オリオンの館~集められた招待客~

翔子

文字の大きさ
上 下
13 / 18

 中庭

しおりを挟む
一月二十七日(水) 

四時 ─────── 

 香川が書斎を出た後、土倉たちは対面で話をまとめた。時刻はすでに午前四時をまわり、土倉たちに睡魔が襲い始めていた。

「で? 話してくれよ。お前、堤冷花が怪しいと思ってんのか?」

「全員怪しいさ。だから事情聴取してるんだからな」

「まあ、それもそっか」

 土倉から煙草を一本もらい、美味そうに吸った。

「全員にアリバイが無い……黒田夫妻はお互いを庇い合っている可能性もある。官僚事務次官がこっそり部屋を出てホームレスを殺害できるチャンスだっていくらでもあるし、堤冷花に至っては、あの発狂振りは芝居で、眼鏡の件は嘘だ。何らかの理由があって着用出来なくなったんだろう。香川のやけにピンと張っている姿勢は、執事としてのマナーだけじゃないはずだ。あれは、スポーツをやっているヤツの姿勢だ」

「マジかよ……あの事情聴取で良くそこまで分かったな?」

 重崎が感心しながら煙草を美味そうに吸うのを見て、土倉は重崎の頭を思い切りどついた。

「痛って~!! なんなんだよさっきからよぉ~」

「こんなの素人でも分かるよ。何年刑事やってんだ! それでも警部補か」

 煙をスパスパと吐きながら重崎は両手で頭を押さえ、涙目で土倉を見つめた。

「まだ、誰が犯人かは突き止め切れてない限り安心するにはまだ早い。それにしても、こんなに容疑者が多い事件は初めてだ……」

 煙草にを火をつけながら土倉が言うと、重崎は「そうだよな」と同意しながら叩かれた頭を擦った、

「考えたんだけどよ、俺がこっそり『館』を出て行って、警察を呼びに行くってのはどうだ?」

 頓狂な発言をする重崎に呆れ、再び殴ろうと腕を上げた、

「はぁっ!? ここから高尾駅までどれだけ時間掛かると思ってんだよ! スマホも何処で管理してあんのか分かんねーのに」

 あっけなく畳みかけられた重崎は怯えた子犬の様な顔をした。

 重崎は格闘の才能と瞬発力は抜群だが、ただの筋肉バカで、考えることをしないタイプだ。喧嘩っ早いだけで、忍耐力が無い。よくもまあ警部補になれたものだ、と土倉は首を傾げた。

「そもそも、俺たちはここから一歩も出る事は出来ない。窓はすべてハメゴロシだし、出入口はあの玄関ホールにある扉ただ一つだ。昨日探索した時開けられなかっただろ」

「ま、まあ確かにな……」

 煙草を灰皿でもみ消しながら重崎はこれ以上話さんと言わんばかりにソファに体を預けた。矢継ぎ早に唾を飛ばす土倉の言葉に重崎が小さくなって行くのが見るに堪えなくなり、話題を聴取で得た内容に戻した。

「黒田のじいさん、防弾チョッキまで着込んでいるって事は、殺される覚えがあるって事だな……。黒田が次のターゲットかもしれないな」

 重崎が「ああ」とつぶやくと突然、扉の向こうで物音がした。

「誰だ!」

 土倉がドアの方目掛けて叫ぶと、両開きのドアがゆっくりと開き、松岡美幸が顔を出した。彼女のことをすっかり忘れていた土倉は思わず立ち上がり、駆け寄った。

「松岡さん、すみません……気づかずに……」
 
 ワンピース仕様の寝間着を来た松岡美幸はどこか妖艶さを感じ、土倉はどうにでもしてやろうかと思ってしまった。眠気も相まって探偵としての真剣さを欠いてしまっていた。

「私の事情聴取はよろしいのでしょうか?」

「ああ……待たせてしまってすみません! 松岡さんの聴取は結構です。お部屋に戻って休んでください」

「え? 本当にいいんですか? 一応、容疑者……では……?」

「何を言ってるんですか」

 重崎が小走りで松岡美幸に駆け寄った、

「誰があなたを疑いますか。あなたのような美じn───」

 土倉がすかさず脇腹を小突くと、重崎は身体をくねらせて情けない声を上げた。松岡美幸はそれを見てクスリと笑った。それだけで男二人は天にも昇る気持ちになった。

 松岡美幸を部屋まで送ると、二人も「寝ようか」という話になり、書斎に戻って片付けをし、自室に帰って眠りについた。
 二件もの殺人が行われているのにも関わらず、なぜか眠くもなるし、腹も減った。二人はつくづく人間というものはよく出来たものだと感心した。

