上 下
127 / 294
・・・『始動』・・・

『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』制作発表会見・・2・・

しおりを挟む
「・・セントラル・ニュース・ネットワークのルディ・ヴィーナーです・・御社企画の配信リアル・バラエティ・ライヴショウ・・『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』に於ける配信スタジオでの司会者及びコメンテーター等、出演者の陣容は決定されておられるのでしょうか・・?・・」

「・・誠に申し訳ありませんが、まだ決定しておりません・・しかし、開幕迄には決定する見通しであります・・決定しましたら、直ぐに番組のメインページにて発表致しますので、ご覧頂きたいと思います・・」

「・・『サバイバル・スペースバトルシップ』に於いても『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』に於いても、これ程の盛り上がりを見せるとは予想されたのでしょうか・・?・・」

「・・それは勿論・・これ程の盛り上がりを見せる事になるとは、全く予想していませんでした・・予想できる筈もありません・・全く今日のこの事態は、驚愕すべきものです・・」

「・・それでは次の方に移ります・・はい!・B 053の方、どうぞ・・!・・」

「・・グローバル・ニュース・ネットワークのスキート・オーティスです・・参加出演艦20隻の中で、最後まで残った艦がこの配信番組の中での優勝艦となるとの事でしたが、優勝艦の艦長及びそのクルーに贈呈される賞品及び賞金などは、決定されているのでしょうか・・?・・」

「・・誠に申し訳ありませんが、それに付いてもまだ決定してはおりません・・現在、鋭意検討中であります・・」

「・・艦内の様子を撮影するカメラは、どのように設置されているのでしょうか・・?・・」

「・・動画撮影用のマイクロカメラは、個室以外の全艦内空間を16の方位から撮影できるように設置されております・・勿論隠されておりまして、探そうとしても見付ける事はできません・・」

「・・はい、それでは次の方・・C 104の方、どうぞ・・!・・」

「・・ホット・ニュース・ステーションのモリー・ヴァッシーです・・ユニフォームは完成したのでしょうか・・?・・」

「・・質問して頂きまして、ありがとうございます・・発表するのを忘れておりました・・申し訳ありません・・ご承知の通り、『サバイバル・スペースバトルシップ』大会運営本部はユニフォームの策定を行わない方針を出しましたが、私共の『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』に於きましては、番組に出演する艦と他の参加艦を区別する為、独自にユニフォームを策定しました・・ご覧ください・・」

・・社長がそこで言葉を切ると、ユニフォームを着た男女のモデルが10数人、向かって右手から並んで登場する・・以前に観たエンジニアリング系のジャンプスーツを基本としてデザインされたユニフォームを着ているが、彩色されていない無地のものだ・・今回初めて観る礼装用らしいユニフォームもある・・男女共にパンツスタイルがあり、女性用として他に巻きスカート、タイト・ミニ、プリーツ・ミニスカートがある・・全員が正面と背面を披露し、半分に分かれて社長の左右両側に立つ・・。

「・・へえ・・タイト・ミニにしたんだ・・プリーツスカートも作ってくれたし・・あれなら可愛いわね・・」

・・と、ハンナが左隣で満足そうに言う・・。

「・・え~、ご覧のようなデザインにて製作致しました・・このモデルは彩色しておりませんが、番組出演艦20隻につき、1隻毎に異なる配色バランスにて彩色させて頂きました・・なので、20種類の配色パターンがあります・・全種類の配色パターンに付きましては、30分程前に番組のメインサイトにて公開致しましたので、後程にご確認頂ければと思います・・」

「・・礼装用のユニフォームがあるのですか・・?・・」

「・・はい、ご覧の通り、礼装用としてのユニフォームも製作致しました・・長期間に渡るライヴ・ショウになりますので、様々なお祝い事や式典等もあろうかと思いまして、製作致しました・・」

「・・はい、それでは次の方・・D207 の方、どうぞ・・!・・」

「・・ハイパー・ニュース・サービスのニコール・ユンジンです・・艦長としてのユニフォームは、製作されなかったのですね・・?・・」

「・・はい・・特に艦長として、差別化を図る意図での製作は行いませんでしたが・・星3つの襟章が、艦長には付きます・・副長は星2つ・・メインスタッフは星一つ・・サブスタッフは横棒線です・・このように、取り敢えずユニフォームとしてのご紹介は致しましたが・・着用を義務付けると言う強制的な指示・指導は行いません・・非番の時間帯での服装は自由ですし・・どうしても気に入らなければ着用しなくとも、煩く言うような事はございません・・」

