『星屑の狭間で』

・・・『始動』・・・

・・オールスタッフ・ミーティング・アンド・プラスアルファ・・5・・

「・・さあ、アドルさん・・もう懸案や報告も無いようですから、そろそろ披露してください・・？・・」

・・と、リーア・ミスタンテが笑顔で言う・・。

「・・分かった・・何か思い付いたり思い出したり、考えがまとまったら何時でも言ってくれ・・じゃ、やろうか？・リサ・？・」

「・・はい・・」

・・ギターを取り上げて座って構え、改めてチューニングする・・右側に立ったリサとアイコンタクトでカウントして、イントロに入った・・。

・・リサが歌うメロディーラインより下のハーモニーラインで歌い始める・・リサの歌声に皆驚いているようだが、こっちは憶えたばかりの伴奏に集中していて、皆の顔も観られない・・無事に終えられてホッとしていると、拍手が湧き起こる・・。

「・・すご～い・・リサさん、歌も上手いんだね・・」

・・エマ・ラトナーが拍手しながら言う・・。

「・・すごく綺麗でクリアな声ですね・・プロの歌手にも、そこまで綺麗な声の人は少ないと思います・・」

・・ジェレイント・セキュラも拍手しながら言った・・。

「・・リサさん、歌手になれば人気が出るし、売れると思うよ・？・ああ、副業は駄目なんだっけ・・？・・」

・・ハンナ・ウェアーが感心して言う・・。

「・・皆さん、ありがとうございます・・歌う事は子供の頃から好きなんですが、完全に趣味の範疇でして、仕事にしようと思った事はありません・・今はこの仕事が好きなので、他に仕事を持とうとも思っていません・・でも、ありがとうございました・・大勢の前で歌った事が無かったので、緊張しましたが好かったです・・」

「・・あの、アドルさんの歌とギターもとっても素敵で快かったです・・聴いていて、ゾクゾクしちゃいました・・」

・・と、カレン・ウエスコットが言う・・。

「・・アドルさん、この楽曲は2ヶ月くらい前に出たもので、私このアーティストが大好きなんですけど、どのくらい練習したんですか・・？・・」

・・と、ハンナ・ハーパーが興味深そうに訊く・・。

「・・この曲を知ったのも、練習したのも今日が初めてだよ・（笑）・・リサから曲を貰ってさ・・リピート再生を何10回も繰り返しながら、ギターで合わせて練習したんだけど・・どうにかモノになってたかね・・？・・」

「・・なってたどころか・・アドルさん、独自のアレンジを加えていましたよね・・？・・ただでさえ展開の速いパッセージが多いし、3回も転調する曲なのに、本物以上にすごい伴奏になってましたよ・・プロのギタリストですか・（笑）・・」

・・驚きと呆れ気が半々ぐらいの表情で、ハンナ・ウェアーも言う・・。

「・・いやいや・・練習も含めれば、5回くらい指が攣りそうになったよ・・よく弾き語りで歌えたもんだと思ってる・・でもやってみると、俺のギターの腕もそんなに落ちちゃいなかったって訳だな・・」

「・・アドルさんは、初めて会った時よりずっと魅力的です・・」

・・シエナ・ミュラーがそう言うと、皆自然に頷く・・。