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隠された教師の姿ーSIDE:水島

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土曜の放課後、もう遅い時間。

教員室に残っている教師は2人のみだ。

ドキドキと胸を高鳴らせながら扉を開けた水島は、クラスの担任教師が既に帰宅し、居ないことにホッとする。

帰り支度をしていた教師が水島を見て言う。

「どうした?」

「来生先生、いらっしゃいますか?」

とっさに口に出た。

もちろん具体的な用があるわけではない。

「ああ、君はサッカー部の…来生先生は…まだ、部活から戻ってきていないようだな。そこの椅子に掛けて待っていなさい」

その教師が指をさしたのは教員室の奥の壁際の椅子。

来生の席のすぐ近くだ。

「失礼します」

一礼して水島はその席に座る。

先生が戻ってきたらなんて言おう。

緊張が高まる。

胸が痛いほどドキドキしている。

教員室に用事があると足を踏み入れてしまった以上、このまま急に席を立って帰るのは不自然だ。

真面目な水島は、何か相談するようなことはないかと一生懸命に頭を巡らせていた。

受験のことにしようか、、、部活のことにしようか、、、

だが、頭は逆上せたようにカッカとしていて考えが纏まらない。

毎日、学校生活を楽しんでいる水島には、そんなに大きな悩みはない。

あると言えば、教師に抱いてしまった好きだという気持ちだけであるが、そんなことは口が裂けても言えない。

帰り支度をしていた教師は水島の席にある横にある扉を開け中に入った。

その扉は教師専用のロッカールームのものだ。

水島はまだ見たことはないが、その中は、教師の個人用ロッカーのみではなく洗面台、トイレ、仮眠用のソファ、そしてシャワーブースまで付いているという。

残ったもう一人の教師はぼんやりとパソコンを弄っている。

扉が再び開き、帰り支度を終えた教師が出てきた。

「下校時間は過ぎているぞ。話は早めに切り上げろよ」

そう言い残し、教師はそのまま教員室を出て行った。

ロッカールームの扉は完全には閉まり切っていなかった。

隙間から見えるロッカールーム。

この中に来生先生のロッカーもあるんだ。

好奇心が膨らむ。

来生先生の私物のあるロッカー…

少年にとって神々しいまでに立派な男の象徴である若くしなやかな教師。

その教師の生徒には見せないプライベートの欠片がこのドアの向こうにある。

衝動が少年を襲う。

横目で見ると一人残った教師は依然としてやる気なさげにパソコンを見ている。

水島は、そっと立ち上がりロッカールームの扉を開け滑り込んだ。

清潔な屋内。

壁にそったロッカーの列、右奥の曇りガラスが嵌め込まれた扉が三つ並んでいるのがシャワーのスペースだろう。

そしてロッカールームの奥、壁際の狭いスペースに押し込むようにおかれた古びた大きめのソファ。

接客室で使われなくなったものを運び込んで仮眠用にしたものか。

水島は、ロッカーの扉に貼られたネームカードを端から見ていく。

中ほどに来生の名を見つけた。

ドキッと胸が高鳴る。

ロッカーは暗証番号を入力するタイプ。

もちろん暗証番号は知らず、取っ手に手を掛けても固く動かない。。

開けられなかったことが残念なような、ホッとしたような。

複雑な感情が少年を襲う。

教師のプライベートを覗き見しようとしている罪悪感が急に湧いてきた。

もう出よう…ここは生徒の入っちゃいけないところだ…

水島がロッカールームをそっと脱け出すため、ドアから教員室に残った教師の様子を伺うと、校庭側のドアが開き、その憧れの教師が教員室に戻って来るところだった。

「お疲れ様です」

同僚に挨拶する青年教師。

離れた場所から見ても汗まみれなのが解る。

おそらく一人きりのトレーニングに励んだのだろう、筋肉がパンプアップされている。

「来生先生、遅くまでご苦労様ですな。悪いけれど、用事があって、今日も最終セキュリティの方はお願いして、私は失礼してもいいですかな」

「もちろんですよ。やっておきます」

来生が言いながら、ロッカールームに近づいて来る。

まずい…このままだと先生に遭遇しちゃう…ロッカールームにいたのがばれちゃう…

焦った水島は、来生がいつも使っているスポーツタオルで不自然に股間辺りを隠していることに気づかなかった。

ヤバい、、、ヤバい、、、

ここに居るのがばれちゃいけない、、、

水島はロッカールームを見渡す。

奥のソファ…あの下なら隠れることができそうだ。

水島は急いでソファの下の隙間に仰向けに滑り込む。

どうにか身体は隠れる。

古くくたびれたクッションが前方に垂れているのもカモフラージュに役立っているのは少年にとって幸運だった。

狭いソファの下に横たわり、顔を横に向けロッカールームの扉を見るとちょうど来生が入ってきたところだった。

ギリギリセーフ。

水島は少しホッとする。

だが、見つかったらヤバい状況に変わりはない。

ソファの下から伺うと、青年教師は、スポーツ後には似合わない思いつめたような表情をしていた。

ソファの下に生徒が潜んでいるのには気付かない。

心はここに無い雰囲気。

その息は荒く、厚い胸板が上下しているのがシャツ越しにわかる。

動きが遅い。

自身のネームプレートの貼られたロッカーの前に立つ。

っ!

股間が膨らんでいる?

