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・・『開幕』・・

・・オンライン・オンタイム・セカンド・トップミーティング・・3・・

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・・向かって右のモニター中央に、『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社のバルサザール・クラムホルツ社長が映し出され、左モニターの中央には、『ビューティフル・ドリーム・ヘルス・アソシエーション』社のマクスウェル・サドスキー社長が映し出される・・クラムホルツ社長の向かって左隣には、ウォルター・クランストン副社長が・・向かって右隣には、ブランドン・キャスティール専務が座っていて、サドスキー社長の向かって左隣には、デボラ・ヴァン・フォルケンバーグ副社長が座っている・・。

「・・お早うございます・!・Mr.マックス・・お早うございます・!・Mr.バルス・・トーマス・クライトンです・・今回も朝早くからお付き合いを頂きまして、ありがとうございます・・お二方とも、ご機嫌は如何ですか・・?・・」

「・・お早うございます・!・Mr.バルス・・Mr.トーマス・・すこぶる快調で元気です・!・また3人で会えて嬉しいです・・」

「・・お早うございます・!・Mr.マックス・・Mr.トーマス・・私も元気です・!・今回も3人でお話が出来て、私も嬉しいです・・そして、アドル・エルク艦長・・グレイス・カーライル艦長、おはようございます・・先日は見学においで頂きまして、ありがとうございました・・!・・今回はカーネル・ワイズ・フリードマン副長に、フローレンス・スタンハーゲン参謀に、ベアトリス・アードランドカウンセラーもこのミーティングにご参加ですな・・おはようございます・・宜しくお願いします・・」

「・・おはようございます・・こちらこそ、宜しくお願いします・・」

・・と、グレイス・カーライル副社長が代表して返礼する・・。

「・・さて、朝の挨拶も済みました処で、Mr.バルス・・Mr.マックス・・早速ですが前回からの懸案事項でありました、3社それぞれでの利益率配分を決定したいと思いますが、如何でしょうか・・?・・」

「・・はい、そうですね・・Mr.トーマス・・Mr.マックス・・先ずはそこから、決定して参りましょう・・」

「・・はい、私も賛成して同意致します・・Mr.トーマス・・Mr.バルス・・それでは、私共の方で3社での利益率配分の案を作成しましたので、データをシェアさせて頂きます・・ご覧ください・・」

・・そう言うとマクスウェル・サドスキー社長が、手許のLAPTOPを操作してデータ画面をシェアした・・。

・・そのデータ画面には、こうあった・・。

・・3社での利益率配分(案)・・

・・『インターナショナル・クライトン・エンタープライズ』・・

・・ファーストシーズン終了まで・・15%・・

・・セカンドシーズン開始から・・10%・・(状況により変移あり)

・・サードシーズン開始から・・5%・・(状況により変移あり)

・・フォースシーズン開始から、ファイナルシーズン終了まで・・3%・・

・・『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』

・・ファーストシーズン終了まで・・25%・・

・・セカンドシーズン開始から・・28%・・(状況により変移あり)

・・サードシーズン開始から・・30%・・(状況により変移あり)

・・フォースシーズン開始から、ファイナルシーズン終了まで・・32%・・

・・『ビューティフル・ドリーム・ヘルス・アソシエーション』

・・ファーストシーズン終了まで・・60%・・

・・セカンドシーズン開始から・・62%・・(状況により変移あり)

・・サードシーズン開始から・・65%・・(状況により変移あり)

・・フォースシーズン開始から、ファイナルシーズン終了まで・・65%・・

「・・Mr.マックス・・この案ですと、そちらの利益率がサードシーズンの開始からファイナルシーズンの終了まで、65%で据え置くと言う事になっていますが、宜しいのですか・・?・・」

・・と、データ画面が表示されてから2分ほどして、バルサザール・クラムホルツ社長が訊いた・・。

「・・はい・・Mr.バルス・・これで大丈夫です・・これでも充分に利益は挙げられるものと、検討の末に導いてこの案を作りましたので、これで結構です・・」

「・・Mr.マックス・・我がクライトン社が提示しました利益配分率を容れて、作成して頂きました事には感謝します・・我が社としてはこの内容で決定しても問題は無いと考えますが、今回我々3社で宣伝と販売の業務を共同で提携する商品の小売価格は、如何ほどで希望されますか・・?・・」

「・・分かりました、Mr.トーマス・・それでは、話を挿むと言いますか、被せる形になりますが、今回の共同宣伝・販売業務提携で取り扱う商品のカタログデータをシェア致します・・・ご覧頂けるでしょうか・・?・・」

