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咆哮

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ガシッ

組み合ったレスリング部生徒、松本の鍛えられた筋肉の堅さに雄一は圧倒される。

、、、、っ!

押し負けてる?

雄一は、焦る。

生徒だからといってなめているわけではないが、格闘家として、大人の男として、教師としての矜持がある。

脚を広げ、踏ん張る。

が、思うように力が入らない。

松本は雄一の肩に頭をガシッと着け、グイグイと押してくる。

ふっ、、、ふぅっ、、、

松本の熱い鼻息が雄一の首筋から背中の丈夫にかけて当たる。

ゾワゾワと生理的な嫌悪感が走る。

そして、汗、、、

奇妙なウォーミングアップに続く組み合い。

身体を動かし続けていたのだから、汗は当然だ。

雄一自身も汗が肌に浮かんでいる。

しかし、組み合った松本のがっしりとした白い肌に浮かぶ汗はネットリと雄一の肌を侵蝕するようで、今すぐ試合を止め、その汗を拭い去りたくなる衝動に駆られる。

何故だか分からない。

が、組み合う松本への生理的な嫌悪感はどんどん増すばかりである。

そして、ふと気付く。

自分に向けられた視線の数々。

部員達がぐるっと組み合う雄一と松本を取り囲んでいる。

大石達のグループもスパーリングを止め、その輪に加わっている。

その目はスパーリングの行方を見守っているスポーツマンの清々しいものではなく、ネットリと嫌な熱を帯びている。

しかも、彼らは、局部にピッチリと張り付いたサポーター一枚だけを身につけたほぼ裸体に近い状態だ。

さらにその何人かは明らかにサポーター越しに勃起しているのが分かる。

若い、固く、凶器にもなり得そうな肉棒。

雄一の中に急に怯えのようなものが湧く。

ゾッと寒気が背を走り、集中力が途絶えた瞬間、、、

アッ、、、クッ、、、

がっしりと組み着いていた松本の肉体がすっと消え、次の瞬間、股間の隙間に力強い衝動を感じ、次の瞬間、身体を横に持ち上げられていた。

うぉぉっ、、、、

雄一の口から雄叫びのような声が漏れる。

あっけなく身体を持ち上げられてしまった自分の不甲斐なさ、その状態から抜け出さなければという気合い、、

雄一は宙に抱えられた鍛えられた身体を激しく動かし松本の手を逃れようとする。

体脂肪の低い鍛えられた身体。

筋肉が剥き出しのように浮かび上がっている。

汗のせいでテカテカと光る肌。

これもまた若く精悍な身体を持つ松本の太い腕から逃げようと必死の形相で身体を動かす姿は美しい獲物のようだった。

扉の外、中を眺める刈谷の喉がゴクリと鳴る。

不思議な倦怠感に襲われているとは言え、雄一も鍛えられた立派な体躯だ。

松本もホールドすることは叶わず、体勢を崩し、雄一の身体は床に逃げる。

その二人の体勢が崩れた瞬間、松本の指が雄一のブリーフに引っ掛かり、ペロンと雄一の鍛えられた形の良い尻が剥き出しになってしまったのは、偶然か、意図的か、、、、

床に転がった雄一はすぐに起き上がり、体勢を立て直す。

「待てっ」

雄一が松本に言う。

引き下ろしかけられたブリーフは、背面は尻が丸出し、全面は肉棒がギリギリ隠れるくらいで、陰毛は剥き出しになっている。

そのブリーフを引き上げるために試合を止めたのだ。

松本が動きを止め、雄一がブリーフの位置を直そうと気を抜いた瞬間、身体に衝撃を受ける。

身体が宙を飛んだのだ。

松本が飛びかかり、隙を出してしまった雄一に脚払いをかけたのだ。

綺麗に雄一の身体が宙を舞い、床に叩きつけられる。

防御を取る間もなく、雄一の首もと、そして、股間の間を松本の腕が捉え、再び持ち上げられ、今度は床に背中から叩きつけられる。

グホッ、、、

背中をしたたかに打ち、雄一の息が詰まる。

苦しそうに動く雄一の下半身に松本が飛び付き、絹のボクサーブリーフを引き剥ぐ。

雄一の立派な逸物がポロンと剥き出しになる。

「やめろぉぉ~っ」

雄一の怒声が場内に響く、、、虚しく、、

雄一の手が股間を隠そうとするところに、また、松本が襲いかかる。

いくら教師として我慢しなくてはならないとは言え、生徒の手で下着を脱がされては雄一も怒る。

雄一は、とっさに足げりで松本を攻撃する。

雄一の鍛えられた脛が、松本の横腹をヒットする。

松本の身体が転がる。

苦悶の声をあげている。

「高尾っ、お前、教師が生徒に暴力をふるってどうするんだっ」

大石の叫び声に雄一はハッとする。

その雄一に「暴力教師~っ!」と叫び声をあげながら、レスリング部員達が向かってくる。

逃げようとする間もなく、雄一はレスリング部員達に四肢を奪われ、持ち上げられる。

「止めろ、離せっ、やめろぉぉ~っ」

雄一の声が虚しく響く。

「や、やめっ、、、さわるな、、、さわるなぁっ、、、」

生徒が、持ち上げられ自由を失いかけている雄一の股間の肉棒を弄っている。

感触からすると、弄る指は一人だけではない。


「ひっ、、、ヒェ~~」

雄一が似合わぬ、絹を割くような悲鳴をあげる。

肛門にグイッと異物が差し込まれたのだ。

全身の力が抜けていくような感じだ。

力が入らない。

それでも必死で抵抗しようとする雄一の身体を、肌を、筋肉を、生徒達の腕が這う。

「往生際の悪いヤツだ」

大石の声が聞こえる。

次の瞬間、、、

「グエッ」

雄一が短い苦痛の声をあげる。

大石が、雄一の首に右手を回し、グイッ締めあげたのだ。

生徒達の腕や足を掴んでいた手が離れる。

親分である顧問の大石が、しっかりと獲物の動きを止めたのを確認したように。

そして、四肢を押さえ込むことにせんねんしていた生徒達の手が、今度はゆっくりと丹念に雄一の肌を、撫で始める。

まるで愛撫のようだ。

くぉぉぉぉっ、、、、

首を絞められた雄一の口から苦悶の声が漏れる。

甘い男前の顔が歪む。

口の端からはヨダレが垂れる。

目は半分白目を剥きかけている。

だが、両腕が首に回された大石の腕を掴み、身体もバタバタと力強く動いているところをみると、まだ、意識は失っていない。

その時である。

バシンと扉が開く音と共に、場内に咆哮が響いた。

レスリング部員達の顔が入り口に向けられる。

?

驚愕の表情が浮かぶ。

「な、直人先生?」

「先生が何故、、、」

生徒達と共に大石も雄一の首を絞めながら呆気に取られた顔をしている。

「森、、、森直人か?」

入り口から場内に入ってきたのは、刈谷が“キ”と呼んでいた筋肉質の男だった。
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