『星屑の狭間で』

トーマス・ライカー

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・・・『始動』・・・

ナイト・プール 4

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・・それからは、エマとエドナが持ち込んだ防水携帯端末を使い、一人か二人か三人でプールサイドを歩いたりポージングしたり、水から上がったり跳び込んだりしている処を、動画や静止画像で撮影した・・。

「・・後で動画も静止画も、俺の端末に送ってな・・!?・・」

「・・観ながら何をするんですか・・?!・・」

・・カリーナが笑いながらからかう・・。

「・・君の想像通りだと思うよ(笑)・・」

「・・そんな事しなくても、呼べば何時でも行きますよ・・?・・」

・・そう言いながら、アリシアが寄り添って来る・・。

「・・ああ・・その時には、頼むよ・・」

・・私も言いながら彼女を抱き寄せてキスを交わした・・。

「・・あら・・その時って・・何時なんですか・・艦長・・?・・」

・・ハンナ・ウェアーが私の右に来て、左腕を右腕に絡めて訊く・・。

「・・ウチの秘書と約束したんだ・・出航して3ヶ月しても俺達が無事だったら・・関係を持つって・・君も・・3ヶ月後くらいで好ければ・・どうだい・・?・・」

・・聴いて顔を真っ赤にさせたハンナの肩を右腕で抱いて、彼女の左耳朶をしゃぶる・・視線の先でリサ・ミルズが顔を真っ赤にさせて跳び込むのが観えた・・。

「・・あ・・は・・あの・・私・・も・・お願い・・します・・」

「・・僕のこの反応は、君が作った僕の心理動向データベースには、まだ無いね・・最後の見直しが必要だな・・?・・」

「・・あ・・はい・・ア・・ハ・・い・・じわるですよ・・艦長・・」

・・不意にシエナ・ミュラーが左側から私を自分に向けて、深いキスをした・・15秒で顔を離して両手で私の顔を優しく挟む・・。

「・・駄目ですよ、艦長・・12才の女の子に意地悪しちゃ・・どうしたんですか・・?・・急に性格、変わりました・・?・・」

「・・シエナ・・出航して3ヶ月間無事だったら、そのくらいの時期から・・君達と関係を持ち始めても好い・・密かに通達して・・希望者を募ってくれ・・それと・・もうこれから君達には・・素で接すると決めた・・」

「・・分かり・・ました・・」

「・・シエナ・・そう言えば君のプロポーションはアリソンによく似ているな・・どおりでな・・」

・・そう言って右手で副長の左胸を触ろうとしたが、手が触れる寸前に彼女は小さく声を挙げて、小さく飛び跳ねると、顔を真っ赤にして1mは跳び退った・・。

「・・ハッハ・・どうやら君も12才だな・・よし!・もう少し泳ぐか・・誰か、競争しないか・・?!・・」

「・・は~い・!・お願いしま~す・!・・」

・・エマ・ラトナーが右手を挙げ、携帯端末をカリーナに渡して付いて来る・・。

「・・100mで好いな・?!・・」

「・・大丈夫ですか~?・・」

「・・世界のトップレーサーと勝負できるんだ・・100m以下じゃ勿体ないだろ・?!・・誰か、合図を頼む・!・・」

・・スタートデッキに上がる前に、もう一度一通り簡単に身体を解して呼吸を整える・・デッキに上がって6人に向けて手を振り、スタート姿勢を採る・・。

「・・レディ!・・3・・2・・1・・GO!!・・」

・・アリシアのスタートコールで、2人は同時にデッキを蹴る・・スタート姿勢の時から、エドナとカリーナは端末をこちらに向けて、動画の撮影に入っていた・・。

・・スタートは高さよりも速さだ・・ほぼ同時に着水した私達は、思い切り強いドルフィンキックを続けて、暫く潜行する・・浮上して最初の呼吸・・タッチして最初のターン・・クロールで水を蹴って横目で彼女を観る・・ほぼ同列!速い!・・フォームを小さくして水の抵抗を抑える・・足の蹴りは小刻みで強く速く・・息継ぎしてタッチ、2度目のターン・・ターンキックで身体を伸ばし、5秒潜行して浮上・・もう隣は観ない・・思い切り吸い込んでタッチ、全力で3度目のターンキック・・ドルフィンキックで7秒潜行・・ラストスパート!!・・タッチして立ち上ると、同時にエマが私を抱いてキスして来た・・(負けたな)・・そう思いながら私も彼女を抱き締めて30秒深く求め合う・・顔を離しても頸や鎖骨を舐め回した・・。

