『星屑の狭間で』

・・・『始動』・・・

・・合宿・・

・・15分程後片付けを手伝いながら、メインスタッフ達と短く打ち合わせる・・上着とギターとスタンドを持って自分のワークフロアにリサ達と降りる・・上着とコートを着て、デスクと周囲を確認してからバッグとギターケースとスタンドを両手で持って、スコット、マーリー、ズライ等に別れを告げて、1階に降りる・・自分が今日乗って来た車は、エマが自動追尾させてリサのマンションまでリサと一緒に連れて来てくれる・・エマが乗って来てくれた新しい相棒に乗り込むと、ハンチングとサングラスを取り出して身に着け、発車した・・。

「・・バカな事言ってるんじゃないわよ・・か・・」

・・運転しながらハンナが言う・・。

「・・何よ、それ・・？・・」

・・助手席に座るシエナが応える・・。

・・他にはエドナ、パティ、シンシア、アンバー、マレットがハンナの車に乗っている・・。

「・・アンタさ・・アドルさんと初めて会った直ぐ後、アタシにそう言ったよね・？・アンタはあの時、もうアドルさんに惚れてた・・ねぇ・？・・エリックさんとは、本気になれそう・・？・・」

「・！・ハンナ！・アンタ何・」

「・バカな事じゃないよ、シエナ・・アタシ達はどんなに好きでもアドルさんとは結婚できない・・1番好きな人とは結婚できないって、ホントだよね・・だから、アタシ達の想いは別の形にしてアドルさんを支えなきゃならない・・でも、アタシ達自身も幸せにならなきゃアドルさんが心配する・・でしょ・？・・シエナ・・アンタがエリックさんに本気にならないなら、アタシが本気になるからね・・憶えて置きなさい・・エドナ！・・アンタもスコットさんとの事、真面目に考えなさいよ・！・・」

・・エドナ・ラティスは何も応えずに背筋を伸ばす・・他の誰も口を開かなかった・・。

「・・ねえ、リサさん・・この事を貴女に訊くの・・私は最後にしようと思っているんだけど・・アドルさんを奥様から奪おうなんて、考えてないわよね・・？・・」

・・エマが運転しながら、助手席のリサに訊く・・他にはリーア、ミーナン、カリーナ、ジェレイント、フィオナ、ハンナ・ハーパーがエマの車に乗っている・・。

「・・エマさん・・私はアドルさんの事が心底から好きですけど、そんな事は考えませんし、しませんし、出来ません・・私が１番に恐れているのは、奥様やアリシアちゃんを悲しませる事なんです・・だから・・」

「・・分かったよ、リサさん・・もう言わなくて良い・・全く・・１番好きな人とは結婚できないってのはホントだね・・私達のアドルさんへの想いは、別の形にしてアドルさんを支えなきゃならない・・でもねリサ・・アタシは奥様の心の広さが怖いよ・・あの人は・・妊娠さえしなけりゃ寝ても良いって言ってるんだよ・・そこまで解ってあげられるって言うのが・・アタシは怖いし、悲しいと思うね・・」

・・エマが口を噤むと、誰も口を開かない・・３方向に分かれて走っていた４台のエレカーは40分が経過した時点で走行方位を転じ、リサ・ミルズが住むマンションを目的地に設定した・・。

・・私は途中でアウトドア・グッズの店に寄り、保温性能の高い寝袋を購入した・・今夜はリサの居宅で大人数で泊る事になるので、寝具が足りなくなるのは明らかだろうと思ったからだ・・何か飲食物を購入して土産にしようかとも思ったが、何が好いのか思い付かなかったのでやめた・・。