聖職より堕ちた教師 純一の場合

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終章 記念写真2

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水島の目から大粒の涙が流れ出る。

嗚咽が漏れる。

水島の混乱は極みに達している。

憧れ続けた教師。

出来ることなら教師と一緒にいたいと忍び込んだ放課後の教員室。

数時間前の出来事がはるか昔のようだ。

こんなことになると思わなかった。

暗い教室。

映し出されるエロさの極地のような筋肉質の長身の男がみせる痴態の数々。

それは、爽やかで優しく気高かったサッカー部顧問来生純一の水島は知らない姿だった。

そしてその映像が映し出される教室前面の教卓には肌色の日焼けした筋肉質の美しい裸体。

青年教師来生純一本人の素肌に、彼の晒した痴態が映し出されている。

背後からがっしりとした体躯の猛者と呼ばれる生徒が、崩れ落ちそうになる教師の身体を支え、同時に逃げられないようにしている。

水島の脳ミソはグチャグチャに掻き回され、そして、股間はビンビンに張りつめている。

もう、何がどうしていいのか判らない。

崩れそうになる水島の身体を後ろから腰に手を回し、長身の学生ボクサー菊池が支えている。

力強く、そして、優しく。

うぅっ、、、

水島の食い縛った口から嗚咽が漏れる。

菊池が、水島の身体に回した手に力を入れ、水島を抱き寄せる。

水島は拒まずに、菊池の鋼のように締まった身体にもたれ掛かる。

菊池が水島の頬に、そっと自分の顔を近付ける。

「見たか?水島、こいつの本性。」

浜田が低い声で言う。

菊池が鋭い目で浜田を見る。

これ以上、水島を混乱させるのは許さないと言うように。

「せ、せん、、、せい、、、なんで、、、なんで、、、、」

「す、すまない、みずしま、、、
こんな俺ですまない、、、」

教師が辛そうに目をつぶりやっとのように口にする。

閉じられた目の端から涙が溢れる。

「サッカー部の奴らにこの本性を晒すってのも面白いな」

浜田がイラついたように言う。

浜田は、教師とサッカー部の関係にヒビを入れたくてたまらない自分の暗い感情がなぜ沸き上がってくるのか、判らない。

自分でもみっともないと思っているが止められない。

それは、嫉妬。

浜田が初めて心から惹かれた青年教師が、自分以外の者達を大事にしていることに対する嫉妬。

来生の心からサッカー部を追い出し、同時に来生の大事にするサッカー部員をメチャクチャにしたい衝動。

危険で暗い感情が迸る。

「お前、こいつを抱きたかったんだろ?このエロ教師を。抱いてやれよ、なんなら、サッカー部員達で輪姦してやれ、来生先生への恩返しだ。こいつ、尻を振って、オーオー叫んで喜ぶぜ、、、サッカー部のオナホ顧問、、、ケッサクだぜ」

あぁ~~~っ、、

青年教師の口から悲痛な声が漏れる。

生徒達とのコミュニケーションが取れるとウキウキして向かった柔道場で与えられた仕打ちが脳内でフラッシュバックする。

その日の出来事が大きな楔となり、来生の胸に打ち込まれている。

プール開きの日と同じ、フラッシュバック。

生徒の悪ふざけが、自分への性的な攻撃になってしまうという怯えが腹の底から沸き上がる。

来生の脳裏に稲妻のように光景が浮かび上がる。

可愛がっていたサッカー部員達が自分を取り囲み、冷たい視線を向けてくる。

中心にいる自分は項垂れている。

この変態教師っ!

淫乱エロ顧問っ!

俺達を手篭めにしようとしていたのか?

人として失格だ!

偉そうにユニフォームを着る資格などないっ!

脱げッ!

脱げッ!

素っ裸になれっ!

素っ裸になって、そのスケベェな本性を晒せっ!