「・・エマ・・ジェットで飛ぶのは・・?・・」

「・・ハァ・・明日です・・」

「・・機体の整備は・・?・・」

「・・今日、リーアがやってくれています・・」

「・・そうか・・新記録を出せ・!・・」

「・・了解・!・・」

・・ようやく身体を離して皆を見遣ると、まだ撮影している・・笑顔で手を振って水から上がる・・。

「・・ああ・・リゾットを食ってなかったら、今のレースは出来なかった・・久し振りに全力で泳いでトップレーサーと勝負できた・・気持ち好いな・・」

「・・アドルさん、最高でした!・最高に素敵でセクシーでした!・・」

・・エドナが端末を持ったまま、興奮気味に私に抱き付いてキスして来る・・私も彼女を抱き締めて深く求め合う・・20秒で顔を離して両頬にもキスした・・。

「・・今の競争・・何だか映画のラストシーンみたいでグッとくるわね・・?・・」

・・と、シエナ・ミュラー・・。

「・・そうだね・・あれだけ泳げるエマが羨ましいよ・・」

・・と、ハンナ・ウェアーが応える・・。

・・サイドチェアーに腰を降ろしてタオルを肩に掛ける・・リサ・ミルズがグラスに冷水を汲んで来てくれる・・立ち上がって受け取ってから、チュッと口を吸い合う・・また腰を降ろして口を付ける・・ありがたい・・一息で半分飲んだ・・。

「・・やっぱり流石は秘書さんだよね・・ああ言う事が普通に自然に出来るのがすごいよね・・」

・・と、エドナ・ラティスが感嘆して言う・・。

「・・ウチのメンバーで艦長に近いのは、シエナとハンナだけど・・2人ともアドルさんの前じゃ、12才の女の子だからね・・(笑)・・」

・・と、エマ・ラトナーが苦笑する・・。

「・・私なんか、まだ奥様の足元にも及びません・・アドルさんとは別の意味で凄く尊敬していますし、またお会いしたいですけれども、お会いするのが本当に怖いです・・」

「・・リサさんでさえそう思うんだから、私達なんかはまだまだだよね・・」

・・と、ハンナ・ウェアーが自嘲気味に言った・・。

「・・ああ・!、俺はもう運動としては充分だよ・・君達はどうだい・・?・・まだ泳ぎ足りないなら、俺はここで待っているから・・泳いでも好いし、遊んでも好いよ・・?・・」

「・・アドルさん・・私達がやりたかったのは、アドルさんと水遊びしながらキスしたりイチャイチャする事だったんです・・お陰様で結構、望みは満たされました・・ありがとうございました・・」

「・・そう・・?・・それじゃ、おいで・カリーナ・・?・・」

・・そう言ってくれた、カリーナ・ソリンスキーを呼び寄せる・・右隣に座らせて同じタオルを肩に掛けてやり、顎の先を引いてこちらを向かせると深いキスを30秒ほど交わす・・アリシア・シャニーンも左隣に座って来たので、同じように30秒間のディープキスを交わした・・。

「・・皆、愛しているよ・・それじゃ、今日はこれで終わりにして、風呂に入って上がろうか・・?・・お疲れさんだったね・・」

「・・今夜は、こちらに泊りますか・・?・・」

・・と、リサさんが訊く・・。

「・・いや、帰るよ・・まだそんなに晩い時間でもないし・・気持ちを切り換えて寝た方が好いからね・・」

「・・分かりました・・」

「・・それじゃ、みんな!・お風呂に入って帰ろう・!・・お疲れさん・!・・」

・・そう言って立ち上がると、皆に手を振り、投げキッスも振る舞って歩き出す・・皆も後からそぞろに付いて来る気配だったが・・私はそのまま男性用の浴場に入る・・色々様々なタイプの浴槽があったが・・スイムスーツを脱いだ私は、比較的にゆったりと入れる広めの浴槽を選んで浸かり、温まると普通に身体を洗って流し、もう一度温まってから上がった・・サウナには入らなかった・・これ以上体力を消耗したくなかった・・身体を拭いて服を着て、入る前にリゾットを食べたカフェでアイスコーヒーを飲みながら一服点けて座っていると、皆もカフェに入って来て思い思いに飲み物を注文し、私の周りに座った・・。

「・・副長、次のナイト・プールは開幕してからだね・・大体、月に一回くらいの頻度にしようか・・?・・」

「・・そうですね・・私もそのくらいが好いと思います・・」

「・・リサさんを送ってくれるのは・・?・・」

「・・あ、はい・!・・帰りは私が送ります・・」

・・と、エマ・ラトナーが手を挙げる・・。

「・・そうか・・宜しく頼むよ・・今日はみんな、遊んでくれてありがとう・・好い気分転換にも、良い思い出にも、好い形での自己解放も出来たよ・・また一段と『ディファイアント』を強く出来たような気もするよ・・本当にありがとうね・・」

「・・アドルさん・・私達の方こそ、ですよ・・」と、シエナ・ミュラー・・。

「・・そうですよ・・アドルさんのおかげで、ここまで人生が素晴らしく変わりました・・」

・・と、リサ・ミルズ・・。

「・・私達は・・これからもずっとアドルさんに付いて行きます・・!・・」

・・と、エマ・ラトナーが言い、皆も頷く・・。

「・・皆、本当にありがとう・・これ以上は言葉もない・・気を付けて帰って・・早く寝んでくれ・・お疲れ様・・」

・・立ち上がってそう言うと私は頭を下げて、今日の別れを皆に告げた・・。

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