・・そう言ってまたマクスウェル・サドスキー社長が、手許のLAPTOPを操作してカタログデータファイルを両社に向けて送信した・・。

「・・分かりました・・ありがとうございます・・受け取りました・・今、開いて拝見しております・・Mr.マックス・・これは確か昨年の3月まで、御社の主力商品であった製品ですね・・?・・私はこのタイプのファーストクラスをオプション付きで、190万くらいで購入し設置しておりますが・・今は後継の新製品が主力商品となっていますね・・?・・」

「・・はい・・Mr.トーマス・・ご購入頂きまして、ありがとうございます・・仰られる通りです・・これは確かに昨年の3月末まで弊社の主力商品でありましたが、4月からは更にグレードを高くして新機能を多く備えた新型製品を、主力商品とさせて頂いております・・」

「・・Mr.マックス・・それで我々は・・このタイプのアイソレーション・タンクベッドの・・どのようなクラス・モデルの製品を取り扱う事になるのでしょうか・・?・・」

「・・はい・・Mr.バルス・・Mr.トーマス・・それでは・・我々が取り扱う商品を、希望小売価格と共にお伝えします・・今、ご覧頂いているタイプのアイソレーション・タンクベッド・・オプション無しのセカンドクラス・・ノーマル・ベーシックモデルを、勉強させて頂きまして本体価格のみで100万ジャスト・・と言う事で、提案させて頂きます・・」

「・・Mr.マックス・・オプションと、配送・設置、アフターケアの料金は、別会計と言う事になる訳ですか・・?・・」

「・・はい・・Mr.バルス・・今回、『ディファイアント』と『ロイヤル・ロード・クライトン』に関連する設置場所に限り、配送・設置の料金は当社で負担させて頂きますが、オプションとアフターケアに附きましては別会計とさせて頂くご提案です・・Mr.トーマス・・Mr.バルス・・如何でしょうか・・?・・」

・・私は右に座るフリードマン副社長の耳に顔を寄せた・・。

「・・これなら、5割引きでイケます・・3:1:1で・・」

・・すかさず副社長も社長に耳打ちする・・すると社長は、一つ頷いて口を開いた・・。

「・・Mr.マックス・・3社での利益率配分案と、今回の取扱商品と、商品の希望小売価格に附いてのご提示を、どうもありがとうございました・・大変に中身の濃い、充実した討議になっていると感じます・・さて・・前回の討議では、こちらのアドル・エルクさんから提案と趣旨の説明がありましたが・・今回もアドル氏から提案と説明がありますので、どうぞお聴き下さい・・」

