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しおりを挟む世界にはドラゴンに関する書物がいくつもある。
事実もあれば事実を元に作られた創作話も多いし全くのデタラメもある。
だけど、ティナが信じているドラゴンが元は人間だという話。あれは本当の話。
どうして言いきれるかというと、俺自身がそうだから。
人間だった頃、俺は化け物だと言われていた。
喧嘩で、戦で、何人を相手にしようと負けた事がないから。
二十歳を過ぎたあたりからその強さは化け物以上だと言われるようになり……やがて手がドラゴンのものへと変わった。
その次は足。
全身が人間の形を残さずドラゴンの形となるのに一年もかからなかった。
それから何百年生きたか分からない。
百年近く続けて眠ることもあるから、もしかしたら千年以上生きているのかもしれない。
ドラゴンになったせいか、それとも長い間生きてるせいか、ある時からいくつかの不思議な力も身についた。
一つは人間に姿を変える力。
四年前、なんとなくその力を使い数百年振りに訪れた街でティナに会った。
最初は自分の話をしていると思い、ほんの少し聞き耳を立てていただけ。
ドラゴンは火を吐く、人を殺す、小さな国くらいあっという間に消してしまう。誰もが信じる話を信じず、ドラゴンが元は人間だという誰もが信じない話を信じるティナ。
面白い子供だな、と思った。
この子供がこの先どんな成長を遂げるのか側で見てみるのも一興だなと思った。
思い立ってすぐ、俺はある貴族たちの頭の中を操作してその家の六番目の子息となった。
貴族の子息となったのはティナが貴族の子女だったから。
本当はただの使用人としてティナに近付いてもよかったけど、使用人だと今日みたいな夜会の会場に一緒に入る事は叶わない。
でも貴族であればパートナーだとかなんとか言ってどんな場にも一緒に参加することが出来る。だから貴族の子息になった。
六番目の子息になったのには特に理由はない。たまたま目についた貴族の家に既に五人の子息がいただけ。三番目以降であれば何番目でもよかった。
俺は家を出てティナの家で働くこととなった。
仕事内容は護衛兼、話し相手兼、従者兼、その他。
俺が雇われた時護衛以外の求人は出ていなかったし、そもそもこれらの職務を兼任するなんて求人は本来ありえないけど…そこはまた力を使った。
あれから四年が経った。
ずっと会いたがっているドラゴンがすぐ側にいることに気付くことなくティナは大きくなった。
普通人間が一番可愛い時期は赤ん坊や子供の時。なのに大きくなってもティナベルを可愛いという声は減らなかった。むしろ増えていく一方だった。
今日、ティナが参加する夜会では多くの男共が下心を持ってティナに群らがることだろう。
それらからティナを守れるようわざわざ貴族の子息になったけど…今回俺は帯同しない。
王都には一緒に行くけれど、王都で一度ティナとは別れる。
ティナを狙う男の視線を自分に向けさせるために…
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