『星屑の狭間で』

トーマス・ライカー

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・・・『集結』・・・

面会と懇談・・

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翌日(2/10・水)昼食休憩前、20分・・私とリサ・ミルズとドリス・ワーナー女史が、1階・カフェラウンジの入口脇に並んで待っている・・本社警備棟の来客受付にて手続きを済ませ、PIDメディアカードを胸に・・本社来客ゲストパスを首から下げた我が『ディファイアント』メインスタッフの全員が、私の視界に入って歩み寄って来る・・全員微妙にデザインは違うがパンツスーツでネクタイを細く締め、男装麗人のように見事に着こなしている・・全員が入口に着くとワーナー女史が歩み出て深く一礼した・・。

「・・『ディファイアント』メインスタッフの皆様・・こんにちは、初めまして・・ようこそ弊社においで頂きました・・心より歓迎を申し上げます・・私は秘書課のドリス・ワーナーと申します・・どうぞ、宜しくお願い致します・・それではこれより懇談会場へご案内致しますので、ご一緒においで下さい・・」

ワーナー女史の挨拶を受け、シエナさんが歩み出て返礼する。

「・・ご丁寧なお出迎えをありがとうございます・・『ディファイアント』で副長を務めます、シエナ・ミュラーです・・本日は宜しくお願い致します・・」

返礼を受けて微笑みを返したワーナー女史が、踵を反して歩き出す・・見事なロングヘアがふわっと拡がり、彼女だけの香りを残す・・直ぐ後にシエナさんとリサさんが続き、他のメンバーを先に行かせた私はリーアさんと並んで後ろに続く・・歩きながらリーアさんがカードの束を私に手渡して囁いた・・。

「・・凄い美人ですね・・リサさんの上司の方ですか・・?・・」

「・・そうですね・・」

そう応えてカードを観ると全員のメディアカードだ・・一つ頷いて内ポケットに仕舞う・・。

6番リフトは最も大きいリフトで、人間だけなら50人は乗れる・・9階に着くとウェイターの出迎えを受けてそのままスカイラウンジに通される・・ラウンジでは最も大きい円卓が中央に設えられて既に実行委員会メンバー11名が着席していたが、私達の入室を観て全員が立ち上がった・・。

「・・『ディファイアント』メインスタッフの皆さん・・本日はようこそ弊社においで頂きました・・ご来社を心より歓迎させて頂きます・・私は弊社役員と激励壮行会実行委員長を兼任しております、ハーマン・パーカーです・・先ずどうぞご着席下さい・・」

促されて私は左端に座り、その右にリサさん・・その右に副長が座り、後は三々五々に着席した・・。

「・・先にこちらの実行委員を紹介しましょう・・先ず副実行委員長を務めます・・エスター・アーヴ女史・・弊社総務部長です・・次に弊社営業本部にてファーストセクション・チーフディレクターを務める、ミスター、エリック・カンデル・・更に営業本部で私の補佐を務めてくれている、次長のミスター、ジェア・インザー・・続きまして総務副部長を務めます、ゲネル・ヴィット女史・・その隣が人事部のミスター、ザーヒル・タニーン・・更に営業本部からミスター、イスマイル・ガスパール・・そして、宣伝部からミスター、アグシン・メーディエフ・・続いて広報部からミスター、マスード・カーン・・更に先程皆さんをお迎えにあがりました、秘書課渉外主任のドリス・ワーナー女史・・後の2人は福利厚生部、相互共済課からジーン・ヴィッツ女史と、メッツェン・ウーハー女史の・・計12名です・・精一杯頑張って務めますので・・宜しくお願い致します・・」

パーカー常務がメンバーを1人ずつ紹介する度毎に、全員が深く一礼して着席していく・・最後の1人を紹介して言葉を切ると、常務は私の前にカードホルダーを一つ置いて着席した・・私はそれを副長の前に置いて立ち上がると、続けてこちら側の全員も立ち上がる・・副長を見遣ると、柔らかく微笑んで私に頷く・・。

