7 / 7
終
しおりを挟むとにかく逃げた。
持っている今の荷物を開けるあの高揚感が溜まらなく、私は一目散に歩いた。
身体が重いし、顔に掛かる汗が鬱陶しいから走れない。
するとまた後ろから私の名を呼ぶ声がした。
「もしかして俺を避けてるのか? 安心してよ。ちゃんと送り出すから」
「だからもういいって言ってるじゃん!」
私は仕方なく走り出した。彼は追ってくる。いつの間に車を降りたのか、全速力で追ってくる。
もう無理だって思った時、サイレンが後方から鳴り、銃声の轟音が高鳴った。その時、叫び声と共に何かが倒れる音がした。振り向くと追いかけていた男が地面に這いつくばり身動きが取れないでいる。
何があったのか理解する間もなく、後ろから警察官が走って来る。
詳しく話を聞くと、この男が経営するホテルに隣接するレストランが今月いっぱいで契約終了になるとの事だ。その腹いせに、郵便局から大荷物を抱えて出て来る非運転の人間たちを次々に誘拐し殺害したという。私は恐怖で腰が抜けた。危うく自分の命も潰えるかもしれなかったと考えると生きた心地がしなかった。
男はそのまま警官たちに担がれ連行された。
ここで終わりに読者勢に語る。
徒歩で荷物を受け取る方はおられないかもしれないが、郵便局帰りには特にご注意を願いたい。
──── 了
0
お気に入りに追加
2
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
何度も母を殺す夢
真ん中のペダル
ホラー
冴えない高校生が大嫌いな母を何度も殺す夢のお話。毎回必ず母は死にますし、周りも巻き込まれたりするかもしれません。
少しばかり激しい表現があります。
カテゴリーなんなんだろうか……。
冀望島
クランキー
ホラー
この世の楽園とされるものの、良い噂と悪い噂が混在する正体不明の島「冀望島(きぼうじま)」。
そんな奇異な存在に興味を持った新人記者が、冀望島の正体を探るために潜入取材を試みるが・・・。
メゾンドストレンジはこちらです
中靍 水雲
ホラー
この町では今、近日オープン予定のとあるお化け屋敷が話題になっていた。
その名は『メゾン・ド・ストレンジ』。
それは、あたかも自分がVR空間の主人公になったかのように体験できるお化け屋敷だ。
森の匂い、風のそよぎ、ものをさわる感触などが完璧に体験できる。
どうやら、ただのヴァーチャルリアリティではないらしい。
そんな時、ホラー好きの大早子規は学校帰りに、史上最高の幽霊・サイコと出会う。
サイコは子規の名前を「オバケ・ヤシキ」と勘違いし、メゾン・ド・ストレンジのお化け屋敷コーディネーターに勧誘しに来たのだ。
そう、メゾン・ド・ストレンジとは幽霊と妖怪たちが運営するお化け屋敷だったのだ。
誤解はとけたものの、どうしてもサイコの話が気になった子規。
勧誘を受け入れ、ウワサのお化け屋敷のコーディネーターとなった。
店長であるキュウビと打ち合わせを重ねながら、次々とお化け屋敷のストーリーを書いていく子規。
そして『よくない人形』というストーリーで、これまでで一番の絶叫を引き出すことに成功する。
初めは一台だったVRゴーグルも、追加で四つに増やし、順番待ちを減らした。
幽霊・妖怪たちはお客さまの絶叫に毎回大喜び。
人間たちの恐怖の表情にお腹を抱えてヒイヒイ笑う。
それに子規は嬉しくなると同時に、もっとがんばって怖いストーリーを書こうと思った。
しかし怖すぎて、泣かれてしまうんじゃないかと心配になったこともあった。
その時には、キュウビが「むしろ、喜ぶべきだ。怖いものを書いたのだから。
そんなことは〝怖くなかった〟といわれたときに、悩むべき」と励ましてくれたのだった。
ある日、友人の一颯が遊びにやって来た。
ホラー好きの一颯はただのお化け屋敷では驚かない。
つまり、『本物が目の前に現れる』。
キュウビとサイコの正体をバラす……それが、一颯にとっての恐怖だった。
子規はホッと胸をなで下ろす。
「よかった。一颯に最高の恐怖体験を味あわせてあげられた」
表紙:ノーコピーライトガールさま
FLY ME TO THE MOON
如月 睦月
ホラー
いつもの日常は突然のゾンビ大量発生で壊された!ゾンビオタクの格闘系自称最強女子高生が、生き残りをかけて全力疾走!おかしくも壮絶なサバイバル物語!
虫喰いの愛
ちづ
ホラー
邪気を食べる祟り神と、式神の器にされた娘の話。
ダーク和風ファンタジー異類婚姻譚です。
三万字程度の短編伝奇ホラーなのでよろしければお付き合いください。
テーマは蛆虫とメンヘラ(?)
蛆虫などの虫の表現、若干の残酷描写がありますので、苦手な方はご注意ください。
『まぼろしの恋』終章で登場する蝕神さまの話です。『まぼろしの恋』を読まなくても全然問題ないです。
また、pixivスキイチ企画『神々の伴侶』https://dic.pixiv.net/a/%E7%A5%9E%E3%80%85%E3%81%AE%E4%BC%B4%E4%BE%B6(募集終了済み)の十月の神様の設定を使わせて頂いております。
表紙はかんたん表紙メーカーさんより使わせて頂いております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
感想、ありがとうございます!
あえて、「急に1話で人物が変わる」という変化球を作って見たかったのですが、高度過ぎでしたか。
ぜひ、他の作品も見ていってください。