズ女史を伴って来ている・・。
・・若い男性スタッフがやって来て、私の胸元にピンマイクを付けてくれる・・。
・・若い女性スタッフがコーヒーとロシアン・ティーを持って来る・・礼を言って口を付けるとマンデリンだ・・。
・・どうも奇妙な感覚だ・・確かに初顔合わせではあるのだが、おそらくお互いに顔や声も話し口調も知っている・・これから色々と話して、人柄・為人・性格が徐々に判ってくる、と言う事なのだろう・・コーヒーを二口飲んでカップを置いた処で、マルセル・ラッチェンスが姿を見せる・・。
「・・皆さん、こんにちは・・長らくお待たせしてしまいまして、申し訳ありません・・今回の生配信番組への出演要請に対して快いご協力を頂きまして、改めて感謝申し上げます・・今回は私がメインで司会を務めさせて頂きます・・アランシス・カーサーには、サブで入って貰います・・今回の配信は、インタビューと対談を基本的な軸として、進めさせて頂きます・・それでは・・お茶を飲み終わってからで結構ですので、あちらのソファーセットの方へ移動をお願いします・・ご一緒においで下さいました皆さんは、このままここでの待機をお願いします・・」
・・言い終ると直ぐに4人が立ったので、私も残りのコーヒーを飲み干して立ち上がる・・。
「・・それじゃね・・♡・・」
・・すると、可愛い微笑みで返してくれた・・。
・・ソファーセットは、1つのソファーを半円形に取り囲む形で10個のソファーが並べられている・・半径で3m程の半円形だ・・私は司会者席のソファーから観て、左端のソファーに座る・・ハイラム・サングスター氏は司会者席から観て右端のソファーに座り、ヤンセン・パネッティーヤ氏は私から2席を置いて座った・・。
・・司会者席のソファーにマルセル・ラッチェンスが腰を沈めて、全員が着席する・・。
・・アランシス・カーサーが右手を挙げて合図すると、メイクアップとスタイリストの女性スタッフが入って来て私達の廻りを跳び回り、最終調整を施していく・・数分でそれも終わり、彼女達は退がった・・丁度この時、シエナとハンナがスタジオに入って来たのだが、私は気付かなかった・・2人は直ぐにリサを見付けて、彼女が着いているテーブルの対面に座った・・。
「・・ハイ、リサさん・・こんにちは・・?・・リサさん・今日は凄く綺麗だね・・・」
「・・ありがとうございます、ハンナさん・・」
「・・そう・・昨夜は、アドルさんと一緒だったんだね・・?・・」
「・・はい・・」
「・・好いね・・好い顔してるよ・・当てようか・・?・・〔かなりの小声で〕一緒には寝たけど・・してない・・」
「・・当たりです・・」
「・・好かったね・・リサさん・・アタシ達は若い娘達の面倒も観なきゃなんだけどさ・・今度はこっちにも廻してね・・?・・物じゃないけどさ・・?・・」
「・・分かってます・・」
「・・それよりさ、ハンナ・・皆さん、副長同伴でいらしてるみたいだね・・?・・」
「・・あんまり廻りを観なくて良いよ、シエナ・・そうみたいだね・・出しゃばって来てるのは、アタシくらいなものか・・?・・」
「・・大丈夫ですよ、ハンナさん・・私も出しゃばって来てますから・・」
「・・ウマイね、リサさん・・あ~あ・・リサさんが女優になったら、アタシ達なんか直ぐに跳び越えて行くんだろうな・・それぐらい綺麗だよ・・リサさん・・」
「・・ありがとう・・ハンナさん・・」
「・・ライト!・・OK!・・カメラ!・・OK!・・マイク!・・OK!・・データストリーム!・・OK!・・システムオールグリーン・!・・」
・・ファーストディレクターのハイラム・ケラウェイが、最終確認をコールする・・。
・・アランシス・カーサーが再び進み出て、右手を挙げる・・。
「・・それでは皆さん、宜しくお願い致します・・配信開始20秒前です・・深く腰掛けて頂いて背中を背凭れから離して、上体を直立させるようにお願いします・・はい・・結構です・・それでは・・10秒前です・・宜しければにこやかな笑顔でお願いします・・6・・5・・4・・3・・2・・用意・・(右手人差し指でキュー)・・」
