聖域で狩られた教師 和彦の場合

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とある日、学生寮の夕刻

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簡素な飾り気のない四角い白い壁の建物。

広いグラウンドの横に佇んでいる。

厳めしい外観とは裏腹に、内部はシティホテルのような清潔で機能的な作りになっている。

Rの学生寮。

夕暮れ過ぎ。

                              *
ある一室。

“え、、、杉山先生にそんなこと?”

“………”

“確かに、杉山先生はイケてるし、いい身体してて、そそるけど、、、、でも、、、お世話になってるし、教師の中ではいい人じゃない、、、やだな、、、”

“…………”

“そんな、やめてよ。今夜は約束したじゃない、、、”

“…………………………”

“まってよ、何で杉山先生のことそんなに気にするの?、、、、まさか、杉山先生のこと好きなの?、、、、若く見えるけど、二十歳過ぎのオッサンだよ、、、まって、、、怒らないで、、、やるよ、やる。やるから、、、やさしくしてよ、、、、あ、、、いやだ、、、急に弄らないで、、、あ、痛っ、、、だめ、やめないで、、、、痛いの我慢するから、やめないで、、、あぅっ、、、くぅ、、、、好き、、、、好き、、、”

                               *
地下の大浴場。

和彦がその入り口の戸を開く。

「お前達、早いな」

脱衣場には何人かの生徒がいる。

「え?先生が遅いんっすよ、待ちくたびれちゃった」

時計を見ると入浴開始の五時半を2分過ぎただけだ。

「すまん、すまん、2分の遅刻か」

生徒達と若い教師の和気あいあいとした会話。

生徒達は風呂に入る気満々でもう衣服は脱ぎ、腰にタオルを巻いた状態で、和彦をキラキラした目で見ている。

和彦はその汚れない瞳を見て満足感を覚える。

教師になって良かった。

日々実感している。

1ヶ月に一週間、常勤教師に課される学生寮への泊まり込み。

Rは教師の質にも重点を置いていて、常勤の教師以外に、専門分野の講師も多く招いている。

初めての泊まり込みの日、和彦は驚いた。

大浴場への入浴時間がきっちりと決められている。

まず入れたての湯に入るのは、教師。

続いて、3年、2年、1年の順に厳格に順番が決められている。

広い大浴場の湯に浸かりながら、和彦は考えた。

この広い大浴場を一人で使うのは、贅沢だがもったいない。

だから、生徒達に、俺が泊まり込みの時は、自由に入りに来ていいと伝えた。

生徒達はもちろん喜んだ。

その日の教師の入浴時間は、まさしく芋を洗う状態。

生徒達が殺到した。

風呂に早く入りたいというより、気さくで爽やかな和彦に近付きたい一心でだ。

そんな生徒達が和彦は愛おしくて仕方ない。

いい教師にならなければ、、、彼らのために、、、自分のために、、、

和彦は真面目に考える。

和彦が羽織ったジャージを脱ぐ。

体操選手特有の太い腕が現れる。

そして、Tシャツの裾を掴み、捲り上げる。

鍛えられた上半身だ。

キュッと引き締まった腰、そこから次第に背中の上部にかけグイッと筋肉の塊が幅を持ち力強く、そして美しく逞しいフォルムで広がる。

逆三角形という形容にふさわしい身体だ。

張った胸筋。

優しい筋で割れた腹筋。

腕が動く度に盛り上がる背筋。

オォ~っ!

生徒達から声が上がる。

風呂に入るのだから当然の仕草なのだが、生徒達にしてみれば、大人の男、しかも体操競技で鍛え抜かれた見事な身体を間近にするのだ。

声が上がるのも当然だ。

それが、和彦には少し照れ臭い。

誉められるのは嬉しいが、毎日なのである。
 
そろそろ普通にしてほしいとは思う。

ソックスを脱ぎ、そして、ズボンに手を掛ける。

ゴクリ、、、

というような息を飲む雰囲気が生徒達の間に流れるが、和彦は気付かない。

体育会出身の和彦にとって、仲間の前で裸を晒すのは珍しいことではない。

自分の身体が生徒達に刺激を与えているなどという考えは、まったく頭をよぎらない。

躊躇うことなく、サッと下着と共にズボンを脱ぐ。

見事な下半身が露となる。

ギュッと盛り上がった尻。

太い大腿筋。

力強く動く脹ら脛のヒラメ筋。

そして全部。

柔らかな細目の黒い陰毛に3角形に縁取られた中央にニョッと伸びる陰茎。

その下にぶら下げる可愛い陰嚢。

生徒達の目が下半身に注がれているのにも無頓着だ。

「さ、風呂の時間だっ」

爽やかに言い、前を隠しもせず、和彦はタオルを片手に浴場に向かう。

そのでかい尻を意味ありげにジッと見つめる視線があることには気付いていない。


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