────────────────────────────

一月二十七日(水)

八時二十三分  ───────

 珍しくいびきをかきながら眠りこくっている土倉たちを起こしたのは紛れもなく香川であった。若干の苛立ちを覚えながら、返事をし、毎度のごとく重崎を蹴って起こし身支度を整えた。
 大広間に下りるとあからさまに昨朝と違って静寂が広がり陰鬱な空気があった。松岡美幸に挨拶をすると、柔らかな笑みを湛えながら返事をしてくれたことが癒しとなった。

 無言と緊迫の朝食を終えた後、昨日途中で中断した『館』内の探索を再開した。

 昨日の探索で分かったことは、表から捉えた『館』の面構えからは想像もつかないほど広大であるということだ。
 星の観賞会を目的として建てられたこの『館』はやはり、家族と共に過ごすための別荘でもあるということは確かだった。書斎とくらべ、図書館にある多岐にわたる本のジャンル。絵本もあることから小さい子供がいたことになるが、カーテンを閉め切っていても年月の経過からか、絵本の背表紙が白くヤケており、本の製造年代は九〇年で止まっている。当時四、五歳だとして、現在は二十八歳。『館』の住人でその年代の若者は

 十字廊下を真っすぐに進み、右側の一つ目のドアノブを回した。そこはたくさんのパソコンが並ばれた部屋だった。十八㎡ほどの広さに十台のパソコンが部屋中央に三台一列ずつ置かれている。型はMac、Windows、日本製、海外製、と種類が豊富だった。コンピューターが熱を持たないよう部屋は少し肌寒いぐらいに一定の気温で保たれている。
 特に怪しい点は見当たらず、土倉たちはパソコンルームを後にし、隣のドアを開け放った。そこは、温水プール施設だった。天井はガラスなのか透明で施設内に太陽の光りが降り注いでいる。
 さらに、思いがけない人物がリクライニングチェアに座っていた。

「あら、あなたたち」

「黒田夫人」
 
 紺色に水玉柄のハイレッグ水着を着ていた黒田夫人が腕に日焼け止めを塗りながら土倉たちに顔を向けた。年齢の割にはプロポーションが良く、土倉たちは若干引き気味でその姿を目で捉えた。

「冴子でいいわよ。どうなさったのかしら?」

 居心地悪そうに頭を掻きながら、土倉が答えた、

「ちょっと……『館』内の探索を……。冴子夫人こそどうされたんですか」

 「プールに入るためだ」ということは誰の目で見ても分かる。土倉は動揺を隠せなかった。

「探索? 大変ね、探偵さんも刑事さんも。さっき、香川さんが部屋の清掃をしたいからって追い出されちゃったのよ。気晴らしに泳ぎたいって思って、夫とここに来たってわけ」

「そうだったんですね。それにしても、いつも和服姿だったので水着姿は……その、なんというか、美しいですね」

「あら、本当? お世辞でもうれしいわ! ありがとう」

 動揺を解消しようと土倉は思った事を口にした。重崎は意外な元バディの発言に面食らった。すると、プールを掻く水の音が止み、例のダミ声が響いた、

「おい、貴様ら何をやってるんだ! 邪魔だけはするなと言っただろう!」
 
 体型に関わらず華麗にクロールをし、プールから上がって来た。黒田龍三だ。妻と比べ、花柄の水着がなんとも似つかわしくなかった。黒田龍三は土倉と鼻を突き付ける勢いでガンを飛ばすと、黒田冴子が二人の間に割って入った、