「・・『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』にアクセスして頂いている皆さん、こんにちは・・弊社マスター・プロデューサーのマルセル・ラッチェンスです・・本日は、只今より特別プログラムを生配信でお届け致します・・皆さんもご承知のように、ゲーム大会・『サバイバル・スペースバトルシップ』が今週末に開幕し、同時に、弊社企画の配信リアル・バラエティ・ライブショウ・『サバイバル・スペース・バトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』の為の、素材動画の収録も開始されます・・今回は・・言わばゲーム大会開幕前夜祭の第一弾と銘打ちまして、10人の男性艦長の皆さんにお集まり頂きました・・(ここで、カメラが先ず私を捉え、直後にパンして10人の男性艦長全員を次々に映し出していく)・・基本的に私から皆さんにお伺いするインタビューと・・フリートーク・ディスカッションにて進行させて頂く予定としてはおりますが・・現時点では予想し得ない展開や飛び入りがあるかも知れませんし・・思わぬサプライズがあるかも知れません・・例に依りましてこの生配信は、双方向通信にてご覧の皆様と接続しております・・皆様からの質問・疑問・提言等は先ずメッセージにて受付させて頂き、興味深いメッセージをお寄せ下さいました方とは音声での通信を接続して、リアルタイムでディスカッションに参加して頂くと言う事も、積極的に行って参りたいと考えております・・ので・・皆様からの積極的なメッセージの送信を期待しております・・それでは、始めましよう・・」
・・ここで、CMが30秒入った・・。
「・・サプライズって、何ですか・・(笑)?・・」
・・私としては、笑いを取ろうと思ってちょっとお道化て訊いたのだが・・。
「・・現時点では、分かりません・・」
・・と、至極冷静に返された・・。
・・アランシス・カーサーが進み出る・・。
「・・本番入ります・・5秒前・・・3・・2・・〔人差し指を立てて〕・・(キュー!)・・」
「・・改めまして、皆さん、こんにちは・・マルセル・ラッチェンスです・・それでは先ず、お集まり頂きました男性艦長10人の皆さんそれぞれから、自己紹介を頂きましょう・・お名前と艦名と年齢と・・お勤め先は結構ですので、ご職業をお願いします・・ご趣味とか、習慣にしているライフスタイル等についてもお願いします・・次にこのゲーム大会に参加されて同時に、弊社企画の配信リアル・バラエティショウにもご出演頂けるに当たっての、抱負をお願いします・・また今週末には開幕するのですが、開幕を見据えて今取り組んでいる事についても、発表出来る範囲で教えて下さい・・最後に・・開幕後4日間程度の中での基本方針についてもお願いします・・それでは、アドル・エルク艦長からお願いしましょう・・そのままの姿勢でお話し下さい・・」
・・言い終ると、カメラが切り換わって私を捉える・・モニターにも、私の姿が映る・・。
(・・俺からかよ・・が、まあ・・最後よりは最初の方が好いか・・)
「・・皆さん、こんにちは・・初めまして・・アドル・エルクです・・宜しくお願いします・・『ディファイアント』を指揮します・・38才です・・総合商社の会社員です・・趣味としてはギターやピアノでの弾き語りと、アルトサックスの演奏をたまにやります・・習慣としているのは、瞑想ですね・・抱負と言うよりは願望かも知れませんが、出来得る限り長く・・このゲームに参加し続けて・・楽しみたいと思っています・・長く存在し続けていれば、経験値も自ずと積まれていくでしょうから・・現状での取り組みとして・・一つには自分自身、マニュアルをよく読み込んで可能な限り記憶しようとしています・・2つにはクルーの皆にも、マニュアルをよく読み込んで貰うと言う事と・・出来得る限り撮影セットを見学して貰って・・触ったり、動かしたり、初期設定をして貰ったりしています・・3つには全クルーが決定して、艦内配置も確定しましたので・・艦内での機動体制を整備・拡充しようとしています・・また、必要と思える備品をリストアップして開幕前に搬入しようとしています・・出航してからの4日間は、ほぼ訓練に充てようと思っています・・突発に他艦から挑まれたとしても、基本的にはスルーする方針です・・特に一般クルーには、シャトルパイロットとしての練度を上げて貰いたいと思っていますので・・時間を取って実施します・・簡単且つ雑駁ですが、以上です・・」
「・・詳細な自己紹介をありがとうございました、アドル・エルクさん・・それでは次の方、お願い致します・・」
・・カメラが右にパンして、私の左隣の男性の姿を捉える・・。
