『…魔力も魔法も関係ない! 必要無い! 俺は舌先三寸で人を動かして、魔王に勝って魔族を滅ぼす! 』

トーマス・ライカー

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魔法使いなんて、要らないよ!

…打合せと準備と…

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 ♯旅籠__はたご__♯に戻った俺達は、先ず愛馬達の世話をして綺麗にしてから、それぞれに動き出した……俺とジングは騎士団の詰め所に出向いて、魔族を観たかどうかも含めてどんな魔物がどれくらい襲って来たのかを訊きに行った。

 デラティフとナヴィドは、♯旅籠__はたご__♯の1階で親父さんにダナルさんと♯人足頭__にんそくがしら__♯も呼んで貰って、注文の品について相談をした……シーソー10基については数が多くて、材料を揃えるのも運び上げるのも難しいと言う話で…6基分の材料と言う事で話が決まる……油を浸み込ませた砂袋については、ひとつの重さを50ゲルドルとして300袋で頼んだ……街道の2ヶ所に仕掛ける罠についても、油や餌も含めて材料の手配……作業の準備・段取り・実際の動きについて話し合い……細部を詰めてまとめ、決めていく。

 サミールは乗合馬車の御者を訪ねて、当日の段取りと準備と実際の行動について話した。

 クヴァンツとエフロンは城代の許を訪れ、魔物退治の計画について話した上で…成功した場合の報奨金についても打ち合わせた。

 レーナは女性の人足2人と一緒に、投石器とサチュレーダーパチンコを作り続けて貰っていた。

 騎士団の詰め所で聞き込んだ話だが……これまでに襲われた5台の乗合馬車の場合……ピケールとゲゴールとゲストールがそれぞれ5匹ほど……護衛のいない乗合馬車ならそんなものか……隊商は6つ襲われている……ピケールとゲゴールとゲストールに、ガブールとラマンガルが3匹から4匹……そんなものか……そして前回は、ふたつの隊商を30人の騎士達で護衛しながら来たが……オッドラスが2匹……ガブールとラマンガルが5匹ずつ……ピケールとゲゴールとゲストールがそれぞれ13匹ほど…だったそうだ……商人達は着の身着のままで何とか連れ帰ったが、荷は総て奪われ……5人の騎士が討ち死に……18人が深手……残りの騎士も傷を負い、討ち死にした5人の遺体も連れ帰れなかった……魔族の姿は観ていないと言う……これだけでは、奴らの全容はまだ観えないな……だがまあ、この作戦で何とかいけるだろう。

 旅籠に帰り着いて、全員が揃う。

「……騎士達から話は聞いたが、奴らが全部で何匹いるのかまでは判らない……魔鳥の目を通して襲う相手の数に応じ、出す魔物の数を決めているんだろう……魔族の姿は観ていない……多分だが……奴らは少しずつ力を蓄えている……いずれは…城攻めを始めるだろう……俺達の猶予は明日1日いっぱいだが……時間を最大限有効に使えば、何とかなるだろう……いつもの事さ……じゃあ…準備に掛かろう……」

 その日の夜は早く寝んで、翌日は日の出前から動き始めた……準備や段取りは昨日の内に決めたから、迷う事はない……重い物…大量に運ぶ物は、俺達の馬も使って運んだ……ありがたいことにダナルさんは人足を30人増やして手配してくれた……それによって思っていたよりも、準備・段取り・工作作業も大幅に捗った。

 総ての準備・段取り・工作作業・人の配置は、日の沈む♯二時__ふたとき__♯前迄には終わり…俺達も旅籠に帰ってきた

「……皆、ご苦労さん……お疲れさん……やれる事はやり切った……後は明日の勝負だけだ……湯浴みして、飯を食ったら…♯得物__えもの__♯の面倒を観て、早く寝よう……俺はちょっと…馬を観て来る……」

「……俺も行くよ……」

 エフロンがそう言って来たので、一緒に馬達の面倒を簡単に観て…少しブラッシングして戻った。

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