『星屑の狭間で』

トーマス・ライカー

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・・・『集結』・・・

激励壮行会 1

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食器の洗浄・拭き上げ・収納・キッチンの清掃まで、30分程度で終わる・・。

「・・皆さん、本当にありがとう・・わざわざ来てくれたのにね・・じゃあタクシーを呼んでから精算しますね・・?・・」

「・・アドルさん・・帰る前にお願いを聞いて頂けますか・・?・・」

「・・要望には可能な限り応えますよ、シエナ副長・・」

「・・あ、あの・・アドルさん・・私達は全員で話し合いました・・その・・これまでの、アドルさんとの交流と言うか交際について・・それで・・アドルさんと・・キスした人はいますが・・まだキスしていない人もいます・・アドルさん・・このままで開幕を迎えても・・私達全員が『ディファイアント』のクルーとして・・意識や気持ちや感情や・・その他の様々な側面に於いても・・一致して統一した姿勢にはなれないとの結論に達しました・・それで・・」

「・・シエナ副長・・?・・」

「・・はい・・」

「・・それは本当にクルー全員の統一見解なのですか・・?・・」

「・・はい、それは間違いなく・・」

「・・分かりました・・では改めて全員に通知して下さい・・私の終業後であれば、ここにはいつ来ても構いません・・事前に連絡を貰えるなら、何処かで待ち合わせるのも吝かではありません・・但し、荒天の夜に逢うのは禁止します・・荒天でなければ、逢えてから対応します・・但し寝室には入りません・・強調して下さい・・寝室には入りません・・それで好ければ、私は可能な限り対応します・・」

「・・分かりました・・そのまま全員に伝えます・・」

「・・結構・・では、タクシーを呼びます・・」

そう言って携帯端末を取り出し、タクシーを2台呼んで運賃を支払い、その後シエナ・ミュラーの口座に、ここに来るまでの運賃と食料品の購入費用をビットカードから振り込んだ・・。

「・・アドルさん・・ハルとリーアとエドナとアリシアが来ていますので・・対応をお願いします・・」

ハンナ・ウェアーが私の眼の前にまで歩み寄って来て言う・・。

「・・4人ですか・・?・・まあその方が、1人に対しての対応がエスカレートする心配も無いでしょうから、良いかも知れませんね・・じゃあ、私は自室に居ますので・・順番が決まったらノックして下さい・・」

そう言って席を立ち、自室に入って椅子に座る・・30秒程で最初のノックが響く・・。

ハル・ハートリーさんは、本当に恥ずかしそうに入って来る・・私は立ち上がって彼女の両手を取り、そのまま向かい合う・・。

「・・ハルさんのご家族とウチの家族とで、家族ぐるみのお付き合いが出来ればと思っています・・」

「・・ありがとうございます・・」

「・・ウチの娘とハルさんのお子さん達は、仲良く出来るでしょうか・・?・・」

「・・お嬢さんは素晴らしい娘さんですから・・」

「・・同僚のリサさんが、貴女は女優なんて辞めて、弁護士一本に絞った方がよっぽど世の為・人の為だと言っていましたよ・・」

「・・そう考えた事も一度や二度ではありませんでしたが・・演じる仕事も好きなもので・・」

「・・別に決めなくても良いと思いますよ・・ハルさんは両方に高い適性を持つ人ですから・・」

「・・ありがとうございます・・」

「・・それで・・どうしますか・・?・・キスしたと言う事にして、しないでおきましょうか・・?・・」

「・・いいえ・・あの時にも申し上げましたが・・今の私はあの時より、もっと強くお慕い申し上げています・・キスして下さい・・もう我慢出来そうに・・!・・」

私はそれ以上言わせないように、彼女の唇を右手の人差し指で押さえた・・。

驚いた彼女と、見詰め合いながら抱き合って30秒・・そのまま接吻に入って30秒を過ごして、顔を離した・・。

すごく顔を赤くして、足元が覚束なかったが、何とか部屋から出た・・。

次に入って来たのはリーア・ミスタンテさんだったが・・彼女とは言葉を交わさなかった・・お互いに腕を取り合って、40秒見詰め合い・・40秒接吻した・・お互いに強く求め合う接吻だった・・惹き込まれそうだった・・座っていたら危なかった・・。