・・カメラのファインダーが、私に向けられる・・。

「・・改めまして、おはようございます!・マクスウェル社長・・バルサザール社長・・今回もお会いできて嬉しいです・・アドル・エルクです・・今回も宜しくお願い致します・・さて、こちらにグレイス・カーライル副社長もいらっしゃいますが・・『ディファイアント』と『ロイヤル・ロード・クライトン』は人知れず、秘かに共闘します・・あまり大きな声では言えません・(笑)・そして、他の番組参加艦である19艦を影日向から見守り、援助し、援護もしつつ対話を続けて説得し、21艦として緩やかにまとまり、援護し合ってシーズンを突破します・・そしてフィフスシーズン迄の制作を引き出します・・前回はその為に、両艦の全個室にアイソレーション・タンクベッドの設置が必要であるとの事で、アイソレーション・タンクベッドの宣伝と販売の共同業務提携ビジネスプランモデルを提案させて頂いたのですが・・今回は更に、このゲーム大会の長期間に亘る存続・・配信番組シーズンの長期間に亘る継続・・それらによる、アイソレーション・タンクベッドの長期間に亘っての更なる販売促進を目的としまして、『ディファイアント』と『ロイヤル・ロード・クライトン』に乗艦する全クルーの居宅にも、アイソレーション・タンクベッドを安価で配送・設置・アフターケアする内容に、この共同業務提携ビジネスモデルプランを拡充させる提案であります・・この提案を何故考え出したかと言いますと、ゲームは土曜日と日曜日で行われまして、日曜日の最終入港時刻は23:00です・・この時刻までに入港しなければなりませんし、1分でも入港が遅れればその艦は失格となります・・まあ別に、早目に入港しても構わないのですけれども・・出来れば時間一杯迄使って練度を上げたいのが人情でしょう・・そうなりますと、翌日の月曜日は普通に仕事をする人の場合には、睡眠時間の確保が難しくなって睡眠不足のまま1週間が始まると言う事にもなり兼ねません・・当然ながら睡眠不足が解消されなければ、士気にも大きく影響するでしょう・・それを防止して更に余裕を以て戦えるクルー達の環境と状況を整備する為の提案であります・・そして、今回のこの・・ゲーム大会開幕前限定での・・『ディファイアント』と『ロイヤル・ロード・クライトン』に関連する配送先のみでの、販売・配送・設置・アフターケアを・・言わば共同業務提携事業特典と言う事にして、我々が取り扱う商品は先程マクスウェル社長が提案された通り・・商品とするベッドのタイプ・モデル・クラス・本体小売価格も、マクスウェル社長のご提案の通りに当社は同意し承認致します・・ですが、共同業務提携事業特典販促キャンペーンとして・・『ディファイアント』と『ロイヤル・ロード・クライトン』に関連する配送先のみ、本体価格から5割引きでの販売と致しましょう・・割り引く5割の内、3割は当社で負担致しますので・・残りの2割を1割ずつのお引き受けで、両社にご負担をお願いする旨を・・提案致します・・更に、販売手続きに付帯する手数料に附いては、『ビューティフル・ドリーム・ヘルス・アソシエーション』社にご負担をお願いすると言う事で提案を致しますが・・オプションの料金はユーザーの負担と言う事にしまして・・ベッドの配送と設置のサービスとアフターケアに掛かる総ての必要経費の6割は当社で負担致しますので・・残り4割を2割ずつで分けて、両社にご負担をお願いする提案を致します・・更に申し上げますが当社は、先程『ビューティフル・ドリーム・ヘルス・アソシエーション』社が提案されました、3社での利益配分率案に同意して諒承致します・・この共同業務提携事業特典販促キャンペーンは開幕前に終了しますが、開幕後に参加艦の間で話が広まって、他の参加艦からも発注が入った場合には、それが配信番組の参加艦である場合と、艦内個室への設置であると言う場合に限って、4割引きで対応しましょう・・2割は当社で負担致しますので、両社で1割ずつでのご負担をお願いすると言う事での提案を致します・・更に話が広まって、番組とも関係の無い他の参加艦から発注が入った場合には、艦内個室への設置であると言う条件でのみ、2割引きで対応しましょう・・当社で1割を負担致しますので、両社で5%ずつのご負担をお願いすると言う事での提案を致します・・これらの提案を承認して頂ければ、いわゆる21艦でのグループがこのゲーム大会の中を席巻して、配信番組シーズンシリーズは勿論・・ゲーム大会の長期に亘る存続をも保証できる可能性が大きく伸長・拡大するでしょう・・そして、それはそのまま、アイソレーション・タンクベッドの長期に亘る販促に大きく貢献する事でしょう・・最後になりますが、ご静聴をどうもありがとうございました・・」

・・言葉を切った・・喉が渇いて口の中が粘る・・水が欲しい・・30秒ほどしてピンマイクを付けてくれた秘書課の人が、グラスに水を汲んで私の前に置くと、ハーマン・パーカー常務に何事かを耳打ちして退がった・・お礼も言えなかったが、一息で半分飲む・・。

「・・さて・・アドル・エルクさんからは最後の問い掛けがありませんでしたので、私が代わってお二人にお訊ねします・・今のアドル氏からの提案は如何でしょうか・・?・・お二方とも充分に承知されているとは思いますが、アドル・エルク氏が提案したような事項を、今回のミーティングで討議して決定しないとベッドの配送と設置が、もう時間的に間に合いません・・つまり決定する迄、この接続を切る事が出来ないと言う訳です・・」

・・トーマス・クライトン社長がそう言って指を組む・・。

「・・配信番組参加艦のクルーであっても、その方の居宅に設置する場合に於いては通常小売価格にて対応すると言う事ですね・・?・・」

・・と、マクスウェル社長・・。

「・・今の処はそうです・・ただ今後・・一般消費者向けへの販促キャンペーンを考案するのでしたら、その内容に従うと言う事になるでしょう・・」

・・また水を二口飲んで、私はそう応えた・・。

「・・分かりました・・Mr.マックス・・Mr.トーマス・・弊社は今迄に提案された事項と、その内容の総てに同意して承認したいと考えます・・ただ・・この3社での共同事業業務提携体制の枠内で、問題や障害や不具合が発生した場合には、何時でもこのトップミーティングを招集し、開催して問題提起の上で討議できるとの条項を追加して頂ければ、です・・」

・・バルサザール・クラムホルツ社長は、画面の中でウォルター・クランストン副社長と、ブランドン・キャスティール専務と3人で150秒程話し合っていたが、終わるとカメラに向き直って、そう応えた・・。