頭の中で妄想のサッカー部員達が純一を取り囲み、責め立ててくる。

その妄想の中の言葉が胸を切り裂く。

妄想の中、純一はクラクラと頭が冷たくなり、ユニフォームに手を掛け、脱ぎ始める。

上を脱ぎ、下を、下着と一緒に勢い良く下脱ぎ捨てる。

そして、妄想の中で純一は、裸になった解放感を感じつつ、サッカー部員達に産まれたままの姿を晒し、そして、土下座をする。

「許してくれ、、、」

そして、部員達一人一人へのフェラを強要される。

いや、望んでか、、、

そして、純一は我に返り、信じられないことに気付く。

自分の心を切り裂くはずの辛い妄想、勝手に浮かび上がってきた妄想の最後、サッカー部員達の若い穂先を一人一人丹念に口に含む妄想で、自分の意思に反して逸物が力を得て屹立し始めたのだ。

なんで、、、なんで、、、こんな時に立つんだ。

なんで、俺は勃起してるんだ、、、、

あ、水島が見ている。

水島が見てる前で、俺は勃起し始めている。

どうしよう、、、

俺は最低だッ、、、

み、水島が、泣きながら俺を見ているぅ、、、、

こんなみっともない俺の姿が見られてるっ、、、、

青年教師の身体がいきなり動き、浜田の腕の拘束を逃れる。

筋肉に覆われた長身の身体が水島の前にバタバタと近寄り、そして、消えた。

いや、踞るように土下座したのだ。

「水島、すまん、こんな俺を許してくれ、こんな俺をぉ、、、、」

「なんで謝るんだよ、先生ッ、なんで、、、」

「こんな汚い俺を許してくれぇ」

二人とも泣き声だ。

水島の身体が前にでて、敬愛した教師の肩を蹴りあげる。

反動で浮いた教師の上半身、肩から胸を蹴りあげ、そして、仰向けになるように胸を脚で激しく突く。

教師は無様に床に転がる。

正座していた脚が、広がる。

現れた股間は屹立している。

黒い繁みに彩られた美しい肌色の塔。

そしてその下で存在を誇っている2つの鶏卵のような玉を包む形良い玉袋。

「先生、こうされるのが好きなんでしょっ」

ヒステリックに水島が叫ぶと、来生の竿を、玉袋を勢い良く踏みつけた。

キェェ~~~~💫キャオェ~~~💫

つんざくような凄まじい悲鳴を純一が上げる。

水島は鬼のような表情で踏み続け続ける。

ガ、、、ガギィァァ~~💫

怪鳥の鳴き声のような尋常でない悲鳴。

教師は鍛えられた身体を痙攣させて仰け反らせる。

水島が、グイと後ろに引かれる。

水島が振り向くと、菊池だった。

「よせっ、お前らしくないっ、正気にもどれ」

なおも水島が鬼のような顔を直さず、来生の方を向き、足蹴にしようとする。

バシッ

菊池が水島の頬を打つ。

「冷静になれッ」

水島は急に泣き顔になる。

「だって、だって、、、、」

「水島、こいつがこの教師の本性だ。だが、教師としてこいつは、お前らのことを本当に大事にしていた」

浜田が、え?というように、菊池を見た。

菊池が、来生をサッカー部員をエロい目で見ていると決めつけ、いたぶっていたのだ。

それを聞くたびに、浜田の心のなかの来生とサッカー部員への歪んだ嫉妬が刺激されたのだ。

そして、浜田は目の前の菊地と水島の様子を見て悟る。

菊池は、気になっている水島の憧れの教師来生に嫉妬して、水島に手を出さないか心配していたのだと。

今夜、思わぬ偶然で、水島の中の理想の教師純一の虚像が壊れることになったのだ。

目の前で裸体を晒し、床の上でヒクヒクとうごめいている教師を見る。

その表情、全てを諦めたかのような表情で、白目を向きかけている。

急に浜田の中に、やり過ぎてしまったと後悔の念が生まれる。

「水島、こいつが教師として、顧問として、お前達サッカー部を大事にしてきたのは事実だ。俺は、見てきた」

水島は、菊池の顔をジッと見た。

菊池もジッと水島を見ながら話す。

そう言えば、サッカー部の練習を見ている菊池の姿を何度も見かけたと思い出す。

「悔しいが、こいつは教師として立派な奴だ。だか、おそらくお前の気持ちには、こいつはこたえない。浜田に夢中だからな」

菊池が続ける。

映写を止めた栗山が、とうとう告白タイムが来たかというように二人を見ている。

「こいつは、諦めろ。代わりに、俺がお前を幸せにしてやるよ」

そう言い、菊池が水島に近付き手を背中に回す。

水島は、戸惑い菊池の顔を見る。

細長の目が真剣な光を放ち水島を見ている。

急に目の前の菊池が大きく見える。

菊池の腕に力が入り、水島を抱き寄せる。

その腕、そして、重ねられた上半身の菊池に当たった部分が急に熱くなり、水島は、息が苦しくなる。

菊池の顔が近付いてくる。

「俺を信じてみないか?」