「あなた、やめて下さい! 二人はただ捜査をしているだけです」

「捜査だぁあ?! ふざけるな!」
 
 胸倉を掴まれ今にも殴られる寸での所で、土倉は冷静な態度を見せた、

「私たちのことがお気に召さないようですね。何か隠し事をなさっているのではないですか?」

「あぁ?」

「場合によってはここで手錠をかけ、拘束することだって出来るんですよ」

「貴様ぁあ!」

 黒田龍三はさらに胸倉をキツく掴み、顔を近付かせた、

「この屋敷を手に入れるためならなんだってする。次は貴様が殺される番かもな!」

 そう吐き捨て土倉を押し出した後、黒田龍三は再び水の中に飛び込んだ。

「ごめんなさいね……あの人、カリカリしてて……」

「いいえ、大丈夫です。こういうの慣れてますから」

 土倉はワイシャツの裾を引っぱり皺を掃って伸ばした。水を掻く音のおかげで、折り入った話がしやすくなった、

「冴子夫人、これを聞いたら立ち去りますので、いいですか?」

「何かしら」

「ご主人に届いた招待状に一度でも目を通したことはありますか」

「ええ、あるわよ。それが?」

「どういう内容だったか伺ってもよろしいですか」

───────────────────────

「おい、土倉」

「ん?」と言って土倉は振り返った。

「お前さっき完全に軽犯罪法違反……官名詐称だぞ」

「それを言うなら、黒田のじいさんだって公務執行妨害じゃねえか。お前まであのじいさんの肩を持つのか?」

「そ、そんなことねえけど……」

 口ごもる重崎を無視して、土倉は腕を組みながら壁に身体を預けた、

「黒田のじいさんが受け取った招待状にも宮下薫のと同様に ”殺人” って言葉が書いてなかったらしいな」

「けど、初日の『宴』の時、俺たちに向かって『殺せばいいんだな!』って『仮面』に聞いてたじゃねえか」

「この『館』を手に入れるためなら殺人は厭わないって書かれてたんだろう。これは想像だが、たとえば【『オリオンの館』に現れる、金銀財宝を狙う探偵と警察を殺してください】とかね」

「まさか! あのじいさんの狙いは俺らか?」

「あの城定とかいうホームレスも同様文の招待状が送られていた可能性が高い。まあまだ推測に過ぎないけどな」
 
 重崎は頭に腕を回しながら、思ったことを吐息混じりに洩らした、

「それにしても偉え広いなあ、この『館』は」

「確かにな。ここ全体をあの執事ひとりが管理していると思うとやっぱり感心するよ。メイドぐらい雇えばいいのにな」

 たとえ、要注意人物だと睨んでいても、土倉たちの腹を満たしてくれ、不愛想ながら丁寧な対応をしてくれる様は尊敬の念を抱かざるを得ない。まさしく彼らは不覚にも胃袋を掴まれていたのだ。

───────────────────────

一月二十七日(水)

十時二〇分  ───────

 ひと通り部屋を廻ると、土倉はガラス戸の奥に庭が見えた。二階とは思えないほどの敷地が広がり、草木が丁寧に刈られ、花壇には冬の花が咲いていた。足元には石畳が不規則に置かれており、その通りを囲うように両側を常緑の生垣で整備されている。一月も末になるところであったが今日の気温は珍しく温かい方だった。ワイシャツとセーターでもちょうど良く、思わず伸びをした。

「気持ちいいところだな。まさか庭があるなんてな?」

「すげぇ……」

 そう重崎は洩らしながら突然現れ出でた庭園に見惚れていた。土倉もこの瞬間、初めて『館』を訪れた時と同じように感動していた。誰に言われずとも、この中庭も香川ひとりで管理しているのだろう。昨日の夜更けに起きた事件が嘘のように、久しぶりに外に出たことで自然と気持ちが楽になるように感じた。