「・・アドルさんは、どうします・?・着ますか・・?・・」

・・と、左後ろに座っているドクター・アーレンが訊く・・。

「・・まあ、着るでしょうねえ・・私だけ私服で平服だと目立ちますし、浮きますからね・・そんなに奇抜なデザインでもないですから、気にはならないでしょう・・」

「・・はい、それでは次の方・・E124 の方、どうぞ・・!・・」

「・・データ・ストリーム・ネットのマイロ・オーサーです・・この配信番組の制作サイドが出演艦の艦長に対して、指示を出すと言う事は有り得るのでしょうか・・?・・」

「・・出演艦の艦長を含む出演クルーに、何か重大な規約違反の疑いでも無い限り、そのような事は有り得ません・・これは運営本部に於いても同様のスタンスです・・なので、各出演艦の艦長及びクルーには、通常であれば自由な裁量での行動が全面的に許可され、容認されております・・」

「・・運営本部は各種の補給艦及び工作作業艦を擁していますが、それらの艦内が撮影される事はあるのでしょうか・・?・・」

「・・運営本部が擁する艦のクルーと出演艦のクルーがモニター越しに対話した場合と、出演艦に乗艦して来た場合にのみ、彼らも撮影されます・・ですが運営本部が所有する艦の内部が撮影される事はありません・・」

「・・はい、それでは次の方・・F087 の方、どうぞ・・!・・」

「・・フリー・ルポライターのモリー・イーノスです・・運営本部の一角を担われる御社社長に伺います・・『サバイバル・スペースバトルシップ』の運営には、政府内でも過半数の省庁が参画しており、莫大な予算が盛り込まれています・・運営本部が発表しましたこのゲーム大会運営の目的としては、情報を取り扱う技術・技能の更なる進歩・向上の促進と伝播・広い普及・・エクサ集積レベルのCPU開発の為の精密工学関連技術の集蓄積・・クォークビット・ネットワーク開発の為の精密工学関連技術の集蓄積・・等がありますが噂として漏れ聞く中に、国防省には地球大気圏外での宇宙空間に於ける実動集団戦力を構築しようとする構想があり、このゲーム大会を運営するに於いてその為の様々なデータを集蓄積しようとしている・・と言うものもあります・・これについての社長の見解をお聞かせ下さい・・」

「・・モリーさん・・でしたか・・?・・私も噂は色々と耳にしておりますが、噂は噂でしかありません・・真偽は確かめようもございませんので、残念ですが貴女が今仰られた事についても、申し訳ありませんがお答えは致しかねます・・国防省の長期構想レポートでは、そのような事に言及していた記事もあったように思います・・このゲーム大会の運営では、様々な技術革新・進歩・向上・改善・効率化に向けた技術情報の集蓄積が期待されております・・そこからはまた新たな技術構想が立ち上がる事も充分に考えられるでしょう・・」

(・・モリーさん・・と言う事は、件のAIが国防省から宇宙艦隊配備計画でも探り出したのかな・・?・・!・・もしかして、選ばれた俺達20人が・・?・・まさかな・・?・・)

・・そう思って両脇のシエナとハンナを見遣ると、2人とも私の顔を観返したので眼が合った・・顔を戻すと首を捻る・・これは杞憂であって欲しい・・。

「・・はい、それでは次の方・・G209 の方、どうぞ・・!・・」

「・・ニュース・データ・ストリームのトレイシー・エイムスです・・先程、番組制作サイドとしては出演艦に対しても艦長及びクルーに対しても、通常であれば強制的な指示は何もしないと言われましたが、毎週末に於ける出航も義務付けるものではない、と言う事でしょうか・・?・・」

「・・そうです・・正しくその通りであります・・何しろ多ければ全クルーで80名を超える大所帯ですから、毎週全員を揃えるだけでも至難の業の範疇に入るでしょう・・様々な急用も急病も体調不良も家族の事情などもあるでしょう・・勿論、欠員のまま出航する事も可能です・・が、色々と不便を強いる事にもなりますでしょうし・・乗艦できなかったクルーには、忸怩たる想いを抱かせる事にもなってしまうでしょう・・出航の判断と実行については、各艦の艦長及び艦司令部に一任しております・・こちらは何も申しません・・」