「・・ご丁寧なご紹介をありがとうございます・・改めまして、『ディファイアント』の激励壮行会に全クルーの参加を許可して頂き、また、それに先立ち激励壮行会実行委員の皆さんと、『ディファイアント』メインスタッフとの面会と懇談がこのような形で実現しました事に、心からの感謝を申し上げます・・それでは、我が『ディファイアント』のメインスタッフが、それぞれ自己紹介致します・・」

「・・初めまして、・・『ディファイアント』の副長としてアドル・エルク艦長を補佐し、司令部を運用します・・シエナ・ミュラーです・・宜しくお願い致します・・」

「・・初めまして、・・『ディファイアント』の作戦参謀として司令部に対し、戦略的・戦術的な助言を行います・・ハル・ハートリーです・・宜しくお願い致します・・」

「・・初めまして、・・『ディファイアント』のカウンセラーとして司令部に対し、クルーのストレス状況・士気・心理動向について報告と助言を行います・・ハンナ・ウェアーです・・宜しくお願い致します・・」

「・・初めまして、・・『ディファイアント』の機関部長として全推進機関とエネルギー・パワーアセンブリの全般を統轄します・・リーア・ミスタンテです・・宜しくお願い致します・・」

「・・初めまして、・・『ディファイアント』の天体観測室長として観測ラボと分析システムを統轄し、精密な観測と分析により得たデータを司令部に報告します・・パティ・シャノンです・・宜しくお願い致します・・」

「・・初めまして、・・『ディファイアント』のメインセンサーオペレーターとして総てのセンサーシステムを統轄し、ゲームフィールド内の総てを正確に把握して的確に報告します・・カリーナ・ソリンスキーです・・宜しくお願い致します・・」

「・・初めまして、・・『ディファイアント』のメインパイロットとして艦の操舵・操縦系を統轄し、指示通りの操艦を最速で行います・・エマ・ラトナーです・・宜しくお願い致します・・」

「・・初めまして、・・『ディファイアント』の砲術長として艦の全砲撃部門を統轄し、指示された目標を正確・的確・最速で狙撃します・・エドナ・ラティスです・・宜しくお願い致します・・」

「・・初めまして、・・『ディファイアント』のメイン・ミサイルコントローラーとしてミサイルコントロール・オペレート部門を統轄し、指示通りのセット・プログラム・発射・狙撃を最速で行います・・アリシア・シャニーンです・・宜しくお願い致します・・」

「・・初めまして、・・『ディファイアント』の補給支援部長として消費物資・物品の残量監視・把握と、過不足の無い補給支援体制を統轄して運用します・・マレット・フェントンです・・宜しくお願い致します・・」

「・・初めまして、・・『ディファイアント』の保安部長として全保安システムと体制を統轄し、適確に運用して高い安全性を確保します・・フィオナ・コアーです・・宜しくお願い致します・・」

「・・初めまして、・・『ディファイアント』の生活環境支援部長として艦内での生活環境保持システムと、生活環境支援体制を統轄し、クルー1人1人の生活環境の保持・改善を支援します・・ミーシャ・ハーレイです・・宜しくお願い致します・・」

順番に1人1人が自己紹介をし、一礼して着席していく・・ミーシャ・ハーレイが自己紹介し、一礼して着席すると私とリサさんだけが立っていた・・。

「・・以上が私が選抜して任命した『ディファイアント』のメインスタッフです・・まだ医療部長とバーラウンジのマスター及び厨房メインシェフのポストが未定ですが、私にはこれらのポストに於ける任命権がありませんので、今回の激励壮行会には間に合いません・・と言う訳で、本日は私を含む13名でこの懇談会に参加します・・宜しくお願いします・・」

