『星屑の狭間で』

トーマス・ライカー

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・・・『始動』・・・

・・オールスタッフ・ミーティング・アンド・プラスアルファ・・3・・

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「・・何を歌うの・?・リサさん・?・・」

・・と、アンバー・リアムが訊く・・。

「・・『100年隔てたロマンス・タイム』、です・・」

「・・あ、それ知ってます!・・2ヶ月くらい前に出た曲ですよね・?・私も好きです!・・自分でも時々歌います・・」

・・と、アレッタ・シュモールがそう応じる・・。

「・・皆、スッキリした・・好い顔をしてるな・・好いよ・・」

・・食べながらだが、改めて見渡して言う・・。

「・・アドルさんも・・ますます格好が好くなって、セクシーですよ・♡・」

「・・ありがとう・・後でキスしような・♡・」

・・ミーシャ・ハーレイが流し目でそう言ってくれたので、私もそう応じてウインクを返す・・。

「・・アドルさん・・結構くだけましたね・・でも、その方が魅力的です・・好いですよ・・」

・・マレット・フェントンが褒めてくれる・・。

「・・ありがとう・・今度、一杯飲ろう・・」

・・その後は、他愛の無い冗談や笑い話、噂話でその場を盛り上げつつそれぞれ夕食を進めて、40分程で食べ終える・・不要となった物を総て片付け、全員に改めて飲み物を配り、座って貰う・・皆の前で立ち上がった私は、『インターナショナル・クライトン・エンタープライズ』として行った記者会見に端を発する、自称フリー・ルポライター、モリー・イーノス女史との出会いと、これまでの経緯を詳細に語り、彼女の個人クラウド特別格納庫からダウンロードしたテキストデータで作ったパッケージフォルダを、この場にいる全員の携帯端末に転送した・・。

「・・自称フリー・ルポライター、モリー・イーノス女史と私との出会いからこれまでの経緯については以上だ・・私は彼女から提供された個人と生体データを基に、多方面からの確認と検証を行って、彼女の実在と本人である事と信頼性は確認した・・私なりに、と言うならそうだ・・だが、私はこれからも彼女を信頼していこうと思うし、彼女の身許も保証出来ると思う・・こちらは好意的な意味で、だがね・・ただ一つ・・皆の携帯端末にたった今転送したテキストデータ・・他の19隻の全乗員名簿・・これをどのように探り出したのかは判らない・・公開される乗員はサブスタッフまでで、一般クルーは公開されない・・推進本部のセキュリティーガードを突破してそれを探り出すのは、個人の力量と経験だけでは不可能だろうと思うが、信憑性は高いと思う・・皆にこの件を打ち明けたのは、皆を最大限に信頼し続けて情報を共有するのが一つ・・この乗員名簿を観ての感想や、皆がそれぞれに聞いている情報との整合性を聞きたいのが一つ・・特に各艦のメインスタッフとして配置された人達のキャラクター、為人、性格特性を聞きたいのが一つだ・・じゃあ、自由に発言してくれ・・」

「・・詳しく話して頂いて、ありがとうございます・・ですがやはり、信頼して頂けるのなら最初から話して頂きたかったです・・」

・・と、シエナ・ミュラー・・。

「・・分かった、それは謝る・・そしてこれからは、直ぐに皆に話すと約束する・・」

「・・モリー・イーノスさんのデータを私にも下さい・・カウンセラーとして検討して、判定します・・」

・・と、ハンナ・ウェアー・・。

「・・分かった、直ぐに送る・・」

「・・私にもください・・私の分野でも検討して判定します・・」

・・と、ハル・ハートリー・・。

「・・分かった、そちらにも送るよ・・」

「・・独占取材に独占報道・・共著で回顧録か独占手記・・?・・ゲーム大会が終わって何年経ったら、そんな事が可能になるんですか・・?・・」

・・と、リーア・ミスタンテ・・。

「・・リサ・・私の契約条項を調べて、束縛的な効力が切れるまでの期間を調べてくれ・・?・・」

「・・分かりました・・」

「・・保安部長として言いますが、これからは艦長が外部の人間と単独で接触するのは、厳に控えてください・・」

・・と、フィオナ・コアー・・。

「・・分かった、約束して肝に銘じる・・」

「・・いずれにせよ面談が必要です・・個人データや経歴を調べて検討して判定するだけでなく、実際に会って話をして、彼女の為人や心理思考動向のパターンを観る必要があります・・いつにしますか・・?・・」

