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・・・『始動』・・・

・・面談昼食会・・

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・・翌日(2/22・日)・AM10:05・・

・・私は、ゲーム大会運営本部センターエリアに、正門からセカンドカーで乗り入れた・・入ると右手にガードステーション・エントランスがあるので、横付けにして運転席側のウィンドウを開け、PIDメディアカードを提示する・・10秒でカードが返却されると、1人の警備員がスキャナーを持って出て来たので、私も車から降りた・・。

「・・おはようございます、アドル・エルクさん・・ご来訪、ありがとうございます・・申し訳ありませんが、確認の義務がありますので、これで両掌の掌紋をスキャンさせて下さい・・?・・」

「・・おはようございます・・職務とは言え、大変ですね・・?・・」

・・そう言いながら、スキャナーのプリケイト・フェイスに両手を拡げて置く・・。

「・・毎日ですからね・・ありがとうございました・・それと、画像も送りますので撮影します・・バストショットで笑顔はしなくて良いですからね・・」

・・と、先廻りして言われたので、素直に撮影にも応じる・・彼は画像をアップロードしてコミュニケーターで通話していたが、終わるとにこやかな笑顔で言った・・。

「・・確認が終りました・・ご協力に感謝します・・アドル・エルクさん・・改めて、ご来訪をありがとうございます・・ご案内致します・・マスターステーションビルは、このセンターロードを真っ直ぐ1200m程行って頂きますと、左側にあります・・表示に従って頂いて地下駐車スペースにご入場下さい・・お車のロックはお忘れなくお願いします・・このDTOHPIDパスを貸与致しますので、この敷地内ではこれを提示して下さい・・お帰りの際にはお手数ですが再度、PIDメディアカードをご提示頂きましてのご返却となります・・何かご質問はございますか・・?・・」

「・・ああ、いえ・・大丈夫です・・ありがとう・・」

・・案内を説明しながら彼が差し出すDTOHPIDパスを受取り、そう応えながら左胸に付ける・・。

「・・それではお気を付けて、お楽しみ下さい・・」

・・そう言うと彼は右手で敬礼して退がった・・私は車に乗り込んでスタートさせる・・1200m・・もう馬鹿デカいビルが左側に観える・・何だあれは・・?・・あれがマスター・ステーションビルか・・ウチの本社の営業本部棟よりデカい・・リサが住んでるハイパー・タワマン並みだな・・地下駐車スペースへは左周りか・・地下駐車スペースは4階まであるようだが、2階に空きスペースを見付けたので、そこに停めた・・。

・・降りてロックし、リフトシャフト・エリアに向かう・・直接16階に向っても良いだろう・・アップサイドリンクに触れようとすると、右側から若い女性が勢いよくタッチした・・。

「・・!これは失礼・・」 「・・!アドル艦長!!・・」

「・・?!えっ・?・・」

・・観ると、エレイン・ヌーンが息を切らしている・・どのくらい走って来た・・?・・ライトブルーのナチュラルミディアムフェミニンの髪が、天井からのライトにも映えてサラサラと揺れている・・。

「・・お早うございます、アドルさん・・」

・・と、シエナ・ミュラーが右側から現れる・・。

「・・お早うございます、アドルさん・・乗りますよ・・」

・・と、ハンナ・ウェアーが左側から現れて、そのままリフトに乗り込む・・エレインが息を切らしながら私の右手を引っ張って、その後から乗り込んだ・・。

・・16階のリンクに触れたハンナが、そのまま振り向く・・。

「・・昨日はエドナと随分楽しんだようですね・・?・・」

「・・(・聞いたのか・)ああ・・久し振りに集中して身体を動かせたんで、かなりスッキリしたよ・・ああ、シエナ・・エレインの分の昼食は、注文してある・・?・・」

「・・勿論ですよ、アドルさん・・」

「・・ありがとう・・ご苦労さん・・エレイン・・誕生日、おめでとう・!・25才だね・・とても綺麗だよ・・元気で迎えてくれて・・俺も嬉しいよ・・」

「・・ありがとうございます、アドルさん・・皆にも祝って貰えてとても嬉しいです・・これまでで最高に素敵な誕生日になりそうです・・」

「・・ああ・・でも気が付くのが遅かったんでね・・プレゼントは用意できてないんだよ・・だから、今日の予定が全部終わったら、一緒に買い物に行こう・・欲しい物、考えといてな・・?・・」

「・・無理しないで下さい・・アドルさん・?・」

「・・無理なんかじゃない・・これも艦長としての責務の一つだ・・そう捉えておいてくれ・・だから君は何も気にしなくて良いんだよ・・」

「・・はい・・」

・・エレインがそう応えた時に、16階に着いたリフトがドアを開く・・ジャンプスーツを着た若者が頭を下げて出迎える・・。

「・・おはようございます、アドル・エルクさん・・本日はようこそ、ご来訪頂きました・・本日、この棟の中では、私がご案内します・・宜しくお願いします・・」

「・・おはようございます・・初めまして、アドル・エルクです・・今日は、宜しくお願いします・・」

・・そう言ってメディアカードを渡そうとしたが、彼は左手を挙げてそれを制する・・。

「・・申し訳ありません、アドルさん・・私達はゲーム大会の参加者と、その関係者の皆様方との間で、個人的な関係や交流を持つ事を、厳に禁じられております・・ですので失礼であるとは存じておりますが、名前は名乗りませんし、メディアカードも受け取りませんし、着けているのはナンバープレートです・・どうかご容赦を頂きたいと思います・・」