「・・出航しなかった週が続いた場合、報酬に変化はありますか・・?・・」

「・・ありません・・報酬は完全な固定であります・・例え1ヶ月に1度も出航しなかったとしても、報酬に変化はありません・・」

「・・はい、それでは次の方・・H582 の方、どうぞ・・!・・」

「・・ワールド・データ・ニュースのマシュー・キリアンです・・賞金と賞品について、現時点で応えられるお考えをお願いします・・」

「・・賞金と賞品については、まだ何も決定しておりません・・鋭意検討中であります・・ただ・・優勝賞金と準優勝賞金はありますね・・当然ですが・・それ以外については、お答えの出来る段階にありません・・申し訳ありませんが、今暫くお待ち頂きましょう・・」

「・・はい、それでは次の方・・・次の方、いらっしゃいませんか・・?・・分かりました・・どうやら質問も出尽くしたようですので、現時点を以ちまして『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』の制作発表会見を終了とさせて頂きます・・皆様のご静聴に感謝致します・・お帰りの際はどうぞ、お気を付けください・・来社して頂きました皆さん・・弊社メインサイトにアクセスして頂きました皆さん・・本日は本当にどうもありがとうございました・・生配信は、これにて終了させて頂きます・・ありがとうございました・・」

・・マルセル・ラッチェンス・マスタープロデューサーがマイクを降ろし、笑顔を見せた処で生中継は停止されて画面が暗転した・・社員達が溜息を吐きながら立ち上がる・・まだ仕事が残っているのだろう・・私達に向けて次々と会釈しながら退室して行く・・私も笑顔で彼らを見送る・・彼らが全員退室してから、大きく伸びをして立ち上がった・・。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

王子を身籠りました

青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。 王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。 再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

『星屑の狭間で』(対話・交流・対戦編)

トーマス・ライカー
SF
 国際総合商社サラリーマンのアドル・エルクは、ゲーム大会『サバイバル・スペースバトルシップ』の一部として、ネット配信メディア・カンパニー『トゥーウェイ・データ・ネット・ストリーム・ステーション』社が、配信リアル・ライヴ・バラエティー・ショウ『サバイバル・スペースバトルシップ・キャプテン・アンド・クルー』に於ける、艦長としての出演者募集に応募して、凄まじい倍率を突破して当選した。  艦長としての出演者20名のひとりとして選ばれた彼はそれ以降、様々な艦長と出会い、知り合い、対話し交流もしながら、時として戦う事にもなっていく。  本作では、アドル・エルク氏を含む様々な艦長がどのように出会い、知り合い、対話し交流もしながら、時として戦い合いもしながら、その関係と関係性がどのように変遷していくのかを追って描く、スピンオフ・オムニバス・シリーズです。  『特別解説…1…』  この物語は三人称一元視点で綴られます。一元視点は主人公アドル・エルクのものであるが、主人公のいない場面に於いては、それぞれの場面に登場する人物の視点に遷移します。 まず主人公アドル・エルクは一般人のサラリーマンであるが、本人も自覚しない優れた先見性・強い洞察力・強い先読みの力・素晴らしい集中力・暖かい包容力を持ち、それによって確信した事案に於ける行動は早く・速く、的確で適切です。本人にも聴こえているあだ名は『先読みのアドル・エルク』 では、これより物語が始まります。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

『異世界庭付き一戸建て』を相続した仲良し兄妹は今までの不幸にサヨナラしてスローライフを満喫できる、はず?

釈 余白(しやく)
ファンタジー
HOT 1位!ファンタジー 3位! ありがとうございます!  父親が不慮の事故で死亡したことで最後の肉親を失い残された高校生の小村雷人(こむら らいと)と小学生の真琴(まこと)の兄妹が聞かされたのは、父が家を担保に金を借りていたという絶望の事実だった。慣れ親しんだ自宅から早々の退去が必要となった二人は家の中で金目の物を探す。  その結果見つかったのは、僅かな現金に空の預金通帳といくつかの宝飾品、そして家の権利書と見知らぬ文字で書かれた書類くらいだった。謎の書類には祖父のサインが記されていたが内容は読めず、頼みの綱は挟まれていた弁護士の名刺だけだ。  最後の希望とも言える名刺の電話番号へ連絡した二人は、やってきた弁護士から契約書の内容を聞かされ唖然とする。それは祖父が遺産として残した『異世界トラス』にある土地と建物を孫へ渡すというものだった。もちろん現地へ行かなければ遺産は受け取れないが。兄妹には他に頼れるものがなく、思い切って異世界へと赴き新生活をスタートさせるのだった。 その他、多数投稿しています! https://www.alphapolis.co.jp/author/detail/398438394

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

処理中です...