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不審者
しおりを挟む荷物を受け取り、ルンルン気分で徒歩で帰宅しようと郵便局を出ると、一台の車が駐車場に無造作に停車する。
「乱暴な運転だな」
私はそう思ってそのまま通り過ぎようとした、その時、私の名を呼ぶ声がした。
「おう! そんな大荷物抱えて大変そうだな? 送ってやろうか?」
車の窓からひょっこり顔を出したこの男は、ホテルに隣接しているレストランのオーナーだ。私とは一、二度ほど挨拶を交わす、一応と言ってはなんだが、知り合いだ。
「大丈夫だよ! 最近運動不足だし歩かなきゃいけないから」
「いやいや、こんな暑い日に帽子も被らずに倒れちまったらどうすんだ? いいから送ってやるよ」
「迷惑かけるからいいよ」
と言って私は、そそくさとその場を速足で離れた。恩を受ける事は面倒だ。返さなければならないからだ。こんな小さな街とっとと出て行きたい。
私がこの街を出て行かないのは理由がある。
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