聖域で狩られた教師 和彦の場合

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生徒の比護

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ズカズカと入ってきた長身の生徒。

誰もが美少年と認める程の綺麗な顔立ちをしている。

登場しただけで場が明るくなるような雰囲気。

そして、リーダーシップも有している。

生徒会長の藤崎竜之介だ。

フェンシングの選手。

もともと学園にフェンシング部はなかったが、彼の要望で新設され、藤崎を慕うもの達が次々入部し、開設して三年も経たないうちに人気クラブとなった。

その藤崎が教室に入ってくる。

全裸の和彦に群がっていた生徒達がさっと散る。

若者と言うものは、年の離れた教師より、年の近い先輩の方に畏敬の念を抱くものだ。

教師すら一歩引いた態度で彼に接する藤崎は、下級生達にとっては、絶対的な存在だった。

解放された和彦は、素っ裸で転がったまま左腕で顔を隠す。

生徒達の仕打ちに心が折れたのか、立ち上がる気力も無いようだ。

小刻みに身体を捩るように動かしている。

心労で体脂肪の落ちた身体に、筋肉が浮き上がり、波打っている。

縮こまってもそれなりのボリュームがある和彦の逸物がニョッキリと陰毛の中から突きだし、存在感を示している。

ボールペンはケツの穴に突き刺さったままだ。

「お前らっ、ホームルーム中だろ。静かにしろっ。杉山先生も、なんて格好をしてるんですかっ!」

その言葉に和彦がビクンと反応する。

顔を隠していた腕を、下半身に動かし、陰部を隠す。

ゥゥゥゥゥ、、、

か細い声をあげている。

「ほら、杉山先生、しっかりしてください」

竜之介がしゃがみ、和彦の上半身を腕で支える。

全裸の教師はヨロヨロと立ち上がろうとする。

脚がガクガクしている。

精神的なショックだろう。

竜之介は、和彦の腋の下から背に腕を回し、教師を支える。

そして、教師の尻から少し顔を覗かせているボールペンの先を見つけ、一気に引き抜く。

そして、そのボールペンを2年生の前に叩き付ける。

「お前ら、先生に向かって何をやってるんだっ!無礼だろう!」

和彦を抱えるようにしながら、言う。

厳しい目付きだ。

「何をやったか分かってるか?これは、停学、いや、退学ものだぞっ!」

停学、退学という言葉に2年がビクッとする。

やり過ぎた、、、その後悔が浮かぶ。

「こ、こいつが暴力振るったんです」

「そうだ、こいつは暴力教師なんですよ」

教師を“こいつ”呼ばわりし、竜之介には敬語を使っている。

「馬鹿を言ってるんじゃない。どうせ、お前らが悪ふざけして、先生を怒らせたんだろう。怪我をしたってのはどいつとどいつだ?・・見せてみろ。ったく、すりむいただけじゃないか、、、次、お前か?・・・なんだ、この程度か、、、まったく、、、大袈裟に騒ぎやがって、、、先生を素っ裸にヒン剥いたヤツは誰だ?」