 しばらく進むと、茂みの奥にパーゴラドームのガゼボが現れた。珍しい模様を描いた屋根に、それを支える六本の柱はイギリスの宮廷庭園を思わせ、玄関ホールで見たヴィクトリアン朝と同じものだと分かった。
 吸い込まれるようにそのガゼボの中に入ろうとすると先客がいた。女性だった。女性だと分かったのは背中を流れる緩く巻いた黒髪が決定打だ。

 警戒しながら近寄って行くと、突如として吹いたそよ風で土倉の足元に落ちて来た枯れ葉を鳴らしてしまった。突然の物音に気づいた女性が勢いよく振り向いた、

「松岡さん?」

「あぁ、土倉さん、重崎さん。誰かと思ってびっくりしました」

 胸を押さえながら安堵のため息をついた松岡美幸が徐に立ち上がった。

「こんなところで何してるんですか?」

 土倉と重崎はガゼボの中に入り、松岡美幸に向かって笑みを浮かべた。

「本を読んでいたんです。さっき図書館で見つけて───」

 松岡美幸の傍らには群青色の背景に点々とした光が散りばめられている神秘的な表紙があった。横書きで【星座の歴史】と読めた、

「─── 部屋で読もうと思ったんですけど、香川さんが部屋の清掃をするのでどこか別室に移動するようにと言われ……。書斎には佐藤さんがいらしたし、大広間で一人というのも落ち着かなくて……ちょうどいい場所を探していたら、ここを見つけたんです……」

 松岡美幸はガゼボから臨む中庭の木々や生垣を眺めながら、その眼はどこか懐かしんでいるような、哀愁漂う瞳だった。
 土倉は気付かないふりをして、松岡美幸に注意を促した、

「不用意に『館』内を出ないでください。今日はまだ水曜日なんです。いつ誰が殺されるか分からないんですよ」

「あ……ごめんなさい! すでにが行われたから大丈夫かと思って……そういえば亡くなられた方、【裁き】で殺されたんでしたよね……」

「そうです。殺人としてカウントしていない可能性もあります。部屋まで送りますので行きましょう」

 松岡美幸は本を小脇に抱え急いでガルボから出た。

「そういえば、どうして【星座の歴史】なんて本を読んでたんですか? 星に興味があるなんて初めて知りました」
   
 中庭を出る前に、土倉は隣で歩きながら気になったことを尋ねた。すると松岡美幸は途端に慌てだし、星の本をぎゅっと胸元に抱き寄せた、

「ち、ちょうど興味があって。ほら、ここって『オリオンの館』って名前ですし、夕食後に香川さんが開いた【星談会】を聞いて、もっと星座のことを知りたいと思ったんです」

 様々な表情を見せて来たのがこれが初めてだった。急に慌て、徐々に表情を曇らせ、挙句には悲哀溢れる顔をして俯いてしまった。ガラス戸を開けて、左側の廊下を通って松岡美幸の部屋の前に着いた、

「では、また昼食の時に」

「また」

 小さく手を振る松岡美幸に、土倉は平然と、重崎は満面の笑みで同じ動作で振り返した。ドアが閉まるのを確認すると、土倉は重崎の腕を引っ張り、中庭まで引き返した。

「んっだよ!! マンガの続き読みに部屋に戻りたいんだが!」

「マンガマンガ、うっせえよ……。なあ、お前、松岡美幸に【オリオンの裁き】のこと話したか?」
 
 突然、土倉に問われ、重崎は首を捻った、

「初日の時にあの『仮面』の言葉で耳にしたっきりじゃねえか?」

「まさか……いや……そのまさかな」

 土倉は顎に手を置きながら、一人で熟慮し一人で笑い出した。重崎は元バディの急な含み笑いに気味悪く感じ、後じさった。

「なんだよ。お前、気持ち悪いぞ」

 土倉は重崎の冷めた視線を無視し、辺りを歩き回り続けた。時折、花壇の花に触れたり、ガゼボの短い階段を上り下りするなどしながら黙考した、

 考えれば、松岡美幸の素性を詳しく知らなかった。いや、正直、聞くのを忘れていたのだ。

 『オリオンの館』という、幽霊屋敷として都市伝説的に広がって行った著名な場所で殺し合いが行われるということに、土倉を燃え上がらせ、同事務所の探偵・片桐幸人に松岡美幸の調査を頼む事を失念してしまった。
 立ち居振る舞いから感じるのは、麻布に住むお嬢様ということ。それ以外、知っている情報は限りなく無いのだ。事情聴取でもっと追及するべきだったが、尤も彼女は依頼人だ、疑う事は出来るだけ避けたいし、信じたいという雑念が勝ったのだった。