「・・はい、こんにちは・・クマール・パラーナと言います・・艦は、『チャッカラタナ・ヴァルティン』と名付けました・・36才です・・仕事は、運送業です・・趣味はまあ・・このようなゲームに参加すると言う事と、釣りと、モデルクラフトです・・ゲーム以外で習慣にしている事は、ジョギングと筋トレです・・抱負ですか・・こちらの、アドル・エルクさんも言われましたが・・私も出来るだけ長く、このゲーム大会に参加していたいです・・ミッションには全部、参加するつもりでいます・・今やっている事は・・とにかく、幅広く情報を集めて片っ端から読んでいます・・また・・撮影セットの見学には、まだ1回しか行っていないので、早い内にもう1回行こうと思っています・・あの・・先程アドル・エルクさんの言われた事が今、大変参考になっています・・マニュアルの読み込みはまだ足りないと思いますので、クルーと一緒に読み込みたいと思います・・最初の4日間は・・私達も訓練に充てるだろうと思います・・どうしても避けられなければ戦うかも知れませんが、出来る限り戦いは避けようと思っています・・シャトルの操縦訓練は、私も重要だろうと思います・・まとまりの無い言い方ですみませんが、取り敢えず以上です・・」
・・クマール・パラーナさんか・・名前からしても南方系の人だ・・この人のインタビュー報道は殆ど出なかった・・仕事が運送業なら、仕事中の彼をメディアが追い掛けると言うのもなかなか難しいのだろう・・36才と言ったが30才でも通るような若々しい顔付きだ・・仕事柄を反映しているのだろうか・・よく日に焼けていて身体付きも逞しい・・純朴さを覗わせる話し方にも好感が持てる・・話せば仲良くなれるかも知れない・・。
「・・初めまして、パラーナさん・・宜しくお願いします・・私を呼ぶ時はアドルで好いですよ・・」
・・そう声を掛けて右手を差し出すと、ちょっと驚いた表情を見せる・・。
「・!・こちらこそ宜しくお願いします、アドルさん・・私の事は、クマールと呼んで下さい・・」
・・そう返してくれながら、握手を交わした・・。
「・・どうもありがとうございました、クマール・パラーナさん・・因みに、艦名として付けられた『チャッカラタナ・ヴァルティン』は・・どちらからの由来なのでしょうか・・?・・」
「・・はあ・・自分が生まれ育った地方に伝わる、神話の中から採りました・・」
「・・そうですか・・分かりました・・それでは次の方、お願い致します・・」
・・またカメラがパンして、次の男性の姿を捉える・・。
「・・あ・・ネヘマイヤ・パーソフと言います・・艦には『バトゥ・ウルス』と付けました・・42才ですが、ちょうど開幕日に43才になります・・農業をしています・・趣味でもあり仕事の一環と言うか範疇でもありますが、農作物の品種改良と農地土壌の改善に我流と言いますか、独自の研究で取り組んでいます・・他には農耕設備や農耕機械の改善や独自考案ですね・・勿論、このようなゲームもやっています・・習慣としているのは、早寝早起きと規則正しい生活ルーティンです・・結局の処長時間に労働しても、結果としては効率や成果も下がるだけなので・・抱負としてはやはり、総てのミッションに参加して経験値を早く積み上げたいです・・経験値が上がらないと、余裕を持ってこのゲームを楽しめないですから・・今はクルーの皆さんとの話し合いを重視して、実施しています・・全員が自分やお互いや全体についての理解を可能な限り深めると同時に、意思疎通のレベルとスピードを上げる事が今は重要だと思っています・・メカやゲームルールについては、やっていく内に嫌でも慣れますから・・私達も最初の4日間は訓練に充てます・・他艦を観掛けても離れます・・簡単ですが、取り敢えず以上です・・」
・・この人のインタビューの報道は、5回位配信されたかな・・?・・立派な農場を所有されていて、ご家族と従業員とで切り盛りされている・・報道と今の話からだけでも、優しい人だとは思うが朴訥と言う訳では無い・・経歴も報道されていたが、大学と大学院で生命科学と農産経営と農業基礎技術についての興味深い論文をそれぞれ3つずつ発表している・・理性的で合理的な人と言う印象が強い・・これまでに品種改良を施した結果として誕生させた、新品種野菜を4品目発表して特許農産物品目として登録している・・報道に依れば売り込みも順調なようだし、経営実績も経営能力も高いと評価されている・・私のような一介の営業マンから観ても、この人はかなりのやり手だ・・印象として特徴的な処はあまり観られない・・技術者のようにも研究者のようにも営業マンのようにも観える・・。
「・・詳細な自己紹介をありがとうございました、ネヘマイヤ・パーソフさん・・パーソフさんが栽培しておられる野菜は、どれも美味しくて私も家族も大好きです・・もう少し価格が下がればとも思いますが・(笑)・・失礼しました・・それでは、次の方・・宜しくお願いします・・」
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とあるおっさんのVRMMO活動記
