体育教師の躾と訓練

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裸祭の夜〜純一&和彦

純一 4

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町は雄壮な活気に溢れていた。

「こちらの町内会さんに皆様のお世話をお願いしとります。飲み物やおつまみ等もこちらであれば、後で纏めて宿でお支払いただけます。お荷物も預かってもらえますが、貴重品はご自身でご管理下さい」

バスの運転手が客を路地に張られたテントの一つに案内して説明する。

「それでは皆様、お楽しみください」

ソイヤッ、、、

ソイヤッ、、、

セイヤッ、、、

セイヤッ、、、

そこここから威勢の良い掛け声が聞こえてくる。

神輿が幾台も繰り出しているようだ。

「すげぇ迫力だな。行こうぜッ!」

浜田が先頭に立ち、歩き出そうとする。

「兄ちゃん達、若いのに威勢が良いなっ!」

テントの中から町内会の役員らしい男が声をかけてきた。

「みんな、立派な体格して。どうだ?うちの神輿を担がんか?」

「え?いいんすか?」

栗山が飛び付く。

「ほら、あの神輿、こっちに向かって来ている神輿。あれがうちのだ。ここに着けば担ぎ手が交代できる。もう年寄りが多くて担ぎ続けるのがしんどそうだから、若い衆が代わりに担いでくれれば喜ぶだろう」

「おっし、俺たちもかつごうぜ」

浜田が言う。

「どうだ?純一」

浜田に誘われ純一は思わず笑顔になり「それは、いいな」と応えた。

役員は、若者が年長者にタメ口をきいたのと、年長者が当然のようにそれに応じたことを驚く。

見れば惚れ惚れするような良い男だ。

背も高く、日本人離れした彫りの深い顔に広い肩幅に長い手足。

そんな好青年が明らかに若い少年に従うような素振り。

その少年も、年齢的に少年というだけで、がっしりした体格に、意思の強そうな顔付きだ。

連れの二人も、タイプは違うがそれぞれ鍛えられ男っぽさを醸し出す。

まぁ、こんな若衆がこの祭に興味をもってくれるのは良いことだと役員は喜ぶ。

神輿が上下に躍動しながらテントの前にやってきた。

役員は年寄りというが、担ぎ手は30代から40代にかけての男盛りが多かった。

マシーンで作り上げた肉体ではなく、日々の労働で鍛えられ、発達した筋肉に覆われた身体の持ち主ばかり。

中には50を越えるものもいたのかもしれないが、まだまだ現役の熟れた男達。

彼らに比べれば、浜田達はもちろん、純一ですら、青臭い若造と思われても仕方ない。

役員に純一達4人が神輿に加わると聞いた担ぎ手達は喜ぶ。

“若いのに良い心がけだ”

“良い体格をしているな”

“神輿は初めてか?”

“担ぐコツはな、、、”

口々に若い四人に語りかける。

担ぎ棒は肩に密着させ、、、

背が高いものは足を広げ中腰に、、、

等々の伝授が始まる。

若者達が加わることを素直に喜んでいる。

いずれも汗まみれだ。

水をのむ者。

法被を脱ぎ、脱いだ法被で体を拭き、そのまま褌一丁で神輿のところまで戻る者。

夏の日差しの中、神輿を担ぐのは重労働のようだ。

数人が残り、テントに控えていた者と純一達が加わる。

新たな担ぎ手は後方に回る。

担ぎ手が変わる度に順番に前に移動していくようだ。

歳上好きの栗山は嬉しさを隠せない表情だ。

もう標的を見つけたようで、ニコニコとかわいい笑顔を浮かべ話しかけている。

相手は30過ぎくらいの浅黒く日焼けした男。

二の腕の筋肉が瘤のように盛り上がっている。

そして余分な肉を削ぎ落としたような体つき。

おそらくガテン系だろう。

純一の脳裏に、かつて少年だった彼に性への目覚めをもたらした工事現場の労働者の荒々しい体つきが甦る。

突然、尻の付け根に激痛が走る。

ウッ!

見ると浜田が法被の裾から手を入れ、純一の肌をつねり上げている。

低い声で浜田が囁く。

「アホ面さらして発情してんじゃねぇよ」

栗山が話しかけている男に見とれていると勘違いしたようだ。

「痛いよ。浜田くん。止めてくれ。発情なんかしてないよ」

年下の生徒の機嫌をとるように言う。

そして、二、三歩、後退りする。

浜田の純一を見る目に宿った鋭い怒りの色に圧倒されたのだ。

純一は驚く。

つねり上げられたのは、いつものちょっかい、この後、夜に待ち受けるプレイに向けた弄りのように思っていた。

が、そんな時に浜田が浮かべているサディスティックな純一の反応を楽しみ伺う好奇な視線とは全く違う怒りの色が浮かんでいる。

な、なぜ?

純一は焦る。

無言で神輿へと歩き出した浜田の後ろを従うようについていく。

自分の虜と思っていた教師が他の男を見つめていたことに対する嫉妬、、、

簡単な図式だったが、この時点で浜田と純一は、まだ気づいていない。

数日後、外泊をした教師の尻に“桃”“尻”
と落書きされているのを見て、その負の感情が爆発するなどということも想像だにしていない。

                             *
祭は進む。

昼間は、路上で神輿を担ぐ者達と道路で見物する観客が分かれていたが、夜になり人も増え、さらにそこに酒が入り、人々は入り乱れ、混雑が増していった。

その中で純一は神輿を担いで進む。

すでに汗まみれになった法被はテントで脱ぎ捨て、褌一丁で担いでいる。

背が高い純一は、足を広げ、腰を落とし回りに合わせて神輿を担ぐ。

“セヤッ!”

“ソヤッ”

神輿の掛け声。

昼から出し続け声は少し嗄れかけている。

キツい体勢で神輿を担いでいるが、祭の高揚感で負担には感じない。

そして、褌一丁のほとんど裸体で衆人環視の中に居ることもなにも感じない。

最初こそ、法被を脱ぎ、褌一丁で街中に出るということに抵抗があったが、何より、褌一丁の男ばかりなのである。

気にする方がおかしいような気がしてきている。

そして感じる自分が様々な戒めから解き放たれたような自由感。

腰をわずかに隠す布一枚(褌)だけの姿で衆人の中、体を動かす解放感。

軽い背徳感。

自身を包む祭の熱気。

狂騒。

大声で声を掛け合い、神輿を全身で担ぐ高揚感。

全身を汗が伝う心地好さ。

“セヤッ!”

“ソヤッ”

純一は、掛け声をあげ、全身で神輿を支える。

「浜さん、先生、カッコいいよっ!」

すぐ横からの掛声に目をやると、スマホを構えた栗山が居た。

「菊池さんもポーズ取ってっ!」

知り合いが居たとかで、この前の休息時に栗山は担ぎ手から抜けて単独行動となった。

一度、テントに戻ったのか法被を着ている。

「どうせ、どっかでヤリちぎったヤツが居たんだろ」

浜田がボソッと言ったが、それはある意味当たっていた。

一人ではなかったので“ヤツ”ではなく“ヤツラ”という表現が正しかったのだが。

そして、もうひとつの目的、、、

菊池と栗山の視線が一瞬、交わる。

菊池は純一の背後で担いでいる。

教師の広く筋肉で分厚い背中が目の前にある。

菊池の片方の手がスッとしたに降りる。

栗山がニヤリと嬉しそうに笑い、スマホを片手に少し距離をとる。








  
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