「・・なるほど・・分かりました・・それもこれもゲーム大会の公平さと公正さを守りたいが故ですね・・理解しました・・心中もお察しします・・」

「・・ご理解頂きまして、ありがとうございます・・VIPラウンジの準備が間も無く整いますので、それまで控えの間に於いて、お待ち頂きたいと思います・・こちらです・・」

・・彼に案内され、リフトから降りて直ぐ傍の広い共同応接室のような部屋に通される・・座っていたリサとハルが立ち上がる・・。

「・・それでは準備が整いましたら、ご案内に伺います・・今日はごゆっくり、お過ごし下さい・・」

・・そう言うと彼は一礼して退室した・・。

「・・おはようございます・・アドルさん・・皆さん・・そして、お誕生日おめでとうございます・・エレインさん・・素敵な25才ですね・・」

「・・おはようございます、リサさん・・ありがとうございます・・リサさんみたいに綺麗な人に言われると、とても嬉しいです・・」

「・・おはようございます、アドルさん・・皆も・・おはよう、エレイン・・誕生日おめでとう・・とっても素敵に綺麗だわよ・・」

「・・おはようございます、ハルさん・・本当に、ありがとうございます・・」

「・・おはよう、皆・・今日も宜しく頼むよ・・急な予定変更の連絡を誰か聞いてないかい・・?・・」

「・・急用が入ったという連絡は、聞いていません・・」

・・と、シエナが応える・・。

「・・そうか・・なら、もうそろそろ皆集まるだろう・・座って待っていよう・・」

・・そう言って部屋の後ろに置いてある飲み物の自動販売機の前に立って、皆から飲み物の希望を訊いて購入し始める・・販売機の横壁に掛けてあったトレイを片手にして、購入した飲み物の紙コップを並べていく・・リサがシエナを心配そうに観てから、ハンナを見遣る・・ハンナはシエナの腕を掴んで部屋の外に連れ出した・・。

「・・アンタねえ・!・何アドルさんにツンケンしてんのよ・?!・何アドルさんに雑用やらせてんのよ・?!・これだけ人が居るんだから、言ってやらせりゃ良いじゃない・!・アドルさんのやる事に、いちいちヤキモキしてたり嫉妬なんかしてたりしたら、副長なんて務まりゃしないわよ・!・アタシが言って、代わってやろうか・・?!・・」

「・・ハンナ・・ゴメン・・アタシ、バカだわ・・」

「・・ああ、大馬鹿だよ・!・アタシ達、2人揃ってね・!・」

・・シエナが部屋の中に戻る・・。

「・・アドルさん、すみません、私がやります・!・」

「・・あっ、大丈夫ですよ、シエナさん・・もう購入し終わりましたから・・」

・・観ると、リサがプレートに隙間なく乗せた紙コップの飲み物を、テーブルに運んで置いている・・。

「・・アドルさん・・本当にすみませんでした・・」

「・・良いんだよ、シエナ・・誰しも気分の乗らない時はあるからさ・・でも君は副長なんだから、なるべく早く立ち直ってくれよ・・?・・」

「・・分かりました、アドルさん・・心に刻みます・・」

「・・よし・・じゃあ皆、適当に座って好きな飲み物を飲んでくれ・・」

・・ちょうどその時に、先程の彼に案内されて、マレット・フェントン、フィオナ・コアー、ミーシャ・ハーレイ、イリナ・スタム、サラ・ペイリン、ラニ・リー、コディ・ホーン、ララ・ハリス、マルト・ケラー、エレーナ・キーンが次々と入って来た・・。

「・・皆、おはよう・・日曜の朝に来てくれてありがとう・・私のビットカードを貸すから、そこの販売機で好きな飲み物を買って座ってくれ・・もうすぐVIPルームの準備が整うそうだから・・寒い中、ご苦労さんな・・」

・・マレット・フェントンが私からカードを受取って販売機から飲み物を購入する・・フィオナ・コアーとミーシャ・ハーレイがプレートを持って飲み物の紙コップを乗せていく・・3分後には、全員が座って自分の飲み物を前にしていた・・。

「・・ねえ・・3人のバーテンダーの中で、誰が1番イケメンだと思う・・?・・」

・・コーヒーを飲みながら、ハンナがマレットに訊く・・。

「・・そりゃあ、リントハートさんでしょ・?!・写真でしか観た事ないけど、あの笑顔にはどんな女もヤラれちゃうと思うわよ・・!・・」

・・と、ミントティーを飲みながら、マレットが応える・・。

「・・そうかしら・・?・・細身の優男って、いかにも軽くてチャラそうだから、アタシは好きじゃないな・・」

・・と、フィオナ・コアーが紙コップを置いて応える・・。

「・・はいはい・・フィオンは昔から爽やかマッチョなイケメンが好きだったからね・・と言う事は、ライル・アルバートさんかな・・?・・」

「・・マレット・・今から決め付けなくても良いでしょ・・?!・・」

「・・はいはい、ごめんごめん・・」

・・マレットが降参するように両手を挙げてそう言った時に、件の彼がまた入室した。

「・・皆様、大変長らくお待たせ致しました・・漸くVIPルームの準備と用意が整いましたので、これよりご案内致します・・どうぞこちらへ・・」

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