 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

無限の迷路

葉羽
ミステリー
豪華なパーティーが開催された大邸宅で、一人の招待客が密室の中で死亡して発見される。部屋は内側から完全に施錠されており、窓も塞がれている。調査を進める中、次々と現れる証拠品や証言が事件をますます複雑にしていく。

聖女の如く、永遠に囚われて

white love it
ミステリー
旧貴族、秦野家の令嬢だった幸子は、すでに百歳という年齢だったが、その外見は若き日に絶世の美女と謳われた頃と、少しも変わっていなかった。 彼女はその不老の美しさから、地元の人間達から今も魔女として恐れられながら、同時に敬われてもいた。 ある日、彼女の世話をする少年、遠山和人のもとに、同級生の島津良子が来る。 良子の実家で、不可解な事件が起こり、その真相を幸子に探ってほしいとのことだった。 実は幸子はその不老の美しさのみならず、もう一つの点で地元の人々から恐れられ、敬われていた。 ━━彼女はまぎれもなく、名探偵だった。 登場人物 遠山和人…中学三年生。ミステリー小説が好き。 遠山ゆき…中学一年生。和人の妹。 島津良子…中学三年生。和人の同級生。痩せぎみの美少女。 工藤健… 中学三年生。和人の友人にして、作家志望。 伊藤一正…フリーのプログラマー。ある事件の犯人と疑われている。 島津守… 良子の父親。 島津佐奈…良子の母親。 島津孝之…良子の祖父。守の父親。 島津香菜…良子の祖母。守の母親。 進藤凛… 家を改装した喫茶店の女店主。 桂恵…  整形外科医。伊藤一正の同級生。 秦野幸子…絶世の美女にして名探偵。百歳だが、ほとんど老化しておらず、今も若い頃の美しさを保っている。

パラダイス・ロスト

真波馨
ミステリー
架空都市K県でスーツケースに詰められた男の遺体が発見される。殺された男は、県警公安課のエスだった――K県警公安第三課に所属する公安警察官・新宮時也を主人公とした警察小説の第一作目。 ※旧作『パラダイス・ロスト』を加筆修正した作品です。大幅な内容の変更はなく、一部設定が変更されています。旧作版は〈小説家になろう〉〈カクヨム〉にのみ掲載しています。

リモート刑事 笹本翔

雨垂 一滴
ミステリー
 『リモート刑事 笹本翔』は、過去のトラウマと戦う一人の刑事が、リモート捜査で事件を解決していく、刑事ドラマです。  主人公の笹本翔は、かつて警察組織の中でトップクラスの捜査官でしたが、ある事件で仲間を失い、自身も重傷を負ったことで、外出恐怖症(アゴラフォビア)に陥り、現場に出ることができなくなってしまいます。  それでも、彼の卓越した分析力と冷静な判断力は衰えず、リモートで捜査指示を出しながら、次々と難事件を解決していきます。  物語の鍵を握るのは、翔の若き相棒・竹内優斗。熱血漢で行動力に満ちた優斗と、過去の傷を抱えながらも冷静に捜査を指揮する翔。二人の対照的なキャラクターが織りなすバディストーリーです。  翔は果たして過去のトラウマを克服し、再び現場に立つことができるのか?  翔と優斗が数々の難事件に挑戦します!