「・・勿論、その条項は追加させて頂きます・・それは付け加えるべき条項でありました・・失念していた事に附きましては謝罪致します・・」

・・と、トーマス・クライトン社長が、そう応じる・・。

「・・Mr.トーマス・・Mr.バルス・・先ず弊社提案の条項に同意して承認して下さいまして、本当にありがとうございます・・これを踏まえまして弊社も、ご提案された条項の総てに同意して、これを承認致します・・これからの3社の新しい関係を歓迎させて頂きます・・この素晴らしい3社での共同事業業務提携体制を、歓迎致します・・年甲斐も無く興奮しておりますが、是非とも宜しくお願い致します・・」

・・マクスウェル・サドスキー社長も、向かって左隣のデボラ・ヴァン・フォルケンバーグ副社長と画面の中で120秒程話し合ってから、そう応えた・・。

「・・Mr.トーマス・・Mr.マックス・・私も新しく生まれたこの3社の関係と、3社での共同事業業務提携体制に感謝して、歓迎致します・・取り分け私は、今回も斬新で的確で素晴らしく挑戦的な提案をされたアドル・エルクさんに驚嘆して、深く感謝します・・アドル・エルクさんのビジネスセンスには、改めて感服しております・・つくづく素晴らしい方だと思っています・・アドルさん・・今日は10名の男性艦長にお集まり頂いての、インタビューと対談の生配信番組があるのですが、おいで頂けますか・・?・・」

「・・バルサザール社長・・勿論、お邪魔させて頂きます・・今日の企画は、私も大変に楽しみにしていた企画ですので、今から伺うのが楽しみです・・」

「・・ありがとうございます、アドルさん・・全社を挙げて歓迎させて頂きます・・そして、アドル・エルク艦長の密やかな行動方針に附いて知るのは、今の処社内でもこの3人だけですので、どうぞご安心下さい・・」

「・・ありがとうございます・・社長・・恐縮ですし、痛み入ります・・」

「・・Mr.トーマス・・御社のアドル・エルクさんは、大変に素晴らしい人材ですね・・類い稀なビジネスセンスを持っておられるのに、その言動は謙虚で控え目であられる・・私は貴方が本当に羨ましいですよ・・アドル・エルク氏が御社の社員であると言うだけで、大変な利益が御社にもたらされているのでしょうから・・」

・・マクスウェル・サドスキー社長も、驚嘆したように私を称賛する・・私は上を見上げて肩を竦めたくなるのを我慢するのに、結構苦労した・・。

「・・Mr.マックス・・お褒めに与り光栄でもありますし、感謝もしております・・彼と一緒に働けると言う事は、我ら全員にとっての僥倖であると考えております・・」

・・トーマス・クライトン社長は、鷹揚にそう応えた後で、また口を開いた・・。

「・・Mr.マックス・・Mr.バルス・・弊社の中にはありますが、それぞれの御社の中にも今回の業務提携に於ける交渉チームがおありであろうと存じます・・今後はそれらの交渉チームを、事務・実務に於ける協議チームに変換して、早速今日からこのミーティングで締結した確認条項を引き継がせて、動いて貰おうと思いますが宜しいでしょうか・・?・・」

「・・はい、Mr.トーマス・・異議も異存もありません・・率直に同意致します・・逆に言えば、そうしないともう間に合わなくなりますからな・・」

・・と、マクスウェル社長がそう応じて・・。

「・・当社に於いても率直に同意致します・・早速今日から動いて貰いましょう・・」

・・と、バルサザール社長もそう応えた・・。

「・・Mr.マックス・・Mr.バルス・・当社に於ける事務・実務協議チームのリーダーには、こちらのハーマン・パーカー常務に就いて頂きます・・彼の許で現場を仕切って貰うのが、こちらのエリック・カンデルチーフディレクターです・・私からも、宜しくお願い申し上げます・・今回のトップミーティングが終了して接続が解消されましたら、時間を置かずにこちらのエリック・カンデルチーフディレクターから接続の要請を送らせて頂きますので、是非ともご対応の程を宜しくお願い申し上げます・・私もこの関係に感謝して、歓迎させて頂いております・・繰り返し重ねさせて頂きますが、これから宜しくお願い申し上げます・・」

「・・Mr.トーマス・・Mr.バルス・・ハーマン・パーカー常務・・改めて、これから宜しくお願いします・・皆で一緒に楽しんで儲けましょう・・それでは、これで失礼致します・・」

「・・Mr.マックス・・Mr.トーマス・・ハーマン・パーカー常務・・こちらとしても、宜しくお願いしますと改めて申し上げます・・ゲーム大会が開幕して落ち着いた時期に入りましたら、実際にお会いしたいものですな・・それではその時を楽しみにさせて頂きまして、今日はこれで失礼させて頂きます・・御機嫌よう・・また会える日を楽しみに・・」

・・3人とも言葉を切り、笑顔で頷き合う・・画面が暗転して、接続は解消された・・。

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