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・・・『始動』・・・

・・フィオナ・コアー・・カリッサ・シャノン・・4

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「・・いや・・わざわざ来て貰った人に料理をお願いすると言うのも気が引けます・・とは言え空腹は空腹ですので、3人で造りましょうか・・?・・お腹、空いてますか・・?・・空いてないのでしたら、何か軽いものでも・・?・・」

「・・いいえ、私達2人で造りますので、アドルさんは座っていて下さい・・料理はあまり得意ではないのですが、何とか普通の夕食のようには造りますので、暫くお待ちください・・」

「・・分かりました、宜しくお願いします・・ライスは炊いてあります・・それとあの、エプロンはキッチンの・・」

「・・大丈夫です・・この前来た時に観ましたので、分かっています・・お任せ下さい・・」

「・・そうですか・・分かりました・・宜しくお願いします・・」

・・そうして待つ事40分程であったが、私は瞑想しながら待っていた・・実は空腹である時の方が瞑想に集中できる・・何故なら空腹である時には眠気が来ない・・眠気に邪魔されずに、充分にリラックスしながら存分に集中した時間を過ごせた・・物音と足音が聞こえたので、眼を開けて姿勢を変える・・。

「・・お待ち遠さまでした~・・」  「・・お待たせしました~・・」

・・との声と共に運ばれて来たのは、とてもしっかりとした造りで中型のハンバーグステーキ・・付け合わせはキャロット・ポテト・ほうれん草のソテー・・ライスとポタージュスープと、レタス・ブロッコリー・トマト・キュウリ・キャベツ・スライスハム・チーズを合わせたサラダにオリジナルドレッシングを掛けたものだった・・私は失念していた事を2人に詫びて冷蔵庫から冷えたライトビアを取り出し、グラスに注いで持って来る・・。

「・・今日の成果と語らいに乾杯!・・」  「・・乾杯!・・」

・・ハンバーグも付け合わせもスープも、とてもしっかりとした味にまとめられている・・感動的な程だ・・。

「・・美味しいですよ・・これはかなりレベルが高いです・・初めから造り始めて、ここまでにまとめられる人は・・そうは多くないと思います・・」

「・・ありがとうございます・・ハンバーグだけは結構練習したので、自信があります・・」

・・そう言ってフィオナ・コアーは、はにかんだ笑みをこぼす・・。

「・・私も時々自炊しますので、サラダとスープを造りました・・」

「・・うん、美味しいですよ・・オリジナルドレッシングがよく合っているね・・スープもしっかりとまとめられていて、好い味わいです・・さあ、一緒に食べましょう・・」

・・ライスを炊いて置いて好かった・・炊いていなかったら、もっと時間が掛かった処だ・・。

「・・ねえ・・フィオナさんと呼べば好いのかな・・?・・」

「・・フィオンでも好いですよ・・コアーは、珍しい姓ですよね・・?・・」

「・・そうだね・・あまり聞かないね・・」

「・・私はシャノンと呼ばれる方が好いです・・カリッサだと、堅苦しく聴こえて怒られているような気もするので・・」

「・・解りますよ・・同僚でダグラス・スコットって言う男が居るんですけど・・どっちもファーストネームみたいに聴こえるんで、いつもスコットって呼んでます・・」

「・・いつかアドルさん手造りの料理を頂きたいです・・」

・・フィオンの言葉に、シャノンも頷く・・。

「・・そうですね・・ファーストシーズンを無事に生き延びられた時と、2人の誕生日には披露しましょう・・」

「・・ありがとうございます・・楽しみです・・」

「・・アドルさん・・シャノンと一緒にここまで来る道すがらにも話していたのですが・・私達もアドルさんの事が好きです・・男性としてとても強く意識しています・・でも、キスして欲しいとか・・抱いて欲しいとかの気持ちは、まだそれ程に強くありません・・何にせよライバルが一杯いますし、ご結婚されていますしね・・アドルさんのお気持ちも分かるつもりです・・だから今は、アドルさんと一緒に戦い抜く事を念頭に置きます・・誕生日に気持ちが高まったら・・お願いします・・」

「・・ありがとう・・そう言ってくれて嬉しいよ・・でも何かあったら何時でも相談してよ・・?・・」

「・・分かりました・・ありがとうございます・・」

「・・じゃあ、食べちゃいましょう・・冷めちゃうからね・・」

・・それからはライトビアも追加して、食べながら飲みながらで他愛の無い話を続ける・・本当にしっかりとした味わいで、充分に満足のできる夕食だ・・。

・・大体食べ終わってライトビアを少しずつ飲みながらフィオンが訊いてくる・・。

「・・アドルさん・・明日の夜は、またここに皆で集まりますよね・・?・・」

「・・そう・・私から報告して、その事で皆で討議します・・その後は全員で色々と出し合って、話し合いをします・・具体的には明日、皆が集まってから話しますよ・・余計な予断は、させたくないからね・・」

「・・分かりました・・ご馳走様でした・・今回は、結構上手く出来ました・・アドルさんに喜んで貰えて好かったです・・」

「・・こちらこそ、ありがとう・・これ程のハンバーグを食べたのは、久し振りですよ・・付け合わせもサラダもスープも、充分に味わって堪能しました・・ご馳走様でした・・」

・・そう言って頭を下げ、食器を重ねて立ち上がる・・3人で洗って拭き上げて収納してキッチンの清掃も終えてから、またリビングに戻る・・。

「・・口直しと言うか、仕上げにモルトをワンショット、付き合って貰えるかな・・?・・取って置きにしている一本でね・・これは艦にも持ち込もうと思っているんだ・・」

「・・頂きます・・」  「・・お願いします・・」

・・キッチンに入って35年物ヴィンテージモルトのボトルと、ショットグラスを3つ持って戻る・・ワンショットずつ注いでボトルを置き、右手でグラスを掲げる・・。

「・・では!・・」一息で飲み干してグラスを置く・・。

「・・!・美味しいです・!・ストレートウィスキーを飲むのはかなり抵抗があって、なかなか美味しくは飲めなかったんですが・・これは殆ど抵抗なくスッと入りますね・・しかも、甘味さえ感じられるようなマイルドさです・・」

「・・ありがとう・・モルトウィスキーも35年のヴィンテージになると、甘味さえ感じられる程のマイルドさになるからね・・今日は来てくれて、本当にありがとう・・それじゃあ、タクシーを呼ぶね・・?・・」

「・・携帯端末のアプリからタクシーを呼び、ビットカードをセタッチさせてフィオンの口座にここに来るまでの運賃を振り込む・・帰りの運賃もビットカードから支払い、最後に握手を交わしながら2人の右頬にキスをして玄関から送り出した・・私も玄関先に出て、走り去るタクシーを確認してから中に戻る・・今日もなかなかに動きのある1日だった・・明日はトップ会談もあるし、夜にはまたここに全スタッフが集まる・・早く寝もう・・タンクベッドをここにも設置して貰おうかな・・」

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