椎名ほわほわ
ファンタジー
VRMMORPGが普及した世界。
念のため申し上げますが戦闘も生産もあります。
戦闘は生々しい表現も含みます。
のんびりする時もあるし、えぐい戦闘もあります。
また一話一話が3000文字ぐらいの日記帳ぐらいの分量であり
一人の冒険者の一日の活動記録を覗く、ぐらいの感覚が
お好みではない場合は読まれないほうがよろしいと思われます。
また、このお話の舞台となっているVRMMOはクリアする事や
無双する事が目的ではなく、冒険し生きていくもう1つの人生が
テーマとなっているVRMMOですので、極端に戦闘続きという
事もございません。
また、転生物やデスゲームなどに変化することもございませんので、そのようなお話がお好みの方は読まれないほうが良いと思われます。
【『星屑の狭間で』『パラレル2』(アドル・エルク独身編)】
トーマス・ライカー
SF
舞台は、数多ある地球圏パラレルワールドのひとつ。
超大規模、超高密度、超高速度、超圧縮高度複合複層処理でのハイパー・ヴァーチャル・エクステンデッド・ミクシッド・リアリティ(超拡張複合仮想現実)の技術が、一般にも普及して定着し、ハイパーレベル・データストリーム・ネットワークが一般化した未来社会。
主人公、アドル・エルクは36才で今だに独身。
インターナショナル・クライトン・エンタープライズ(クライトン国際総合商社)本社第2棟・営業3課・セカンドセクション・フォースフロアで勤務する係長だ。
政・財・官・民・公・軍がある目的の為に、共同で構築した『運営推進委員会』
そこが企画した、超大規模ヴァーチャル体感サバイバル仮想空間艦対戦ゲーム大会。
『サバイバル・スペース・バトルシップ』
この『運営推進委員会』にて一席を占める、データストリーム・ネットワーク・メディア。
『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社が企画した
『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』と言う連続配信リアル・ライヴ・ヴァラエティショウが、民間から男性艦長演者10名と女性艦長演者10名を募集し、アドル・エルクはそれに応募して当選を果たしたのだ。
彼がこのゲーム大会に応募したのは、これがウォー・ゲームではなく、バトル・ゲームと言う触れ込みだったからだ。
ウォー・ゲームであれば、参加者が所属する国・団体・勢力のようなものが設定に組み込まれる。
その所属先の中での振る舞いが面倒臭いと感じていたので、それが設定に組み込まれていない、このゲームが彼は気に入った。
だがこの配信会社は、艦長役演者に当選した20名を開幕前に発表しなかった。
連続配信リアル・ライヴ・ヴァラエティショウが配信されて初めて、誰が選ばれたのかが判る仕掛けにしたのだ。
艦長役演者に選ばれたのが、今から90日前。以来彼は土日・祝日と終業後の時間を使って準備を進めてきた。
配信会社から送られた、女性芸能人クルー候補者名簿から自分の好みに合い、能力の高い人材を副長以下のクルーとして選抜し、面談し、撮影セットを見学し、マニュアルファイルを頭に叩き込み、彼女達と様々な打ち合わせや協議を重ねて段取りや準備を積み上げて構築してきた。
彼の目的はこのゲーム大会を出来る限りの長期間に亘って楽しむ事。
会社からの給与とボーナス・艦長報酬と配信会社からのギャラ・戦果に応じた分配賞金で大金持ちになる事と、自分が艦長として率いる『ディファイアント』に経験値を付与し続けて、最強の艦とする事。
スタッフ・クルー達との関係構築も楽しみたい。
運営推進委員会の真意・本当の目的は気になる処だが、先ずは『ディファイアント』として、戦い抜く姿を観せる事だな。
絶世のディプロマット
一陣茜
SF
惑星連合平和維持局調停課に所属するスペース・ディプロマット(宇宙外交官)レイ・アウダークス。彼女の業務は、惑星同士の衝突を防ぐべく、双方の間に介入し、円満に和解させる。
レイの初仕事は、軍事アンドロイド産業の発展を望む惑星ストリゴイと、墓石が土地を圧迫し、財政難に陥っている惑星レムレスの星間戦争を未然に防ぐーーという任務。
レイは自身の護衛官に任じた凄腕の青年剣士、円城九太郎とともに惑星間の調停に赴く。
※本作はフィクションであり、実際の人物、団体、事件、地名などとは一切関係ありません。

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