オリオンの館~集められた招待客~

翔子

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 プロローグ

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 静かに降る初雪の上に、オリオンの三つの星が光り輝く頃、森の奥深くに聳え立つ怪しげな『HOUSE OF THE ORION』にて『宴』が催された。そこで起きた事件は、想像を絶する程切なく、悲しいものであった。


 この男、土倉勇雄つちくらいさおは、一本の煙草に火をつけ、この小説を残そうとしている。


 唇の端で煙草を咥えながら、万年筆を走らせるその手はとどまることを知らず、一夜にして脱稿した。誤字脱字や差異が無いか、原稿を眺め入っていると思わず目頭が熱くなってくる。

 短くなった煙草を灰皿でもみ消しながら、土倉は慣れた手付きで原稿用紙を閉じ結んだ。兼ねてより雑誌に乗せるコラムや掲載される前のインタビュー原稿のゲラをチェックしたりなどについては詳しい方であった。

 しかし、今宵書き上げた原稿を出版社へ持ち込むことは無い。

 土倉の『備忘録』とも言えようか、そういう類のとして手元に置いておこうと考えている。


 土倉勇雄。元刑事にして探偵である。
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