・・と、ハンナ・ウェアーが訊く・・携帯端末でスケジュールデータを呼び出して、観ながら首を捻っていると先にリサが言った・・。

「・・21日の土曜日しかありませんね・・壮行会明けでお酒が残っているでしょうが、もう空いている日がありません・・止むを得ないでしょう・・」

「・・そうだな・・それしかない・・だろうかな・・?・・では21日として、どこで会おうか・・?・・」

「・・こうしましょう・・実はアドルさんが購入される車の納車が明日です・・会社に話を通して貰えれば、私が会社に乗って行きます・・壮行会が終わったら、全員違う方向に別れて会社から離れます・・アドルさんは会社の何処かで変装して貰って、私が乗って来た車で出て下さい・・行き先はリサさんのマンションです・・壮行会に参加したメンバーとメインスタッフの全員も、リサさんのマンションに向かいます・・金曜日は全員でリサさんのマンションに泊まって、土曜日にモリー・イーノスさんを呼んで、面談します・・これなら先ず、誰もアドルさんを追跡できないでしょう・・」

・・と、エマ・ラトナーが提案する・・。

「・・う・・ん・・リサはそれでも良いの・・?・・」

「・・好いですよ・・私は何時でも皆さんを歓迎します・・」

「・・よし・・じゃあ、これでいこうか・・?・・」

「・・アドルさんは、どんな変装をするんですか・・?・・」

・・と、レナ・ライスが訊く・・。

「・・会社から出るんだから、本格的な変装はしなくても良いだろ・?・帽子を被って、眼鏡でも掛ければ・・」

「・・やってみてください・・」

・・と、リサが言う・・。

・・私はアリシアと友達が見繕って買って来てくれた、ハンチングとサングラスを取り出して来て掛けて観せる・・感嘆の声とその輪が広がる・・。

「・・格好好いですし、センスも好いですね・・自分で選んだんですか・・?・・」

・・と、ミーシャ・ハーレイが訊く・・。

「・・いや、近場のショッピングモールにギターを買いに行った時に、一緒に行った娘と友達が見繕って選んでくれたんだよ・・それとエマ・・車の車両検査証とか、仕様書類とか売買契約書、ローンの契約書とか自動車保険の書類はどうしてる・・?・・」

「・・アドルさん・・出過ぎてしまっているようで申し訳ないとは思っていますが、車は私が買い取りました・・なので、総ての関係書類には私がサインしました・・アドルさんには、月収入の5%程度で私に返済して頂ければ結構です・・車の譲渡契約書類はこれから作成してお持ちしますので、その際にはサインをお願いします・・」

「・・そうなんだ・・それは・・手間を掛けたね・・」

「・・いいえ・・これくらいは何でもありません・・」

「・・アドルさん・・噂も含めて8人聞いていますが、合っていますね・・私もこの名簿の信憑性は高いと思います・・」

・・と、リーア・ミスタンテがテキストデータの表示をスクロールさせながら言う・・。

「・・私も10人聞いていますが、当たっています・・かなり正確で、詳しいですね・・」

・・と、エドナ・ラティスも表示をスクロールさせながら言う・・。

「・・私も8人聞いていましたが、全員合っています・・」

・・と、シエナ・ミュラー・・。

「・・私は12人聞いていましたが、全員合っていました・・驚いています・・」

・・と、エマ・ラトナー・・。

「・・よし、それじゃあマニュアルの読み込みとか見学とか・・普段の芸能の仕事の合間にでも良い・・名簿を見て、知り合いがいないか確認してくれ・・俺は艦長同士での対談番組が生配信される際に、男性艦長達の為人や心理動向・思考パターンを観察する・・この件について、今はこれくらいで良いかな・・?・・何か思い付いたら、何時でも発言してくれ・・では、次に移ろう・・『ロイヤル・ロード・クライトン』との間で共有する、暗号ツールシステムについてだが・・完成したのかな・・?・・」

「・・はい、3種類の暗号構築ツールを併用して、独自の暗号コードを構築・構成しました・・そしてそれは、私から直接、グレイス・カーライル副社長に手渡しました・・」

・・と、リサが応える・・。

「・・ご苦労さん・・それはハルと協同でやったんだね・・?・・」

「・・はい、そうです・・」

「・・ご苦労さん・・知っているとは思うが、暗号はいずれ必ず解読されて、ツールコードも解析される・・今後は1ヶ月に1回の頻度で、ツールコードにマイナーチェンジを加えてバージョンアップしたものを、その都度グレイス・カーライル副社長にリサから手渡すように・・そして今後は、リーアも加わって3人体制で暗号ツールコードの管理に当たるように・・好いかな・・?・・」

「・・分かりました・・」

「・・了解しました・・」

「・・次に『ディファイアント』の医療部スタッフと、厨房スタッフとマスター・バーテンダー、セカンド・バーテンダーの人事についてだが、副長・・運営本部からの連絡は・・?・・」