次はエドナさんじゃないかなと思っていたら、果たしてその通りになった・・見詰め合いながら髪を触っている彼女の両肩に手を置いて言う・・。

「・・君の髪は長さも色も、このままで良いんだよ・・」

ぐっと涙ぐむ彼女を抱き締めて、唇を重ねた・・そんなに強く求める接吻ではないが、気持ちは充分に伝わる・・30秒程でお互いに離れる・・。

マズイな・・もう保ちそうにない・・後1人残っているが・・しかも最後の1人は・・。

最後に入って来たアリシア・シャニーンは、直ぐに私に身体を凭せ掛けて来た・・。

「・・アリシア・・娘と同じ名前の君にキスするなんて・・」

「・・お嬢さんの友達に、惚れられたと思って下さい・・愛しています・・アドルさん・・」

娘を愛おしむように彼女を抱く・・彼女の顔を左胸で受けてハグし、頭と背中を・・彼女の心を癒すように擦りながら短いキスを繰り返す・・彼女が咽び泣き始めたので、キスは止めて顔を胸で受け・・彼女の涙を部屋着に吸わせる・・彼女の呼吸が落ち着いて緩やかになった処で、胸から顔を離し、まだ濡れている頬に口を付けて涙を吸い取る・・笑顔が戻った処で身体を離す・・。

「・・じゃあ、行こうか・・?・・そろそろタクシーが来るよ・・」

一緒に自室から出て、皆の居るダイニングルームに戻る・・。

「・・お疲れ様でした・・本当にありがとうございました、アドルさん・・大丈夫ですか・・?・・」

と、シエナ・ミュラーが心配そうに訊いてくる・・。

「・・うん・・惹き込まれそうになったけどね・・愚問だろうとは思うけど・・演技のキスとは、全然違うんだろうね・・?・・」

「・・それは勿論、違いますよ・・」

と、エマ・ラトナーが当然だろうと言うような口調で言う・・。

「・・シエナ副長・・もう一つ、全員に通知して下さい・・全員への最初のキスについては対応しますが、その後は出来るだけ我慢するようにと・・我慢出来なくなりそうになったら・・カウンセラーと面談するようにと・・ハンナ・ウェアーカウンセラー・・貴女もクルーの様子・状態を注視しながら、何かに気が付いたら声を掛けて下さい・・そしてカウンセリングの要請には直ぐに対応して下さい・・」

「・・了解しました・・」

「・・分かりました・・」

「・・エマさん、ちょっとこちらへ・・」

エマ・ラトナーを促してリビングに入る・・。

「・・どうしたんですか・?・アドルさん・・?・・」

「・・いや、貴女が紹介してくれた車の件ですよ・・」

そう言いながら携帯端末を取り出してエマさんから送られた車3台の資料を呼び出す・・。

「・・価格帯はどれも然程には変わらないので、これをお願いします・・」

そう言って1台の車を指し示す・・。

「・・!・アドルさん・・私はアドルさんならこれを選ぶんじゃないかと思っていました・・3台の中では、これが一番格好良いですよね・・アドルさんにお似合いです・!・・」

「・・ありがとう・・僕もこの3台の中で、自分が乗り回すならこれだと思いました・・じゃあ、これで手続きして貰えますか・・?・・」

「・・分かりました・!・・早速手続きに入ります・・契約の準備が整ったら連絡しますね・・?・・」

「・・宜しくお願いします・・それとさ・・月曜日の夜に、泳ぎに行こうか・・?・・」

「・!?・好いんですか・!?・・」

「・・うん・・君と泳ぎに行きたいよ・・ナイトプールって知らないから、君が知ってる所を教えてくれれば、仕事が終わってからそこに行くよ・・」

「・!・やった!・・分かりました!・ありがとうございます!・後で観て、連絡しますね・・?・・」

「・・頼みます・・明日の壮行会が、終わった後でも良いよ・・」

「・・分かりました・・」

そう言った頃合いでタクシーが着いた・・。

「・・皆、気を付けて帰って下さい・・明日も気を付けて来て下さい・・」

皆、それぞれに礼を言ってくれる・・私は最後にシエナ・ミュラーの左肩に右手を置き、ハンナ・ウェアーの右肩に左手を置いて2人の顔を交互に観ながら笑顔で頷くと、全員を送り出した・・。

