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・・・『集結』・・・
・・屋上のふたり・・2
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「・・リサさんには何でもお見通しのようだね・・確かに、それを言う積もりもあったよ・・他には、君の作った弁当がまた食べたいな、と言う考えと・・君と・・2人きりになりたい、と言う考えも・・あった・・」
「・・アドルさん・・」
リサさんの顔がみるみる紅潮していく・・。
「・・正直に言っただけさ・・僕も普通の男だからね・・でもこれは、妻を愛していないとか、君を愛しているとか、誰かと浮気したいとか、君と浮気したいとか・・どれも当たらない・・でも君とはもう何回もキスしているし・・これからもするだろう・・かな・・?・・するかも知れない・・本当はあまり良くないんだろうけれどもね・・でも僕にとっての君の信頼度は・・家族を除けば一番だよ・・だから・・なのかもね・・?・・こんなもんなんだよ・・今の僕と言う人間はね・・・じゃあ、食べようか・・?・・」
彼女は特に返答しなかった・・頬を紅潮させたまま微笑んでランチバックからランチボックスを出してくれる・・。
彼女が作って来てくれたのは、様々な具材を挟んだサンドイッチと若鶏の唐揚げだった・・沢山作って来てくれたのが嬉しい・・そしてそのどれもがとても美味しい・・紙コップのコーヒーはもう飲み干していたので・・彼女のハーブティーを貰って飲みながら食べる・・不意に言いようのない嬉しさと言うのか、感動と言うのかが、込み上げて来て眼に涙が盛り上がる・・右手の甲で左目の目尻を押さえて笑顔を作り・・左手で彼女の右手を取る・・。
「・・アドルさん・・」
彼女の顔がもっと赤くなる・・。
「・・ごめん・・でも一つはっきり分かった・・君との出逢いが無かったら・・ここまで準備が順調に進むと言う事は無かったよ・・」
「・・ありがとうございます・・」
「・・こちらこそだよ・・こちらこそありがとう・・君がいなかったら・・僕はもう準備の段階でつまずいているだろうね・・」
彼女の右手を一瞬だけ強く握って離す・・その後はお互い、食べたり飲んだりに戻る・・もう一つ分かった・・リサさんの顔を観ながら食べれば、もっと美味しい・・ハーブティーの味も、サンドイッチの味によく合う・・もうそろそろお腹一杯かな・?・と思ったところで、携帯端末に通話が着信する・・ヘイデン・ウィッシャー・フロアチーフからだ・・。
「・・アドル・エルク係長・・今、秘書課の人がウチのフロアに来て君を待ってるんだ・・悪いけど、早目に戻ってくれないか・・?・・」
「・・分かりました、直ぐに戻ります・・」
そう言って通話を切ると届いていたメッセージを確認する・・やはり、ハーマン・パーカー常務からのメッセージが入っている・・着信したのは昼休みに入る20分前だった・・出来るだけ早く面談したいとの事だ・・。
「・・ごめん、昼休みに入るちょっと前に、常務から呼び出しのメッセージが入っていたけど、昼休みが終わってから観れば良いやと思ってて、今ウチのフロアに秘書課から迎えの人が来てるって・・」
「・・そうですか、では急いで戻りましょう・・」
紙コップのハーブティーを飲み干してハンカチで口を拭う・・拡げていた物を総てボックスに納めてバッグに仕舞う・・2人でリフトに乗って自分達のオフィスフロアまで降りる途中、心が少し騒めいたが・・彼女との距離を縮めようとはしなかった・・。
オフィスで私達を待っていたのは、秘書課渉外主任のドリス・ワーナー女史だった・・同時にオフィスに入った私達を見遣って表情は変えなかったが、瞳と視線の僅かな動きが怪訝な反応を垣間観せる・・。
「・・アドル・エルク係長・・お迎えにあがりました・・ハーマン・パーカー常務がお待ちです・・ご一緒においで下さい・・」
そう言って踵を反すと歩き始める・・素晴らしくサラサラなストレート・ロングヘアが、彼女だけの香りを拡げる・・返答する間も与えれられずに、後に付いて歩き出す・・役員専用2番リフトのタッチパネルにパスコードを入力してドアを開けると3人で乗り込む・・。
「・・彼女は充分にサポート出来ていますか・・?・・」
と、左肩越しにリサさんを見遣ると、私に訊いた・・。
「・・ええ、充分以上に助けて貰っています・・彼女がいなければ、これ程スムーズに準備を進める事は出来なかったでしょう・・」
