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・・・『始動』・・・

・・合宿・・2・・

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・・リサが住んでいる巨大タワーマンションの地下駐車スペースに入って行く・・地下3階の半分が来客用のスペースだ・・以前に駐車したのと同じ、リフトに1番近いスペースに停める・・駐車してモーターを切ると、取り敢えずウインドウのスモークレベルを8まで上げて降り立つ・・まだ他の3台は来ていない・・レストルームで小用を足して、隣の喫煙室で一服点けて燻らせる・・揉み消すと思い付いて車に戻り、ネクタイを外して少し濃い色のファウンデーションを顔に塗って薄くよく延ばしてから、口髭を貼り付けると購入した寝袋とバッグを持って降り立ち、車のバックに寄り掛かって腕を組んで待つ・・。

その後数分で他の3台が続けて入って来る・・降り立って来たスタッフメンバーは私の姿を観止めたが、俄かには信じられなかったようで10数秒は近付いて来なかった・・1番に歩み寄って来たのは、やはりリサだ・・。

「・・なかなか上手に塗れましたね・・90点、あげましょう・・」

・・近くまで顔を寄せてしげしげと観てから、彼女はそう言った・・リサのその言葉でスタッフメンバーも私だと気付き、歓声を挙げて歩み寄る・・。

「・・せめて95点はくれないかな?・リサ・・?・・」

・・そう言って私は、彼女の腰に手を廻して抱き寄せ、左頬にキスする・・。

「・・アドルさん!・・判らなかったですよ・!・変装も上手いですね・?!・・」

・・エマが私の左腕に自分の腕を絡めて言う・・。

「・・口髭を付けたら、誰だか本当に判りませんね・・上手ですし、センスも好いです・・」

・・シンシアも傍に寄って来て、私の右手を握って言う・・。

「・・2人ともありがとう・・他のスタッフも、もうすぐ・・?・・」

・・と、シエナに訊く・・。

「・・ええ、もう間も無く集まる筈です・・」

「・・アドルさん・・ギターケースは判りますけれども、これは何ですか・・?・・」

・・と、マレットが訊く・・。

「・・寝袋だよ・・ここに来る途中で買って来たんだ・・リサに、あまり迷惑は掛けられないからさ・・」

「・・さすがですね、アドルさん・・私達も持って来ましたよ・(笑)・寝袋を使えば大人数でも雑魚寝出来ますからね・・だから、ロケの多い私達女優にとって・・これは必須のアイテムなんです・(笑)・」

・・と、パティが説明した・・。

「・・そうなんだ・・女優さんともなれば、サバイバルにも長けるんだね・(笑)・そうだ・・乗艦する際には、寝袋を必須の持ち込み備品としよう・・どんな状況・状態で、寝る事にならないとも限らないからね・・副長から全乗員に通達して下さい・・」

「・・分かりました・・アドルさん・・そろそろ上がらせて貰いませんか・・?・・」

「・・もうすぐ来るんだろう・・?・・待っていようよ・・あと5人だったか・・?・・」

「・・その筈ですが・・」と、ハンナ・ウェアー・・。

「・・リサ・・先に上がって暖房を点けて・・?・・」

「・・アドルさん・・室内気温の設定と管理は、オートコントロールになっていますので大丈夫です・・」

「・・さすがは最新型タワーマンションだね・・」

「・・ああ、アドルさん・・後から来る5人にも、この変装を見せたいんですね・?(笑)・・」

・・と、そう言ってリーアが笑う・・。

「・・さすがは機関部長・・お見通しだね・・(笑)・・」

・・そう言った時に、シルバーのSUVが入って来た・・。

「・・来ました・・ハルの車です・・」そう、フィオナが言う・・。

・・シルバーのSUVは私達の車列の右端に停まり、5人が降り立つ・・これで21人が集まった・・5人とも直ぐに歩み寄って来たが、私を訝し気に数秒観て気付いた・・。

「・・変装も含めて何でもお上手ですのね、アドルさんは・・これでお一人だったら、殆どの人は気付かないでしょう・・」

・・ハル・ハートリーも傍まで来てそう評したので、私は彼女の右手を取って甲にキスをした・・。

「・・ありがとう・・ハル・ハートリー参謀・・それじゃあ全員揃ったし、お邪魔させて貰おうか・・?・・」

・・3本のリフトに分かれて乗り、15階まで上がって降りる・・リサが解錠して皆を招き入れる・・。

「・・お邪魔しま~す・・相変らずの広さだね・・この部屋を見せられると、自分の部屋が子供部屋に思えるよ・・」

・・と、ハンナ・ウェアー・・。

「・・紅茶とコーヒーとハーブティーが保温モードに入っていますので、ご自由にどうぞ・・ミルクティーをご所望の方は、アドルさんにお願いします・・お腹が空いている方はスープも保温されていますので、仰って下さい・・」

・・と、リサが淀みなく言う・・私は右手を挙げた・・。

「・・悪い、リサ・・失礼してシャワーを貸して貰えるかな・?・ファウンデーションを洗い落したい・・」

「・・どお~ぞ、アドルさん・・あちらです・・判りますよね・・?・・タオルは脱衣場の上ですよ・・」

「・・悪い・・リサ・・皆も・・直ぐに戻るから・・」

・・そう言いながら貸して貰ったハンガーに上着とコートを掛けて吊るすと、そそくさとバスルームに向かう・・熱いシャワーで身体を温めつつファウンデーションを洗い落し、髪と身体を手早く洗ってゆっくりと洗い流す・・身体を充分に温めてから出て、超速で水気を拭き取り、服を着直して髪を整え、ハンチングとサングラスを掛け直してリビングに戻る・・。

「・・早いですね、アドルさん・・さすがに独り暮らしの長い人は違います・・」

・・と、マレット・フェントンに言われる・・。

「・・待たせた・・ミルクティーが飲みたい人は・・?・・」

・・そう訊くと、7人が手を挙げる・・。

「・・カップは用意してあります・・ミルクの場所は判りますね・・?・・」

「・・判るよ・・ありがとう・・」

・・落ち着いて肩の力を抜き、気持ちを込めてミルクティーを淹れて仕上げる・・手伝って貰ってそれぞれ所望する7人の前に、ソーサーに乗せてカップを置いていき、私はコーヒーを貰う事にした・・。

「・・頂きます・・」
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