「・・実は今日の午前中に連絡がありまして、『ディファイアント』の医療部、バー・ラウンジへの派遣人事が決定しました・・リストファイルは後程、全乗員に向けて送付します・・こちらが希望し、要請していた面談については22日の日曜日に全員を集合させる事が出来るので、応じられるがどうだろうかと言う返答でした・・」

「・・22日の日曜日は、18:00から配信番組の制作発表会見があるから・・昼食を摂りながらでの面談と言う事にしようか・・?・・派遣される医療部、バー・ラウンジのスタッフメンバーは何人・・?・・」

「・・ええと、医療部とバー・ラウンジを合わせて、15名です・・」

「・・結構いるな・・顔合わせの意味もあるから、こちら側からの面談参加者は俺とリサと副長、参謀、カウンセラー、補給支援部長、生活環境支援部長、保安部長、医療室スタッフとしてこちらから配属させる3人・・そして、サポート・クルーの3人・・と言った処かな・・?・・全員で・・・」

「・・29名です・・」と、リサが言う・・。

「・・よし、エレーナも来てくれ・・それでちょうど30人だ・・シエナ・・運営本部に言って、30人で昼飯を食いながら話せる場所を用意して貰ってくれ・・全員集合させられるんだから、場所も用意して貰おう・・その後、シエナとハンナとハルで引率して、撮影セットの見学を頼む・・終わったら、制作発表会見に合流してくれ・・好いかな・・?・・」

「・・分かりました・・」  「・・了解です・・」  「・・承知しました・・」

「・・面談やセットの見学にも時間が掛かるかも知れないから、11時開始でやろう・・そう本部と関係者にも連絡を頼む・・」

「・・分かりました・・」

・・そこまで話した処で、グラスにソーダを一杯注いで貰って飲む・・。

「・・それで・・副長・・?・・リスト・ファイルを先に観て、印象は・・?・・」

「・・医療部にですが、女性の化学分析研究員が配属されます・・それと、厨房のメインシェフとマスターバーテンダーとして配属される方は、結構有名な人です・・」

「・・そうか・・面談ではよく話し合って、意思の疎通を図っておく必要があるな・・ああそれと・・フィオン・・リサが訊きたい事があるそうだよ・・」

「・・え?・ああ、先日、フィオナさんとカリッサさんがここにいらした時に、この社宅にファインダーを向けていたカメラを3台発見されたそうですね・・?・・そのカメラの画像は撮影されましたか・・?・・」

「・・ええ、複数撮りました・・」

「・・画像にタイム・インデックス・コードは入っていますか・・?・・」

「・・勿論、入っていますが・・?・・」

「・・では、その画像を総て、私の携帯端末に送信して下さい・・それを証拠として弊社顧問弁護士に依頼し、この事例に於いての法的措置を採ります・・ここは弊社が借り上げてアドル・エルク氏に貸与している社宅です・・ここを無許可で撮影する事は、弊社とエルク氏に対してのプライバシー侵害となる行為であって違法です・・法的措置については、顧問弁護士に任せますが、直ちに提訴すると言う事になるでしょうから、宜しくお願い致します・・」

「・・分かりました・・それでしたら、今そちらに送信します・・」

・・と、そう言いながらフィオンは自分の携帯端末を取り出すと、操作を始めた・・。

「・・リサさん、宜しければ、私もお手伝いしましょうか・・?・・」

・・と、ハル・ハートリーが申し出る・・。

「・・ありがとうございます、ハルさん・・お申し出には感謝します・・ですが一先ずは弊社顧問弁護士に任せます・・万が一、手に余るような事になりましたらお願いします・・すみません・・」

「・・好いんですよ・・リサさん・・」

「・・リサさん・・画像の送信は終わりました・・これで盗撮事案については一先ず、と言う処ですが・・盗聴されている可能性も高いと思われますので、早急に専門業者に依頼して検査して貰うべきですね・・」

「・・そうですね・・分かりました・・そちらは弊社セキュリティを通じて、専門の業者に検査を依頼します・・そして早急にやって貰います・・」

「・・やれやれ・・会社に頼んで警備から定期的に、社宅周辺を観て貰う必要もあるな・・?・・」

「・・そうですね・・その辺の話もしておきます・・」

「・・ああ・・アドル・エルクもとんでもなく有名になっちまったもんだ・・自宅の方はどうしようか・?・会社には頼めないな・・」

「・・一応、ご自宅の警備や検査についても話してみますが、難しいかも知れません・・『ロイヤル・ロード・クライトン』の方もありますから・・」

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