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“イン”の活性

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「センセッ、泳ぎが下手って言っていた割りに横泳ぎは上手かったじゃないですか」

滝川が言った。

「横泳ぎは子供の頃に師範に叩き込まれたんだ。夏になると遠泳をさせられたな。波が顔にかかって何度も溺れそうになった」

滝川は校内で雄一の姿を見つけると飛んでくる。

相当、雄一に懐いているようだ。

雄一は、それが嬉しい。

「その頃のトラウマで、水泳っていうと腰が引けてしまうんだが、この間、久々に泳いで楽しかったよ」

「じゃ、今度、僕たちがやってるオープントレーニングに来ませんか?カナヅチを対象にしているんで、物足りないかもしれないですけど」

「初心者対象なのか、、、なら、俺でも参加できそうだな」

オープンクラスは、先日の佐々木の古式泳法のレッスンのように、その部に所属していなくても希望者は出席できるクラスだ。

各運動部も、全部ではないが初心者向けのオープンクラスを開いていて、雄一もそのいくつかに参加したことがある。

話しによれば入学時には別のスポーツを専攻していたが、オープンクラスで才能を開花しその部に移り、卒業後、その道で開花した選手も居るという。

「この学校の生徒、スポーツ万能って思われてるけど、結構泳ぎが苦手な人がいるんですよ」

「確かに、得手、不得手はあるからな。顔を出させてもらうよ」

ん?

雄一が前方に目を止める。

顔を真っ青にした生徒がフラフラと歩いてくる。

「キミ、どうした?」

雄一が駆け寄る。

滝川が続く。

その生徒はジャージの上着の下に身体にぴったりしたユニフォームを着ている。

レスリング部の生徒か、、、この幼い顔立ちは一年生か?

雄一がフラフラした身体を支えようとすると、力が抜けたように雄一に持たれてきた。

身体がガクガク震えている。

「キミ、大丈夫か?」

「先生、僕、医務の先生を連れてきますっ」

「頼むっ」

雄一は、震える生徒の様子を確かめる。

生徒の視点が雄一の顔に当てられる。

「あぁ、、、あぁ、、、」

そして、さっきまで力なくフラフラしていたとは思えない力強さで雄一にしがみつく。

「あぁっ、、、あぁっ、、、」

声が大きくなる。

!

雄一は驚く。

その生徒は、雄一の首筋に貪るように口を付けると、チュウチュウと肌を吸い始めた。

その生徒からは嫌な生臭い臭いがしていた。

雄一は気付かなかったが、それは栗の花に例えられる精子の濃厚な臭いに似ていた。

                                  ※
「大石から報告がありました」

ーほぉ、、、最近、接触してこないから、“ニエ”は諦めたものだと思っていたよ。

「あいつも食えない男です。“ニエ”が無理であれば、手堅く“ヤオ”に収まろうというのでしょう。まぁ、素直に“ニエ”の座を諦めるとも思えませんが、、、」

ー“ヤオ”か。あいつの属性は土か?

「ええ。“インム”と“インミ”を上手く活性化させたようです」

ーほぉ。“イン”達が、、、それは一度見てみたいな。

「見て気持ち良いものかどうか、、、まぁ、珍しいモノではありますが、、、」

ー“インム”と“インミ”が揃って活性したのか、、、水の“デク”の化体と関係はあるのか?

「時期を考えるとそう考えるのが妥当でしょうな」

ー刈谷は何と言っている?

「刈谷には“イン”の情報は与えておりません。奴は妙に感が鋭い。下手に暴かれても困りますから」

ーふーん。せっかくだったら色々解明してほしいんだけどな。そっちの方が遠回りせず手っ取り早く“依代の儀”を行えるのに、、、

「焦りなさいますな。古の手順には意味があるのでしょう。一つ一つ丁寧にこなしていけばいいのです」

ーはぁ、、、高尾雄一が“ニエ”ならとっとと追い込みたい。

「様々な兆候は現れています、落ち着かれませ」

ーあの塩谷はどうしてるんだ?雄一を追い込むんじゃなかったのか?最近姿を見ないけど、、、

「“ヤタ”の牢で奉仕しております。高尾雄一を逆恨みしながらね、、、」

ーへ?高尾を?なぜ。

「細かいことは気になさいますな。時が来たら、高尾の元に放ちます。その前に、大石が動くかもしれませんが、、、」

                            ※
「貧血だなぁ、、、あと、過労か、、、この若さでなんで、、、」

白衣の医務担当が頭を傾げる。

白衣の医務担当、、、刈谷と共に“ハの三番”の化体を調べていた男だ。

「点滴をして暫く休めばすぐ治るだろうけど、念のため調べてみましょう。医務室へ」

「私が運びます」

雄一がその生徒を抱え上げ、白衣の男と歩き出そうとした時、、、

バタバタと複数の靴音が近づいてきた。

見ると同じユニフォーム。

「いましたっ」

一人が言う。

後ろから大柄な男がやって来る。

「居たかっ。迷惑かけおって」

レスリング部の顧問、大石だ。

雄一に近付いてくる。

「渡してくれ。少し寝かせておけば治る」

「はぁ?何をおっしゃってるんですか。ちゃんと検査して、安静にさせないと」

「高尾先生、何を甘っちょろいことを言ってるんですか。そんなんでは立派な選手は育たん!」

「選手云々の前に、生徒の体調、健康を考えるのが教師でしょうっ」

珍しく雄一が声を荒げる。

大石と雄一が睨み合う。

                                 ※
「ほぉ、そんなことがあったのか」

「ええ。あの高尾雄一という教師、荒くれ者の大石と渡り合ってました。意外に肝が据わってますね」

刈谷と医務担当の男が話している。

「教師のことはどうでもいい。その貧血を起こした生徒だ。これだけ健康チェックを行っているこの学園で震えるほどの貧血か、、、しかも、その高尾という教師の首筋に吸い付いていたのだろう」

「はい。引き離すのが大変でした。高尾の首筋にはくっきりとアザができていましたからね。ただの貧血でないのは間違いないかと、、、」

「それとザーメンの臭い」

「恐らく、ザーメン。ただ、その臭いと臭い方が、、、新鮮なモノではなく、古く溜められたモノのような、、その臭いが身体全体に染み付いたようなひどさで、、、」

「さすが、ザーメンの臭いには敏感だな」

刈谷が足を伸ばし、白衣の医務担当の腰に絡める。

スラッと伸びた白い足。

刈谷は裸だった。

刈谷の足に押されて白衣が近づく。

「口直しに、新鮮なザーメンはどうだ?」

「いただきます」

白衣の男が裸で椅子に腰かける刈谷の前に座り、刈谷のモノを口に含む。

「何か変だ、、、“デク”だけではないんだ、、、この学園が隠していることは、、、どうにかして秘伝書を手に入れて全体象を知らないと、、、僕をただのパーツとして利用するとは許せん、、、いいか?探れ、何かあったら、報告しろ」

刈谷のモノを喉の奥まで含みながら、白衣の医務担当は頷く。

「かわいい奴、、、」

刈谷は笑いながら、自分の股間の辺りで上がり下がりする頭を撫でた。











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