「そいつが勝手に脱ぎだしたんですよ」

「そうです。自分で脱ぎました」

二年達が言う。

「まぁ、いい。どうせ、お前らが悪ふざけで脱ぐように仕向けたんだろう。けれど、これは、やりすぎだっ!杉山先生、大丈夫ですか?」

抱えた和彦に聞く。

和彦は答えられない。

微かに首を縦にふる。

「おい、先生のパンツはどこだ?」

一人の生徒が床に丸まっているかつてエロビキニだった紫の布切れを差し出す。

「なんじゃ、こりゃ、、、」

藤崎が指先で摘まんで言った。

「すげぇ、趣味だな、、、こんなのを履いてるんだ、、、」

和彦が首を横に振り、掠れた声で言う。

「チ、、、チガウ、、、チガウンダ、、、」

「先生、無理して喋らなくていいですよ」

そう言って、和彦を傍らの椅子に座らせる。

グタッと糸の切れた操り人形のように和彦の鍛えられた上半身が机に突っ伏す。

「お前ら、整列しろっ!何があったか知らないが、先生にこれは、やりすぎだっ!許されることじゃない。先生に謝れっ!」

生徒達がシブシブと並ぶ。

生徒達が3~4列になったことを確認すると、藤崎はクラス委員の結城にほらっと言うように目で即した。

「すいませんでしたっ!」

結城が大声で言い、頭を下げる。

続いて、クラス全員がすいませんでしたっと唱和して頭を下げた。

「おまえら、次の授業が始まるだろ。机を直さなきゃな、、、次の時間の先生は誰だ?」

「藤崎さん、次は化学の実験室での授業です」

結城が答える。

「そうか、榎木先生か、、、」

その時、ホームルーム終了のベルがなった。

「おい、教室のカーテンを閉めろっ!他のクラスの連中に見られたらマズい」

藤崎の指示に2年が従い、さっと廊下側、校庭側のカーテンが引かれる。

一瞬の後に、隣のクラスの生徒が教室から廊下に出た気配がする。

藤崎の機転で、全裸でヘタリこむ和彦の姿は他のクラスの生徒には見られずに済んだ。

「榎木先生は遅刻にうるさいから、お前らは科学室へ移動しろっ、いいか?お前らが杉山先生にやったことは、停学、あるいは退学処分になってもおかしくないことだ、だから、この事は、クラスのお前らと杉山先生、俺だけのこととしよう。いいか?」

2年生達は頷く。

「さぁ、ここは、俺に預けて、お前達はさっさと実験室へ向かえ」

2年生達は、教科書、ノート、筆箱を持つとさっと教室を出ていった。

最後に結城がジロッと和彦に一瞥をくれ、扉を閉めた。

結城が、フルフルと揺れる和彦の広く筋肉の厚い背中に手を触れる。

「先生、大丈夫ですか?」

ゆっくりと上げられた和彦は顔を歪ませていた。

口は真一文字に閉められている。

涙を堪えているのだ。

必死で、男として、教師としての矜持を保とうとしているのだ。

心はボロボロになり、頭も何をしたらいいのか纏まらない。

そんな和彦の頭を藤崎は抱き寄せる。

「先生、奴らを許してやってください。きっと悪ふざけが行きすぎただけです。後で、ちゃんと奴らに言い聞かせますから」

和彦は痙攣するように首を振る。

「お、、、おれが、、、だ、、、めなんだ、、、だめな、、、教師だ、、、しっかくだ、、、」

泣き声だ。

もう涙を堪えられなくなったのだろう。

「先生、そんなこと言わないでくださいよ、、、落ち着いて、、、落ち着いたら、服を着ましょうよ、、、」

竜之介が、優しく言う。

和彦は、ハッとする。

自身が全裸だということが今更ながら恥ずかしくなったのだ。

立ち上がろうとするが、うまく力が入らない。

そんな和彦の上半身を竜之介が支える。

「ごめん、、、ごめん、、、」

そう言いながら、和彦はようやく立ち上がる。

顔は涙と鼻水でグシャグシャになっている。

ゆっくりと教室の前方、脱いだジャージが置いてある教卓へ向かう。

よろけそうになるのを堪えながら、和彦は進む。

その身体を竜之介が、優しく、だが、しっかりと支える。

和彦の背は165センチ、竜之介の背丈は180センチを超えているだろう。

小柄な筋肉質の青年教師が、長身の生徒に抱えられるように進む。

力の抜けそうになる身体を年下の生徒に預ける。

細身だが鍛えられているのがわかる竜之介の身体が、しっかりとボロボロになった教師の身体を受け止めている。

和彦は、制服越しの温もりが暖かく感じられ、そして、強靭な身体が、頼もしく感じられていた。

そして、脇腹を支える掌の優しさ。

顔を上げて竜之介を見る。

秀でた甘い顔。

和彦の視線に気付き、優しく微笑んだ。

その慈しみに満ちた目が和彦を包む。

ここしばらくの間、見えない悪意に怯え、そして、今日、生徒から理不尽な扱いを受け、気付きボロボロになった心に染みる。

和彦の身体が急に震え出す。

「ど、どうしたんですか?先生っ!」

その若々しい張のある声を聞きながら、和彦の意識が遠くなる。

年下の生徒に感じた頼もしさのおかげで緊張の糸が切れ、気を失ってしまったのだ。

「先生、、、杉山先生、、、」

そんな生徒の声を遠く聞き、崩れ落ちる身体を支えてくれる腕を心地よく感じながら、、、










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