と、それだけ応える・・。
リフトから降りた私達は女史に案内されて常務執務室のドアの前に立つ・・人感センサーがチャイムを鳴らし、応答する常務の声がドアを開く・・。
「・・アドルさん・・」
リサさんの顔がみるみる紅潮していく・・。
「・・正直に言っただけさ・・僕も普通の男だからね・・でもこれは、妻を愛していないとか、君を愛しているとか、誰かと浮気したいとか、君と浮気したいとか・・どれも当たらない・・でも君とはもう何回もキスしているし・・これからもするだろう・・かな・・?・・するかも知れない・・本当はあまり良くないんだろうけれどもね・・でも僕にとっての君の信頼度は・・家族を除けば一番だよ・・だから・・なのかもね・・?・・こんなもんなんだよ・・今の僕と言う人間はね・・・じゃあ、食べようか・・?・・」
彼女は特に返答しなかった・・頬を紅潮させたまま微笑んでランチバックからランチボックスを出してくれる・・。
彼女が作って来てくれたのは、様々な具材を挟んだサンドイッチと若鶏の唐揚げだった・・沢山作って来てくれたのが嬉しい・・そしてそのどれもがとても美味しい・・紙コップのコーヒーはもう飲み干していたので・・彼女のハーブティーを貰って飲みながら食べる・・不意に言いようのない嬉しさと言うのか、感動と言うのかが、込み上げて来て眼に涙が盛り上がる・・右手の甲で左目の目尻を押さえて笑顔を作り・・左手で彼女の右手を取る・・。
「・・アドルさん・・」
彼女の顔がもっと赤くなる・・。
「・・ごめん・・でも一つはっきり分かった・・君との出逢いが無かったら・・ここまで準備が順調に進むと言う事は無かったよ・・」
「・・ありがとうございます・・」
「・・こちらこそだよ・・こちらこそありがとう・・君がいなかったら・・僕はもう準備の段階でつまずいているだろうね・・」
彼女の右手を一瞬だけ強く握って離す・・その後はお互い、食べたり飲んだりに戻る・・もう一つ分かった・・リサさんの顔を観ながら食べれば、もっと美味しい・・ハーブティーの味も、サンドイッチの味によく合う・・もうそろそろお腹一杯かな・?・と思ったところで、携帯端末に通話が着信する・・ヘイデン・ウィッシャー・フロアチーフからだ・・。
「・・アドル・エルク係長・・今、秘書課の人がウチのフロアに来て君を待ってるんだ・・悪いけど、早目に戻ってくれないか・・?・・」
「・・分かりました、直ぐに戻ります・・」
そう言って通話を切ると届いていたメッセージを確認する・・やはり、ハーマン・パーカー常務からのメッセージが入っている・・着信したのは昼休みに入る20分前だった・・出来るだけ早く面談したいとの事だ・・。
「・・ごめん、昼休みに入るちょっと前に、常務から呼び出しのメッセージが入っていたけど、昼休みが終わってから観れば良いやと思ってて、今ウチのフロアに秘書課から迎えの人が来てるって・・」
「・・そうですか、では急いで戻りましょう・・」
紙コップのハーブティーを飲み干してハンカチで口を拭う・・拡げていた物を総てボックスに納めてバッグに仕舞う・・2人でリフトに乗って自分達のオフィスフロアまで降りる途中、心が少し騒めいたが・・彼女との距離を縮めようとはしなかった・・。
オフィスで私達を待っていたのは、秘書課渉外主任のドリス・ワーナー女史だった・・同時にオフィスに入った私達を見遣って表情は変えなかったが、瞳と視線の僅かな動きが怪訝な反応を垣間観せる・・。
「・・アドル・エルク係長・・お迎えにあがりました・・ハーマン・パーカー常務がお待ちです・・ご一緒においで下さい・・」
そう言って踵を反すと歩き始める・・素晴らしくサラサラなストレート・ロングヘアが、彼女だけの香りを拡げる・・返答する間も与えれられずに、後に付いて歩き出す・・役員専用2番リフトのタッチパネルにパスコードを入力してドアを開けると3人で乗り込む・・。
「・・彼女は充分にサポート出来ていますか・・?・・」
と、左肩越しにリサさんを見遣ると、私に訊いた・・。
「・・ええ、充分以上に助けて貰っています・・彼女がいなければ、これ程スムーズに準備を進める事は出来なかったでしょう・・」
と、それだけ応える・・。
リフトから降りた私達は女史に案内されて常務執務室のドアの前に立つ・・人感センサーがチャイムを鳴らし、応答する常務の声がドアを開く・・。
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