ソファの下で少年は目を見張る。

斜め下から見上げた鍛えられた教師の立ち姿。

その下半身。

ソファの下からだとそれを横から見ることになる。

幅の短いサッカーパンツの前部が不自然なラインを描いている。。。そう見えた。

そんなはず無いのに、、、

校庭で、教室で、廊下で来生を見つめ続けた水島だからこそ解る。

雰囲気もいつもとは違う。

教師の手が不自然に震え、のろのろとロッカーの暗証番号を押す。

水島の知っているいつもの爽やかで機敏な来生先生らしくない動作だ。

カチッとロッカーが開く。

来生はスポーツタオルを扉の内側に掛けるとすぐさまスマホを取り出し操作し始めた。

真剣な表情。

食い入るようにスマホの画面を見ている。

しばらく険しい表情で画面を操作する。

やがて、ほぅっとため息をつくと、ガクッと首を落とした。

全身の力が抜けているのが分かる。

手を握りしめ、首を下げ、力の抜けたその姿は、安堵をしているようにも落胆しているようにも見えた。

そして、なぜか股間の膨らみが先ほどよりも重量感を増したように見える。

いわゆるテントを張った状態に見える。

その時、ノックの音がし、ピッとロッカー室のロックが解除される音がした。

ハッと顔を上げた来生は、ロッカーの扉の内側に掛けたスポーツタオルを素早くとり、すっと身体の前に持ってくる。

不自然な膨らみを隠すように。

さっきまでのんびりとパソコンを弄っていた教師が扉から顔を覗かす。

「それでは私は帰ります。もう他の先生は皆帰りましたんで、取り敢えず教員室のカードセキュリティはかけておきました。まぁ、この時間に教員室に入ってくる生徒も居ないでしょうが。では、お先に」

そう言って、扉を閉めた。

ロッカールーム内には来生と水島が残った。

ソファの下に水島が潜んでいるなどとは思っていない教師。

常勤教員のみに与えられたカードでしか扉が開けられないようセキュリティロックが掛けられた教員室、さらにその奥に位置するロッカールームの中で、一人きりになったと思っているだろう。

ふぅぅぅっ

青年教師が大きくため息を着く。

しばらく、立ったまま動かない。

ソファの下の水島には、それが永遠のように思え、さらにロッカールームの静寂のせいでバクバクと鳴る自分の鼓動が聞こえてしまうのではないかとびくびくしていた。

やがて、青年教師は普段は見せない怯えたような表情でロッカールームの扉に向かい、外を伺った。

先ほどの教師が帰ったことを確認したのだろう。

振り返った教師の顔は、安堵の表情に変わっていた。

だが、負け犬を想像させるその顔は、水島の理想の教師の顔とは掛け離れていて、水島の心は搔き乱される。

ふぅっ

再びため息を着いた後、青年教師はおもむろにトレーニングシャツの裾に手を掛け、脱ぎ出した。

土曜の午後を通してグラウンドで行ったトレーニング。

シャツにもパンツにも、そして手足にも、汗と土ぼこりが塗れているのだ。

シャワーもある。

汗と汚れを流そうとするのも当たり前だ。

だが、敬愛、いや、崇拝に近い想いを抱く教師が目の前で脱衣を始めたことに水島の心臓はぎゅっと掴まれたように高鳴る。

もちろん、合宿などで、教師と大浴場に浸かったこと、プールの授業で指導を受けたこともある。

その時は、眩しすぎて、水島は教師を直視することはできなかった。

しかし、今、間近で、しかも、教師は水島の存在に気付かず、無防備に裸体を晒そうとし始めたのである。

自分が教師の脱衣を覗き見してしまっている!

罪悪感が生じるとともに不思議な高ぶりも覚える。

なぜか喉が渇れ始め、心臓はバクバクと高鳴り、脳みそを痺れたような、掻き回されるような不思議な感覚に襲われる。

もちろん、教師は、そんな生徒の混乱を知らず、脱ぎ始める。

まずは、汗でグショグショに濡れたシャツ。

裾がめくり上がるにつれ、綺麗に割れた腹筋…シックスパック、二つ並んだ盾という表現がぴったりの厚く強靭そうな胸板、そして幅広い筋肉の盛り上がった肩が順に現れる。

シャツを脱ぎ捨てる際にかいま見られた腋の下は、フッサリと毛が茂り、黒々と男臭さを強調していた。

水島にとっては大人の象徴のように思えた。

ロシア人の祖母を持つクォーターらしく白く大理石のようにきめ細やかな肌に筋肉が美しく彫刻のように浮かび上がり、両胸に対照的に位置する楕円形の形良い乳首が上半身のアクセントとなっていた。

鍛えられた体だが、長身とすらりと伸びた手足のおかげで、ゴツゴツした感じはなく、滑らかで大理石の美男神の彫刻を彷彿とさせるフォルムである。

腹筋の中央、臍の上からうっすらと存在を表し徐々に下半身へ向け濃く広がっていき、サッカーパンツで隠された部分へ続く黒い茂みもいかにも大人の男の身体だ。

水島は教師の露わになった上半身に見とれる。

汗に濡れ、かすかにテカり筋肉の陰影を強調している。

そして、下半身。

緩めの短パンが不自然に盛り上がっている下半身。

その短パンを教師は一気に下した。

水島の目が驚愕に見開かれる。

教師が、体躯に恵まれた彼の秘所を隠すために身に付けていたのは、キリリとした古式ゆかしい純白の六尺褌であったのだ。

    
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