囁くように菊池が言い終わると同時に、二人の唇が重なり、互いの身体を力強く抱き締めあった。

そして、教壇近く。

「純一、すまん、今日はやりすぎだ。許してくれ」

そう言い、浜田が虚脱状態になっている教師を抱き寄せ、優しく肌に愛撫を加える。

教師の目にだんだん精気が戻る。

「水島には、今日のことは秘密にさせる。お前は、明日からも教師として正々堂々と生きろ」

浜田が優しく言い、教師に口づけ、ゆっくり教師の尻の穴を解し始める。

教師の口から、吐息が漏れ始める。

教室の中ほどでは、まだ熟れるまでには間がある水島の若い肌を菊池が優しく愛撫し、水島は、初めての刺激に漏れそうになる声を唇を噛んで抑えている。

そんな初な様子が愛しく、菊池は何度目かの優しい口づけをする。

それを、栗山がスマホで撮り、その合間に、浜田を怒らせ、きっちりとツケは払って貰うと言い放った純一の尻に桃尻と落書きした悪友達を堕ちさせる計画を仲間達とやり取りする。

そして、日が明け始めた頃、五人は記念写真を撮った。

菊池と水島は肩を寄せあい、尻を掘られ何度もドライオーガズムに達し虚脱した教師は浜田の胸に身体を預け、浜田はその教師を満足そうに抱え、栗山は笑い片手を伸ばし五人が画面に映るようスマホを操作している。

 水島は、その後、何度もその記念写真を見直すことになる。

そんな水島を見て、もう長年パートナーとして同居している菊池は、「なに、そんな昔の写真を見てるんだよ」と笑う。

菊池はボクサーとして名を成し、ボクシングジムを開いた。

総合格闘に進んだ浜田は国内に納まらず、世界を飛び回っている。

かつての恩師である来生純一は、スポーツトレーナー・メンタリストとなり、常に浜田に同行しているから、なかなか会うことが出来ない。

あの夜の数日後、体調を理由に学校を休んだ来生のもとに行き、やつれきったその顔に驚いた。

そして、あの夜のことは口外する気はない、だから、尊敬する爽やかな来生先生としてサッカー部に戻ってきて欲しいというと、泣き出してしまった来生。

水島が肩を抱くと、有難う、、、有難う、、、と何度も言った。

しばらくはギクシャクしたところもあったが、浜田、菊池、栗山と一緒につるむうちに、関係は新たに築かれていった。

もっとも、旅行などでは、水島と来生の二人が交わることは、菊池が決して許さず、来生の身体に魅力を感じている水島は少し残念だったが、それはまた別の話だ。

栗山は、奔放に生きている。

その小悪魔的な魅力はどんどん磨かれていき、何人もの男達が狂わされていった。

その様子を呆れてみている水島に、「たまには味見してみる?」とイタズラっぽく言うが、菊池一筋の水島は、やんわり断る。

そして、栗山はやれやれと言うように、「よく一人で満足出来るよね~」と笑う。

「明日、浜田が戻ってくるんだろ?」

「うん、レストランの予約はしておいた」

「ホテルは?」

「してあるよ」

「ちゃんと二部屋にしてるだろうな」

「もちろんだよ。僕は一人で寝ても言い覚悟はしているよ」

「へんなこと言うなよ。ま、すこしくらい純一くんと栗山を味わうかもしれないけど」

「僕も味わいにいこうかな」

「だーめ。お前は俺を味わってればいいの」

そんな軽口を菊池と水島は、ベッドの上で繰り広げる。

そして、ベッドサイドのテーブルには、二人が結ばれた夜、五人の男が裸で写る記念写真が飾られている。

                                                                  (了)
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感想 6

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みんなの感想(6件)

2022.09.17 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

解除
2022.03.28 ユーザー名の登録がありません

退会済ユーザのコメントです

2022.03.29

ご指摘をありがとうございますm(_ _)m

修正します。

解除
マリリンモンロー

こっそりドキドキ読んでます
ゲイ向けとある作風は敷居が高かったのですが、とても読みやすく、読みやすく…
作者さんの特色なのでしょうか
入り乱れる人間関係が素敵です

スピンオフにあたる議員のお話もよろしくお願いします

解除

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