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乱入者

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生徒は威圧感を放ち、憲司を圧倒する。

ヤバいっ、、、これはヤバいっ、、、

どうにかしないと、、、

怯え混じりの混乱する頭で青年教師は考える。

何をされるか判らない。

教師を見下ろす生徒の冷たい目。

憲司の経験上、そんな目をした奴の方が大胆な攻撃に出る。

潰そうと決めた相手には容赦がない。

しかも、自分は素っ裸。

無防備な状態で、しかも文字どおりの急所を押さえられている。

「や、、、やめろ、やめてくれ、、、やめてください、頼むから足をどけてください~、、、」

急に、健司の声が媚混じりのか弱い声に変わる。

この状況から逃げるためには、みっともない真似も辞さないつもりだ。

「俺、、、いや、僕が一体、何をしたって言うんだ。悪いところがあるなら言ってくれ。何か気に障るようなことをしたのなら謝る。だから、勘弁してくれ。許してぇ~」

大股開きになった足を動かすことも出来ず、首だけ上げて嘆願の表情を浮かべ、生徒を見る。

縋るような視線だ。

不利な状態を回避するためには、どんな惨めな真似も厭わない憲司。

そんな状態であっても股間はいきり立ったままだ。

踏み付けられ血が止っている訳ではない。

痛みに悦びを感じている訳でもない。

つい先刻、壇上にすっくと立ちガウンと下着をもったいぶって脱ぎ捨てた時に感じた痺れに似た衝動が、今もジワジワと股間から体の内部を這いずり回っているのだ。

憲司の知らなかった初めての感覚・・・

自覚していなかった性癖、、、

だが、今の憲司に己の内から沸き出すその痺れに気を回すゆとりはない。

現在の窮地をどうにかしないと・・・

それしか考えられなかった。

「な、なあ、許してく・・・ひぃっ!ひぃぃっぎゃっ!」

美影が、爪先に力を入れたのだ。

「やっ、やめろぉっ!痛ぇっ!
馬鹿っ!つ、潰れちまうぅっ・・・金玉が潰れちまうぅぅっ!」

憲司が男っぽい顔を歪め、叫ぶ。

激痛に全身にうっすらと脂汗が滲みはじめる。

それが、赤銅色に焼けた憲司の肌にヌメリを与え、鍛えられた筋肉の動きを際立たせていた。

全裸の教師の股間を踏み付ける生徒は、冷ややかな表情を崩さない。

それが不気味だった。

憲司を、得たいの知れない恐怖感が襲う。

生徒はまた、爪先にゆっくり力を加えた。

「ぁがっ!ひぃぃぃぃぃっ」

健司の全裸の身体が硬直した。

筋肉が全身に浮き上がる。

恵まれた長身のスタイルに、惚れ惚れするほど鍛えられた美しい筋肉が。

憲司は痛みに耐えかね、両手で頭を抑える。

腋の下のもっさりとした茂みが露になる。

「やめてくれっ、頼む、やめてくれっ、言うことを聞くっ、なんでも言うことを聞くからぁっ、やめろおぉぉぉぉっ!」

プライドをかなぐり捨てて健司は叫ぶ。

このまま放っておくと、本当に金玉を潰されかねない・・・

口先だけの嘆願に本気が交じり始めてきた。

生徒はそれを知ってか知らずか、無表情のまま足先に軽く体重をかけては抜くを繰り返す。

その微かな体重の加減事に教師は大袈裟な悲鳴を上げる。

「おっ、お願いだ。金玉が・・・金玉が。やめてくれっ。な、頼む、頼むよ、男なら判るだろ。っつ、いっ痛ぇ。痛ぇよぉ。なんでも言うことを聞くから」

「なんでも言うことを聞くねぇ・・・」

生徒は意地の悪い笑みを浮かべた。

「お前の言うことは信じられないって証言は呆れるほど大勢から聞いているぜ、、、、お前が勤めていたD高やS高の生徒、K海岸のサーファー達、Y町で遊んでる奴らからな。甘い言葉で近づいて、一発やったらポイ捨てのクズ野郎ってな」

憲司の目がギョッと見開かれた。

名前の出た高校は、憲司が赴任していた学校、そして、K海岸・Y町は健司の狩場だった。

元の着任高では流石に大っぴらに出来なかったため関係を持った生徒は少数(とは言っても二桁代ではあったが)だったが、K海岸・Y町では気にせず遊びまくり、満足するまで一日に何人も食いまくっため、関係を持った人数は数えきれない。

さらにヤリ捨てであったから、恨んでいる人間も多いだろう。

しかし、なぜ、美影がそれを知っているのだろう。

「ネットやSNSのコミュニティでちょっと問い合わせしたら、あんたの情報バンバン集まったぜ。あんたの悪行の数々もな」

その言葉に憲司は愕然とする。

こいつ、なぜそんなことを。

まさか、こいつ、俺のストーカーか?

憲司の思考は、こんな状態でもあくまでポジティブだ。

偏執的な愛情を抱いた結果、美影がこのような所業に及んだと勝手に解釈していた。

だが、理由はどうであろうと、この状態はまずい。

態勢を立て直さないと・・・

まずは、どんなに惨めな嘆願だろうと急所への攻撃を何とかしないと本当に金玉がどうにかなっちまう・・・

美影が爪先に力を込めていなくても、睾丸にジンジンと疼くような痛みが残り始めている。

どうにかしないと・・・

憲司が策略を巡らそうとしている時・・・

「直兄ぃ、やめて、もうこんなことやめてよ。酷いよ、酷すぎるよ」

声が響いた。

まだ幼さの残る高い声に、必死さが滲んでいる。

教師の股間を冷静に責めていた美影の顔に動揺が走った。



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