走り出して去って行くタクシーのテールランプを見遣ってから部屋に戻る・・。

翌日(2/12・金)・・AM 10:15 本社8階の大会議室 A ・・

私とリサ・ミルズとドリス・ワーナー女史と10階のホール・ディレクターを務めるアラミス・イェルチェンと同じく10階のフロア・マネージャーを務めるサリー・ランド女史を含めて、『ディファイアント』で決定している全クルーが集っている・・。

集合は1階のカフェラウンジで AM 10:00 だったのだが、9:30 には全員が集合したので早々に移動して来た・・。

医療部とバーラウンジで勤務するクルー以外の、全クルーが集合したのは初めてなので、私は副長とカウンセラーとリサさんを伴って、今日初めて逢う事になる一般クルーの1人1人と挨拶を交わし、握手を交わしメディアカードを交換して、1人に対して数分程度懇談していった・・。

懇談にはもっと時間を掛けたかったのだが、激励壮行会の開始時間が迫っていたので、やや駆け足に近いような感覚での挨拶と懇談にならざるを得なかった・・が・・何とか一般クルーの全員と挨拶を交わして話をする事が出来た・・。

それが終ると私は、パティ・シャノンとミーシャ・ハーレイを近くに呼んだ・・。

「・・パティさん、ミーシャさん・・あの時3人で一緒に歌ったけど、全く同じで好いよね・・?・・前奏から最後まで・・?・・」

と、サービスで出されたコーヒーを飲みながら2人に訊く・・。

「・・はい、あの時と全く同じで好いと思います・・」

「・・私もそれで好いと思います・・宜しくお願いします・・」

パティ・シャノンとミーシャ・ハーレイは、同じデザインだが色合いの違うパーティードレスを着ている・・パティはピンクを、ミーシャは紫を基調としたパステルカラーのドレスだ・・。

「・・こちらこそ宜しくね・・それと皆!・1人ずつ自己紹介をして貰いますので、宜しくお願いしますね・!?」

「・・はあ~い!・大丈夫で~す!・・」

『ミーアス・クロス』と『リアン・ビッシュ』が元気に応える・・この8人は、既に歌う時に着る衣装に着換えている・・聞けばデビュー曲と、最新リリース曲を歌唱する際には、衣装を換えるそうだ

(・・こっちは結構緊張してるのに、良い元気だな・・いや、同じように緊張してるけど、そうは見せない演技力の高さ・・である可能性が高いかな・・)

そんな事を考えていると、ドアが開いてハーマン・パーカー常務がジェア・インザー営業本部次長と、エリツク・カンデルファーストセクション・チーフディレクターを引き連れて入室した・・。

「・・『ディファイアント』の皆様、お早うございます!・・弊社においで頂きまして、本当にありがとうございます・・メインスタッフの皆様とは先日にお会い致しましたが、お元気そうで何よりと思います・・初めてお会いする皆様に於かれましては、初めましてと申し上げます・・弊社の役員でもあり、本日の激励壮行会に於いては実行委員長と司会を兼任させて頂きます・・ハーマン・パーカーです・・どうぞ宜しく願い致します・・先ず紹介しましょう・・こちらが、弊社営業本部にて私を補佐してくれている、ミスター・ジェア・インザー!・・そしてこちらが同じ営業本部にて、ファーストセクション・チーフディレクターを務めて貰っている、ミスター・エリック・カンデルです・・共々に、どうぞ宜しくお願い致します・・それでは皆さん、激励壮行会の開幕までもうあまり時間もございませんので早速ではありますが、本社最上階にあります最重要金庫室にこれからご案内致します・・どうぞ皆さんが貸与されておられます、3種類のゲームアイテムを携えて頂きまして私共に続いてご同道をお願い致します・・」