支配するなにか

結城時朗
ミステリー
ある日突然、乖離性同一性障害を併発した女性・麻衣 麻衣の性格の他に、凶悪な男がいた(カイ)と名乗る別人格。 アイドルグループに所属している麻衣は、仕事を休み始める。 不思議に思ったマネージャーの村尾宏太は気になり 麻衣の家に尋ねるが・・・ 麻衣:とあるアイドルグループの代表とも言える人物。 突然、別の人格が支配しようとしてくる。 病名「解離性同一性障害」 わかっている性格は、 凶悪な男のみ。 西野:元国民的アイドルグループのメンバー。 麻衣とは、プライベートでも親しい仲。 麻衣の別人格をたまたま目撃する 村尾宏太:麻衣のマネージャー 麻衣の別人格である、凶悪な男:カイに 殺されてしまう。 治療に行こうと麻衣を病院へ送る最中だった 西田〇〇:村尾宏太殺害事件の捜査に当たる捜一の刑事。 犯人は、麻衣という所まで突き止めるが 確定的なものに出会わなく、頭を抱えて いる。 カイ :麻衣の中にいる別人格の人 性別は男。一連の事件も全てカイによる犯行。 堀:麻衣の所属するアイドルグループの人気メンバー。 麻衣の様子に怪しさを感じ、事件へと首を突っ込んでいく・・・ ※刑事の西田〇〇は、読者のあなたが演じている気分で読んで頂ければ幸いです。 どうしても浮かばなければ、下記を参照してください。 物語の登場人物のイメージ的なのは 麻衣=白石麻衣さん 西野=西野七瀬さん 村尾宏太=石黒英雄さん 西田〇〇=安田顕さん 管理官=緋田康人さん(半沢直樹で机バンバン叩く人) 名前の後ろに来るアルファベットの意味は以下の通りです。 M=モノローグ (心の声など) N=ナレーション

孤島の洋館と死者の証言

葉羽
ミステリー
高校2年生の神藤葉羽は、学年トップの成績を誇る天才だが、恋愛には奥手な少年。彼の平穏な日常は、幼馴染の望月彩由美と過ごす時間によって色付けされていた。しかし、ある日、彼が大好きな推理小説のイベントに参加するため、二人は不気味な孤島にある古びた洋館に向かうことになる。 その洋館で、参加者の一人が不審死を遂げ、事件は急速に混沌と化す。葉羽は推理の腕を振るい、彩由美と共に事件の真相を追い求めるが、彼らは次第に精神的な恐怖に巻き込まれていく。死者の霊が語る過去の真実、参加者たちの隠された秘密、そして自らの心の中に潜む恐怖。果たして彼らは、事件の謎を解き明かし、無事にこの恐ろしい洋館から脱出できるのか?

秘められた遺志

しまおか
ミステリー
亡くなった顧客が残した謎のメモ。彼は一体何を託したかったのか!?富裕層専門の資産運用管理アドバイザーの三郷が、顧客の高岳から依頼されていた遺品整理を進める中、不審物を発見。また書斎を探ると暗号めいたメモ魔で見つかり推理していた所、不審物があると通報を受けた顔見知りであるS県警の松ケ根と吉良が訪れ、連行されてしまう。三郷は逮捕されてしまうのか?それとも松ケ根達が問題の真相を無事暴くことができるのか!?

時の呪縛

葉羽
ミステリー
山間の孤立した村にある古びた時計塔。かつてこの村は繁栄していたが、失踪事件が連続して発生したことで、村人たちは恐れを抱き、時計塔は放置されたままとなった。17歳の天才高校生・神藤葉羽は、友人に誘われてこの村を訪れることになる。そこで彼は、幼馴染の望月彩由美と共に、村の秘密に迫ることになる。 葉羽と彩由美は、失踪事件に関する不気味な噂を耳にし、時計塔に隠された真実を解明しようとする。しかし、時計塔の内部には、過去の記憶を呼び起こす仕掛けが待ち受けていた。彼らは、時間が歪み、過去の失踪者たちの幻影に直面する中で、次第に自らの心の奥底に潜む恐怖と向き合わせることになる。 果たして、彼らは村の呪いを解き明かし、失踪事件の真相に辿り着けるのか?そして、彼らの友情と恋心は試される。緊迫感あふれる謎解きと心理的恐怖が交錯する本格推理小説。

処理中です...