そう言って私は、リーアさんに渡されていた全員のメディアカードの束を内ポケットから取り出すと、常務の前に置いてリサさんと一緒に着席した・・。

代わって再び常務が起立する・・。

「・・アドル・エルクさん・・皆さんの素晴らしい自己紹介をありがとうございます・・自己紹介を伺っただけで、貴方が選抜されたこの皆さんが素晴らしい人材であることが分かります・・それでは、堅い挨拶はこれくらいにしまして昼食を頂きましょう・・お腹も空いておりますし、食べながら和やかに懇談とさせて頂きます・・」

そう言って私が置いたメディアカードの束を取り上げるとエスター・アーヴ総務部長に手渡し、ドリス・ワーナー女史を見遣る・・ワーナー女史は左手を挙げてウェイターに合図を送った・・。

最初に運ばれて来たのは、サラダに薄切り肉のソテーを数枚添えた前菜とコーンスープだ・・。

「・・この懇談会が終りましたら、本社の中をご案内致しましょう・・まだこのスカイラウンジしかご覧になって頂いておりませんが、印象は如何ですか・・?・・」

ハーマン・パーカー常務が、前菜とスープを少しずつ交互に摂りながら訊く・・。

「・・流石にクライトン国際総合商社の本社ですね・・外観を観てもここを観ても、機能的で美しいデザインだなと思いました・・後でご案内して頂くのが楽しみです・・」

と、シエナ・ミュラーも少しずつ食べながらそう応じる・・。

「・・アドル・エルク氏は営業本部の中でも非常に有能且つ優秀な社員でして、戦力として非常に期待されておりますし、将来も嘱望されております・・皆さんから観て氏は、どのような人物として映るのでしょうか・・?・・」

と、エリック・カンデルも食べながら訊く・・。

「・・私達『ディファイアント』の全クルーにとって、アドル・エルク氏は唯一無二の指揮官です・・私達を充全に率いる事が出来るのは、氏以外には在り得ないと考えております・・」

と、ハンナ・ウェアーが応じる・・。

「・・副長のシエナ・ミュラーさんにお訊ね致します・・率直な感触で結構なのですが・・『ディファイアント』は、少なくともどの程度までの存続を目標とされているのでしょうか・・?・・」

と、ジェア・インザー次長が訊く・・。

シエナ・ミュラーが私の顔を見遣ったので、私は笑顔で頷いて見せる・・。

「・・少なくともリアリティ・ライブショウの中では、最後まで残る事を目標とするとして、私達は意思統一しております・・その後もゲーム大会は続きますが・・ゲーム大会全体の中でどこまで存続できるかについては、分かりません・・」

「・・それはとても心強いお話ですね・・我々としてもサポートのし甲斐があると言うものです・・」

そう応えて、ジェア・インザー氏は冷水のグラスを掲げる・・。

それを観たハーマン・パーカー常務が、急に思い付いたように立ち上がる・・。

「・・皆さん・・昼食懇談会と言う事で、皆さんにアルコール飲料を供するのは控えておりましたが・・私達の記念すべき出会いと懇談を、1回の乾杯も無しに終わらせてしまうのは、非常に心苦しく思います・・ですので、最初の一杯だけお付き合いを願えないものでしょうか・・?・・」

「・・まあ別に、一杯だけでしたら問題は無いでしょう・・」

私が鷹揚に応じると直ぐにウェイターに合図して、ライトビアが用意される・・。

エリック・カンデルが立ち上がって、ビアグラスを掲げる・・。

続けて全員が立ち上がり、グラスを掲げる・・。

「・・それでは皆さん・・私達の記念すべき出会いと、関係構築の開始を祝しまして、乾杯の音頭を取らせて頂きます・・我々の充全なるサポートの基に・・『ディファイアント』が最後まで華々しく活躍される事を祈念致しまして・・乾杯‼︎・・」

「・乾杯‼︎・・」

全員がグラスを掲げて口を付け、着席する・・喉が渇いていた事もあって、私は一口で飲み干した・・。
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