そう笑顔で言い終えると、3人揃って踵を反す・・ドリス・ワーナー女史がその直後に続き、私とリサさんとシエナさんがその後に続いて、アラミス・イェルチェンとサリー・ランド女史の2人だけを残して『ディファイアント』の全クルーが後に続いた・・。

6番リフトだけでは確実に定員オーバーになるので4番リフトも併用して分かれて乗り込み、最上階を目指す・・。

最重要金庫室は最上階の4割ほどを占有する・・金庫室の前に立った常務はタッチパネルに触れて4種類のパスワードとパスコードを入力し・・両手の掌紋をスキャンさせ、左眼の網膜スキャンも行った上で、出て来たマイクに口答で最後のパスワードを言う・・。

すると奥の準備室から中型のコンテナを載せたロボットキャニスターが現れて私達の眼の前まで来て停まった・・。

「・・こちらのコンテナに皆さんのアイテムを収納します・・それでは、どうぞ・・」

エリック・カンデルがそう言いながら歩み寄り、自らコンテナのカバーを開いた・・。

一番近くに居た私が先に3種アイテムをコンテナの中に入れて後ろに退がる・・続いてシエナ・ミュラーから始まって、クルーが次々と自分の3種アイテムをコンテナに収納していき、最後にハル・ハートリーが自分のアイテムをコンテナに入れた・・。

「・・宜しいですか・・?・・」 と、次にジェア・インザーが歩み寄りながら訊く・・。

「・・結構です・・宜しくお願いします・・」 と、そう応えて彼を観ながら頷く・・。

「・・では、閉鎖します・・」 と、そう言ってコンテナカバーを閉じるとロックを掛ける・・。

「・・さて、アドルさん・・後2点だけご協力をお願いします・・この金庫室のAIに、貴方の両手の掌紋と左眼の網膜パターンを最終ロックとして登録しますので・・こちらへお願いします・・」

そう常務に促されてパネルステーションの前に立ち、両掌紋と左眼の網膜パターンをスキャンさせて登録する・・。

すると金庫室のロックが解除されて大きいハッチが開き始め、ロボットキャニスターがコンテナを載せたまま動き出してハッチの中に消えると、ハッチが閉鎖に向けて動き始めて再びロックが施錠された・・。

「・・お疲れ様でした・・アドルさん・・ご協力、ありがとうございます・・これで皆さんの大事な3種アイテムは、ゲーム大会開幕の当日まで安全・確実に保管されます・・ロックを解除する為には、またアドルさんご自身に来て頂かなければなりませんが、その際にはご足労ですけれども宜しくお願い致します・・」

そう言って常務は私に頭を下げる・・。

「・・いいえ、こちらこそ宜しくお願い致します・・」

「・・はい・・ではそろそろ、10階・大ホールの控室にご案内致しましょう・・8階の会議室に置いてあるお荷物は、実行委員会のスタッフがそれぞれの控室までお持ち致します・・」

また、常務に促されて10階まで降りる・・こちらの人数が多いので10部屋ある控室の7部屋までを使わせて貰い、分かれて入る・・。

私はリサさん、シエナさん、ハンナさんと一緒に大ホールのステージに立って、大ホールの内部を見渡した・・。

20人ぐらいのスタッフが壮行会の準備をしていたが、もう粗方終わりそうに観える・・私達が座る席の用意も終わっているようだ・・。

「・・この前ここで、記者会見をしたね・・」

「・・ええ・・その時の動画を観ました・・凄い人数が集まっていましたね・・」

と、ハンナ・ウェアーも見渡しながら言う・・。

大ホールの最後部に設えられた報道記者席らしい場所で、カメラの準備をしていた人達が私達に気付いて歩み寄って来ようとしたが、本社広報部の人達らしいスタッフに呼び止められて話をし始めたので、私達は控室に戻った・・。

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